流体工学的な手法を用いて、人類の活動に関わる地球環境変化や、その基礎となる 気候システムの変動・変化を正確に予測する際に、重要でありもっとも基本的な要素である 大気-海洋間の運動量・熱・物質の輸送機構の解明と輸送量の正確な評価を行うことを目的 として研究を行っている。具体的には、海洋表層の流れ、風波、砕波、気泡生成などの気液 二相流からなる海面境界過程の解明に取り組んでいる。特に、既往研究の大半は、シミュレ ーション手法の精度と時空間分解能の向上をめざした数値的研究であり、大気-海洋間の運 動量・熱・物質輸送に関する海面境界過程の詳細なメカニズムは未だ解明されていないため、 運動量・熱・物質輸送の基礎的なメカニズムの解明と数値モデル化を、実験と数値計算の両 面から行っている。また。構築したモデルに人工衛星データを用いることで全球規模での大 気-海洋間の運動量・熱・物質の輸送量の評価も行っている。
2016年夏に室内実験装置を導入しました。
現場海洋観測・室内実験・数値計算の三位一体の研究を行っています。
<共同研究:室内実験>
近畿大学理工学部 道岡武信 教授
兵庫県立大学大学院工学研究科 高垣直尚 准教授
同志社大学高機能微粒子センター 小森悟 京都大学名誉教授
<共同研究:海洋観測>
東京大学大学院新領域創成科学研究科 早稲田卓爾教授
近畿大学理工学部 池田篤俊 准教授
海洋研究開発機構 地球環境部門
大気海洋相互作用研究センター 植木巌 博士
■ 主な研究題目
(1)抵抗係数CDの変動について
(2)大気・海洋間CO2フラックス積算における砕波の影響
(3)大気・海洋間CO2フラックス積算における風速データの時空間解像度の影響
(4)全球規模における大気・海洋間CO2フラックス積算モデルの比較・検討
(5)全球規模における大気・海洋間熱輸送モデルの比較・検討
(6)人工衛星から得られる風速データの精度検証
(7)人工衛星から得られる海表面温度データの精度検証
(8)ブイを用いた海面応力観測手法の構築
(9)研究観測船・観測塔における海面応力の高精度観測に向けた数値シミュレーションの適用
(10)大気・海洋間乱流輸送(運動量・熱・物質)機構の実験的解明
ムーンショット型研究開発事業
ムーンショット目標8「2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害から解放された安全安心な社会を実現」
研究開発プロジェクト「台風下の海表面での運動量・熱流束の予測と制御」PM:高垣直尚(兵庫県立大学)
研究開発課題「高風速時の海面を通しての運動量輸送機構の解明」PIとして参画中(令和4年9月~)
■ 研究業績 → こちら