研究内容


吉田チーム


1.樹上の“土壌動物”群集の解明

森林生態系では、枯死有機物の多くは枯死した枝葉であり、林床に堆積しています。しかし、樹上においても枝葉が枯死後も付着して残っていたり、木の又や樹洞に入り込んだりして存在しています。樹洞に入り込んだ枯死有機物には、分解されて土壌のようになっているものもあります。このような枯死有機物や土壌は“懸垂リター”や“懸垂土壌”と呼ばれます。このヘンテコな棲み場所を利用する“土壌動物”を以下の問いとともに明らかにしていくことを目的としています。

・樹上に生息する“土壌動物”は、どのように懸垂リター・懸垂土壌を利用しているのか?

 (土壌動物の生活史、林床―土壌間の季節的移動、懸垂リターへの定着過程など)


・森林の垂直構造が土壌動物にどのように影響しているか?(高いところほど林床からやってくる土壌動物はたどり着きにくい? 高いところほど環境が厳しくなるので利用されない?)


・土壌動物が林床から樹上へと移動することによる波及的効果は?

 (林床の土壌動物が樹上の捕食者のエサとなる?)

 

・なぜ土壌動物が樹上に進出してきたのか?

 (樹上の棲み場所を利用すると有利なことがある?)


・大きい“島(枯葉溜まり)”には多種・多個体の動物が生息する?

 (島嶼生物地理学的アプローチによる棲み場所と生物群集との関係の解明)


地上部(一次生産の盛んな場所)=生食連鎖、地下部(分解の盛んな場所)=腐食連鎖、というのが生態学では一般的でした。しかし、地下部で根食者による生食連鎖があるように、地上部にも腐食連鎖が存在し、それは森林において無視できないほどの役割を担っているのではないかと考えています。



2.森林の空間構造と動物群集



小林チーム


小林は2022年12月に着任したばかりなので、学生はまだ所属しておりません。個人的な野望として、「タタラ場とシシ神が仲良く共存できる社会の実現に向けた、日本の森林に特化した "イケてる" 森林プロセスモデルの開発」を掲げています。この "イケてる" には、シンプルで理解しやす・自由度が高・誰でも気軽に使用できる・なんかおしゃれ、という意味が込められています。学生の皆さんとは、研究室とフィールド(演習林)を行き来しながら、モデルの基礎となる樹木の成長・死亡・繁殖プロセスの解明やパラメータ整備に必要な基礎情報の収集を行うつもりです。詳しくは私のHPを参照してください。指導可能な範囲+面白いですやんと思われる(i.e., 学術雑誌での公開が見込める)内容であれば、自主的な研究テーマに取り組んでもらうことも可能です。この場合はよく相談しながらテーマを決めましょう。樹木の生き様や多様性、森林のモデリングや将来予測に興味のある学生の方は、うちの研究室をぜひ選択肢のひとつにいれてください。