私の研究の大きなテーマの一つは、あるべきスタートアップファイナンスの模索です。
スタートアップ企業に対する主なエクイティによる投資主体はベンチャー・キャピタル(VC)です。日本のVCの概要についての調査(Yamada, 2025)を行うとともに、日本のVCを対象としたアンケート調査を実施しました。(琴坂・山田, 2025)
今後、日本においても成長することが期待されるスタートアップ企業の株式セカンダリー市場について、米国の状況をまとめています(水谷・山田, 2025)。
これら以外にも、また、起業家に対するハラスメント調査を行いました(Kotosaka et al, 2026)。
さらに、スタートアップ企業にとっては、IPOは成長企業にとって資金調達の大きな転機です。一般には、上場前に資金制約に直面していた企業が、IPO後時点で大きな調達を達成でき、それにより、IPO後に高い成長が期待されます。その際、IPO時点の上場基準の緩和が企業の成長に与えた影響(Takahashi & Yamada, 2015)や、イノベーションに与えた影響(Yamada, 2020)を検証しています。また、IPOが取引先企業に波及する効果(Kutsuna et al., 2016)、公開株式の構成と上場取り止めの意思決定(Fan & Yamada, 2020)、新規参入した銀行系証券会社(Koda & Yamada, 2018)など、IPOの過程そのものについても研究しています。IPO後の投資活動についての検証しています(深谷・山田, 2025)。
日本企業の厚い現金保有は、しばしば非効率の表れとして議論されてきました。本研究では、現金保有・配当・資本構成・投資といった財務政策が、資金制約や情報の非対称性のもとでどのように決まるのかを理論と実証の両面から検討しています。現金保有については、政府統計の個票データを用いて、労働分配率の高い小規模企業ほど現金を多く保有し、その関係が銀行貸出の逼迫によって強まることを示しています(山田, 2022)。また、上場しているか否かが信用収縮期の現金保有に与える影響も分析しています(Takahashi & Yamada, 2018)。それらをまとめて書籍にしました(山田, 2025)。
資本構成については、企業間関係がレバレッジ調整に与える影響(Yamada, 2019)、企業グループにおける銀行持株の減少と資本構成の関係(El Kalak et al., 2024)、負債構成と長期的な企業成長の関係(Ahn et al., 2022)を分析しています。
企業は誰のものかという所有とエージェンシーをめぐる理論的な問いに立ち返りながら、日本のガバナンス改革が企業の財務政策に与えた影響を検討しています。特に議決権所有者である株主の役割に注目しています。日本銀行のETF買入れによるパッシブ保有の増加がガバナンスに与えた影響(Sai & Yamada, 2025)や、最終受益者である投資家のモニタリングと運用会社のエンゲージメントの関係(Sai et al., 2026)を分析しています。
同時に、日本に存在したメインバンク・システムや企業集団についてもコーポレート・ファイナンスの視点から研究しています(Yamada, 2019; El Kalak et al., 2024)。