福山高校 グローカル人材育成事業・2023
目的と概要
「福山市グローカル人材育成事業」は,2017年から行っている福山高等学校1年生による地元探究活動です。地元企業や団体のSDGsにつながる取組を研究し,頂いた課題の解決を探る「探究的な学び」の活動です。この活動を通して備後地域の魅力と課題を発見し,地元の持続的発展に関わっていけたらと願っています。ここでは,その探究の様子を発信させていただきます。
2022年度探究冊子
2023年度探究先
2023年度の年度当初探究先です。今年度は,「まちづくり」をコンセプトに,生徒が地域を歩いてフィールドワークをしながら様々な発見をし,提案を考え,活動につなげていきやすい企業・団体様にお願いしました。テーマは,食,文化,観光,地場産業といった分野につながりますが,相互に関連しながら地域を見つめていければと考えています。また,探究を進めるなかで,そのつながりから,探究先は拡大していきます。お忙しい中,快く探究先を引き受けてくださった企業・団体の皆さま,ありがとうございます。
探究マップ
探究先だけにとらわれず,テーマに関わる場所へフィールドワークを行っていきます。
スタンプラリー
昨年に続き,探究先のスタンプラリーを始めます。今年は,ポイント制です。探究先や,関連する場所を訪れて,写真やレシート,サインなど,行った証明を集めてください。訪れた先で,インタビューをするなど濃い探究をした人には,ポイントアップします。 *5月8日に第1号、13ポイント達成者(4-3廣本くん)が出ました!
iti SETOUCHI
「大型複合商業施設「エフピコRiM」の1階がリノベーションされ,6つの街区からなる「小さなまち」ができました。館内は,半分以上は公園のようなパブリックスペース。利用者が主体的に参加し,行動する仕掛けを作りながら,自由自在に変わり続ける新鮮な驚きとアイデアに満ちた場所を目指します」(HPより抜粋)。この新しく生まれた場所,iti SETOUCHIで,昨年,4年生がグローカルフェスを行いました。これを引き継ぎ,iti SETOUCHIを含めた福山駅から西部地域周辺の賑わいづくりを考え,提案し,実行していきます。
https://sites.google.com/manabi.city.fukuyama.hiroshima.jp/fes/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
JA福山市
SDGsの達成に向け,フードロス対策は大きな問題です。その対策として,昨年度は,いくつかの規格外野菜を使った食品メニューを考え,商品化に動いてます。今年も,福山市内の生産者さんを訪ねながら生産現場の実態を知り,特産農産物を使ったメニューを考え,商品化の道を探ります。今年のテーマは,カレーです。
アスパラガス収穫体験
昨年同様,明王台の新井様の農園でアスパラガス収穫体験を行いました。
この長さが市場に出せる基準です。
ハウスの中へ入らせて頂きました。
長さを揃えるところで,ロスが出ます。
規格に合うか,チェックします。
雨の中,御指導ありがとうございました。
ラーニングカフェでは,JA福山市から二畑様と亀永様にご来校いただきました。昨年に引き続いてお世話になってます。
猛暑の7月末,ふくふく市へおじゃまし,夏野菜や果物の出荷状況の表と裏を案内いただきました。
JR西日本(備後赤坂駅)
多くの生徒が3~6年間にわたってお世話になる備後赤坂駅は,無人駅です。そこを,単なる通過点として利用するのでなく,情報の発信基地や交流の場にしてみては?全国の無人駅の活用例を探究しながら,私たちの備後赤坂駅を提案し,できることを探ります。
備後赤坂駅周辺の案内マップも製作します。
6月のラーニングカフェでは,JR西日本から4名,福山市役所から2名の方にご参加頂きました。
JR西日本の渡辺様から近隣のJR利用データやおもしろい列車,駅舎の紹介
市役所,都市交通課の桒原様から,公共交通の利用とSDGsとの関係について問題提議
グループ討議にも入って頂き,高校生に様々な角度から刺激を頂きました。今後の展開に活かします。
備後赤坂マップ
株式会社サン・クレア
サン・クレアの運営するホテルは,単なる宿泊所でなく,地域コミュニティの拠点として,人・技・物をつなげていくことをコンセプトとしています。福山では、福山オリエンタルホテルとANCHOR HOTEL FUKUYAMAを経営されています。アンカーとは船の錨のことで心などを繋ぎとめる、望みをかける、停泊するという意味を持ちます。私たち世代も,この港からSDGsに向けて発信できることを考えます。テーマは,レストランでのフードロス対策です。実際に食品を提供するところまでめざします。
