基本となる知識・原則

新型コロナウイルスの特徴

新型コロナウィルス(SARS-CoV2)はどのようなウイルスか?

コロナウイルス族の一員

新型コロナウイルス(SARS-CoV2)はコロナウイルスの1つです。コロナウイルスは身近に多く、いわゆる「風邪」の3割はコロナウィルスが原因と言われています。2000年代に東アジアを中心に流行した重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome, SARS)もコロナウイルス属です。

コロナウイルスの構造

コロナウイルスは遺伝情報としてDNAではなくRNAを持つウイルスであり、外側に「エンベロープ 」という脂質(=油)からできた二重の膜を持っています。この脂質の膜にはコロナウィルスに特徴的な「スパイクタンパク質」や「エンベロープタンパク質」などが入り込んでいます。特に新型コロナウィルスでは、スパイクタンパク質が人の肺や血管などに多くある受容体に対して結合するため、肺炎を引き起こします。例えば、インフルエンザウイルスも「エンベロープ」を持ったRNAウイルスですが、エンベロープ上のタンパク質が異なり違う組織に対して親和性を発揮するため、違う病気を引き起こします。

エンベロープは感染対策になぜ大事?

エンベロープがあるウイルスは「アルコール」で消毒することが可能です。これはアルコールが油で出来たエンベロープを溶かすためです。実はアルコールが効かないウイルスや細菌は多く、例えば下痢や嘔吐を引き起こすノロウイルスはエンベロープを持たないためアルコールではなく次亜塩素酸で消毒します。

新型コロナウィルスはどうやって人に感染するのか?

3つの感染経路を理解しよう

細菌やウイルスを含むあらゆる病原体には3つの感染経路があります。新型コロナウィルスはその3つ全ての経路で感染する可能性があると言われています。

ウイルスの感染の基本知識・新型コロナウイルスの感染

COVID-19はどういう病気か?

新型のコロナウイルスによる呼吸器感染症

COVID-19は新型のコロナウイルスであるSARS-CoV2による呼吸器感染症です。一般的な風邪と同様に、咳や発熱、倦怠感や呼吸困難などの症状が出ますが、コロナウイルスに特有の症状として、味覚、嗅覚障害などの症状が出ることも確認されています。感染方法として、

飛沫感染

接触感染

による感染方法が存在します。

飛沫感染・接触感染

飛沫感染は、感染者の咳、くしゃみ、つばなどと一緒にウイルスが放出され、非感染者がそのウイルスを口や鼻から吸い込むことで感染します。接触感染は、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周囲の物に触れた際にウイルスが付着し、非感染者がそれに触れた手で口や鼻を触ることにより感染します。

強い感染力

COVID-19が他のインフルエンザウイルスなどと違う点は、その強い感染力です。閉鎖して換気の悪い空間で、近距離で多くの人が集まって会話する環境(食堂やメディアなど)では、咳やくしゃみなどの症状がなくても感染するリスクがあります。また、COVID-19の感染者はその多くが無症状であり、無症状の潜伏期間である感染者からの感染が非常に多いことも知られています。無症状であるが故に、感染していることに気づかず他者と接触してしまい、クラスターと呼ばれる集団感染が発生するケースも非常に多いです。

どういう人が重症化しやすいか

重症化しやすい原因の一つが高齢化や妊娠による免疫力の低下です。特に60代以上での死亡率が高くなっています。また、心血管疾患や糖尿病、慢性呼吸器疾患 、がん、免疫不全などの基礎疾患を保持している人が感染した場合も重症化するリスクが高いといわれています。