日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第40回単独研究会を開催致します.
開催日: 2025年12月8日(月)午後 予定 13:45~18:45
会場:オンライン(zoomのみ)
オンライン開催のため,事前登録制とさせて頂きます.講演・参加を希望される方は下記の「講演申込フォーム」・「参加申込フォーム」より登録をお願い致します.両フォームは独立したものですので,講演をご希望の場合は,参加申込と講演申込の両方の登録をお願い致します.講演時間は,質疑応答を含めて20分~30分を予定しています(全体の講演数を踏まえて決定致します) 20分です.
10/1 追記: 本研究会での発表には,JSIAM Letters 誌への投稿権が付与されます(著者に日本応用数理学会会員が含まれていなくても JSIAM Letters 誌への投稿機会が与えられます.投稿受付期間は 2025年12月9日~2026年12月31日 です).
問い合わせ先:mepa-kanji-ml [at] ml.jsiam.org (担当:幹事 相原 研輔)
講演申込(〆切ました)
講演申込〆切:11月10日(月)
講演申込の際は,メールアドレス,講演題目,著者(所属),登壇者(所属),講演概要(200字程度),備考を以下のフォームから登録してください.
講演申込フォーム:https://forms.gle/k52XgwM7CXqF2C1C9
参加申込
参加申込〆切:12月8日(月)
参加申込の際は,メールアドレス,参加者氏名,所属,備考を以下のフォームから登録してください.
参加申込フォーム:https://forms.gle/u8cJQTC6DcFJw5u58
プログラム
オープニング(13:45~13:50)深谷 猛(北海道大学)
セッション1 座長:相島 健助(法政大学)
講演1(13:50~14:10)〇保國 惠一(筑波大学),今倉 暁(筑波大学)
題目:線形非正方行列束の特異固有値問題に対する複素モーメントを用いた射影法
概要:線形非正方行列束の特異な固有値問題に対して以前開発した複素モーメントを用いる射影法を、Kronecker標準形における特異ブロックが存在する場合に適用することを考える。特異ブロックから生じる2次回文行列多項式は正則であり、指定領域内部と外部に同数の固有値をもつことを示す。この固有値数分の階数をもつ摂動が所望の固有空間を像にもつ複素モーメントに加わるが、複素モーメントの次数と乱数ベクトルの本数の積が、複素平面における所望の固有値数と特異ブロックの大きさの和以上であれば、所望の固有値を与えることを示す。
講演2(14:10~14:30)〇槻舘 伊央(電気通信大学),工藤 周平(電気通信大学),山本 有作(電気通信大学)
題目:実対称行列の部分固有対に対する反復改良法の性能評価と収束性解析
概要:実対称行列の固有値問題は統計計算,量子力学など様々な分野で現れる重要な問題である.荻田•相島により,ある精度で計算された固有対の精度を反復法により向上させる手法が提案された.また,応用上必要とされる部分固有対について精度を向上させる手法が寺尾らにより提案された.本発表では,寺尾の手法を改良して数値実験によりその性能評価を行う他,その収束のための十分条件について説明する.
講演3(14:30~14:50)〇堀毛 晴輝(芝浦工業大学),福田 亜希子(芝浦工業大学)
題目:Max-plus 代数における有限な代数的固有ベクトル
概要:実数と負の無限大の集合に対し,和をmax,積を通常の加法として定義した代数をmax-plus代数という.Max-plus代数における固有多項式は行列サイズと同じ数の根をもつが,固有値でない根も含まれる.西田らの先行研究において,全ての根を代数的固有値とよび,それに対応する代数的固有ベクトルが提案されている.本研究では,代数的固有ベクトルのうち全要素が実数となるものに着目し,その存在条件について議論する.
セッション2 座長:相原 研輔(東京都市大学)
特別講演(15:00~16:00)Zeyu LIAO (Joint MSU-BIT-SMBU Research Center of Applied Mathematics, Shenzhen MSU-BIT University, Guangdong, China, 〇Ken HAYAMI (Professor Emeritus, National Institute of Informatics, and The Graduate University for Advanced Studies (SOKENDAI) )
題目:Superlinear convergence of GMRES for clustered eigenvalues and its application to least squares problems
概要:The objective of this talk is to analyze the superlinear convergence behavior of the GMRES method when the coefficient matrix has clustered eigenvalues. We analyze the convergence using a Vandermonde like matrix defined by the eigenvalues of the coefficient matrix which is assumed to be diagonalizable. We provide an upper bound of the residual, also using the right hand side vector and the eigenvectors of the coefficient matrix, showing superlinear convergence which matches numerical experiments on inner-iteration preconditioned GMRES for least squares problems.
In the remaining time, I will reflect on my involvement with numerical linear algebra.
セッション3 座長:深谷 猛(北海道大学)
講演4(16:10~16:30)〇大塚 基弘(名古屋大学),立岡 文理(株式会社IHI),曽我部 知広(名古屋大学),竹田 航太(名古屋大学),張 紹良(名古屋大学)
題目:行列実数乗-ベクトル積の数値積分近似における誤差制御について
概要:本研究では,正定値対称行列に対する行列実数乗-ベクトル積を数値積分で計算することを考え,目標精度を達成するための誤差制御手法を提案する.被積分関数には線形方程式の解が含まれるため,数値積分の誤差に加えて被積分関数の計算誤差も制御する必要がある.本発表では,DE公式のような数値積分法に対して,各積分点での線形方程式の誤差を残差を用いて評価する.また,数値実験により提案手法の有効性を確認する.
