2021年度

シリアスゲーム・デモ大会

Gather Town のアバターで記念撮影!

以上の3名にゲスト審査員としてお越しいただきました!


学生が制作した試作品

※ チーム名「ゲーム名」

りんご「ともに生きるAI」

  • コンセプト: 人間とAIが互いに協力し合い、共存できる街づくりを目指していく

  • プレイ可能人数: 2〜5名

  • 想定ユーザー: 中高生

  • 学習目標: 人工知能と人の立場を通して、理解を深め、社会に出たときに役立ててほしい

  • ゲームの種類: 大喜利ゲーム

「ともに生きるAI」 Gather Town と miro を連携させてプレイ!

「ともに生きるAI」への審査員コメント

問題設定

  • シンギュラリティでAIが脅威とされる中、人とAIを共生する社会をテーマ設定した点がすばらしい。

  • トラブルが生じたとき、AIだけでなく、「AIと人の組み合わせ」でそれに取り組むというコンセプトがとても良かったです。

  • AIとの対立や恐怖をあおるのではなく、共存を扱ったのがよかった。


内容理解

  • 人とAIの特長や個性をしっかりと調査されている点がすばらしいです。

  • 最初は「AI対人間」という『ターミネーター』のようなゲームを構想していたが、現実の問題を考えるに従い、「AIと人間の共存」というテーマに移っていったというお話があり、印象的でした。

  • AIのカードも豊富で、振り返りで事例の説明があるなどよく調べていたと思います。


教材性

  • これまでとは異なる新しい未来社会という答えがない社会を考えるにあたって対話を通じて考える点がすばらしかったです。

  • 社会で不意に生じるトラブルについて、ある場面では使えないカードの組み合わせが、別の場面では使える、ということが体験できる点が、教材として優れていると思います。また、「一見、役に立たなそうなカード」が入っているのも素晴らしいです。「弱いロボット」を思い出しました。

  • AIの特徴を踏まえた上で、人間との共存を考えることが出来るゲームになっていたと思います。ただ、AIの特徴についてはカードにもう少し説明があると良かったかもしれません。また振り返りに関しては、もう少しデザインできたと思います。


ゲーム性

  • カードの組み合わせで様々なシーンを考えることができ、何回も遊びたくなりました。

  • メカニクスはシンプルで遊び方がわかりやすく、Miroの誘導も良かったです。

  • 大喜利系というシステムがテーマにマッチしていたと思います。3チームの中では飛び抜けて面白かったです。ただ、カードを全部使いましょうではなく、プレゼンに向かって取捨選択するような悩ましさがあった方が良かったかもしれません。


総評

  • NEC未来創造会議 でも同様に人とAIが共生する未来社会を検討しています。ぜひ、僕らのプロジェクトメンバーにもゲームを体験させてください。

  • ゲームメカニクスについては、ばっちりだと思います(何回か試遊したら、さらに良くできるポイントが見つかるかもですが、とりあえず)。投票集計中にお話されていた、「じっさいに○○(場所)で、AIと人間がどのように共存しているか/協働が図られているか」という事例や、「弱いロボット」などの事例を小冊子などにまとめて、プレイヤーが遊んだ後に読めるようにしておくと、ゲームの体験を出発点としていろいろ考えが広がっていくなと思いました。

  • 単純に面白かったですし、よく出来たゲームだと思います。このままの方向性で振り返りを学んで欲しいテーマに合わせて調整するだけで学びとしてはかなり深まると思います。


地球守り隊「地球のために! CO2CO2(コツコツ)削減し隊!」

  • コンセプト: ゲームを楽しみながら、気軽に社会問題に触れることができる!

  • プレイ可能人数: 34

  • 想定ユーザー: 温暖化問題に興味関心がない大学生

  • 学習目標: 地球温暖化問題に感心のない大学生に、温暖化が進む身近な原因や影響を知ってもらうことで、興味関心を持てるようになってほしい。

  • ゲームの種類: すごろく

抜群のデザイン性! プレイ終了後にはどんな地球になったかのアフターストーリーも。

地球のためにCO2CO2削減し隊!」への審査員コメント

問題設定

  • カーボンニュートラル(CO2削減)という地球の持続可能性に向けた重要な社会課題を設定している点がすばらしいです。

  • こつこつと行動を振り返り、見直す、というコンセプトはとても良いです。

  • 環境問題の中でも、CO2を削減するというコンセプトに明確に落とし込めたところは非常に明確で良かったです。


内容理解

  • 個人と社会、経済のレイヤーに分けてCO2削減に向けた取り組みを整理してゲーム化している点がすばらしいです。

  • 例えば、「1.5°Cライフスタイル 日本語要約版」を参考にすると、一つ一つのマスのクオリティをあげることができるのに、…ぐああ惜しい!と悶えていました。

  • CO2削減に繋がる行動、繋がらない行動がしっかりと調べられおり、ボードを眺めるだけでもある程度学べるデザインになっていたと思います。


教材性

  • お風呂や冷蔵庫、エアコンなどの使い方含めて、身近な行動がCO2削減につながることを学び、行動喚起に繋げている点が素晴らしいです。また、結果に応じた複数の未来シナリオを準備されている点に驚きました。

