噴流は自由せん断乱流のひとつで,その流れ場は主流方向に長く続くらせん状の大規模組織構造に支配されている.噴流の数値データに対しモード分解を適用し,複雑な流れ場を低次元化することで大規模らせん状構造を抽出する.また,噴流の拡散性能は噴出口形状の変形とともに大きく変化し,最も簡便な乱流制御方法として応用されている.そこで,噴出口形状と,その結果形成された大規模らせん状構造の対応関係を見出し,制御効果の事前予測実現を試みている.
乱流は活発な熱交換を実現するが,同時に摩擦抵抗も増大させ,工学場面での根強いジレンマとなっている.これは速度場と温度場の相似性に起因するものだが,この相似性は巨視的には強く,微視的には破れやすいという性質がある.そこで比較的小スケール現象である,乱流運動量/熱流束の圧力による(乱れの等方化を介した)消滅の非相似性を定量化している.そして,運動量流束は消滅(=摩擦は低減)するが熱流束は消滅しない(熱交換効果は維持),工学的に有益な結果をもたらす乱流運動の特定を試みている.
乱流は日常でも,それに流される染料や煙によって視覚することができ,それらはフラクタル性を有する複雑な模様を描く.フラクタルな形状はヒトの視覚に親和的であると考えられており,それはヒトに親和的な乱流現象の存在可能性を期待させる.乱流現象の可視化結果を被験者に提示し,その脳波(Electroencephalogram,EEG)を測定し,乱流現象の視覚に対するヒトの生理心理反応を解明する.
EEG測定と同様に,乱流可視化結果を被験者に提示した際の注視点をアイトラッカーを用いて測定する.これにより,乱流現象に対する注意傾向を調査し,さらに可視化手法がその結果に及ぼす影響を解明する.その結果はヒトとよく調和する乱流現象の特定にはもちろんのこと,乱流可視化情報のさらなる活用にも寄与する.