2025年12月14日(日)に開催されたITCE2級の会in名古屋(24回地区部会)の開催レポートです。
対面・オンライン ハイブリッド開催
12:45 受付開始
13:00 開会あいさつ
13:05 基調講演「AI時代の情報活用能力」(聖心女子大学名誉教授永野和男先生)
13:40 マルチメディア教材「冒険 百人一首伝説」について(三重県度会町教育長中村武弘先生はじめMIE-ICT研究会)
14:10 「ITCE上位級としての生成AIの活用」((株)NEL&M代表取締役田中康平様)
15:20 ITCE準1級認定者発表
15:50 参加者全員でディスカッション
16:10 永野先生のご講評
16:20 記念撮影・終わりの挨拶
17:00 懇親会(希望者)
聖心女子大学名誉教授永野和男先生による基調講演が実施されました。
今後生成AIがない世界は考えられず、生成AIを使いこなすための「生成AIリテラシー」というべきものを定義され、身につける必要があるというお話に、全くその通りで、我々もさらに新しくどんどん学んでいく必要があることを再認識しました。
三重県度会町教育長 中村武弘先生をはじめ、三重プロジェクトから、マルチメディア教材「冒険百人一首」についての発表がありました。
この教材は、JNK4の助成金を受けて作られたRPG風の本格的なゲームです。
過去の平安京にタイムトリップして、百人一首の歌を藤原定家とともに探します。
助成金を使って日本各地に取材に出かけ、それをもとに楽しみながら学べる充実したコンテンツが作成されています。
通りすがりの町の人と会話でき、ヒントももらえます。古典に親しみを持つための導入教材として、実際に子どもたちに活用してもらい、「親しみを持つようになった」という多数の回答を得ています。
誰でも無料で簡単に始められますので、ぜひ上記リンクから遊んでみてください。
(株)NEL&M代表取締役田中康平様による、ITCE上位級を持つ人が生成AIを「どのように」活用するか、について、実際に生成AIを操作しながらのワークショップが行われました。
特に、生成AIの数理的特性については、「確かにこれがわかっていなければ理屈がわからなくなる」など、実際にすぐに使える基本的な知識を確認でき、参加者もこの話がとても重要だったと感想を述べていました。
2025年より新設された教育情報化コーディネータ準1級の認定(会場に4名参加されていたので4名に認定証授与、その他の方は郵送)と、3名の準1級取得者からの発表がありました。
準1級の試験や課題についてどのようなものだったか、新たに身についたものは何か、自分に何が必要だったと感じたのか、という話を中心に、瀬戸solan学園をお借りして実施された教育情報化コーディネータ準1級試験(合宿)の様子が垣間見られました。
対面3グループ、オンライン3グループで参加者全員によるディスカッションが行われました。テーマは「未来志向のディスカッション」
教育の情報化について話ができる機会なので、前向きな話をしたいということで2級の会会長の中村先生のご希望もありこのようなテーマになりました。
対面では準1級取得者が早速ディスカッションのファシリテートを努め、
オンラインではベテランITCE2級の会会員がファシリテートし、活発な意見交換が行われました。
各グループで出た話題は以下のようなものです。
Aグループのディスカッションでは、特定の仕組みやツールを導入する際、「なぜそれを選んだのか」「本来どう使いたかったのか」といった背景が、行政、教員、子どもたちの間で十分に共有されていないことが大きな論点となりました。
その結果、同じ仕組みでも現場ごとに使われ方がばらつき、他校の事例を参考にした追加導入や場当たり的な対応が重なって、かえって現場の混乱や負担を増やしている状況が共有されました。
こうした状態を立て直すには、これまでの経緯や蓄積を整理し、立場の違いを越えて意図や経緯をつなぎ直す役割、すなわち教育情報化コーディネーターの存在が不可欠であることを改めて認識しました。
しかし、その必要性を行政側にどのように伝え、制度や体制として位置づけていくかが、今後の大きな課題として残りました。
Bグループの課題感
1.現状のICT支援員の待遇の低さ
2.入札などの価格競争になってしまう仕組み
3.ICT支援員の育成についての悩み
4.ICT支援員に求められるものの時代の変化
1.2 こちらについては、1企業ではどうにもならないのでJNK4で集まった方々で国へのアプローチをしていくとか全国調査をして実態を把握して国へ提言するとか何かしら行動にうつす仕組みがほしいとの話がでました。
3.こちらについては、他がどのように育成しているのかなどの話が出たり実際には他企業が何も教えずにただ人をいれるだけのような現象に対する課題感がありました。
4.ネクストGIGAになり、ICT支援員に求められるものが代わってきているという話がでました。
