校長室から

      子どもたちを大きく成長させた「修立っ子発表会」

                                            校長 松 下 裕 之

 久松山の木々はすっかり色づき、紅葉輝く季節となりました。柿畑の柿もたわわに実り、子どもたちは収穫を楽しみにしています。

 11月18日(土)の修立っ子発表会に際しまして、保護者並びにご家族の皆様、地域や学校運営協議会の皆様にご来校いただき、心より感謝を申し上げます。

 今年度の修立っ子発表会は、学年の入れ替えなし、人数制限なしで実施いたしました。もちろん体育館での全校合唱も復活です。保護者の皆様から帰り際に、「体育館での全校合唱は、やっぱり迫力があった。」「元気をもらえて感動した。」と言っていただきました。

 さて、今年の修立っ子発表会のテーマは、「力を合わせて 堂々と 全力で」 でした。18日の発表会当日を迎えるまでに教室や体育館からは、連日子どもたちの台詞を練習する声や素敵な歌声が響いていました。ご家庭でお子さんが練習する姿を見ながら、保護者の皆様の中には、「大丈夫かしら」と思われた方もいたかもしれません。約半月をかけて幕と幕がつながり、バラバラだった劇が次第に一つになっていく、心を打つハーモニーになっていく、舞台道具や衣装が整っていく、驚くほど学校は創造的な場所へと変わっていきました。

 修立っ子発表会での子どもたちの発表の様子を見ていると、改めて行事は子どもたちを大きく成長させると実感します。人は注目を浴びた際に、「相手の気持ちに応えたい」「他者によく見られたい」と考えるものです。

 「人から見られる」ということ、人の目を意識するということが、成長していく中でいかに大切な要素であるかということに気づかされます。人の目を意識するから自らの身だしなみに気をつけ、相手を意識するから気持ちのよいあいさつを心がけるということは日常的に行われています。修立っ子発表会でも、子どもたちが緊張しながらもがんばってるところを見てほしいと努力している姿を見て、とてもほほえましく感じました。「見られる」ということを意識して行動することで、今まで気づかなかった自分自身に気づかされたり、自分の想像以上の力を発見したりして、自信を深めることもあります。様々な発表会やスポーツの場面で、大勢の観客の姿や声援が後押しになり、思わぬ力を発揮したり、記録を塗り替えたりするのはよくあることです。

 いろいろな意味で成長過程にある子どもたちには、昨日の自分より今日の自分、今日の自分より明日の自分というように日々、新たな自分を発見しながら成長してほしいものです。その中でわれわれ大人はその成長を見守り、「それでいいんだよ。」「成長したね。」という言葉かけをするなどして、「あなたが努力する姿をいつも見ているよ。」というサインを子どもたちにしっかりと伝えることが大切なのでしょう。修立の子どもたちは、登下校や様々な行事など、いろいろな場面で保護者や地域の皆様に見守られています。子どもたちにはそのことをしっかりと意識させながら、また明日の新たな自分の姿に出会わせたいものです。

 発表会を終えた今、保護者の皆様から、子どもたちの素晴らしかったこと、感動されたこと等を感想でお知らせいただいていることに感謝申し上げます。皆様からの励ましの言葉は、わたしたち職員の教育活動への意欲にもなります。また、皆様からいただいた子どもたちへのお褒めの言葉は、各学級の子どもたちに伝えていきたいと考えます。これからも保護者・地域の皆様と学校とが力を合わせ、お子さんの成長を応援していく修立小学校でありたいと思っています。

           人によって 「ちゃんと」 は違う

                                            校長 松 下 裕 之

 早いもので、もう少しで11月になります。本校の柿畑の柿も色づき始めました。「実りの秋」です。秋といえば、「食欲の秋」「スポーツの秋」「読書の秋」などと言います。日本にある四季の中でも秋は、暑くもなく寒くもなく、とても過ごしやすく穏やかな気候なので、いろいろなことに集中できるといわれています。また、秋に頑張り努力したことが、冬を越し春に開花するともいわれます。学校では、実りある活動を推進すべく、6年生は修学旅行、そして学習発表会(修立っ子発表会)が行われる時期となります。子どもたちの活躍が楽しみです。


 担任の先生方が出張や研修などで学級を留守にする際、学級の様子を見に行くと、あることに気がつきました。担任の先生がおられないので、普段以上に一生懸命に学べる子もいれば、普段とは違いうまくいかなかった子もいます。中には、先生がいない時こそ「しっかりしないと」「ちゃんとしないと」と思い、頑張っている子も見られます。でも、どの子もその子なりに一生懸命に取り組んでいるのだろうなと感じ、微笑ましく思います。


 さて、この「しっかりと」「ちゃんと」ということですが、人によって違います。

 例えば、「ちゃんと座ってください。」と友達から言われると、言われた友達はどのように座るのでしょうか。隣の人と同じでしょうか。足の位置も、手の位置も、腰骨の張り具合も同じでしょうか。

 ここが子どもにとって難しいところで、普段から「しっかりしなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」と思っている人や、「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」と言われている人、そして何かができた場合だけ褒めてもらえる人は、人に対して「ちゃんとしてよ」と注意することが多くなってしまうようです。言うことは悪いことではないのですが、人と「ちゃんと」の基準が違うので、相手を不快にさせたり、傷つけたりすることがあるようです。子どもたちの「ちゃんと」は、相手の「ちゃんと」と違う場合があるので、ここは意識させないといけません。

 では、どうしたらいいのでしょうか。一つ目は、「優しくするより親切にする」ということかなと思います。「優しい」というのは、相手がどんな状態でも、自分が良いと思うことを相手にします。この場合、相手にとって必要ないこともやるので、優しさの押し売りになってしまう場合も出てきます。しかも、相手はその子の優しさからやってくれるので断りにくいです。

 「親切にする」というのは、相手は今、何をしてほしいのか、どんな言葉がほしいかと考え、そこに合わせて行動することです。これは、自分のこだわりの形ではないので、してもらった相手も喜ぶはずです。

 二つめは「感情にYES、行動にNO」とすることです。最初に「それはダメだよ。」ではなくて、「どうしてそうしたの?」「そうしてしまう気持ちはわかるよ。」など相手の気持ちを理解する一言が大切です。ついつい、ここを飛ばして注意してしまうことがあります。「注意する」という感覚ではなく、「会話をする」という意識になってほしいです。こうしたことを子どもたちが意識できるまで、周りの大人は丁寧に何回も何回も伝えなくてはなりません。どんな子どもも一度でわかるなら、教師も含めて大人は必要ありません。わたしたち大人の役割は、子どもが納得できるまで、そのように行動することの意味や価値、そして方法を伝えていくことです。子どもの成長を楽しみにしながら、子どもを見守りたいと思った教室での風景でした。

        「災害発生時の約束」をぜひお子さんと

                                      校長 松 下 裕 之

 昭和18年9月10日17時36分、鳥取市近郊の吉岡・鹿野断層で地下10キロメートルを震源とするマグニチュード7.2の地震が発生しました。鳥取大地震です。

 この地震により、震度6を記録した鳥取市と周辺市町村では、家屋の倒壊や道路・線路・橋梁等の破壊など大きな被害が発生したそうです。また、夕食の準備中だったこともあって火災も発生し、県内で299戸が全半焼しています。これらの被害により、木造家屋の大半の倒壊等、当時の鳥取市の中心部は壊滅し、古い町並みの大半が失われたとのことです。

 9月10日は、鳥取市防災の日。未曽有の被害をもたらした鳥取大地震の経験を教訓にし、一人ひとりの防災意識を高める日です。本校は、9月8日に全校で避難訓練をしました。避難訓練の後、鳥取大地震をもとに地震のこわさについて、また30年以内に発生すると言われている南海トラフ地震など大地震への備えについて話をしました。

 その中で、「命を守ることの大切さ」「地震や火事はいつ起こるかわからないこと」「日頃から災害に向けてどんな備えをしておかなければならないのか」などについて考えさせています。

 そして、家に帰ってから防災について話し合うことを勧めました。各ご家庭で話し合いはされたでしょうか。「自分たちの命を守るためにはどうすればいいか。」「身を守るためにはどうしたらいいか。」「家から持ち出す防災グッズについて」などです。

 特に、次のことは必ずお家の人と決めておいてくださいと伝えています。それは、「別々の場所で災害が起こったら、どこで待ち合わせるのか。」「どこに避難するといいのか。」です。災害時に、お子さんは学校にいるとは限りません。ご家族は、仕事中の場合もあります。 防災で日頃から大切なことは、各ご家庭が「災害発生時の約束」を確認し合っておくことです。まだ、お子さんと約束されていないご家庭は、この機会にぜひお子さんと待ち合わせの避難場所等を決めておいてほしいと思います。

 

 今年の夏は、台風による暴風、大雨、洪水などの大被害が様々な地域で発生しました。台風7号が鳥取県に最接近した際は、県東部を中心に線状降水帯が発生し、県内は猛烈な雨に見舞われ、甚大な被害が出ました。科学の発達したこの現代においても、自然災害が予測しにくくなったと言われています。

