日本気象学会
中層大気・対流圏過程研究連絡会Webサイト
趣旨
本研究連絡会は、中層大気・対流圏の諸過程を中心に、陸面・海洋表層から熱圏/電離圏にいたる「全大気」に関する研究を推進する活動を行い、もって気象学の発展に寄与することを目的とします。セミナーの実施などを通して、大気力学、大気化学を中心に幅広いアプローチで取り組まれている研究活動を横断的に俯瞰し、協働を促進していきます。
(なお、本研究連絡会の運営は、日本学術会議APARC小委員会を中心に行いまいます。APARCはWCRP/SPARCの後継プロジェクトの略称です。)
予定
オンラインセミナーを不定期に開催しています(参加資格:気象学会会員)。次回予定は未定です。
活動記録
第1回中層大気・対流圏過程研連セミナー
日時:2024年3月19日13:00-14:30
開催形態:Zoomによるオンライン開催
講演者:坂崎貴俊(京都大学理学研究科 准教授)
発表題目:大気自由振動研究の最近の進展
要旨:大気自由振動は、なんらかの強制により励起された後は、散逸がない限り永久に持続する現象である(現実には散逸と強制のバランスで、できたり消えたりしている)。理論的には古典潮汐論と呼ばれる枠組みで議論され、1970-90年頃にかけて実大気において各モードを観測的に同定する研究が進んだ。ただし、多くは低周波のロスビー波モードは(「5日波」「10日波」「16日波」など)関するもので、重力波モードやケルビン波モードといった高周波成分の存在は、一部を除いて明らかでなかった。このような背景にあって、我々は再解析データ ERA5 の地表面気圧データの 2 次元スペクトル解析により、多数の自由振動モード群を発見・同定することに成功した (Sakazaki and Hamilton, 2020, JAS)。なおこれらは、鉛直方向にラム波構造を持つ所謂「Lambモード」に分類されるものであったが、2021年のHunga Tonga-Hunga Haʻapaiの噴火に起因する長距離伝播圧力波の解析により、それとは異なる鉛直構造を持つモード(「Pekerisモード」)の存在も明らかになった (Watanabe et al., 2022, JAS)。本セミナーでは、これら自由振動に関する最近の研究の進展を概観し、我々の直近の研究成果(現地気圧観測データを用いたモードの同定、など)も紹介したい。
世話人
堀之内 武(北海道大学)、秋吉 英治(国立環境研究所)、江口 菜穂(九州大学)、河谷 芳雄(海洋研究開発機構)、木下 武也(海洋研究開発機構)、高麗 正史(東京大学)、小林 ちあき(気象研究所)、坂崎 貴俊(京都大学)、佐藤 薫(東京大学)、菅原 敏(宮城教育大学)、田口 正和(愛知教育大学)、冨川 喜弘(国立極地研究所)、原田 やよい(気象研究所)、廣岡 俊彦(九州大学)、藤原 正智(北海道大学)、三好 勉信(九州大学)、余田 成男(京都大学)、渡辺 真吾(海洋研究開発機構)