それに伴い、試験内容なども変化していくといいという意見もありました。
Cグループ
教育現場におけるゼロトラスト導入が、プログラミング教育や校内ネットワーク運用に与える影響について、立場の異なる参加者が率直に意見を交わしました。
大阪府T市の事例を起点に、従来のイントラネット前提の実践が困難になる懸念や、教員の働き方改革との関係性が共有され、現場の戸惑いと期待の双方が浮き彫りになりました。こうすればうまくいくのでは、という提案も、実際の現場に適用することを考えると、実は実行できないのでは、等「本当にそれを実現するために」どうしたらよいか、という議論が進みました。
また、Canvaなどのツール活用に伴う教育的留意点や、家庭からのアクセスに関するセキュリティの考え方についても議論が深まり、単なる是非ではなく「どう活かすか」を考える前向きな対話となりました。特に、子どもが家庭から接続する際に「機微な情報に触れられない、あるいは触れたとしたらバレる」という環境を構築することはとても重要であると意見は一致しました。
多様な視点が共有され、今後の教育と技術のあり方を考える有意義な議論だと感じます。
グループD 未来志向の前向きな対話・提案より
・企業は教材やサービスを提供(販売)したい、学校はそれらを活用して良い学びを提供したい。
しかし、このマッチングに課題がある。現場のニーズとマッチしておらず効果的に活用されない。その結果、予算が無駄になることもある。
ITCEが間に入って上手く調整してくれると良いが、ITCE自体(コンサルティング関係)の予算化が難しい。
・ICT基盤が最適な環境として整備されなければ、上手くいかない。
教育行政の中でも無駄な予算があり、半減することもできる(た)。教育委員内にそういう人材がいれば改善できる。(経験者談)
・建築や建設の例として、マンションの修繕で建設コンサルを入れて予算配分を改善することがなされている。教育の情報化もそうなってくれると良い。
・ICTの玄人と素人の両方を理解して対応することが求められるのでは。
・先生の中にはICTツールについてよく知らない人も多い。若い先生はICTのことをよく知っている場合があるけれど、授業が上手かどうかとは関連していないこともある。そうしたところをコーディネートしてもらえる人材もいると良い。
・先生とITCEが対話しながら、共に教材を作るような場もあると良い。
円滑なICT環境整備、活用の課題、コーディネーターに期待したいこと、など多方面からの意見が交わされました。
大学で情報教育を教えてきた立場から見ると、AIは日常に急速に浸透していますが、まだ未熟であり数理的特性があるという認識が不可欠です。
現段階では、小学生があえてAIを使わない選択も一つの考え方でしょう。一方で、AIを知識深化に生かす可能性もありますが、現状では「AIにまとめさせて終わり」になりがちで、指導法が確立していません。
子どもはAIの最初の答えに影響されやすく、思考を深められずにいることがあります。AIは素直な存在として扱い、「それは本当か」と問い返し、対話を重ねる姿勢を育てると共に指導方法についても確立したいです。例えば俳句に合う画像生成を通し、違和感に気づかせ修正を重ねることで教科内容の深まりとAIの理解をも深めます。そのためには、まず教師自身がAIの限界を体験的に理解し、段階的に教育へ取り入れていく工夫が重要でしょう。
ICT支援活動を円滑に進めるうえで、必要な情報が十分に共有されず、対応が後手に回ってしまうケースは少なくないです。
このような情報の行き違いは、個人の努力だけでは防ぎきれないため、地域内で学校・ICT支援員・教育委員会・関係事業者が日常的に情報を交換できるコミュニティをつくることが重要。
顔の見える関係の中で情報を共有することで、問題の早期発見や迅速な対応が可能となり、結果として学校現場に対するICT支援の質と安定性を高めることにつながるのではないでしょうか。
それぞれの自治体でICTコーディネータ的な立ち位置で勤務されている方が多かったため、現在取り組んでいることについて紹介をしていきました. その内容をまとめると
・生成AIを活用する取り組みを進める方針が示されており、まず先生方が生成AIの理解をすすめる研修を進めています。また各学校でデジタルシティズンシップを扱った授業を行なっています。また児童生徒の情報リテラシー一覧表を配布しています。
・現在は小中学校の先生サポートをしており、今後は授業支援にも関わっていく計画で、午前は授業支援、午後は教員のサポートにまわっていく予定です。
・県域アカウントを配布する計画を立て先般アカウントの配布が完了しました。市町村のセキュリティポリシーバランスをみながら運用を検討しています。Google toolsをベースとした教員研修を計画しています
短時間でしたが分科会ではそれぞれの地域の前向きで参考になる取り組みを知る機会になりました。