 「天災は忘れた頃にやってくる」

 地震は、「いつ起きてもおかしくない」と言われています。

  それは「いつか起きる」という意味ではなく、「明日起きてもおかしくない」「今日起きてもおかしくない」という意味です。どんな時でも、それが一人でいる場合でも、まず命を守ることを最優先する子どもたちであってほしいと思っています。


   3月11日(東日本大震災の日)を忘れないように、ということはよく言われます。

   しかしその日は、忘れないようにする日ではなく、忘れられない日です。

   忘れたいのに忘れられない日が、3月11日です。

   いちばん忘れちゃいけないのは、

   なんてことない、ほんとうになんでもない日々です。

   幸せだったはずの、前の日なんじゃないかなと思います。

  (ほぼ日刊イトイ新聞「ぼくたちの花火の連絡、見えますか」糸井重里さんと平了さんの対談から)


 生きているということ、今を生きていることは、家族や友人がとなりで笑っていること。教訓や先人は我々にメッセージを残しています。「備えあれば 憂いなし」学校や地域、家族が連携し、今後も防災の取組を進めて参りたいと思っています。

         東中校区子ども未来フォーラムを終えて

                                            校長 松 下 裕 之

立秋を過ぎてからも、猛暑日が続いた8月でした。まだ残暑は続き、夕方になっても日中の暑さが消えません。ただ、夜になると時折虫の声が響き、少しずつですが秋の気配が感じられます。 

今年は、新型コロナの5類移行で夏の風物詩である高校野球も今までの姿に戻りました。また、鳥取しゃんしゃん祭りも実に4年ぶりの中心市街地での開催となり、以前の活気が戻ってきたと実感しています。一方で、台風による記録的な大雨で鳥取市を中心に大きな被害が出ました。テレビで報じられる被害状況を毎日目にしながら、災害から命を守る学校の責務と危機管理対応を問われたこのたびの経験となりました。災害復旧に向けた動きはまだ続いています。被害にあわれた方に心よりお見舞い申し上げます。 

保護者の皆様には、8月19日のPTA奉仕作業へのご協力ありがとうございました。おかげさまで、環境を整えて子どもたちを迎えることができています。子どもたちは、また新しい気持ちで前期再開を迎えているでしょう。前期のまとめ、そして後期に向けて、子ども一人ひとりの願いや思いを大切にして教育活動を進めてまいります。


8月21日に国府町コミュニティセンターで「東中校区子ども未来フォーラム」が開催されました。地域・保護者と学校が、連携・協働して子どもの学びと成長を支える「地域学校協働活動」について、保護者や地域の皆様にご理解いただくだけでなく、今後どのように連携・協働するとよりよい活動になるのか、その方向性について考えていく機会にすべく開催したものです。皆様もご存知のように、本校では、既に多くの保護者・地域の方にボランティア活動に協力いただいています。挨拶運動や読み聞かせボランティア、地域探検などの校外学習等の際の見守りボランティア、教科や総合的な学習、特色ある教育活動等の学習支援、柿畑や校庭等の環境整備作業……。また、子ども会の活動や修立地区まちづくり協議会の活動では、多くの地域の皆様が、子どもたちのために力を注いでいてくださっています。未来フォーラムで発表するプレゼン資料を作る中で、記録写真の中の子どもたちのたくさんの笑顔、地域や保護者の皆様の優しいまなざしを見るにつけ、改めて修立小学校の教育活動には皆様との連携・協働が欠かせないと感じました。管理職が変わっても、教職員が変わってもこの地域で生きていく子どもたちには、なくてはならない修立小ならではの教育活動です。これらの活動が今後も持続可能な形で発展できるよう、地域の教育力を生かす新しい仕組み「修立子どもネットワーク」へとぜひ発展させていきたいのです。


子どもたちにとって、多くの人と関わりいろいろな考え方に触れることは、幅広い学びにつながります。地域とのかかわりを通して、地域の人にふれ、地域の文化や歴史・伝統を知ることで、学校を含めて自分が住む地域を愛する心が育ちます。子どもたちが信頼できる大人と多くの関わりを持ち、ほめてもらったり、認めてもらったりといった愛情を注がれることにより、自己肯定感や他人を思いやる心など、豊かな心が育まれると思うのです。

地域と学校が思いを共有し、協働して子どもたちを育んでいく中で、支える人たちの連携やつながりができ、それは未来に向けた地域づくりにも必ずつながると信じています。学校運営協議会委員の皆様、地域学校協働活動推進員である岸本順一さんを始め、保護者・地域の皆様とともにこれからもこの地域でどんな子どもを育てていきたいのか、そのためにどのような取組を進めていった

らいいのか、議論を重ね、考えを共有しながらこの地域学校協働活動を推進していきたいと考えています。今後とも皆様のご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

        夏休みだからこそ、子どもたちにお手伝いを

                                            校長 松 下 裕 之

今週は、全国各地で37度・38度という猛暑が続いています。熱中症による事故、集中豪雨による痛ましく悲しい被害等も連日報道されています。自然災害の怖さを感じます。熱中症予防を含め、子どもたちの健康・安全をみんなで守らねばと思います。

セミの鳴き声も聞こえ始めました。ツクツクボウシは2・3年、アブラゼミやミンミンゼミは、7年ぐらい土の中で過ごしてから羽化して、飛び立つそうです。成虫になってからは、わずかの命です。夏空を自由に飛び回り、鳴いて、仲間を呼んだり、木の汁のある場所を互いに教え合ったりしていると聞きます。セミの鳴き声は、夏の到来を感じさせます。

そして、明日から子どもたちにとって待ちに待った夏休みが始まります。1か月以上の休みが続く夏休みは、子どもたちにとっていろいろなものに触れることのできる絶好の機会です。夏休みに様々な体験を積み重ねることは、自分の感性を豊かに広げていきます。それなのに、宿題が終わればだらだらと過ごしてばかり、遊び呆けてばかり、というのではなんだかもったいない気がします。 

保護者の皆さんの中には、夏休みだからこそ、子どもたちにお手伝いをと考えている方も多いのではないでしょうか。

50年以上前、わたしが小学生のとき、長期休業中の主な宿題は夏休み帳(夏休み用のプリント集とノート)と「お手伝い」で、週末の宿題にも「お手伝い」が入っていました。当時のことを思い出すと、わたしの主なお手伝いは、風呂場の掃除、洗濯物の取り込みでした。仕事から帰ってきた親から「ありがとう。助かったよ。」と言ってもらえるだけで、「明日も頑張ろう。」と思ったものです。

家庭の中には「家事の分担」という立派な仕事があります。風呂やトイレ、部屋の掃除、食事の準備、洗濯、玄関の履き物そろえなど、本当にたくさんの仕事あります。家事を分担することは、ある意味、家族の一員としての義務といえます。そこに家族からの「ありがとう」「助かったよ」「ご飯、おいしかったよ」「きれいに整頓してくれて気持ちがいいね」という言葉で、自然と感謝の気持ちがあふれ、家族の絆も深まってくるのではないでしょうか。

お手伝いをすることで、成長につながるたくさんのメリットがあると言われています。家庭の中に自分の役割があることや、家族から「ありがとう」と喜んでもらえたりすることで、子どもの自己肯定感が高まります。お手伝いを続けていくことで、達成感を覚えたり、上達したりして家族の中で役に立つ存在であるのだと自信をつけていきます。お手伝いという自分の使命を全うする経験の積み重ねから責任感が生まれます。どうやったらもっと上手にできるだろうと考える習慣が身につき、誰かに促されるからでなく、自ら率先して考えて行動できるようになります。たとえば、友達の家や公民館などの公共施設に何人かで行ったとき、日頃から履き物をそろえるお手伝いをしていると、玄関でバラバラになっている靴を自然に整頓することができる、といったことです。

子どもたちが進んで働くことで、家族や友達、身の回りの人の負担が少しでも軽くなるように、楽になるように「イ(にんべん)+動=人のために動く」。それが「働く」ことを意味します。他を思い合って感謝し合って働いたら、自分はみんなの役に立っているという手応えを感じ、「喜んでもらってよかった」という充実感や満足感から大きな幸せも得ることができるでしょう。夏休みに入る前に、ぜひ子どもたちと話し合い、子どもたちが人のために働くことで大きく成長する夏休みにしてほしいと思います。

           あたしの中のたくさんのアン

                                            校長 松 下 裕 之

久松山が、みずみずしい深緑になりました。また、自然栽培委員会の児童が水やりをしながら世話をしているサルビア、マリーゴールド、日々草、ペチュニアが色とりどりの花を咲かせ、児童玄関前を和ませてくれています。生命力にあふれた植物に何だか元気をもらいます。

