WATCH 2024 学生レポート

WATCH 2024は大学生が中心となってSDGsに関連するドキュメンタリー作品の翻訳および上映イベントを行うインターンシッププログラムです。こちらでは、インターン生たちが自ら執筆した「学生レポートを掲載しています。

学生レポート①:Getting Started – The Rules and Purpose of Subtitling Written by Chiara Maria Recchia(東京外国語大学 4年生 )/2024.04.27

The first pre-training session was focused on getting to know each other and the fundamental rules of audio-visual translation.

 

The meeting started with a quick round of self-introduction, where we were also asked about our personal opinion about subtitled movies, and whether we had ever watched this kind of contents.

After this, we were introduced to some of the works that JVTA has dealt with previously.

Even though almost every participant has had an opportunity to engage with subtitled contents, not many of us knew what it means to deal with Japanese to English adaptation form a technical point of view.

Therefore, we were introduced to some critical aspects of media adaptation, which concerns dealing with different cultures, different way of communicating and even expressions that cannot be literally conveyed from a language to the other. For example, we were asked about how to translate into English the expression よろしくお願いします (Yoroshiku onegaishimasu), which has many different meanings in Japanese depending on the context.

 

After a short break, we were explained about the skills that an audiovisual translator must have, which do not only include language proficiency, but also aspects like knowledge of the media which is being translated or research skills to support the translator’s choices.

We were then introduced to the main four stages of subtitling (understanding the material, spotting, translating, and researching), and then we discussed the most important technical rules of subtitling (e.g. the maximum number of characters per line or the use of italics).

One of the most interesting parts in this part of the session was discussing on how to adapt concepts of the Japanese culture into English, especially when they cannot be translated directly. We were eventually explained that we should always have in mind the audience we are addressing (in this case, native and non-native English speakers) in order for our translation to be as accurate as possible.

Furthermore, we were told to always do a fair amount of research as we proceed with our translation, which is something that not many people think about when talking about subtitles.

 

At the very last part of this session, we were asked to watch a short clip in Japanese and then try to add our own subtitles to the original lines. After the time was up, some people shared and discussed their translations, and it was then time to wrap up the session.

 

As someone who did not have a previous background in terms of subtitles and their general rules, I thought this session was very informative and really well conducted. It was a fundamental step to deal with the preliminary assignment we were asked to complete for the second pre-training session. 

学生レポート②:一筋縄ではいかない映像翻訳

Written by 川口 飛鳥 (東京外国語大学  3年生) /2024.04.27

私たちは2024年3月に3回にわたる事前研修を受講しました。第1回では主に顔合わせや基礎的な映像翻訳の知識を身につけ、第2回では事前課題の添削や振り返り、そして第3回では再度同じ課題を提出した上で更なる向上を目指しました。研修は対面・オンライン参加・録画の視聴という3つの方法で実施されましたが、私は第2回の研修に対面で参加することができましたので、この回に関する執筆を行います。

第2回の研修では、事前に提出した課題を振り返りながら、改めて映像翻訳のルールを確認しました。私自身、翻訳のガイドラインをよく読んだ上で課題に取り組みましたが、研修にて添削を行うと多くの見落としがあることに気づきました。特に難しかった点として、課題で扱った映画の予告編では複数の場面が断片的に繋がっているため、視聴者は前後の文脈を理解することができません。そのため、翻訳者はただ人物の発言を直訳するのではなく、映画を一通り視聴し、内容を完全に理解した上で最も適切な文章を練る必要があります。これは私を含め多くのインターン生が見落としていた点であり、翻訳者の絶え間ない努力やこだわりを痛感することとなりました。以上の点を踏まえて、各自が再度翻訳を行い、第3回の研修を迎えました。

