物理学とは、宇宙や素粒子の研究等、この世界の根源を探る活動と思う人が多いのではないでしょうか?物性物理とは、物質の性質を研究する領域で、各論になる分、わかりにくいかもしれません。リニア新幹線に使われる超伝導体の発見や、超電導量子ビットとよばれる量子コンピュータの基本素子の発明も物性物理分野の研究から始まっています。
物性物理では理論と実験に別れます。当研究室は、理論グループですので、いろいろノートに計算したり、計算機を使った数値計算を行っています。研究室にはワークステーションがあり、卒業研究を始めるときにアカウントが配られます。実験装置はおいておりません。
大学で学ぶ物理学や数学は、高校で学んだ内容を基礎として、その発展的な内容を扱います。学部3年間では、力学・電磁気学・熱力学、およびその発展である統計力学・量子力学などを中心に学びます。これらは物性物理学のあらゆる分野で必須の知識となります。
また、研究テーマによって、情報理論や計算機科学の知識も重要になります。特に理論研究を志す場合には、数学の理解は欠かせません。
物性物理の研究対象は非常に広く、多くの内容は研究を進めながら学んでいくことになります。
自主性を尊重することをモットーにしており、比較的自由な時間の使い方ができる研究室です。これまでも、部活、アルバイト、公務員試験等に打ち込まれた先輩方もいました。ただし、自分の力で、卒業研究や修士論文の研究を行い、一定の基準に到達することが条件となりますので、相応の努力と能力が必要です。教員は状況に応じて手助けします。
4年生のはじめに研究室に配属されます。連絡には研究室のTeamsを主に使用します。
前期は週1回のセミナー(輪講)を実施しています。
研究に関連する書籍の英文セミナー⇒「専門英語」の単位が出ます。
夏休み明けぐらいに、相談して卒業論文のテーマを決め、後期は各自で卒業研究を行います。
卒業研発表会は2月終わりから3月初めに設定しています。卒業論文も締切(差し替えは卒業式まで)に間に合うように作成してください。
不定期に外部の講師をお招きして、専門的な研究内容のセミナーを開催しています。
早期配属が決まった方は、まず研究室のTeamsに参加してください。連絡は主にTeamsを通じて行います。
不定期に外部講師をお招きし、専門的な研究内容に関するセミナーを開催しています。研究の雰囲気を感じられる良い機会ですので、ぜひ積極的に参加してください。
希望があれば、研究に早く取り組むことも可能です。早期に研究を始めることで、配属後の卒業研究がスムーズに進みます。また、早い段階で学会発表や論文出版などの成果を上げておくと、授業料免除や修士課程の奨学金返還免除、博士課程の日本学術振興会(DC)採用などの審査で有利になる場合があります。
「学部での勉強が研究にどうつながるのか知りたい」「少し興味はあるけれど迷っている」という方も歓迎します。B3後期の授業との両立が難しい場合は、途中で中断しても構いません。自分のペースで、無理のない範囲から研究に触れてみてください。
2、3年生の授業「解析力学」「統計力学」「量子力学Ⅰ,Ⅱ」「物性物理学Ⅰ,Ⅱ」の履修が望ましいです。卒業研究を行う上で、必須の基礎知識が身につきます。
学部4年生の卒業研究では、2月末から3月初めにかけて卒業研究発表会が行われ、あわせて卒業研究論文の提出が必要となります。
卒業研究の内容としては、主に以下になります。
解析的計算や数値的手法(シミュレーション、数値計算など)を用いた物性物理学の理論的研究
特定のテーマに関するレビュー(総説)の作成 : Review論文は特定のテーマに関するこれまでの論文を網羅的に収集し、要点を解説したものです。研究テーマとなる題材にはまた教科書がない場合がほとんどで、Review論文やLecture noteまたは論文が手始めになることが多いです。卒業研究では、こうした文献をよく理解し、既存研究とその課題を明確にし、自分の視点からまとめ直します。知識を整理し、次につなげることも大切であり、後輩が同じテーマを学ぶ際の助けになることを目指します。
なお、卒業論文の内容の差し替えは卒業式前に済ませてください。
各自のテーマを決め、個人または共同で研究を進めてもらいます。進捗に応じて適宜、教員や研究室のメンバーと議論を行います。
発表日程が近づいてきたら、PowerPointで発表資料を作成します。一名で発表する場合は、講演10分・質疑応答5分を目安とします。共同研究の場合は、人数や内容に応じて発表時間を延長します。卒業論文も適宜、作成を始めてください(締切り後の内容の差し替えは卒業式まで受け付けます)。
議論の際には、資料(レジュメやノートなど)の準備を推奨しています。
・資料をまとめることで、理解している内容と理解が曖昧な部分を自覚的に整理する訓練にもなります。
・研究内容を他者に説明するための言葉や図を整える過程で、自分の考えを客観的に見直すことができ、研究の方向性・課題も明確にできます。