今月は、「修立Smile月間」。学校では、子どもたちの頑張りや思いやりのある行動を「メッセージカード」に書き、感謝の気持ちをそえながら、友達のよいところを広げようと修立中央委員会の児童が中心となって「あったかい えがおキャンペーン」をしています。「ありがとう」の言葉が、笑顔にしてくれます。


・プール(水泳練習)のとき、いっしょに手をつなぎながら泳いでくれてありがとう。

・友達がけがをしていたら助けてあげていて、やさしいなと思いました。

・運動会のだるま運びのときに、ペースをあわせてくれてうれしかったです。

・いつも出会ったときに声をかけてくれてありがとう。また、出会ったら声をかけてね。

・プール開きでずっと笑顔でいてくれて、わたしもうれしくなりました。これからもよろしくね。

・いつも大きな声であいさつをしていて、とてもすてきですごいと思いました。

・登校班で、いつも安全に学校につれていってくれてありがとう。


誰もが、たくさんの自分を持っています。やさしい自分、いじわるな自分、弱虫だったり、強がりだったり…。でも、いろいろな面があるからこそ、人には魅力があるのだと気づかせてくれます。

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  あたしの中にはたくさんのアンがいるんだわ。だからあたしは、こんなやっかいな人間なんじゃない

  かしらって思うことがあるのよ。もしあたしが、たった一人のアンだとしたらもっとずっと楽なんだけど、

  でも、そうしたらいまの半分もおもしろくないでしょうよ。

                                            (「赤毛のアン」より  モンゴメリ『赤毛のアン』新潮文庫)

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子どもたち一人一人のメッセージを見るにつけ、子どもたちは友達のことをよく見ているなと気づかされます。勉強ができる、運動ができる、ピアノが上手など「できること」はとてもすばらしいことです。でも、そればかりがその子の「よいところ」でないことを子どもたちは知っています。この「メッセージカード」を見ながら、褒められた子どもは、自分にもそういうよい面があるんだと気づかされるでしょう。自分ではそう思っていなくても、認めてくれる友達がいれば、期待を裏切らないようにまた頑張る子どもたちも生まれてくるはずです。子どもというものは、いや人は誰でも、期待されたときに期待されたような人間に成長すると思うのです。

自分を嫌いになりそうなときでも、自分のいい部分は支えになります。嫌な部分も、いい部分も、全部ひっくるめて自分なんだと受け入れることができるかもしれません。全部ひっくるめて自分なんだと受け入れることができたら、もっと自分が好きになるかもしれません。

友達のいろいろな面を見つけることができたなら、大好きな人がいっぱいになるかもしれません。そうしたらアンのようにおもしろい毎日が送れるかもしれませんね。

暑い日が続きますが、そんな中でも頑張って学校生活を送っている子どもを周りの大人 みんなで褒めてあげましょう。子どもたちの個性や頑張りを認め、その子の自信につながっていきますよう、今後も修立小学校教育への皆様のご理解、ご協力のほどお願いいたします。

     支援から協働へ ~「修立子どもネットワークの活動」~

                                            校長 松 下 裕 之 

「子どもは地域の宝」という言葉は、ずいぶん前からよく聞く言葉です。しかし、わたしが、「地域の」という部分に強く共感するようになったのは、教頭として修立小学校に赴任したときからです。常に聞こえていたのが、「子どもの姿を見ることで元気になった」という地域の皆様の声です。「子どもが元気になれば、地域も元気になる。」そんな思いを強くしました。

当時から保護者の皆様のご支援はもちろんのこと、家族が小学校に通っていない地域の皆様も、学校に寄せる思いの深さや子どもたちへの愛情で、学校を支えてくださっていました。

未来をめぐる環境が大きく変化する中、子どもたちは自分の進むべき道を決定することが難しくなってきていると言われています。生まれ育ったふるさとに誇りがもてなかったり、自分の将来をイメージできなかったりする子どもたちの姿が、そこにあります。そうした子どもたちには、地域の中で大人が輝いている姿を見せることが子どもの夢や希望につながるのではないかと思います。複雑・透明化する社会状況だからこそ、郷土への愛情を育み、次代を担う人材の育成には、学校・家庭・地域の垣根を低くし、連携・協働しながら一体となって子育てを行うことが必要だということです。

修立小学校では、すでに地域の方々にはボランティアとして、子どもたちの様々な教育活動に関わっていただいていました。学校応援団としての地域の皆様の活動は、学校からの求めに応じて地域の方々が支援するという活動だったと思いますが、これからは「支援から協働へ」がキーワードです。幅広く地域の皆様に参画していただき、地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支える「修立子どもネットワークの活動(地域学校協働活動)」にシフトしていければと考えています。

「修立子どもネットワークの活動(地域学校協働活動)」とは、地域と学校が連携・協働して子どもの学びと成長を支える活動のことです。今までの学校支援ボランティアの皆様を基盤としながら、地域の皆様には積極的に子どもたちを守り育てる活動に関わってほしいという期待を込めて「修立子どもネットワーク(地域学校協働活動)」という名称にいたしました。学校で地域の方がボランティアとなって行う学校応援団としての活動はもちろん、学校で行われている「読み聞かせ」や「地域探検」「郷土の偉人を深く知る総合的な学習」「学校敷地にある柿畑にまつわる学習」などの本校の特色ある教育活動も「修立子どもネットワークの活動(地域学校協働活動)」です。また、修立地区公民館で行われている講座や行事、修立地区の子どもたちが関わる地域行事なども「修立子どもネットワークの活動(地域学校協働活動)」になります。

修立地区には、昔から教育を大事にし、地域全体で子どもたちを育てるという風土があります。持続可能な活動にするためには、みんなが「できるときに できるぶんだけする」活動です。

修立地区の教育力を生かした「修立子どもネットワーク(地域学校協働活動)」を通して、未来を担う子どもたちの成長をみんなで支えていければと考えています。保護者・地域の皆様のご理解のほどよろしくお願いいたします。

         学校生活で使いたい「おもいやり算」

                                            校長 松 下 裕 之

新入生34名を加え、令和5年度が元気よくスタートしました。学期の始め・季節の始めの期待と高揚感が学校に感じられます。4月22日(土)の学習参観日並びにPTA総会、学年・学級懇談には多数の保護者・地域の皆様においでいただきありがとうございました。お家の方に見ていただき、子どもたちは、はりきって学習に取り組んでいるようでした。参観日の公開学習の中で、特別支援学級の子どもたちが一年間の目標を考えていました。大勢の保護者の前で意見を発表するのですから、緊張しないわけがありません。でも、苦労しながらも友達や仲間のことを考えて、意見を発表する姿は微笑ましいものでした。

              「すばやくきりかえ、みんなでわいわい楽しむWBS」

子どもたちらしいとても前向きな目標ができました。話し合いの様子を見ながら、ふとある教育雑誌の記事を思い出しました。さて、みなさんは、こんな計算をご存じでしょうか。

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            +「たす」  助けあうと、大きな力になります。

            -「ひく」  引き受けると、喜びが生まれます。

            ×「かける」 協力しようと、声を掛ければ一つになれます。

            ÷「わる」  いたわると、笑顔が返ってきます。

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これは「おもいやり算」と言うそうです。目標に向かって、助けあい、協力することで、大きな力が発揮されます。困っている人のちょっとした仕事を引き受けてあげることで、相手は喜び、自分も嬉しくなります。あたたかい励まし言葉をかけることで、心もほかほかになります。相手をいたわることで、心が和み、笑顔が返ってきます。

四則計算は、算数の時間が中心ですが、「おもいやり算」は学校生活全体で使っていくべきものです。「おもいやり算」で子ども同士がつながり、子どもと先生がつながる学校をめざしています。そして、「おもいやり算」の結果はいつもプラスなのです。学級や班における子どもたちの活動に、そのまま当てはまる言葉なのです。笑顔の生まれる計算です。

本年度の修立小学校の学校教育目標は、

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        「志に向かって 共に学び 心豊かに たくましく生きる修立っ子の育成」

            ~「あたたかい風」がふく楽しい学校づくり~

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です。目標に向かって教職員34名が一枚岩になって、未来を担う子どもたちの成長のために力を合わせなければなりません。34名の1人が目標と違ったことを実践すると、つまりかける数を0にしてしまいますと、どんなに大きな数をかけても答えを導くことができないからです。わたしたち教職員の仕事が「かけ算」であることを意識し、「チーム修立」として目標に向かって頑張る所存です。保護者・地域の皆様には、昨年同様ご支援、ご協力を賜りますようどうぞよろしくお願いいたします。

             「恕(じょ)」の精神

                                            校長 松 下 裕 之

 今年は、桜の開花が予想以上に早く、新緑の芽吹きのなか、始業式と入学式を行いました。お子様の新入学・新学年への進級、おめでとうございます。本年度は34名の新1年生を迎え、全校児童246名、教職員34名の出発となります。また、5名の転入生との出会いもあり、希望溢れるスタートを切ることができました。特に入学式は、全校児童に見守られ、温かい雰囲気のなか、緊張しながらも小学校入学の喜びと本校の1年生として頑張ろうとする気持ちを感じ、とても嬉しく思いました。保護者の皆様は感慨深いものであったと思います。