講演5(16:30~16:50)〇北島 蒼士(電気通信大学),日高 俊太郎(電気通信大学),工藤 周平(電気通信大学), 山本 有作(電気通信大学)
題目:二重指数関数型数値積分公式に基づく行列対数関数計算法の効率的実装と性能評価
概要:行列対数関数は,量子情報科学,機械学習,時系列解析などの応用を持つ重要な行列関数である.近年,二重指数関数型数値積分公式に基づく行列対数関数の計算法が提案され,高い並列性と高精度性から注目を集めている.本発表では,行列ベクトル積(logA)bの計算を取り上げ,シフト型クリロフ部分空間法,スケーリング,スカラー版漸化式などの技法を用いた高効率な実装法を提案する.また,数値実験によりその有効性を評価する.
講演6(16:50~17:10)〇依田 凌 (University of Wuppertal),Eric Cyr (Sandia National Laboratories),Jacob Schroder (University of New Mexico),Matthias Bolten (University of Wuppertal),Stephanie Friedhoff (University of Wuppertal)
題目:深層残差ネットワークにおけるレイヤー並列の導入とPyMGRIT実装
概要:本発表は、深層残差ネットワーク(ResNet)の学習過程にレイヤー並列性を導入し、学習時間短縮の可能性を検討する。これはResNetを前進オイラー法による離散化として解釈することでレイヤー間伝播を時間ステップ計算として扱える点、およびスキップ接続により極めて深い層数が実用化され、レイヤー間伝搬の逐次依存が支配的となる点に動機付けされる。この枠組みは、時間依存偏微分方程式に対する時間並列化と同じ文脈に帰着し、データ並列・モデル並列と直行する新たな並列性、レイヤー並列性を与える。本発表ではPyTorchベースのアプリケーションに対して、マルチグリッド時間並列法のPython実装であるPyMGRITを統合した実装と初期評価例を報告する。
講演7(17:10~17:30)〇Cassimo BRAIMO (Hosei University), Kensuke AISHIMA (Hosei University)
題目:Seismic data interpolation analysis using a CNN with U-Net architecture
概要:Seismic data interpolation is crucial for accurate subsurface imaging, as incomplete or irregular sampling can degrade interpretation quality. This study compares conventional and deep-learning-based interpolation techniques, focusing on their mathematical and computational aspects. Two conventional baseline methods – Fourier-based and Nearest-Neighbor interpolation – were benchmarked against a Convolutional Neural Network (CNN) employing the U-Net architecture. While traditional methods rely on deterministic spectral and spatial assumptions, they struggle with complex geological structures and large data gaps. In contrast, the U-Net learns non-linear mappings between incomplete and fully sampled seismic sections.
Experiments were conducted using real 2D seismic data from the Mozambique Basin in regular, random, and block missing-trace patterns. Quantitative evaluation showed that the U-Net consistently outperformed conventional methods.
セッション4 座長:尾崎 克久(芝浦工業大学)
講演8(17:40~18:00)〇佐藤 寛之(立命館大学)
題目:不定値シュティーフェル多様体上の最適化アルゴリズム
概要:たとえばミンコフスキー計量のような不定値内積により実 n 次元数ベクトル空間を擬リーマン多様体と見なし、そのある種の直交 p-枠全体からなる集合に行列空間の部分多様体の構造を与えたものを不定値シュティーフェル多様体と呼ぶ。この多様体上の最適化は、一般化固有値問題で正負それぞれの固有値を絶対値の昇順に所定の個数分だけ求める計算などへ応用可能であり、近年注目されつつある。本講演では、関連する先行研究の結果を紹介した後、新たな最適化アルゴリズムの提案およびその解析について報告する。
講演9(18:00~18:20)〇吉澤 真太郎(トヨタ自動車)
題目:A Geometry of q-Hessian Update
概要:対称正定値行列の多様体上に定義される一パラメータ族の凸ポテンシャルFq(X)を導入し、準ニュートン法の統一幾何学的枠組みを構築する。パラメータqによりBregman幾何が連続的に変形し、古典的なDFPやBFGS更新則を含む。qごとのBregman発散から双対射影が導かれ、制約変分原理で準ニュートン更新を再現。q=0,1,2,3に対する閉形式解を示し、SPD(2)上の曲率構造の連続的変化を明らかにする。さらにq-Pythagorean定理を証明し、ユークリッド・双曲・正の曲率空間をつなぐ幾何学的変形を示す。
講演10(18:20~18:40)〇村上 弘(東京都立大学)
題目:行列数値計算のピボット選択の実験
概要:行列の線形計算等では、数値安定化のためにピボット選択が行われる。メモリアクセスが遅いシステムであれば、ブロック化をしないLU分解であれば、完全ピボット選択を採用しても演算量の増加はそれほど目立たないようにプログラムを書くことができる。
クロージング(18:40~18:45)深谷 猛(北海道大学)
オンライン懇親会(19:00~)