・作成した資料は卒業論文の材料として使います。日付を記入し、また散逸しないように整理して保存してください。
・教員を含め他者と問題点を共有でき、議論をスムーズに進めることができます。
・背景を一通り学び、課題が明確になってくると、実際に結果を出す段階に入ります。そこでは長い計算やプログラムを作成する場面に直面します。試験の問題のように1時間以内で解けることはなく、1つの問題をより簡単ないくつかのステップに分け、試行錯誤を重ねて進めることになります。その過程で、同じ計算を異なる方法で何度も追計算し、本質を抽出して最も簡潔な形に整理してゆきます(長文を書く際に何度も推敲を重ねる作業に似ています)。過去の計算を見直す場面は何度も出てきますので、資料を整理しておくことは、研究を進めるうえで必要不可欠になります。
資料の作り方が分からない場合は、授業のノートをまとめる感覚で始めるとよいでしょう。「なぜ資料をまとめる必要があるのか」は言葉で説明されても納得しにくいかもしれませんが、卒業研究を進めるためのスキルは実際に手を動かしてこそ身につきます。資料作成はその第一歩であり、資料をまとめるスキルが身につけば、自力で研究を進める力が養われます。
個別の専門知識の習得は、各自の努力で行うことができますが、研究を進めるうえで必要となるソフトスキルは、実際の経験を通してしか身につきません。わからないことがあれば、先輩に相談し、先輩の体験から学ぶことも大切です。こうした学びができるのは、研究室に所属する利点ですので、積極的に活用してください。B4までの学校教育では、ソフトスキルの存在を意識したり、それを習得する技術を学ぶ機会は多くありませんが、意識的に取り組むことで、研究活動を通じて身につけることができます。日々の活動のなかで、少しずつその感覚をつかんでいってください。
技術の発展により、情報検索が容易になり、Mathematica等の数式処理を効率的に行えるツールは日常的に研究につかわれるツールになっています。新しい技術を積極的に活用することを推奨しており、ChatGPTやPerplexity AIといったツールを適切に活用することも、今後、重要なスキルになると考えています。
専門的な概念をはじめて自習する際に、自分の疑問をChatGPT等に投げかけ、対話を通じて理解を深める「壁打ち」のような使い方が有効です。 ただし、返ってくる答えが常に正しいとは限らないことを意識してください。 ChatGPT等は「正解を得るための道具」として使うのではなく、「理解を深める相手」として活用してください。
答えをそのまま受け取るのではなく、専門書や他の資料と照らし合わせながら、自分の言葉で納得できる形に整理してみてください。学問では与えられた知識をそのまま覚えるのではなく、「なぜそうなるのか」を自分なりに確かめていく姿勢が大切です。確認をとり一歩づつ納得してゆくことが、効果的な学びにつながります。
著作権や個人情報保護の観点から、使用する際には十分な注意が必要です。 「生成系AI」(ChatGPT等)の利用に関する学修上の留意事項について【学生向け】 を必ず確認したうえで、適切に利用してください。
学部卒業後は、大学院への進学、企業や公務員へ就職されています。
修士過程修了後は、博士課程に進学するか、企業へ就職します。企業への就職を目指す場合は、就職活動に時間が多くかかります。そのため、早めに計画を立て、修士論文に取り組む必要があります。就職先は、製造業関係(TDK、東芝メモリ、大日本スクリーン製造等)が多いです。
博士課程に進学する場合は、学術的な成果を上げることが要求されます。そのまま研究職を目指したり、博士課程終了後に企業へ就職するという選択肢もあります。
大学院に進学したほうが良いかどうかは、個々のキャリアの目標に依存します。学部を卒業して就職する場合、研究活動を体験する前に将来を決めることになります。早めに決断することには利点もありますが、卒業研究を通じて研究の楽しさを発見し、大学院でより研究を続けたいと感じる場合もあります。
修士課程(博士前期課程)に進学すれば、専門的な仕事の内容についてより具体的なイメージが得られます。理工系では修士課程への進学者が増えており、業種によっては実質的に修士が必須となる場合もあります。
研究職を目指す場合、博士号の取得が必要です。
学内での9月の中間発表および3月の本審査が必須となります。
毎年2回(3月と9月)に行われる日本物理学会学会等の専門的な会議の場で発表します。
国際会議で発表することも修了の要件の一つです。
修士論文の内容は、Journal of physical society of Japan やPhysical review等のジャーナルに出版できることが望ましいです。
良いできるだけ多くの研究成果を論文として出版し、国際会議で発表し自身の研究内容を広く周知することが重要です。将来のキャリアや競争的研究資金の獲得に繋がります。