 4月は出会いの月。新しい仲間や学級と出会い、新鮮な気持ちと期待をもって学校生活がスタートしたと思います。どの子も「友達と仲良くしたい」「楽しい学級・学校にしたい」という願いを持っていると思います。

 しかし、学級や集団のなかで人が嫌がることをしたり、人が傷つくことを言ったりすること、つまり、いじめがあってはそうした願いも叶いません。修立小学校がめざす「夢と希望をもち 笑顔いっぱい 歌声いっぱい あたたかい風がふく学校」とは、ほど遠いものになってしまいます。

 今から2500年ほど昔、中国の思想家に孔子という人がいました。釈迦・キリストと並んで世界三大聖人の一人です。孔子の教えは「論語」という書物にまとめられています。そのなかで、弟子が孔子に、「一言(いちげん)にして以(もっ)て身(み)を終(お)うるまで之(これ)を行(おこな)うべき者(もの)有(あ)りや」、つまり「人生で最も大切なことを一言で言えば何でしょうか。」と質問しました。すると孔子は、「其(そ)れ恕(じょ)か。己(おのれ)の欲(ほっ)っせざる所(ところ)、人(ひと)に施(ほどこ)すこと勿(なか)れ」、つまり「それは思いやりです。自分がされたくないことは人にしてはならない。」と答えました。

人を受け容れ、認め、許し、その気持ちを思いやり、自分のことと同じように人のことを考えることこそ、人生で一番大切なことだと孔子は教えたのです。

 しかし、「言(い)うは易(やす)く行うは難(かた)し」。なぜならば、人は自分に甘く、他人に厳しくなるからです。何気ない言動が、実は人を傷つけることは、よくあります。そうした軽はずみな相手のことを考えない言動をしたことのない人は、この世に一人もいません。それほど、人が簡単に犯しやすい過ちなのです。人を嫌な気持ちにさせるのも、人間関係を悪くするのも、ほとんどが相手への思いやりのない軽はずみな言動です。

 「恕」の精神は、仲間づくりや学級づくり、つまり人間関係を築く上で大切なものの一つです。自分の言動に相手への思いやりの心を乗せて伝えることができれば、なんて素晴らしいことでしょう。子どもたちには、そんな思いやりのある人になってほしいと思っています。そして、「恕」の精神が感じられる温かみのある学級・学校づくりをめざしてほしいと思っています。

 今年度は、「志に向かって 共に学び 心豊かに たくましく生きる子どもの育成」を目標に、教育活動を充実させ、子ども一人一人が輝く学校づくりをめざしてまいります。そして、子どもたちには、安全に安心して学び、自らの夢を実現させるために、心豊かにたくましく生きる力を身につけてほしいと願っています。そのためには、保護者の皆様をはじめ、地域の皆様の本校教育活動へのご理解とご協力が欠かせません。子どもたちにとって、学校生活が明るく楽しいものとなり、自分のよさをさらに伸ばし、一人一人が輝く一年でありたいと、教職員が一丸となって教育活動を進めてまいりたいと思います。本年度も教職員と保護者、地域の皆様とで同じ方向を見据え、「チーム修立」としてこれからもご協力をよろしくお願いいたします。

          悩みがあるから 人は優しくなれる

                                            校長 松 下 裕 之


草木が芽吹き始め、土中の虫たちが地上に出てくる時期とされる「啓蟄(けいちつ)」。寒さの中にも日ごとに暖かさを感じられるようになりました。啓蟄は中国伝来の暦「二十四節気」の一つであり、春を感じられる物事が多く起こるとされる時期を表します。今年の「啓蟄」は、3月6日です。春になって「さあ働くぞ」と意気込み始める日にもなるそうです。

いよいよ3月に入ります。卒業式まであと22日、修了式まであと29日に迫りました。これから、六年生を送る会、卒業式、修了式へと一年間の中で最も大切な行事を迎えます。また、卒業式の呼びかけの練習や、卒業式の歌の合唱練習など毎日が急にいそがしくなります。

六年生は小学校への哀惜と中学校生活への夢が交錯していきます。五年生以下の子どもたちの心の中も、それぞれ上の学年への進級を前に、期待と喜びに充ち溢れているように見えます。先日、六年生は中学校の体験入学に出かけました。中学校への進学については、その喜びと期待の一方で、勉強が難しくなることへの不安や友人や先輩とうまくやっていけるかといった悩みがうかがえました。

先日、ある冊子を見ていましたら、次のような詩に出会いました。

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                   人がいるから そこに関係が生まれる

                       心があるから そこに悩みが生まれる

                       そして、悩みがあるから 人は優しくなれる

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わたしは、この詩を目にして、あらためてその通りだと思いました。そして、子どもたちにとっては、上の学年に進学、進級すると学習が難しくなるのは当然のことですし、教師、友達、先輩を含めて人間関係が増え、悩みが増すのは事実です。学校生活の中では、友達・仲間といっても、いつもなかよしでいられるわけではありません。けんかをしたり、いやだなと思ったり、すっきりしないこともあったりします。それがわだかまりです。わだかまりが生まれたときこそ、相手としっかり話をして、時には家族や先生、友達に助けてもらいながら、お互いに譲り合ったり、歩み寄ったりして、相手の気持ちに寄り添いながらわだかまりの原因をなくすように自分が努力しなければなりません。人はそんなことを繰り返していきながら、自分以外の人と「折り合いをつける」すべを自分の力で獲得していくと思うのです。

中学校に進学する六年生も、次の学年に進級する在校生も一人一人が同じような悩みを大なり小なり持ちます。「悩みがあるから 人は優しくなれる」この言葉はなんとよい響きでしょう。

わたしたち大人は、子どもたちの悩みを受け止め、子どもたちの声にしっかり耳を傾けながら、成長をゆっくりと温かく見守ることも大切だと感じます。特に保護者の皆様の「見てくれている」「愛されている」という実感は子どもの強みになります。そして保護者の皆様の笑顔と「だいじょうぶ」の一言は、子どもの自信と勇気につながります。逆に子どもたちの人間関係への大人の過剰な反応は、自分で解決しようとする子どもたちの自主性と思いやりの気持ちを育てることの妨げになるかもしれません。

どの子にも、毎日の生活の中で折り合いをつけながら、友達・仲間として、助け合い支え合う子どもになってほしいと願っています。

進級、進学への準備をする3月。一人一人の子どもが、今年度の自己の成長を確かめ、大きな夢と希望を持ち、人間関係を大切にしながらこれからも力強く成長してほしいと思っています。

          心は形をつくり、形は心を整える

                                            校長 松 下 裕 之

令和5年を迎えました。皆様にとりまして幸多き年となりますことを祈念いたします。一月は一年の始まりですが、学年のまとめが始まる時期でもあります。そしてそれは、進学、進級という次のステップに向けた準備をする大切な時期でもあるのです。子どもたちにとっては、今のがんばりが4月以降の大きな成長につながっていきます。ご家庭でも、応援をよろしくお願いします。

さて学校では、毎朝子どもたちが元気に登校しているかなということを確かめながら、下足場の靴(はきもの)の様子を見ています。「はきものをそろえる」ということを大事にしたいからです。

児童玄関の靴は、毎朝きれいに整っています。きちんとかかとがそろって並んでいます。本校の自慢の一つです。この行為はきっと児童玄関以外の場所でもなされるはずと思いきや、現実はそう簡単ではありません。まず、トイレのスリッパの乱れは、少し悲しくなるときがあります。下校後の靴箱はどうでしょう。ほとんどの児童の上靴は整えられていますが、中には上靴が裏返しになっていたり、ときには下に落ちていたりすることもあります。気持ちよく下校できていたのかな、交通ルールは守れているのかなと心配になります。靴の置き方で心の状態が見えるような気がします。

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    はきものをそろえると心もそろう 心がそろうとはきものもそろう ぬぐときにそろえておくと

    はくときに心がみだれない だれかがみだしておいたら だまってそろえておいてあげよう

    そうすればきっと 世界中の人の心もそろうでしょう

                                           藤本幸邦

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「礼儀を大切にしよう~心は形をつくり、形は心を整える~」というポスターの中で藤本幸邦さんの詩を目にしたのは、かれこれ25年前のこと。当時勤務していた校長先生から教わったのが最初です。しかし、この詩は、長野県にある円福寺というお寺の和尚さんだった藤本幸邦(ふじもとこうほう)さんという方がつくったそうです。そのことは、後から知りました。今回は、藤本さんがどうしてこのような詩を作ったのかを少しお知らせしましょう。

今から80年ほど前、日本は戦争をしていました。そして、その戦争が終わった頃、東京は空襲によって、焼け野原のようになっていました。当時の子どもたちは、着る服もぼろぼろで、多くが裸足。