学生レポート③:映像作品の翻訳の難しさ 

Written by 本荘 望  (立命館アジア太平洋大学  3年生) /2024.04.27

私は現在イギリスに交換留学中であり、時差の影響から第3回目だけオンラインで参加させていただきました。第3回事前研修では主に、私たちインターン生が事前に課題として翻訳をしていた『こころの通訳者たち』予告編のチェックをしてもらいました。それと同時並行で、映像作品の翻訳における重要ポイントの確認もしていきました。私は未熟ながらこの事前研修の前は、翻訳というのはただ日本語から英語に直訳すればいいだけだろうと決めつけておりました。しかしながら、事前研修を通して、映像作品に字幕を付けるだけでも数多くのルールが存在するだけでなく、日本語から英語への翻訳が非常に難しい作業であると痛感致しました。また、字幕に関しては、正しく翻訳ができていたとしても、見る側の字幕を読むスピードにも配慮をして字数の調整を細かく行わなければなりません。これらのことから、映像作品の翻訳がどれだけ手の込んだ繊細な仕事なのか学べることができました。事前研修で学んだこと・感じたことを最大限に活かしながら、インターン生一同力を合わせて『こころの通訳者たち』本編の翻訳に取り組んでいこうと思います。 

学生レポート奥深い字幕翻訳の世界 

Written by 山口 紗和  ( 東京外国語大学大学院 修士1年生) /2024.05.07

一般的に“翻訳”と聞くと、ある言語で書かれた文章を別の言語に訳すという機械的な作業を想像するかもしれません。しかしながら、一口に翻訳と言っても、ナレーターの音声なのか、人物どうしの会話なのか、あるいは舞台上のセリフなのか、場面の状況によって工夫が必要な部分は異なります。『こころの通訳者たち』の翻訳を進める中で、私たちのグループでは主に3点の課題が挙がりました。1点目は、字数制限を守ることです。字幕翻訳では、視聴者が1シーンの表示時間内で字幕を読み切れるよう、文字数の制限があります。そのため、使用したい単語の字数が長すぎて言い換える必要が出てくることもしばしば起こります。自力で代替案を思いつけなかった場合は、グループ内で知恵を出し合って、何とか制限字数内に収めていきます。2点目は、起点言語(日本語)と目標言語(英語)の違いに留意することです。例えば、日本語では主語の省略が頻繁に起こりますが、英語に訳出する際は誰が発言・行動をしているかを明確にしなければなりません。3点目は、各々の認識のバイアスを訳出に反映しないことです。自分の解釈や想像を含めないよう、一語一語丁寧に訳出を見直す必要があります。細かい点を挙げるとまだまだありますが、こうした難しさも字幕翻訳の奥深さと捉え、楽しみながら取り組んでいきたいです。

学生レポート: 多角的視点で進めるチーム作業

Written by 登島 おりは  ( 東京外国語大学 年生) /2024.05.07

現在私たちは、チームごとに個人作業とミーティングを繰り返しながら担当箇所の翻訳を行っている段階です。
この作業を進める中で、チームでの話し合いを通して訳文をブラッシュアップできた印象的なパートがあります。海で瞑想することが好きな人物が、その理由を「その時の波の音ってその時にしかないんで」と語るシーンです。英訳以前にこの日本語をどのように解釈するべきか、担当メンバー以外もかなり頭を悩ませました。意見交換の結果、その部分を担当したメンバーが事前に考えてくれていた”one and only”という表現を採用し、更に「『その瞬間の』波の音」というニュアンスを強調するために斜体の”that”を用いて”Because the sound of that wave is one and only.”と訳しました。
私がチーム翻訳の作業全体から学んだことは、翻訳におけるグループワークの意義です。メンバーと話すことでそれまで見えてこなかった改善点に気付かされるうえ、自分では考えつかないような訳に感心させられることも少なくありません。一つの翻訳に対して観客の方々がそれぞれ異なる感想を持つであろうことを考えても、多様な視点を共有しておくことがどれほど重要か、チーム翻訳を通して知ることができました。