  • あまり増やしすぎると可読性が減ってしまいますが、マスの設問を指示文にしたり、論拠となる資料をハイパーリンクで貼ったり(「飛行機で世界一周!-3ポイント)、もっと改善できる余地があるように思えました。

  • クイズマスでは考えましたが、正直すごろくで止まったマスに関しては印象がありませんでした。小学生向けならこれで良いかなと思うのですが、もっと高学年を対象とするのであれば、ゲーム中のジレンマと学ばせたいポイントを一致させられるとよりよいものになると思います。


ゲーム性

  • 人生ゲームという慣れ親しんだUIに加えて、デザイン性も高く、誰もが気軽に遊ぶ&学ぶことができるゲームと感じました。

  • 処理ゲー感をなくすために、プレイヤー間の相互作用とジレンマを引き起こす仕組みがほしいです!

  • もう少し盛り上がるポイントが欲しかったです。キットの作り込み(デザイン性)はダントツでよかったです!


総評

  • すばらしいゲームなので、より多くの人に伝えてほしいと感じました。ありがとうございました!

  • すごろくスタイルでも緊張と緩和を生み出す方法として、例えば、44のマスを3つのステージに分けて、各ステージごとに課題取り組むべきテーマ(食事、移動、住居など)を設け、プレイヤーの相互作用がないと達成できない課題(ラスボス的な)を設置する…みたいなことがありうるかなと思いました。

  • 小学生向けとすれば、マスの内容を少しいじれば十分に素晴らしいゲームだと思います。大人が楽しめるようにするためには、もう少しインタラクティブ性を増したり、ゲーム内のジレンマを検討し直した方がよいかもしれません。


チーム金欠「インフルアンサー」

  • コンセプト: インフルエンサーを目指しつつ情報リテラシーを学んでいく!

  • プレイ可能人数: 1名〜

  • 想定ユーザー: 流行りに敏感なSNSユーザーの中高生

  • 学習目標: 不確かな情報が拡散される危険性について認識、理解、見極める能力を身に着ける

  • ゲームの種類: マルバツクイズ + アルファ

プレイヤーはそれぞれ異なる目標をもったインフルエンサーに成り切ってプレイ!

インフルアンサー」への審査員コメント

問題設定

  • インターネットを通じた情報が溢れる現在、学生にとって身近なフェイクニュースなどの情報リテラシーを設定したのは社会課題を自分事として感じられるため、すばらしいと思いました。

  • 「さまざまな背景を持つインフルエンサーになったら」という設定はとても想像力を刺激すると思います。

  • インフルエンサーという若い方が興味を持ちそうな設定で情報について考えるというコンセプトはとてもよかったです。


内容理解

  • 日々接している情報なので内容を理解しやすかったです。

  • 基本的にポジティブな理由(「○○したいインフルエンサー」)がプレイヤーに付与されるが、どちらかというと不安や恐れ、情報元への信頼(!)、善意(!)などが誤情報の拡散の原因ともなるので(自分が良い事をしていると信じて疑わないまま誤情報を拡散するケース)、そのあたりの事情を含めるとさらに広がりがあるかなと思いました。

  • たくさんのカードを作成したところでとても努力はしたと思います。ただ、ある情報を拡散して良いか、仕事を受けるかというのは単純に答えが決まることではなく、問題をやや単純化しすぎてしまっているように思いました。


教材性

  • 情報の内容や出典元という情報の正しさに加えて、インフルエンスするための価格設定という人の心理まで取り込んだ点がすばらしい。

  • ○×形式(“模範解答“があるクイズゲーム)の限界があるように思えました…。

  • 情報のソースを確認しましょうという学びはありましたが、本来やりたかったであろう、いろいろな「インフルエンサー」がいることで、炎上やフェイクニュースなどが生まれるというところを上手く扱えていないと思いました。


ゲーム性

  • 複数のインフルエンサーの設定があってゲームとしてのバリエーションがあり、楽しかったです。

  • 情報の○×を当てるよりも(“正解“があって答え合わせをするよりも)、相手がどのような目標カードを持っているかを当てるほうが、よりインフルエンサーのジレンマを表現できるかと思った次第です。

  • マルバツクイズというシステムとテーマの相性はあまり良くなかったと思います。設定として作った「いろいろなインフルエンサー」がいるというところを、ゲーム内のジレンマと上手く絡めてルールを再考すると面白くなったと思います。


総評

  • 1回だけで終わらず、一定期間後(1年後?)とかに実施して、情報リテラシーの向上度合いを比較できると良いと感じました。ありがとうございました!

  • もし「相手がどのような目標カードを持っているかを当てる」タイプのメカニクス(「正体隠匿系ゲーム」と呼ばれます)に関心がある場合は、こちらのページが参考になるかもです。このホームページではいろいろなゲームのメカニクスが紹介されているので、より良いものを選んでみてください。https://bodoge.hoobby.net/mechanics/18

  • 今回の3つのゲームの中で、伸びしろは一番だと思いますし、一番面白くなる要素をもったテーマだと思います。ぜひいろいろなボードゲームをプレイして、やりたいことに適したルールを見つけてください。きっとすごく面白くなりますよ。