さらに、生活がままならない子どもたちばかりだったそうです。それを見た藤本さんは、とても心を痛めました。

そこで、そのような子どもたちを、長野県の自分のお寺で育てることにしたのです。ところが、ある日、玄関を見ると、脱ぎ捨てられた靴が折り重なったり、あちらこちらにばらばらになったりしていたのでした。それを見た藤本さんは、また心を痛めてしまいました。子どもたちには、いつも「はきものをほっぽらかしにしておくと、また戦争になってしまうぞ」と教えたそうです。

自分の靴をそろえずに脱ぎっぱなしにするという行動は、他の人がどのような気持ちになるのかということをまったく考えていないということ。自分さえよければいいといった、とても自分勝手な考え方が行動に表れる。反対に、自分の靴をそろえることができる人は、心が穏やかで、自分の行動を冷静に考え、他の人がどのような気持ちになるかと思いを巡らせる人になる。だから、そのような人は、他の人が乱した靴を、だまってそろえることができるというのです。みんながお互いのことを考え、思いやることができれば、平和な世の中になっていくことにつながるのだといっているのです。


礼儀正しく話したり接したりすると、人は自分が大切にされていると感じます。はきものがそろっていると、自分も気持ちがいいし、次に使う人も気持ちがいいものです。そこには、次に使う人への思いやりや気配りがあります。

みんなが気持ちよくさわやかな温かい気持ちで生活するには、礼儀正しさが必要です。礼儀正しさは周りの大人や上級生から学ぶことも多いですが、時と場合に応じてきちんと教えることも重要です。「礼儀」のことをご家庭や地域で話題の一つにしていただくとありがたいです。保護者・地域のみなさんの声かけはいつも本当にありがたいと思っています。これからもご協力、ご支援のほどよろしくお願いします。

           大人の背中を見て、子は育つ

                                            校長 松 下 裕 之

校庭から見える久松山周辺の山々はすっかり冬のたたずまいになりました。通学路も一面雪が積もり、冬休みを前に登下校が少し心配です。朝夕は路面が凍っているのでとても滑りやすいです。安全が第一です。

8月25日に学校が再開しましたが、新型コロナウイルス感染症のため、自由参観日が中止になったり、ドリーム音楽会が延期になったりと保護者の皆様には、大変ご心配をおかけしました。しかし、そんな中でも何とか、修立地区大運動会、6年生修学旅行、マラソン大会、ドリーム音楽会、150周年記念式典など学校の大切な行事を無事に終えることができて、安堵しています。一つ一つの学校行事において、子どもたちの素晴らしい頑張りと笑顔が見られ、一生懸命に取り組む姿からは,子どもたちの成長を感じ取ることができ、とても有意義な時間を過ごせたと思います。これも保護者・地域の皆様の惜しみないご支援とご協力があってできたことです。感謝申し上げます。

親にとっては我が子がいちばんかわいい、子どもは親の宝です。学校は、そこを十分承知してお子様をお預かりしなければならないと思っています。

子どもを育てていくために欠くことができない基盤が「親と子の絆」です。もちろん「先生と子どもの絆」「学校・家庭・地域の絆」も重要であることは言うまでもありません。ジャーナリストの むのたけじさんは「詞集 たいまつ」の中で「我が子を幸せに育てるのは至難だが、不幸せにするのはたやすい。ほしがるもの、ねだるものを何でも与えればよい。(以下略)」と書いています。「ものが豊か」な世の中になり、ほしいものは比較的容易に手に入る環境にあるため、我慢することや、物を大切にすることなど「心を育てる」学びの体験が少なくなりました。だからこそ、親としての生き方や我が子への思いや願いをしっかりと子どもに示したり、伝えたりすることは大切なことと考えます。「親の背中を見て 子は育つ」と言われるのはそういうことなのだろうと思います。

ある書物を読んでいると、落語家でタレントの桂小金治さんのインタビューの記事「努力の上にも辛抱という棒を立て、その先に花を咲かせる」に出会いました。深く感銘しましたので、紹介いたします。

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 ある日、友達の家に行ったらハーモニカがあって吹いてみたらすごく上手に演奏できたんです。無理だと知りつつも、家に帰ってハーモニカを買ってくれと親父にせがんだら、すると親父が「いい音ならこれで出せ」と神棚の榊の葉を一枚取って、それで「ふるさと」を吹いたんです。……もちろん、親父は吹き方など教えてくれません。……どんなにがんばってみてもいっこうに音が出ない。諦めて数日でやめてしまいました。

 これを知った親父がある日、言いました。「おまえ悔しくないのか。俺は吹けるが、お前は吹けない。お前は俺に負けたんだぞ。」と僕を一喝しました。続けて「一念発起は誰でもする。実行、努力までならみんなする。そこでやめたらどんぐりの背比べで終わりなんだ。一歩抜きんでるには努力の上の辛抱という棒を立てるんだよ。この棒に花が咲くんだ」と。

 その言葉に触発されて僕は来る日も来る日も練習を続けました。そうやって何とかメロディーが奏でられるようになったんです。……得意満面の僕を見て親父は言いました。「偉そうな顔をするなよ。何か一つのことができるようになったとき、自分一人の手柄と思うな。世間の皆様の力添えと感謝しなさい。錐(きり)だってそうじゃないか。片手では揉めぬ。」

 努力することに加えて、人様の感謝の気持ちが生きていく上でどれだけ大切かということを、このとき、親父に気づかせてもらったんです。

 翌朝、目を覚ました枕元に新聞紙に包んだ細長いものがある。開けてみたらハーモニカでした。喜び勇んで親父のところに駆けつけると「努力の上の辛抱という棒を立てたんだろう。花が咲くのは当たりめえだよ」と。(以下略)

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わたし自身、「我慢」という言葉はまだ使いますが、「辛抱」という言葉はあまり使わなくなりました。子育ての時代背景こそ今と違いはありますが、「子育て」そのものに対する親の姿勢や「こういう人間にしたい」という強い思いは、わたしたちに何かを教えてくれるのではないかと思い、紹介させていただきました。

わたしたち教職員もどんな子どもに育てたいのかを思い描き、どんな背中を子どもたちに見せるのかを考えながら、これからも日々の教育活動に取り組んでまいりたいと思っています。

子どもたち全員が、事故のない楽しい冬休みを過ごし、年明けには、また元気な姿を見せてくれることを職員一同願っております。皆様方が、幸多き新年を迎えられますようお祈り申し上げます。

          学習用具としてのタブレット端末

                                           校長 松 下 裕 之

修立小学校から見える山々の木はすっかり色づき、秋の深まりを感じる時期となりました。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点で修立ドリーム音楽会を19日から26日に延期させていただきました。その際には、保護者・地域の皆様には大変ご心配をおかけしました。明日26日は、待ちに待った修立ドリーム音楽会です。子どもたちから「心を一つにした楽しい音楽」が届けられるものと思います。

皆様のご来校、心よりお待ちしています。


さて、昨年度から本格的にはじまったGIGAスクール構想。「教育のICT元年」とも言われました。文部科学省から「学校のICT環境設備」と「ICTを活用した学習活動の充実」が掲げられ、子どもたちを取り巻く教育環境が大きく変化しました。「タブレットを文房具と同じように学習の道具として使いこなして、学びを充実させること」をめざして、子どもたちには、一人一台のタブレット端末が貸与されました。学校現場では、新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、タブレット端末を活用した学習が積極的に取り入れられています。

タブレット端末の配布から約1年半が過ぎた今、どの学級でもほぼ毎日、タブレット端末を使わない日はありません。教育動画を見て学びを補充する学習、カメラ機能で理科の観察記録をする学習などがあります。また国語科や社会科、総合的な学習など気になった事柄や言葉、記事などを調べるようになった変化もあります。また、家庭学習も音読、計算・漢字練習に加えて、より習熟を図るためのタブレットドリルや自主学習などでも使うため、今やタブレット端末は家庭学習に必要なアイテムとなっています。また、コロナ禍において、タブレット端末があったからこそ救われていることもたくさんあります。

情報化が進む現代において、これからの未来を生きる子どもたちには、「コンピュータを適切に活用し、多くの情報から必要な情報を見つける力、正しい情報を見抜く力など未来を切り拓く力」がやはり必要だと感じます。

しかし、ICT教育が進み、リテラシーが高まることが期待される一方で、この端末を使って様々な課題も見えてきました。ある調査では、①利用による健康上の課題、②コミュニケーショントラブル、③不適切なサイト(有害情報)の閲覧、その他なりすまし等のネットワーク上の不正行為などトラブルは多岐にわたります。そしてこれらは、授業中を含む学校内だけでなく、家庭でも起きているのが現状です。


約3週間後にやってくる冬休みには、子どもたちに現在使用している「学習用タブレット端末」を家庭に持ち帰らせる予定です。子どもたちの遊びや趣味のためにインターネットを閲覧したり、Youtubeを見たりするためのものではありません。学習活動のための文房具です。

