interview
建物に仕上げの「化粧」を
ほどこす伝統の技
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建物に仕上げの「化粧」を
ほどこす伝統の技
左官とは
建物の壁や床に、土やセメント、漆喰などの天然素材を塗って仕上げる仕事と、その仕事を行う職人を左官といいます。素材や塗り方、色調はまさに自由自在。その場に合う色や質感、意匠を提案することも多く、空間デザインの側面もあります。起源は縄文時代に遡ると言われる古来の技術ですが、天然素材ならではの調湿・脱臭などの機能が近年改めて注目されています。手仕事が生む風合いが、工業製品にはない温もりを建物に与えます。
住宅や店舗の壁を依頼されるとき、最も多いのが「おまかせ」という注文です。そういうときは、その空間に最適な壁を考え、サンプルを作って提案します。お客さまの納得がいくまで、何度も提案し直す場合もあります。そうして練り上げたデザインを施すのは、建物に、漆喰や土で最後の「化粧」をしてあげるような感覚です。
完成した壁を見て、お客さまや訪れる人たちに喜んでいただけたら最高です。
素材と色の組み合わせ次第で、表現は無限です。
例えば一般的には表面を滑らかなに光らせる「大津磨き」も、少し凹凸のある下地を仕込むと陰影が生まれて印象が変わります。
また、スペインの技法を日本の素材で再現し、立体的な幾何学模様を作ったこともあります。
自分より技術の高い職人の壁を見て、「これはどうするんだろう?」と疑問を持ち、自力で再現に挑戦します。手本の壁を超えるほどきれいに仕上げられたときはとてもうれしいし、この仕事の面白さを実感します。
左官は、同じの腕前の職人が同じ素材を使っても、塗る人によって表情が変わります。
だからこそ誰にも負けない技術、表現を追究し続けています。
いま左官の数は全国的に劇的に減っており、鳥取県でも1000人を切っていると思います。
私は鳥取で左官の面白さを少しでも多くの人に伝え、「左官になりたい」と思う人が増えてほしいと願って、この地で仕事をしています。
一度は関西に出ましたが、鳥取は人と人との距離が近くていいところだと再認識して帰って来ました。仕事で国内外のさまざまな地域へ行きましたが、やはり鳥取が好きですね。
これまで関東や関西だけでなく、ハワイやシンガポール、デトロイトなど海外でも仕事をしました。鳥取にいても、技術や人脈さえあれば、県外や海外で仕事ができると思います。
私の場合、壁が塗り上がっても自分が気に入らなければ、それは「失敗」です。
そんな時はそのままにせず、一度めくって(すべて剥がして)、いちから塗り返します。
それでもまた「失敗」したら、納得がいくまで何度もめくります。
そうして本当に自分が満足できるもの、お客さまに心から喜んでいただいたと自信が持てるものだけを残したいのです。
みなさんに伝えたいのは、「やり直しは何度でもできる」ということです。たくさんやりたいことに挑戦して、たくさん失敗して、そんな風に成長していってほしいと思います。
左官 清水秀夫の詳しい情報