6月12日,サンクレア様の経営するオリエンタルホテルの朝食ビュッフェ体験ツアーを行いました。
地域の野菜を使った食品やドリンク,タイカレーなど,豊富なメニューを楽しみました。
食後は,堀様から,メニューに込めた思いや,生徒への期待を語っていただきました。
メニュー試作
12月、ホテルの堀様をお招きし、廃棄野菜・果実を使ってのメニューを試作しました。
炊き込みご飯、マフィン、スムージーどれも好評でした。
コーヒー,紅茶の出がらしから
オリエンタルホテルの朝食の端材で出汁を取って,炊き込みご飯に
炊き込みご飯のマイルドさは,じゃがいもから
パインの端材でスムージーに
みかんの皮もロスにしません
成果発表
3月,探究先へのプレゼン
Wakai.farm.my
福山市南部の箕島にとてもおもしろい農園があります。若井さん父子とインドネシア人のファーミーさん夫婦(奥さんは,日本人)が経営され,特産の野菜に加えて,外国人向けの多種多様な野菜を栽培して日本中に出荷しています。ここは,単なる農場ではなく,多様性あふれる国際交流の場でもあり,週末になれば,近隣や,広島大学などから実習生や留学生も集まってきます。農業体験や交流をしながら,農業のことや多文化共生のことなど,楽しく考え,一緒に新たな農園を創造していきます。
園内にある東南アジア的売店
園内には,モスクも
広島大学大学院からの留学生訪問
とうもろこしで国際支援
6月6日,文化祭週間イベントでICCがワカイファーミーさんを招待し,農園のめざすことや,これまでの経緯について,お話いただきました。「まずは,遊びに来て」ということで,さっそく交渉していた生徒も・・・
6月11日,さっそく何人かの生徒が農園を訪問しました。様々な作業を体験し,農業が好きになってきました?
6月24日,種の植付体験
サン・クレアの堀さんも参加しての人参収穫。給食用だそうです。
岡山県からインドネシア人の訪問,EPAでもう10年近く在住とのこと
収穫した人参でのジュースづくり,自然な国際交流に
夏休みの収穫体験
男子は,タイなす収穫
唐辛子畑にて
超辛い唐辛子も人気
Neo Japan さん来校
フォロアー200万人以上の在日インドネシア人ユーチューバーのNeo Japanさんとファーミーさんたちにご来校いただき,収穫祭をしました。
校内FWC農園のキャッサバとレモングラスを収穫
ファーミーさんの指導でキャッサバの調理
キャッサバに合う調味料を試食
Neo さんもファーミーさん同様,ロンボク島出身
Neo さんからメッセージ,「大切なのは,オープンハート」
図書室など,校内も少し探検
10月末,芋掘りに参加
キャッサバも収穫
サツマイモ・キャッサバでハラルカレー
グローカルな交流も
1月,ほうれん草の収穫体験
選定の段階で,フードロスを実感
180g余りを計って,梱包,人手の要る作業です。
岡本亀太郎本店
ペリーも飲んだという鞆の浦を代表する名産品の保命酒。4軒の蔵元がありますが,岡本亀太郎本店の建物は,福山城の東にあった長屋門を移築した重要文化財です。今年は,ここをベースに,保命酒のこと,そして鞆の浦の魅力を探究しながら,歴史伝統と風景に合った広報を考え,製作していきます。
夏休みの会社訪問
8月に訪問し,岡本社長と花﨑様から歴史ある建物内をご案内いただきました。
ラーニングカフェで学習した保命酒のつくり方を確認
タンク内のみりん攪拌を体験
かつて使われていた杉のタンク
課題の掲示板づくりにむけた情報提供
生徒製作看板
1月末、探究成果をプレゼン
株式会社キャステム
精密鋳造部品を主軸とするグローバルなオンリーワン・ナンバーワン企業です。御幸町にある会社の門を見てもわかるように,遊び心のある製品を発信し,話題を提供しています。ここの技術を使って,ストーリー性のある商品を考え,提案します。
商品は,天満屋5FのFUKUYAMA MONO SHOPなどで見ることができます。
8月末に企業訪問。様々な現場を見させて頂きました。
6月のラーニングカフェでは,川角様にいろいろなアイデアを紹介しました。
背後にある機械で人や動物全体を1秒足らずで立体スキャンできるそうです。それを超高級3Dプリンターでフィギュア化できます。
社員さんの自由な発想を気軽につぶやけるボード。ここから商品が生まれることも。
190円で食べられる人気の社食。充実した福利厚生です。託児所もあり,お子さんとランチをするお父さんも。
1月、川角様に、それぞれの考えた製品をプレゼン、商品化なるか?