そもそも、タブレット端末には有害なサイトにつながらないようにある程度、制限がかかっていますが、そもそもその制限も完全ではないため、制限がかかっていても抜け穴を見つけて使ってしまう場合もあります。冬休みの間、好きな動画やYoutubeの長時間の視聴で生活リズムが乱れてしまったということがあってはいけません。 

現在学校では、4月に配布した「タブレット端末活用のルール」をベースとして、ある程度タブレット端末の利用時間に制限をかける「スクリーンタイム」を導入しようと考えています。ご家庭でも、ルールや利用時間などについて再度話し合うとともに、ゲームや動画視聴などの具体的な禁止事項を確認する、閲覧履歴などを見ながらお子様の利用状況を随時見守るといったことをしていただければと思います。

これからも、家庭と学校がしっかり連携して、子どもたちが上手に使うことができたときには声をかけ、しっかりと褒めながら適切にタブレット端末が活用できる子どもたちを育てていきましょう。保護者の皆様のご理解、ご支援のほどよろしくお願いいたします。


         人と人をつなぐ あたたかい言葉を大切に

                                            校長 松 下 裕 之


朝晩少し涼しくなり、秋の気配がしてきたこの頃です。「暑さ寒さも彼岸まで」とは、よく言ったものです。柿畑の柿も色づいてきました。

わたしの一日は、「おはようございます。」の挨拶で始まります。さわやかな子どもたちの挨拶で、元気になります。挨拶は、人とつながる第一歩です。

「夢と希望をもち、笑顔いっぱい、歌声いっぱい、あたたかい風がふく学校」をめざす本校において、思いやりのあるあたたかい言葉は大切にされなければなりません。語彙の豊かさも大切ですが、何よりも、他者とコミュニケーションをとるためのあたたかい言葉かけが大事です。子どもが希望をもって生きていくため、または思いやりの気持ちをもって生きていくために、他者とかかわるときにやりとりされるあたたかい言葉が重要だと思うのです。

「人は人とのかかわりあいの中でしか成長できない」と言われているにもかかわらず、今という時代は人間がどこまでも孤独になれる環境があります。「うざい」「きもい」「消えろ」と言った暴力的な言葉が、若者や子どものたちの世界で頻繁に飛び交っています。自分専用の携帯用ゲーム機、タブレット、スマートフォン等の画面に向かって、「死ね」といった言葉を連呼し、それが口癖になってしまっている子もこの社会においては見られます。心が病んでしまいそうな言葉を聞くたびに、なぜ子どもたちはその言葉を発するのだろうと、わたしたち大人は子どもの内面を知ろうと寄り添わなければなりません。

コロナ禍の中でわたしたちは、病気になった人をさらに不安にさせる誹謗・中傷といった言葉を発することは、人として最もやってはいけないことで、とても醜いことだということを改めて学びました。病気になった人には、「だいじょうぶ」と思いやりのあるあたたかいたった一言が、安心の気持ちを生むことも学びました。思いやりのあるあたたかい言葉が、人間の生きる希望や勇気になることを知ったのです。


ある本で、「人はあたたかい人間関係の中で、心の安心を得られる。」と書いてあるのを目にしました。友達関係、親子関係、夫婦関係、職場での人間関係、地域での人間関係…。人生の安心・幸せは、様々な人間関係の中で実感されていくものなのです。人は、決して一人では生きられるものではありません。常にそこに自分以外の他者が存在し、その人間と言葉を通して、関係をつけながら生きていくものです。困難なことにぶつかってそれを乗り越えようとするとき、解決に向けてがんばることができるのは、何よりもよりよい人間関係が基盤にあるからではないでしょうか。

わたしたちは、身近な人同士で交わし合う挨拶やあたたかい言葉に、日々励まされながら生活を送っています。人と人との間にある距離を広くするのも言葉、縮めるのも言葉なのです。

子どもたちは、学校生活の中でどんな言葉を使うと、安心して毎日を送ることができるのかを学びます。時には言葉の使い方を誤り、失敗することもあるでしょう。言葉で相手を傷つけてしまったり、自分が傷ついてしまったりしたこともあったと思います。しかし、わたしたちは、そんな人間関係が生じたとしてもその出会いを大切にしなさいと言いたいです。クラスの仲間や先生、様々な行事でお世話になった方々は、何かの縁があって出会い、その出会いの中で自分を成長させてくれる他者だからです。 

多くの人とあたたかい言葉でつながり、安心をいっぱい感じることのできる修立小学校であってほしいと考えています。4月から半年間で、修立小学校の子どもたちは、どの子も確実に成長してきました。今後も、子どもたちや先生方のつながりの中、一人一人が相手を思いやりながら、互いに成長していく教育活動を進めてまいりたいと思います。保護者、地域の方の皆様のご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。



             夏休みを経て 前期再開へ

                                            校長 松 下 裕 之

たくさんの作品と思い出を抱えて、学校に子どもたちの明るい笑顔と元気な声が戻ってきました。夏季休業中には、保護者、地域の皆様が、子どもたちの生活を見守ってくださり、ありがとうございました。お陰様で子どもたちに大きな事故やけがもなく、前期再開を迎えられたことに改めて感謝いたします。この夏は、連日のように熱中症特別警報が発令されて、酷暑の日が大変多かったです。そんな中でも、朝夕に吹く風に紛れて、秋の虫の声も聞かれ始めました。まだまだ残暑厳しい毎日ですが、少しずつ季節は秋に向かっています。

コロナ禍、様々な不安材料が取りざたされていましたが夏の風物詩でもある全国高校野球選手権大会、いわゆる「夏の甲子園」が3年ぶりに有観客の大会としてもどってきました。鳥取県代表は、鳥取商業高校でしたが、その選手の中に以前勤務していた小学校の卒業生が出場していました。夢の舞台ではつらつとプレーする姿に感動し、心が震えました。

テレビの画面越しですが、スタンドには一般観客・ブラスバンド・応援団でいっぱいなのがわかりました。アルプス席からは趣向を凝らしたブラスバンドの演奏が響き、従来のかけ声の代わりに手拍子やメガホンを打ち鳴らして選手を後押しする姿が見えました。大観衆が球児の奮闘に沸く姿が伝わってきました。応援が力になったと感じる選手は、多かったはずです。

新型コロナウイルスの感染拡大とともに入学し、コロナに振り回されながら甲子園を目指してきた球児たちのために、大会主催者は、何とかこの大会を実現させようと大変なご苦労をされたことを新聞で目にしました。出場校の中に集団感染と判断された学校もあり、昨年ならば、大会出場が取り止めになっていたところを登録選手の入れ替えや日程の変更などを取り入れ、辞退するチームが何とか出ないように救済策を講じたそうです。

コロナ禍でも夢を諦めず、白球を追い続けた球児たちに何とか応えたい。その一心から、大会実現の道を考えられたと知りました。

大会の規模は違えども、7月27日(水)に市小学校水泳大会が河原市民プールで3年ぶりに開催されました。大会に向けて一生懸命に練習した市内小学校の5・6年生の児童の頑張りに応えようと、直前まで大会運営の方法に検討に検討を重ね、ようやく開催に踏み切っていただいた大会です。昨年度は中止になっていた大会ですから、どの児童もこの大会を経験していません。特に6年生は、今年が最初で最後の大会です。修立小学校の児童は、自分の持てる力を存分に発揮してはつらつと競技に参加することができました。泳ぎ終わった児童をお互いに称え合う姿も、大変爽やかで心温まる気がしました。練習の成果を発揮したという達成感や満足感にあふれた表情を見るにつけ、コロナ禍でも子どもたちの活躍の場を何とか保障してあげなければという気持ちになった一日でもありました。

さて、学校は授業再開となりましたが、この夏季休業中には感染力の強いオミクロン株の感染が猛威をふるっており、学校再開を機に再び子どもたちへの感染拡大が深刻化するのではと大変危惧しております。この状況を受け、学校においてもこれまで以上に緊張感を持って、最大限の警戒と感染予防の徹底を図っていきたいと思います。

小学校では、10月1日(土)に150周年記念修立地区運動会、10月27日(木)~28日(金)に6年修学旅行、11月19日(土)に修立ドリーム音楽会等の学校行事が控えています。運動会は、令和元年度以来の地区合同の運動会です。感染対策を講じながらの大会運営になりますので、感染拡大防止の面で保護者、地域の皆様にご理解、ご協力いただくことがあると思いますがよろしくお願いします。今後様々な学校行事を計画、実施していく上でやむを得ない対応が生じることがあると思います。ご理解くださいますようお願いいたします。

予定しておりました8月20日(土)のPTA奉仕作業、9月1日(木)の自由参観日は、中止としましたが、今後もコロナ感染予防も徹底しながら学びの保障を図り、学校経営を行っていきたいと思います。地域の皆様、保護者の皆様のご理解とご協力、ご支援のほど何卒よろしくお願い致します。