学生レポート“雰囲気”を伝える~会話を翻訳する~ 

Written by 中村 香南子   ( 東京外国語大学 2年生) /2024.05.21

「もうオレ今日はもうおなかいっぱいなんで。」このセリフを文字だけで見たとき、どのようなニュアンスを持っていると感じましたか?実は、これは私が翻訳する際に最も苦戦したセリフの1つです。さて、上記のセリフですが、『こころの通訳者たち』のあるシーンのセリフです。長時間の白熱した会議の後、まだ続けるかどうか冗談めかして質問されたことに対する答えです。つまり、話し手は「今日の会議はここまでにしよう。」という旨を、ユーモアを交えて伝えているのです。このような会話の軽快な雰囲気を、字幕翻訳にのせることは非常に難しいです。当初は、“We work too hard today.”と翻訳しました。しかし、原文の持つ楽しそうな雰囲気が伝わらないというメンバーからの指摘を受け、グループ内で改善案を話し合いました。意見交換の結果、「おなかいっぱい」を「十分」に置き換え、英語話者にとって典型的な言い回しを用いることで、日本語のニュアンスが伝わるのではないかと考え、”That’s enough for today.”と訳しました。

私たちのグループは、日本語ネイティブと英語ネイティブのインターン生が協力して翻訳に取り組んでおり、日本語と英語の持つ細やかなニュアンスについて母語話者の視点から共有し、翻訳をブラッシュアップしています。個々の強みを生かし、作品が持つ温かな雰囲気を共有できるような翻訳をしたいです。

学生レポート短編上映作品について

Written by 志儀 陽南    ( 東京外国語大学 4年生) /2024.05.21

私たちは投票で二つの短編作品を上映することに決めた。

 

一つ目の作品は『映画のヒカリ』である。途上国での移動式映画上映を行う「World Theater Project」の代表である教来石さんが、2012年より子どもたちに映画の魅力を伝えたいという想いのもと活動を始め、コロナ禍での活動休止や自身の不妊治療、切迫流産の経験を経て、映画の可能性を模索してきた様子を描いている。「映画を通して誰かの人生を生きることができる」という教来石さんの考え方は、私たちが今回の映画翻訳を通して届けたい思いの一つでもあり共感する部分があった。映画は単なる娯楽なのか、それとも人々にヒカリを与えることのできる存在なのだろうか。

 

もう一つの作品『KIMONOルネッサンス』では、大量に廃棄される着物を回収し、黒に染め直し、洋服に仕立て直す事業を始めた広瀬さんが抱く着物や職人さんへの想い、アップサイクル事業での困難に立ち向かう様子が描かれている。大量廃棄というワードからはファストファッションを連想しがちであるが、日本の伝統的な着物までもが大量に廃棄されていることに衝撃を受けた。着物が作られた際の職人さんの思いや、着物文化、廃棄による環境問題などを通して、現代の私たちのファッション観を見つめ直す機会になるだろう。

学生レポート映画上映と対談を通して考える、「全ての人にやさしい世界を実現するには?」

Written by 本荘 望  (立命館アジア太平洋大学  3年生) /2024.06.20

WATCH 2024では英語字幕の制作だけでなく、インターン生が中心となってトークベントも開催します。今回は2024年7月4日(木)に開催されるイベント「手話通訳から考える:未来のために今、私たちができることLeave No One Behind ~すべての人にやさしい世界を実現するために~」についてご紹介します。

 

本イベントでは私たちが英語字幕をつけた『こころの通訳者たち What a Wonderful World』の上映を通し、舞台手話通訳者の活動と、その映像を見えない人に届けようとするユニバーサルシアターの取り組みを発信いたします。

また特別ゲストとして、舞台演劇に特化した手話通訳技術に関する調査を行っている日本手話通訳学会の萩原彩子氏を迎え、インターン生との対談を行います。萩原氏は筑波技術大学障害者高等教育研究支援センターの助教授であり、手話通訳者としてもご活躍されている方です。今回の対談を通して、舞台手話通訳の現場での工夫や困難、そして手話通訳者とろう者双方の視点から考えられる課題の認知を目指します。またイベントでは、『こころの通訳者たち』の監督である山田礼於氏のビデオメッセージも上映予定です。