生徒考案商品
株式会社中国トラベル
地域活性化のために,人の動きを創る観光は,大きな要素です。観光も多様化し,「エコツーリズム」や「コンテンツツーリズム」など,様々なツーリズムが生み出されています。それらの実態を探究しながら,福山市内や瀬戸内の自然や文化,産業などの魅力ある素材を活用したオリジナルなツーリズムを考え,提案します。
三蔵稲荷神社
毎年「ミス三蔵稲荷」で話題となりますが,歴史は古く,水野勝成公が福山築城の際,守護神を祀ったのが起源とされています。お城の北西(艮の方角),二の丸に位置し,400年近く福山の文化を支えてきました。意外と知らない神社という日本独特の文化を探究し,様々な角度からその特色を発信します。また,お城を含め,神社付近の地域の歴史や魅力を再発見していきます。
宮司の石川様は、本校の卒業生です。大先輩として、6月のラーニングカフェで御来校頂きました。7月末には,グループ全員で訪問し,神社内をご案内頂きました。
篠原テキスタイル株式会社
篠原テキスタイルは,1907年,地元特産の絣製造業として創業しましたが,現在は,デニム生地製造が主流です。しかし,その製造過程で発生する糸や布をアップサイクルし,新たな魅力ある商品をSHINOTEXというブランドで発信しています。商品は,天満屋5FのFUKUYAMA MONO SHOPや県内特産品売り場で目にすることができます。デニムの魅力や備後地域との関係を探り,デニム生地を使った商品を提案,製作してフェスなどでの販売を目指します。
8月の中旬,駅家町の会社を訪問しました。綿花からデニム生地ができる過程を学習し,生地を生産している現場を御案内いただきました。今後,デニム生地を使った製品を提案し,製造販売までの実現をめざします。
1月,探究のまとめ方と,イチセトウチでのフェスに向けたデニム製品づくりについてのアドバイスを頂きました。
福山デニム文庫カバー
デニムを手元に置いてもらって広めるため、文庫カバーを製作委託しました。市内の本屋さんにも置いてもらう予定です。文庫だけでなく、100円ショップで買った日記帳やカード入れ、お薬手帳なども入り、幅広く利用できます。メッセージを入れて国際交流での記念品にも使用する予定です。
修復工房 白牡丹 株式会社
福山市内本通りに鞄の修復工房,白牡丹があります。1935年の創業から90年近くにわたって,思い入れある鞄などの革製品を蘇らせてきました。この伝統技術を使って,どのようなことができるか,高校生目線で考えていきます。また,このお店がある本通という商店街も探究していきます。過去の本通を知り,現在を歩いて交流して体験し,未来の姿を提案していきます。
6月と7月,全員で本通をフィールドワークしました。これだけの高校生が歩くのは,マレ?高校生も商店街を歩くことのおもしろさに目覚めたのでは?