           素敵で大切な子育ての一コマを

                             校長 松 下 裕 之

 学校の柿畑では、西洋ニンジンボクや紫陽花がきれいな紫色の花をつけています。また、子どもたちが育てている朝顔やカボチャ、キュウリなどは次々と花を咲かせ、実も育ってきています。

 21日(木)から夏季休業日が始まります。今年度の夏休みは35日間です。子どもたちも夏休みを待ち望んでいたことでしょう。保護者ならびに地域の皆様には、本校の教育活動にご理解・ご協力をいただきありがとうございました。今年の夏休みも、サマースクールからスタートします。たくさんの児童が申込をしてくれました。保護者の皆様には、参加についてお子さんの相談にのっていただいたことと思います。

 小体連の水泳大会も2年ぶりに開催される予定です。心も体もこの夏休みで大きく成長することを期待しています。

 さて、親として楽しい夏休みに頭を悩まされたことは、「自由研究」や「自由工作」などの夏休みの課題です。毎年、子どもから「何をやったらいい?」と聞かれました。「自由研究」は、子どもの宿題なので子どもがやればいいのですが、実際はそうはいかなかったです。学校では理科や社会の時間に「自由研究の進め方」について指導されていました。しかし、「自由研究」を経験していない子どもが、問題を見つけ、解決方法を見いだし、結果をまとめることはとても難しいことでした。植物の栽培や昆虫の飼育では、長い期間が必要になります。「自由工作」も、材料を集めたり、自宅にある工具で材料を加工したりすることも、子どもだけでは難しいです。「自由研究」や「自由工作」は大人にとっても、手間がかかり大変であることは間違いありません。

 子どもが小学2年生だったときは、「昆虫マップ」を作りたいと言いました。以前遊びに連れて行った樗谿公園でマップを作りたいというのです。暑くならないうちにと思い、朝7時から公園に連れて行き、公園の中を散策しました。アブラゼミやヒグラシ、ニイニイゼミ、そのぬけがら、アシナガバチやクロアゲハ、モンシロチョウやギンヤンマなど様々な昆虫に出会いました。羽化したばかりのアブラゼミに出会い、その神秘的な姿に目を丸くした息子、また偶然発見したタマムシの鮮やかな姿に親子ともども驚かされました。 

 夏休みの自由研究があったことで子どもと一緒に楽しむことができ、子どもたちと向き合うことができました。子どもの考えを聞くことや考えを交わすこと、作品作りに夢中な表情を見たことは大切な時間となりました。自由研究の話題を食卓で話題にしたとき、既に成人になった息子が「樗谿公園で昆虫マップを作ったことをよく覚えている、必死になってギンヤンマを追いかけとった。」と一緒に調べたときの思い出を話してくれました。一緒に作った昆虫マップは、地図に昆虫名と挿絵や写真、コメントだけをいれたもので、作品としてはたいしたものではなかったと思いますが、おそらく一緒に過ごした楽しい時間がつまっていたと思うのです。長女が育てた朝顔も夏休みに観察日記にしたためました。その朝顔が愛おしくて、毎年実った種を植え続け、18年目を迎えました。今年もきれいな花を咲かせ、その花を見るたびに当時を思い出します。

 忙しくて、子どもと過ごす時間がなかなかとれないというご家庭もあるでしょう。また、せっかくの夏休み、どこかに出かけたいところですが、なかなかそうはいきません。こんなときだからこそ、子どもたちの「自由研究」や「自由工作」など何か一つでも夏休みの作品づくりを通して、楽しい思い出づくりをされるのはいかかがでしょうか。夏休みの自由研究や作品が、素敵で大切な子育ての一コマ、夏の思い出の一コマにきっとなるはずです。

 夏休み後の子どもたちの成長を楽しみにしています。保護者、地域の皆様には、どうか夏休みの間、子どもたちを温かく見守っていただきますよう、引き続きよろしくお願いいたします。


         褒め言葉は、惜しんではいけませんね。

                                            校長 松 下 裕 之

 学校から見える柿畑のけやきの木が深緑になりました。本年度指定を受けた「人権の花運動」で子どもたちが植えたマリーゴールド・サルビア・日々草(ビンカ)が色とりどりの花を咲かせ、児童玄関前を華やかな雰囲気にしています。若葉の季節に生命力あふれる植物同様、子どもたち一人一人の成長を見守らねばと思わされます。

 学校では、子どもたちの頑張りや思いやりのある行動を「メッセージカード」に書き、感謝の気持ちをそえながら、友達のよいところを広げようと「みんなの笑顔をつくろうキャンペーン」をしています。「ありがとう」の言葉が、笑顔にしてくれます。褒め言葉は、惜しんではいけませんね。


 ・遊びにさそったときにいつも仲良く遊んでくれてありがとう。これからも仲良く遊んでね。

  (3年児童から4年児童へ)

 ・仲良し班のときに優しくしてくれたり、いっしょに遊んでくれたりしてくれてありがとう。

  これからもよろしくお願いします。(3年児童から5年児童へ)

 ・そうじを一生懸命にしていてすごいなと思っています。(6年児童から2年児童へ)

 ・○○さんが、いいと思いました。わたしが放送で失敗したときに「大丈夫ですよ」「そのままで

  いいですよ」と励ましてくれたからです。(6年児童から5年児童へ)

 ・歩いているとわたしを見つけたら、笑顔で名前を呼んでこっちに来てくれるのがうれしいです。

  また、会ったときにお話できるとうれしいです。(6年児童から2年児童へ)

 ・委員会の朝の水やりを忘れず来ていてすごいと思いました。それと枯れた花や葉を集めていて、花を

  大切にしているんだなと思いました。(6年児童から5年児童へ)

 ・クラブ(活動)で役割分担をしてひっぱってくれてありがとうございました。(5年児童から6年児童へ)

 ・花を植えるとき教えたら、(次に)友達に進んで「こうだよ」と教えてくれて助かりました。

  ありがとう。(5年児童から2年児童へ)


 そのメッセージを見るにつけ、子どもたちは友達のことをよく見ているなと気づかされます。勉強ができる、運動ができる、ピアノが上手など「できること」はとてもすばらしいことです。でも、そればかりがその子の「よいところ」でないことを子どもたちは知っています。この「メッセージカード」を見ながら、褒められた子どもは、自分にもそういうよい面があるんだと気づかされるでしょう。自分ではそう思っていなくても、認めてくれる友達がいれば、期待を裏切らないようにまた頑張る子どもたちも生まれてくるはずです。子どもというものは、いや人は誰でも、期待されたときに期待されたような人間に成長すると思うのです。

 「あなたはできるわ。待っているから。」と子どもを見守ってあげましょう。周りの大人は手を出したくなる気持ちをじっと抑えて、我慢して待ってあげると、子どもはそう言ってくれたのだから、わたしもできるだろうと思ってくれるのです。どちらかというと手先が器用ではない子どもも一生懸命にボタンをはめたり、靴をはいたりして努力します。そして、これはすぐではないでしょうから、忍耐強く大人の方も、子どもの方も努力し続けるうちに、やがてできるようになるのです。

 子どものある一部を見て、型にはめてあきらめてしまわない。いつも少しでもその子のよいところを見つけてほめてあげ、励ましてあげる、そして忍耐強く見守る。このことは、とても大事なことだと思います。

 25日(土)は人権教育参観日です。緊張しながらも頑張っている子どもたちの姿があれば、褒めてあげてください。暑い日が続きますが、そんな中でも学習に参加している子どもを認めてあげましょう。ぜひ、いっしょに子どもたちを褒めて育てましょう。子どもたちの個性や頑張りを認め、その子の自信につながっていきますよう、今後も皆様のご理解、ご協力のほどお願いいたします。


              「なぜ」の使い方

                                            校長 松 下 裕 之

学校から見える山々がみずみずしい新緑になりました。樹木が一年の中で最も美しい季節です。栽培委員会の子どもたちが植えたペチュニア・マリーゴールド・サルビアが色とりどりの花を咲かせ、児童玄関前を華やかな雰囲気にしています。若葉の季節に生命力あふれる植物同様、子どもたち一人一人の成長を見守らねばと思わされます。

先日、3年生の子どもたちと天神川沿いを散策しました。自然を見つける学習にわたしもわくわくです。

「なぜ、花はいろいろな色があるの」「なぜ、タンポポは黄色だけなの」

さまざまな「なぜ」に戸惑いながらも、子どもの発見と疑問に目を丸くするばかりでした。


よく幼い子どもたちは、世界のさまざまに出会うたびに「なぜ」「どうして」を連発します。

自分の子どもにも「なぜ、夜になると暗くなるの。」「なぜ月は形を変えるの。」と聞かれたことがあります。そのたびに、親として目を細めて我が子の成長を実感し、時々答えを返すのに戸惑いながらも、幸せな気分になりました。

時は流れ、子どもが思春期を迎えると「なぜ」を連発するのは、わたし自身の方が多かったのではと振り返ります。「なぜ、服を脱ぎっぱなしにするの。」「なぜ、宿題をきちんとしていないの。」…

世界の不思議と出会ったときに発せられた、すてきな「なぜ」がいつの間にか誰かを責めるナイフのように使われることになってしまう。そんな経験が自分の子育ての中で思い出されます。今になって思うと、そんなに問い詰めても解決なんてしなかったのにと。

とがった「なぜ」を突きつきられた子どもたちは、答えることができずに黙り込む。

だって、自分でも答えがよくわからないから。苦しくなると、親を納得させられるような理由を作って言ってみたりするけれど、そして、それは誰かのせいにしているような言葉だけど、本当は何か違うってわかっている。

子どもたちだって、本当は幼いときと変わらない「なぜ」を心の中でたくさんつぶやいているのです。でも、その「なぜ」は自分自身に向かう言葉だから、口に出して誰かに尋ねたりしない。答えが見つからなくて頭の中でぐるぐるする問いに、いらだったり逃げ出したくなったりしているのかもしれません。

だから、ときには「なぜ」を使うのをやめてみませんか?

