interview
回り道が新天地を拓いた、世界に求められる万年筆職人
interview
回り道が新天地を拓いた、世界に求められる万年筆職人
万年筆博士
鳥取市栄町605
昭和9(1934)年に創業し、親子3代にわたって万年筆の製作や販売を行っています。
3代目の山本竜さんは書き癖カルテに基づく完全オーダーメード万年筆を開発し、老朽化した設備に代わる機械を自作し、新たな礎を築きました。丹精込めて作られる万年筆は、書き心地の良さに加え、芸術的にも高い評価を受けています。
お客さまの書き癖を診断したカルテをもとに、その人に合わせた世界で一本だけの万年筆を作ります。
ボディーには水牛や銘木、エボナイトやセルロイド、象牙といった、美しく稀少な素材を選んでいただきます。
幼い頃から祖父母や父の仕事を非常に誇りに思い、残していきたいと思っていたからです。
反面、彼らのような職人技が自分にできるか自信がなく、当初は別の道を探しました。
しかし、父も、雇っていた職人もだんだんと年老いていき、ほかに継ぐ人も現れませんでしたので、私もさまざまな社会経験を経て覚悟ができ、自分がやるしかないと決断しました。
近年、世界中のお客さまが、この鳥取の工房まで足を運んでくださいます。
さまざまなな国の人の思いを聞き、一生懸命作って、そしてお渡しした時に喜びの言葉をいただいた時は、「頑張って良かった」と感無量です。
一人一人の書き癖に合わせて作るので、究極の実用品に仕上げるのはもちろん、やはり「アート」でなければならないと意識しています。
ご注文されるお客さまは、多くの方が結婚や子どもの誕生、就職、転職、退職など、特別なタイミングで来られます。そうしたお客さまのお話を頭に浮かべながら、思いを込めて作っています。
製作にあたって最高のパフォーマンスを出せるように、体調管理も大切にしています。
手書きの文字には特別な力が宿ると感じています。
その時のその人の温度や感情が乗るので、愛情や思いがしっかり表現されて、かけがえのない手紙になるのだと思います。
使うほど手に馴染み、自分だけの書き味が育つのも万年筆特有の喜びです。アイデアを出すときや文章を考えるときは手書きの方がひらめきやすいと言われており、実際にビジネスマンの中にはアイデアノートに万年筆を使う方が非常に多くいらっしゃいます。
失敗を恐れずどんどんチャレンジして、一生懸命努力をしてください。
私も家業を継ぐ前、好きなことに挑戦しました。アメリカ横断、オートバイのレース活動、東京で起業もしました。
努力したのにどれもうまくいかず、時間も努力も無駄だったと落ち込んだ時期もあります。
ですが、アメリカ横断のために、必死で英語を勉強したから、いま海外のお客様と直接やり取りができています。夢中でバイクの機械いじりをしたから、万年筆作りの特殊な道具を自作できました。起業を経験して度胸がつき、経営を学べました。
そう考えるとあの努力は全く無駄ではなく、どれも今に繋がっています。
みなさんもこれから何かに取り組むとき、どうか結果を恐れないでください。
もし失敗しても、諦めざるをえない瞬間が来ても、途中で道が変わっても、努力したことは必ず肥やしとなって次の成功に繋がっていくと、ぜひ信じて頑張ってください。
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