 

見どころのひとつは、イベントがWATCHインターン生(大学生・院生)によって行われ、また映画の英語字幕は全て私たちが作成したものであるという点です。作成にあたり、目の見えない人、耳の聞こえない人、手話通訳者といった様々な視点を考慮いたしました。私たちが試行錯誤しながら、一丸となって完成させた英語字幕です。その字幕と映画を通して、誰一人取り残さない社会の実現のためにできることを考える良い機会になると考えています。トークイベントは東京外国語大学の会場、もしくはZoomで参加可能です。参加費は無料となっており、気軽に参加できるイベントとなっています。イベントに参加することで、すべての人が住みやすい社会を実現するための一助となるような取り組みについて深く考え、学ぶことができるはずです。ぜひ多くの方のご参加をお待ちしています!

 

イベントのお申し込みは下記をご確認ください

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学生レポート映画がつなぐ「人の輪」 

Written by  川口 飛鳥 (東京外国語大学  3年生) /2024.06.20

「サンデーちゃんと英恵ちゃんの言葉を聞いてウルッときちゃった。」

インタビューを終え、教来石さんは目を輝かせてこう述べられました。

 

2024年6月17日、私はトークイベントチームの一員として、WATCH 2024にて上映される短編ドキュメンタリー『映画のヒカリ』に関するインタビューを行いました。インタビューさせていただいたのは、映画に出演された教来石小織(きょうらいせき・さおり)さんとニウ・サンデーさん、そして映画の監督・撮影・編集を手掛けられた内田英恵(うちだ・はなえ)さんです。オンラインでのインタビューでしたが、御三方の映画やお仕事にかける思い、公開当時から現在に至るまでのご自身の変化など、盛りだくさんの質問をさせていただきました。本レポートでは、より多くの方々に興味を持っていただくため、インタビューの内容から収録時のエピソードまで包み隠さずご紹介します。

 

はじめに、御三方のプロフィールを簡潔に記します。

まず、教来石小織さん。NPO法人World Theater Projectの理事を務められており、2012年にカンボジアで開始した移動映画館を通じて、これまでに世界15カ国80,000人の子どもたちに映画を届けてこられました。

続いて、ニウ・サンデーさん。カンボジアのご出身で教来石さんが初めて上映会を実施された際に、一緒に映画をご覧になっていました。その後来日し、現在も日本でお仕事をされていらっしゃいます。

最後に、内田英恵さん。東京とロサンゼルスで映像制作を学ばれ、現在はドキュメンタリー映像を中心に手掛けていらっしゃいます。また、World Theater Projectの副理事長としても活動されております。

 

それでは当日のインタビューにおいて印象的であった点をご紹介します。

最初にZOOMに入室されたのは教来石さんでしたが、なんとびっくり!教来石さんのお子様もいらっしゃいました。その日は保育園をお休みしていたとのことで、なんとも無邪気な姿に私の緊張はほぐれました。(笑)こうしてラフな雰囲気でインタビューを行いましたが、私は御三方のお話に何度も感銘を受けました。教来石さんが移動映画館を始められた背景やコロナ禍での葛藤。サンデーさんが映画を通じて思い出したお母様との大切な記憶。そして、これまで多様な人々を取材してきた内田さんの映画やお仕事にかける情熱。インタビューを終え、教来石さんは「サンデーちゃんと英恵ちゃんの言葉を聞いてウルッときちゃった。」としみじみと感想を共有してくださいました。

 

本編(『映画のヒカリ』)を観るだけでも[J1] 御三方の思いや「温かさ」を存分に感じていただけますが、このイベントは御三方の気持ちをさらに深く伝えられるものになったと私は確信しています。ぜひ多くの方々に『映画のヒカリ』と合わせてインタビュー映像もご覧になっていただけますとこの上なく幸いです。


