薬学部3年次から選択可能な「医療福祉活動演習」は、コミュニケーション・在宅・福祉の3領域の中で、コミュニケーション・スポーツと医療・在宅・福祉・地域活動・災害医療・チーム医療という7コースがあり、それぞれ特色ある内容で展開しています。
ご自身もろう者であり、医療に携わる人への手話についての著書もある講師による講義を通して、手話コミュニケーションを学びます。将来、医療・福祉施設等において薬剤師が遭遇するさまざまなシーンを想定し、 状況に応じたコミュニケーショ ンができるよう、手話などのろう者の対応知識を高めるための理論と実技を通じて、地域社会における薬剤師の役割や将来性について総合的に学ぶ演習講義です。
2020東京オリンピック・パラリンピックでは選手村総合診療所チーフファーマシストとして勤務した本学特任教授や、アスリート・スポーツドクターなど特別講師からの講義、スポーツ施設見学などを通して、ドーピングとならないような薬物治療、あるいは疾患を持っている場合のスポーツなど、薬学的知識をスポーツ医療や臨床でどのように活用するかを総合的に学ぶ演習講義です。
バイタルサインや症候学(患者さんの症状を聞き取りながら疾患や重症度・緊急性を推測していくこと)・日本赤十字社の救急法指導員の資格を持つ本学教員から一次救命を学び、実際に附属施設である地域包括ケアセンターで、訪問看護や介護予防ケアマネジメントの業務を体験します。薬剤師として、在宅医療に必要な知識や技能を学ぶ演習講義です。
本学卒業生が理事長を務める社会福祉法人ゆうゆうをはじめ、障がいのある子どもと接する機会や福祉の現場体験を通して、医療人の倫理観を身につけます。また、施設訪問後の報告発表会を含めた一連の授業から、チームワークやプレゼンテーション能力、地域社会における薬剤師の役割とその将来性について総合的に学ぶ演習講義です。
地域薬剤師会、地方自治体などで行われている、お薬相談会、医薬品の適正使用に関する講演会・展示会、薬物乱用防止啓発活動、こども調剤体験コーナー、啓発資材の作成・配布、市民参加型シンポジウムなどで活動体験を行い、地域の方々との交流を通して薬剤師の医療にかかる地域活動における役割と現状や将来性について総合的に学ぶ演習講義です。
避難所の運営やトリアージ・一次救命措置などの災害時において必要となる知識や技術を学びます。東日本大震災の際に災害時医療支援薬剤師として役割を果たした本学教員や、本学卒業生で災害医療について研究や実践を行っている特別講師など、現場を知る講師から災害時に薬剤師がどのような職能を発揮するか、さらには、現場での多職種連携について学ぶ演習講義です。
4・5年次の薬学実務実習で培った現場体験やこれまでの学修をもとに、総合病院などで実際の医療専門職ミーティングに参加するなど、チーム医療をより具体的に体感します。病院薬剤部の実務経験者である本学教員より、病院と地域の医療連携(連携クリニカルパス)について学びを深め、卒業後の働き方を在学中に体験できる演習講義です。
履修した学生の声
薬学部5年 菅野ゆかりさん
3年生の時に在宅コースを履修しました。2年生でこの授業を知った時から履修したいと思っていました。薬剤師の在宅訪問について、具体的なイメージができなかったので、実際に見てみたいと思ったのがきっかけです。あとは試験がない科目ということも理由の一つです(笑)。授業の中で一番印象に残っているのは、実際の在宅訪問に同行した時です。訪問先でアーガメイトゼリー(カリウムの数値をコントロールするお薬)が苦くて飲めないというお話をしていて、もし薬剤師が同行していたらすぐにアドバイスができるのにと思いました。そして将来薬剤師として訪問する立場になった時に、お薬の味・匂い・食感などを知っておくのは重要だと感じました。また、在宅ケアの際に「お薬以外の生活面についてどこまでサポートするべきか」ということを考えるきっかけになりました。私は将来、調剤薬局で働きたいと思っているので、退院後のサポートができる薬剤師として、入院されている患者さんの数をもっと減らしていけたらと考えています。
薬学部5年 酒井航志さん
3年生の時に災害医療コースを履修しました。薬剤師が災害時に何ができるのか知りたいと思ったのが履修のきっかけです。一番印象に残っているのは避難所の設営をする授業です。体育館に避難所を作っていく過程をゲームのように学ぶことができました。通路をどうするか、物品はどこに置くかなど先生にアドバイスをもらい進めていきました。薬剤師が災害現場でできることは薬の管理だけだと思っていましたが、衛生面の配慮なども必要だと知りました。今はコロナ禍なので、換気や消毒についてみんなが気をつけてはいますが、災害現場で衛生管理を行うことも薬剤師の重要な役割だと学びました。また、5年生で実務実習に行った時には、この授業で学んだことが指導薬剤師さんとの話の中で出てきて、より理解を深めることができました。将来は病院薬剤師を目指したいと思っているので、この授業で学んだことや日頃の授業でもっと知識を増やしていきたいと思っています。
医療福祉活動演習は、すべてのコースにおいて、グループワークや施設訪問など体験を通して学ぶことを大きな目的としています。コロナ禍においては、訪問や見学が難しく開講できていないコースもありますが、オンラインも活用しながらここでしか学べない授業を展開しています。