真宗保育のことば

定期研究会において確かめた事を「真宗保育のことば」として掲載していきます。研究会の参加者が交代で執筆します。

「子どもの表現との対話とは?」

「子どもってどういう存在ですか?」

「子どもの表現とは?」

「子どもとの対話とは?」


「対話」というのは、相手の心の声を聴くことだと思います。

赤ちゃんのころは、その一挙手一投足がただただ愛おしく、泣いたりぐずったりも含め全ての表現をありのまま受け止めていたように思います。「どうしたの?」と言葉にならない声に耳を傾け、懸命に対話していたのだと思います。


けれどいつの間にか、子どもの心理的安全性(自分のありのままの姿を受け入れてもらえると感じられる状態)が薄れていくと、大人の顔色を伺ったり、大人の意図に合わせようとしたりする姿が見られます。


今回、印象に残った言葉は「気をつかわない人」です。子どもにとって、「気をつかわない人」であることが、子どもの心と対話するときの礎になるのではないでしょうか。

無条件に子どもを信頼し尊重すること、そのことを心にとどめておきたいと改めて感じました。

(2024.9.10研究会に参加して 河村陽子)

絵本「わたし」を読んで 「子ども理解」について考えたこと

子どもを理解しようとするときに、よく「この子はこういう子」と断定的に子どもの姿を捉えることが子ども理解なんだと考えることがあるかと思うが、実際の所は「わたしはそんな人ではない」と心の中では悲痛な叫びをあげているかもしれない。それを踏まえると自分の尺度でその人のことを断定的に決めつけるべきではないということではないだろうか。

今回の話し合いを通じて感じた事は、子ども理解で大切なのは今目の前にいる子どもが“どんなことに興味を持っているのか”や“今どんなことを伸ばそうとしているのか”を推察し、それに対して下から支えてあげること(Under Stand)が本当の「子ども理解」に繋がっていくのではないか。“わたし”という人間が「自分自身がこういう人だ」と理解しているようでも、他人から見たときに同じ捉え方ではないことがあり、自分自身の理解さえ確実に理解することが難しい中で、身体的、精神的に発達段階にある子どもに対して「こういう子」と断定的で確実に理解することが必ずしも正しいことではないことは肝に銘じたい。それこそ子どもからいつの日か「そうではない」と反発が起こるかもしれない。それならば今現在の子どもの姿をよく観察しありのままを受けとめたうえで、その子どもに合った適切な援助を考えて関わりを持っていくことが本当の意味での「子ども理解」に繋がるのではないかと感じた。

(2024.6.3研究会に参加して 丸山拓成)

研究会の「ことば」から

「できてないからだめ、ではない」

「過程が大事ということ」

「練習が必要なものをやめる?」

「ある一定の完成度の制作物とは?」

「保育者もいっしょに楽しむ」

「今、そこにいる子どもとどんなことをやろうか、って考える」

「あの人(子ども)たちにとって、ものすごいスペシャルなこと」

今回、研究会に初めて参加した。保育の現場での課題や問題点、改善点、実践事例など、様々な話を聞くことができた。その中で、心に残っている「ことば」を並べてみた。一つ一つが、思いや考えを巡らすことができるテーマとなり得る「ことば」である。

研究会の中では、子どもとしっかり向き合うことの重要性について語られていた場面が多くあったように思う。基本的なことであるが、現場での課題を踏まえて、今一度確認していくことに意味があるのだろう。

引き続き、子どもとともに学び育ち合う、保育の実践に力を注いでいきたい。

(2023.7.3 研究会に参加して 西村幸一郎)


ただ、居てよい場所

私たちにとって、子どもたちにとって、そこに居る意味を求められない、ただ居てよい場所、というものが必要ではないだろうか。

意味をつけて説明する事が難しいこともあるし、うまく表現できない事もある。一見、意味が無いと思われる事であっても、それを経験する一人の私にとっては、大切な場所や時間であるかもしれない。

世の中では、何にでも意味や成果が求められ、意味が無い、とか、成果を出すのに不必要だと誰かが勝手に判断した物事は、切り捨てられていく。近年は教育においてもこの動きは顕著で、このことは、まるで一人の人の育ちが誰かによって規定されるものであるかのような扱いにも感じられる。一方では多様性などと謳いながら、実は囲われた柵の中で人間が支配される世界が作り上げられようとしていないだろうか。

意味は、周りの誰かが決めるものでは無い、それを体験する一人のわたしが決めたり感じたりしていけばよいのだ。その事が認められる世界を生きたいと願う。

(2023.5.29研究会に参加して 樋口光融)