探究活動の縁から,「とおり町七夕まつり」に本校の吹奏楽部と書道部(豪雨中止)がパフォーマンスを行うことが決まりました。
開会式では,吹奏楽部が銀河鉄道スリーナインで,華やかにまつりの始まりを彩りました。
11月3日,商店街のマルシェにゲームコーナーを開設。小さなお子さんたちの遊び場を提供することができ,120名余りの集客ができました。
3月,UMBRELLAにて成果発表会
本通商店街との関係は,今後も継続
山野峡大田ワイナリー
ワイナリーをベースに,四季折々の耕作放棄地でのブドウの栽培を追いつつ,豊かな自然を楽しみながら活動,交流していきます。ワイナリーのことだけでなく,山野町という福山郊外の里山里地の魅力とSDGsのための課題解決策も考え,関係人口を増やすためのACTIONを起こしていきます。ワイナリーを利用した新たなイベントの提案・実践や農産物を通じて山野の魅力を知ってもらう日曜朝市の活性化策を求められています。
また,高大連携として,福山市立大学・岡辺研究室の古民家周辺活動ともコラボしていきます。
4月30日,まず二人,初の山野訪問
先輩たちの軌跡をワイン缶に確認
大田様より「ワインマラソン」の提案
木彫り師,安田様からワラビの調理法伝授
いろどり市にて醸造長に挨拶
芽かきの終わった畑を案内
ワイン醸造の蔵の中も見学
小田川に沿った山野の地形
ぶどうの袋かけ体験
6月下旬,ぶどうの袋かけ作業を体験しました。
作業をしながら,地元の方ともお話がはずみます。
野球部も練習前に駆けつけてくれました。
作業の終わったぶどう園。8月末には,収穫できるそうです。
ハロウィーンの日曜日,恒例の第3回プティフェスを開催しました。
書道部が山野の詩を披露
山野の素材でワークショップ
市立大学岡辺研究室も蕎麦で参加
人気を集めたコルクアート
朝市の横で射的コーナー
古民家でライブラリーカフェ
山野の野菜をBBQ
G7で世界へ
2023年5月のG7広島サミットで,探究先の篠原テキスタイル,キャステム,山野峡大田ワイナリーの製品や技術が,記念品や飲み物として採用され,世界へ発信されました。まさに,「グローカル」ですね!
HICグローカルイベント
8月末,山野において,HIC(広島国際センター)主催で県内留学生との交流イベントを行いました。山野町探究グループとワカイファーミー探究グループ,ICC部員から17名が参加し,50名の様々な国からの留学生とブドウ収穫や交流ランチ,藍染め体験サポートなどで活躍しました。
開会式にて山野の魅力をプレゼン
ブドウ収穫体験
藍染めをサポート
本日のぶどうは,キャンベル
獲ったぶどうは,醸造所へ
搾りたてのぶどうジュースで乾杯
ランチもグローバル
6つのグループで行動
午後の藍染め体験
民俗資料館も訪問
名残り惜しい振り返り
中国新聞8.30 *掲載許可を得ています。
山陽新聞8.30 *掲載許可を得ています。
校内全体発表会
11月15日,びんご産業支援コーディネーターの渡辺幸三様と山野峡大田ワイナリー醸造長の峯松浩道様をお招きして,全体プレゼンを行いました。
福山高校グローカルフェス in iti SETOUCHI
2024年2月11日(日)iti SETOUCHI にて探究成果を公開するフェスを行います。販売やワークショップなどで賑わいをつくれたらと思っています。みなさま,どうぞいらしてください。
フェスのサイトは,こちらからhttps://sites.google.com/manabi.city.fukuyama.hiroshima.jp/fes/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
フェス前日の飾りつけ
開催してお客様もそろそろ
山野からワイナリー(オーナー販売)
コルクアートワークショップ
生徒によるデニム製品も販売した篠原テキスタイル
ワカイファーミーは,野菜やキャッサバチップス販売
本通の白牡丹は,皮革端材でワークショップ
キャステムは,アイアンファクトリーの商品販売とプレゼン
岡本亀太郎本店は,保命酒飴の販売とゲームコーナー
JA福山市は,キッチンで地産カレーづくり
サンクレアは,関連ホテルの朝食端材や市立大から頂いた山野の素材で食品提供
5年生も探究に関わるワークショップ出店