★インタビュー映像は作品視聴をお申込みいただいた方ならどなたでも無料でご覧いただけます

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学生レポート: 映像作品にしかできないこととは

Written by 登島 おりは  (東京外国語大学  3年生) /2024.06.20

「映像作品の可能性を考える ~SDGs達成への第一歩~  」は、WATCH 2024上映作品のひとつである短編ドキュメンタリー『KIMONOルネッサンス』に関連したオンラインイベントです。同作品の制作にプロデューサーとして携わられた、LINEヤフー Yahoo!ニュースエキスパートドキュメンタリーの細村舞衣さんをゲストとしてお招きし、『KIMONOルネッサンス』の制作背景について伺いました。本イベントのメインテーマは「映像作品とSDGs」。LINEヤフーのプロジェクト「DOCS for SDGs」や私たちの行うWATCH 2024の活動にも触れつつ、映像作品がSDGs達成に対して担うことのできる役割、その可能性を細村さんと共に考えていきます。

 

DOCS for SDGsは、短編ドキュメンタリー作品を通して関連するSDGsについて知ることができるプロジェクトです。今回WATCH 2024では、その中から『映画のヒカリ』『KIMONOルネッサンス』の2作品を上映作品として翻訳させていただいています。10分間の短編ドキュメンタリー『KIMONOルネッサンス』で取り上げられているのは、着物のアップサイクル事業を行う広瀬嶺さんの活動です。広瀬さんは乱雑に扱われ捨てられてしまう古い着物を救うため、着物への愛を原動力としてKUKURI KIMONOを立ち上げました。作中では、事業を進めていく中で広瀬さんが直面された数々の壁とそれを乗り越える広瀬さんの姿が、監督である太田信吾さんの手で印象的に描き出されています。

 

細村さんへのインタビューは、同じくWATCHインターン生である長谷川さんと私の2人で担当させていただきました。緊張しながら準備を進めていましたが、当日オンラインでお会いしたところ細村さんは非常に温かく丁寧な印象の方で、事前に用意させていただいた質問だけでなく会話そのものも楽しみながら収録を行うことができました。印象的だったのは、DOCs for SDGsで取り上げられている方々の共通点を伺った場面での「自分の中の“好き”が、SDGsに自然と繋がっていくみたいなことが大事なのかなと思います」という細村さんの言葉です。作中の広瀬さんの姿と重なっただけでなく、私自身自分の“好き”を原動力に行っていることが無意識のうちにSDGsに繋がっていることもあるのではと考えさせられました。

 

本イベントでは、広瀬さんの事業がDOCS for SDGsの題材となり『KIMONOルネッサンス』という印象的なタイトルが付けられるまでの経緯、DOCS for SDGsプロジェクト始動の背景、そして細村さんが考える「映像作品ならではの強み」などについてお話を聞かせていただいています。今回、何かひとつの答えを伝えるというよりは、このインタビューを見た方々と一緒に本上映イベントのテーマ「映像作品とSDGs」について考えてみたいという思いで収録を行いました。ぜひプロデューサーという立場で『KIMONOルネッサンス』に関わられた細村さんの言葉に触れ、映像作品の持つ力についてみなさん自身の考える可能性に思いを巡らせてみてください。


★インタビュー映像は作品視聴をお申込みいただいた方ならどなたでも無料でご覧いただけます

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学生レポートトークイベント開催報告〜通訳・翻訳と「誰一人取り残さない」社会〜 

Written by 登島 おりは  (東京外国語大学  3年生) /2024.07.11

7月4日木曜日、東京外国語大学プロメテウス・ホールにて、「Leave No One Behind ~すべての人にやさしい世界を実現するために~」が開催されました。本イベントは、WATCH 2024にてインターン生全員で字幕翻訳を行った長編ドキュメンタリー『こころの通訳者たち What a Wonderful World』の関連イベントになります。作品の上映、日本手話通訳学会の萩原彩子様と学生の対談、そして山田礼於監督からのビデオメッセージを通して、「誰一人取り残さない」社会のあり方について考えました。今回はイベント開催の裏側、イベント中の様子、参加者の皆様からいただたいた感想などをご紹介します。

