11月15日。2日前の日曜日に奈良市で「子ども安全の日の集い」が行われ、わたし(校長)も参加してきました。
この集いは平成16年に市内で起きた有山楓さん(当時小学1年生で7歳)誘拐・殺害事件の翌年から続いている集会で、今年で18回目。楓さんが生きていれば成人し、25歳になっていたはずです。同じ年頃の娘をもつわたしも、当時、心が張り裂ける思いがしたのを覚えています。
集会では奈良学園大学 教授 松井典夫氏(2001年に大阪教育大学附属池田小学校で起きた児童殺傷事件の4年後に同校に赴任)の講演があり、こういった事件から学んでいくことの大切さをあらためて実感させられました。
さて、本校も開校以来、毎年、地震・火災・不審者侵入を学期ごとに振り分けて避難訓練を実施してきました。この日は、その中の不審者侵入を想定した訓練を行いました。
不審者が学校の敷地内に入ってきたところから訓練をスタート。まずは普通の来校者としてこちらも対応します。
しかし、この人物は「子どもに会わせろ!!」と怒鳴り散らし、玄関に向かって歩いてきました。この人物は本校の教員(A先生)。雰囲気はまさにターミネーターです。
ふだんは穏やかですが、このときは「ただならぬ人物」と判断し、玄関近くに置いてある指す股を取りにいきました。
その間に教頭は放送で、ある〝隠語〟を流し、それに気付いた教職員が運動場や校舎内にいる子どもたちを近くの教室に入れて施錠。
不審者の興奮は収まらず教室に行こうとするので、指す股で行く手を阻みます。しかし、学生時代にアメフトをやっていたA先生の力は相当なもの。互いに本気でやりあい、攻防は10分近く続きました。
教頭も加勢して、ようやく取り押さえました。ズボンのベルトを引き抜いて腕を後ろに縛ります。
このあと別の隠語で事態が収束したことを知らせ、子どもたちを運動場に避難させました。
全員が避難したところで、わたしから18年前に起きた楓さん殺害事件のことに触れながら、今回の訓練の目的や自分で自分の身を守ることの大切さを子どもたちに話しました。
話の中では、「残念だけれど、大切な『命』を奪おうとするヒトが世の中にはいる。」ということも伝えています。わたしたちみんなで安全・安心な世の中をつくるともに、危険から身を守る方法を伝えていかねばなりません。それがこれまでに理不尽な事件で命を落とした子どもたちの供養にもなると思います。