それよりも「あなたはどうしたい?」「あなただったらどうする?」という言葉で、子どもに接してみてはと思うのです。不思議なもので、子ども自身が決めたことは意外と成し遂げるものです。もちろん、失敗することもあります。だけど失敗するから学ぶこともできる。親や先生も含めて大人というものは、できるだけ失敗させない、傷つかせたくない、辛い目にあわせたくないから、先回りして、大人が思うよい方法をとらせがちになります。

「なぜ」を使うときは、「なんであなたはこんなに優しいの。大好き。」

こんな風に使えると、子どもはうれしくなって、自分で一歩踏み出す力に変えているかもしれません。大人の都合で指示したり、問い詰めたりするのではなく、子どもとの「対話」を大切にしたいものです。少しずつ大人に成長しているのだと親や先生から認められれば、子どもたちは自分で行動できるようになると思います。優しい「なぜ」で子どもたちが成長するのを楽しみたいものです。


              「おもいやり」は「思い遣り」

                                           校長 松 下 裕 之

校庭の横にある柿畑に目をやると、新緑を喜ぶような小鳥のさえずりが響き、芽吹いたばかりのみずみずしい若葉に覆われています。修立小自慢の柿畑は、心に安らぎを与えてくれます。入学した1年生を含めて希望にあふれた4月でしたが、その期待に逆行するように新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、感染拡大防止のための学級閉鎖と並行しながら、4月24日(日)から4月27日(水)まで臨時休業の措置をとることになりました。

 学級閉鎖や臨時休業の期間には、マチコミで検査や感染状況などの連絡をとらせていただきましたが、配信が夜遅くになってしまうなど、保護者の皆様には申し訳なく思っております。臨時休業となると、感染拡大防止の観点で規則により放課後児童クラブも閉鎖いたしますので、お子様の預け先、またそれに伴うご家族の勤務先のご都合、もちろんご家族の健康やお子様の看病など様々な面で、ご心配とご負担をおかけしたと思っています。

 学校からのマチコミがなかなか届かない状況に苛立ちをおぼえたご家庭もあったと思いますが、保護者の皆様には冷静に対応いただきました。あらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。                            

 新型コロナウイルス感染症が学校に入り、学級閉鎖や臨時休業の措置をとらなければならない状況におかれるたびに、お子様の命と健康を預かる学校の責任を痛感します。ご家族のお気持ちを察すると、できるだけ早く回復いただくことを祈るばかりです。

 学校での集団検査を実施するたびに、保護者の皆様からあたたかい言葉をいただきました。「学校も大変ですね。」の一言が心にしみます。あらためて「おもいやり」の言葉が浮かびます。

 おもいやりとは、漢字で「思い遣り」と書きます。

 「思い」とは気持ちのこと、「遣り」とはそちらに自分の心を向けるという意味です。ですから「思い遣り」というのは、自分の気持ちを相手にむけるという意味です。

 忘れられない広告があります。以前、テレビの広告で流れていたものです。

      「こころ」はだれにも見えないけれど 「こころづかい」は見える

      「思い」は見えないけれど 「思いやり」はだれにでも見える  その気持ちをカタチに

             (これは詩人、宮澤章二さんの「行為の意味」という題の詩から引いた言葉です。)

 人は、誰しも感染症に対して恐怖や不安を抱いています。だから、コロナを恐れる気持ちは誰にでもあることです。でも、感染した人が誹謗中傷の対象になるのは絶対におかしいことです。自分が当事者だったらどうでしょう。やっと元気になったのに温かく迎えられない。こんな悲しいことはありません。悪いのはコロナであって感染した人ではないのです。相手の立場に立って考えられる「思い遣り」が必要です。

 コロナへの恐怖は、人の心さえ歪めてしまうことがあります。こんなときだからこそ、子どもたちには「思い遣り」をもった人間に育ってほしいと願うのです。相手の痛みがわかる、つらい思いをしている友達に寄り添ってあげられるそんな優しい心をもった子どもに育ってほしいと思っています。

 コロナに感染しても、感染した人が身近にいても、みんなが安心して心穏やかに過ごせる修立小学校、修立地区にしていくために、わたしたち大人が新型コロナウイルス感染症を理解し、正しい判断と行動ができるように協力していきたいものです。学校でも、教職員一同、子どもたちにとって安心安全で学びが保障される学校生活となるよう一致団結していく所存です。今後とも、保護者の皆様のご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。


                伝統を引き継いで

                                           校長  松下 裕之

天神川沿いの桜が満開になり、花びらが風に舞っています。入学・進級おめでとうございます。新年度の始まりに味わえるすがすがしい透明感は、心だけでなく体までもが新しくなれるような気持ちになります。

始業式、子どもたちの瞳が輝いて見えました。1年生は2年生に、2年生は3年生に……どの学年の子どももみんな新しい学年に進級した喜びと希望に燃えて、一人一人の顔が一段と引き締まっています。今年度は、51名の新1年生を迎え、全校児童235名、教職員30名という新たな装いでの船出となりました。

今日より年間約200日の学校生活が始まります。6年間では、約1200日になります。人生の基盤となるかけがえのない日々の始まりです

さて、本校は明治5年、第二番小学として開校以来、明治・大正・昭和・平成と激動の時代を過ごす中、大勢の卒業生に見守られ伝統を築いてきた歴史と伝統のある学校です。そして、日本の文学界、音楽界をリードしてきた尾崎放哉、岡野貞一といった偉人を輩出してきた学校という自負のもと、本年度創立150周年を迎えます。

入学式や卒業式をはじめとした学校行事で歌う校歌の歌詞には、「修徳立志」「心身錬磨」が掲げられ、校歌を歌う時間は、校訓を意識する場となっています。

あらためて「伝統」とは、どんな意味でしょうか。手元にある辞書では、「古くからのしきたり・様式・傾向など有形無形の系統を受け伝えること」(国語大辞典)と書かれています。これらをもとにすると「学校の伝統」は 「昔からその学校で受け継がれてきた特色ある学校行事や教育活動。または、学校生活の中で習慣となっており、児童に受け継がれてきている生活の仕方・雰囲気」と考えることができます。岡野貞一を輩出した学校として音楽を愛する学校、歌声いっぱいの学校で地域に知られています。学習発表会では、修立ドリーム音楽会として音楽中心とした発表会が、2年に1度開催されます。市内に位置し転出入が多い本校は、転入してきた子どもたちもすぐに受け入れるあたたかさと優しさにあふれています。

では、現在のわたしたちは今後、どのようにしてこの伝統を受け継いでいけばよいのでしょうか。わたしは、受け継がれてきた修立小学校を「大切に思う心」と「自分たちが受け継いでいくという決意」だと考えます。どの時代でも子どもたちは先生の教えを受け、学習や運動に励んでいます。それが学校の特色や歴史となって今に受け継がれています。そして、卒業した多くの皆様が地域で、学校を特別な思いで見守っています。わたしたちは、それらを受けて、同じようにその時代の子どもたち一人一人が進んで学習や運動に励み、力をつけていくこと、また、体験活動や人と人とのつながりの中から豊かな心を育んでいくことが伝統を受け継ぐことになると考えます。

今年度も、「志を立て、明るく前向きに生きる子どもの育成」を目標に、創立150周年の伝統を引き継いでまいります。時代に適応し、未来を見据えた新たな伝統を刻み、そして未来へとつなげていくことが今を生きる修立小学校の果たすべき役割です。そのためにも、保護者をはじめ、地域の皆様の本校教育活動へのご理解とご協力は、本校のさらなる発展のためには欠かすことができません。

子どもたちにとって、学校生活が明るく潤いのあるものとなり、喜びと充実感に溢れ、自分のよさをさらに伸ばし、一人一人が輝く一年でありたいと、教職員が一丸となって教育活動を進めてまいりたいと思います。本年度も教職員と保護者、地域の皆様とで同じ方向を見据え、「チーム修立」としてこれからもご協力をよろしくお願いいたします。