 

トークイベント担当のインターン生達が会場に集合したのは開演時間の2時間以上前のこと。ステージでの動きや音響・照明を念入りに確認していきます。萩原様が到着されると、対談部分の最終打ち合わせが始まりました。ここで萩原様からUDトークというアプリを使った音声認識字幕を付けるご提案をいただき、そちらの準備もしていただくことに。会場準備が一通り終わった後は付近の学生に直接パンフレットの配布も行い、無事開演を迎えることができました。

 

インターン生の開会の言葉にてご協力いただいた方々への感謝が述べられると、早速『こころの通訳者たち What a Wonderful World』の上映が始まります。あっという間の94分間でした。ドキュメンタリー鑑賞後に行われた萩原様とインターン生の対談のテーマは、「現在の手話通訳をめぐる現状と課題」について。質疑応答では、手話通訳に女性が多い理由、手話や音声ガイドを通した「経験の共有」などについて観客の方々からも複数の視点で質問が投げかけられ、有意義な時間となりました。山田礼於監督からは、ビデオメッセージにて作品の見どころをご紹介いただきました。

 

今回開催したイベントに対して、観客の皆様からは以下のような感想をいただいています。

「まだ眠っているかもしれない『翻訳にできることの可能性』を感じたように思う」

「手話通訳士にも種類があることを、今回初めて知った」

「舞台手話通訳者や音声ガイドなど、翻訳の様々な形を知った」

「字幕翻訳について、セリフの中で伝えたいことに焦点を当てて翻訳しているため分かりやすかった」

「字幕を作成したインターン生のドキュメンタリーや、字幕の制作過程も見てみたい」

 

萩原様からも、「『すべての人にやさしい世界』の第一歩はこの世界にどのような人がいるのかお互いに知ることだと思っており、その一歩をインターン生と一緒に考えられて嬉しかった」とのコメントをいただきました。

 

改めて、萩原様と山田監督はじめ、今回の「Leave No One Behind ~すべての人にやさしい世界を実現するために~」開催にご協力いただきました皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

学生レポート オンライン上映、いかがでしたか? 

Written by 中村 香南子   (東京外国語大学  2年生) /2024.07.17

6月27日から7月7日の間「WATCH2024: For a Sustainable Future」オンライン上映が開催されました!今回は、作品をご覧いただいた方から寄せられたリアルな声を一部紹介します。


『こころの通訳者たち』

・「英語字幕からも、プロジェクトにかかわる方々の情熱や舞台手話通訳の一言一言を訳している様子が伝わってきました。」(10代・男性)。

・「映画は、見える人のためのコンテンツだというイメージが覆されました。」(50代・女性)


『映画のヒカリ』

・「コロナや家庭のことなど様々な問題を抱えつつ前に進んでいく教来石さんの姿に共感し、元気をもらいました。」(20代・女性)

・「ドキュメンタリーを撮影した内田英恵さんの『人って思っているより強い』という言葉が印象に残りました。これから先、壁にぶつかった時に思い出したい言葉です。」


『KIMONOルネッサンス』

・「私の好きなことも、実は社会問題の解決に繋がっているのかもしれないと思うきっかけになりました。」(10代・男性)

・「私一人の努力は無意味だと思わず、今できることを精一杯する姿勢を持つ細村さんの姿に胸を打たれました。」(50代・女性)


上映した3作品が社会問題を見つめ直すきっかけになった、視聴する前より前向きな気持ちになったなどという声を多く頂き、非常に嬉しかったです。


「WATCH 2024」はこの上映を持って終了となります。作品を視聴いただいた皆様、トークイベントに参加いただいた皆様ありがとうございました!