慶應 × ライフサイエンス
第1回慶應ライフサイエンスシンポジウム
2017年8月28日(月)日吉キャンパス 協生館 藤原洋記念ホール
2017年8月28日(月)日吉キャンパス 協生館 藤原洋記念ホール
分析化学という言葉を、縁遠く感じるライフサイエンス研究者は少なくないかもしれない。しか し「分析」とは複雑系を理解する方法論である。生命という化学反応連鎖を解き明かす「分析化学」 は、実はライフサイエンス研究の根幹を成している。なかでも、生化学と質量分析の縁は深い。著名な早石修先生の酸素添加酵素の研究にも、空気中の安定同位標識体 18Oが基質に取り込まれる実証に用いられている [1]。この様に質量分析は、細胞中に存在する膨大な種類の分子から単一分子種の挙動を追跡することが出来る。現代の質量分析では、生体試料から一度に数百から千に及ぶ 分子を、一斉に同定、かつ定量する事ができる。私達は特に代謝分子に着目し、質量分析の特性を活かして、どの様な代謝経路が、いつ、どこで用いられるかについてアプローチ可能なツールを開 発してきた。
本講演では、
(1) イメージング質量分析による代謝の可視化
(2) 微小透析プローブを用いた行動下のマウス脳の代謝解析
以上の 2 つのツール開発とそれによって得られた知見について報告したい。
[1] Hayaishi, O., Rothberg, S., Mehler, A. H., and Saito, Y. (1957) J. Biol. Chem. 229,889-896