概均質ベクトル空間ミニワークショップ
開催概要
日時:2020年9月14日(月)~16日(水)
場所:なし(Zoomによるオンライン開催)
参加方法:参加登録が必要です。こちらのフォーム からご登録をお願いします。
世話人:小木曽岳義(城西大)・谷口隆(神戸大)
連絡先:tani[at]math.kobe-u.ac.jp (谷口隆) ( [at] を @ に置き換えてください。)
講演者
佐々野詠淑 (九州大)
佐藤文広(立教大・津田塾大)
杉山和成(千葉工業大)
鈴木美裕(金沢大)
中島秀斗 (名古屋大)
時間割
プログラム
9/14, 13:30-14:30
講演者:杉山和成(千葉工業大)
題目:概均質ゼータ関数と Katok-Sarnak 対応 / 講演スライド
要旨:1994年の佐藤文広氏の論文(Proc. Indian Acad. Sci.) において、保型形式の周期を係数に持つ概均質ゼータ関数が定義されている。この論文の最後に、理論の例として、新谷卓郎氏が定義した2次の対称行列の空間に付随するゼータ関数の係数に重さ0のMaass波動形式の周期を付けたゼータ関数が考察され、関数等式などの解析的性質が調べられている。今回の講演では、この保型形式付き新谷ゼータ関数に対して逆定理を適用すると、重さ1/2のMaass形式が得られることを紹介したい。これはいわゆるKatok-Sarnak対応と呼ばれる結果である。講演では、任意のレベルの場合への一般化についても触れる予定である。
9/14, 14:50-15:50
この講演では、局所関数等式が2つ与えられ、さらに両者の接着剤となるデータ(貼り合わせデータ)が存在するならば、適当な仮定の下で、2つの局所関数等式を貼り合わせた新しい局所関数等式が得られることを紹介する。
2つの局所関数等式が正則概均質ベクトル空間から得られ、貼り合わせデータが群の作用に関して同変性を満たすときには、貼り合わせた局所関数等式も概均質ベクトル空間から得られるものとなり、対応して概均質ベクトル空間を貼り合わせる構成法が存在する。この概均質ベクトル空間の貼り合わせ構成は、見方を変えると、大きい概均質ベクトル空間を小さな概均質ベクトル空間の貼り合わせに分解しているともみられ、関数等式の明示計算をより簡単な関数等式の場合に帰着させる方法を与える。その実例として、等質錘に付随する概均質ベクトル空間の局所関数等式の中島秀斗氏による明示計算を、貼り合わせの立場から見直す。
一方、貼り合わせデータが同変性をもたないときには、もとの局所関数等式が概均質ベクトル空間から得られるとしても、貼り合わせた局所関数等式は概均質ベクトル空間からは得られない新しいタイプのものとなり得ることを示す例も与える。
9/15, 13:30-14:30
9/15, 14:50-15:50
9/15, 16:00-16:45 ~お茶の時間~
9/16, 13:30-14:30
講演者:佐々野詠淑 (九州大)
要旨:次数づけられた有限次元半単純Lie代数のlocal partから、自然に概均質ベクトル空間が誘導される(E.Vinberg)。こうして得られる空間は今日「放物型」と呼ばれている簡約可能概均質ベクトル空間であり、H.Rubenthalerによって完全な分類が与えられた。本講演は、先行する放物型概均質ベクトル空間理論の拡張を目的とする。まず、非退化不変双一次形式を用いて、簡約可能Lie代数とその表現から、これらをlocal partとするより大きな次数付きLie代数が構成できることを解説する。得られる次数付きLie代数は一般に無限次元であり、その構造はcontragredient Lie代数(V.Kac)やKac-Moody代数と深く関係している。次に、簡約可能概均質ベクトル空間に対応する簡約可能Lie代数の表現から次数付きLie代数を構成したらどうなるか、を考察する。このとき、得られる次数付きLie代数のbracket積には特徴的な「単射性」が見られる。以上をもって、「任意の簡約可能概均質ベクトル空間が、その微分表現を通じて、ある構造的特徴を持った次数つき『無限次元』Lie代数のlocal partに対応する」ことを紹介する。
お茶の時間について
Spatial Chat というウェブ会議ツールを使って行う予定です。参加登録をしていただいた方に、詳細をご案内します。