7月15日。不安や悩みは老若男女を問わず、誰しも抱えるものです。自分の不安や悩みとどう向き合い、どう処理していくかは、生きていく上で避けて通れない問題です。
この日、5年生は保健でそういった心の問題とどう向き合えばよいかを学習していました。保健は3年以上の体育科の学習内容になっているので、教えているのは体育を受け持っている教員です。教科書を使いながら、
不安や悩みで困ったとき、ふだん自分はどうしているか思い出す
↓
自分にとって役に立ちそうな対処の仕方を考える
といった過程を踏みながら学習していました。
冒頭でわたしは「自分の不安や悩み」と書きました。その通りですが、わたしたちは「他人の不安や悩み」にも、ときに寄り添い、ときにはともにその対応の仕方を考える必要があるのではないかと思っています。というのも、近年、社会の中での「孤立」が犯罪を引き起こす要因の一つになっていると考えられるからです。
7月8日に奈良市の近鉄西大寺駅前で演説していた安倍元総理大臣が手製の銃で撃たれ、その後、亡くなった事件。容疑者の行為は、けっして許されるものではありません。でも、生い立ちや境遇が明らかになるにつれ、「だれかに相談し、人を殺めることなく前向きな人生を送れなかったのか…。」という思いがするのも事実です。
●京都府伏見市にあるアニメ制作会社・京都アニメーションの第一スタジオが放火され、36人が亡くなった事件(2019年7月18日)
●大阪市北区のビルの4階に入る心療内科のクリニックが放火され、巻き込まれた26人が亡くなった事件(2021年12月17日)
が起きたときも同じ思いが頭をよぎりました。特別な事情を抱える人に寄り添う、悲しい思いをする人がいないような社会にするのは簡単なことではありませんが、わたしたち一人一人が問題意識を持つことは大切です。昔はなかったこのような学習内容が入ってきているのも、そんなところを意識しているように思います。