本校は、1990(平成2)年4月1日、仙台市立114番目の小学校として開校しました。
長町小、西多賀小、鹿野小、大野田小4校から集まった600余名、そして新1年生を合わせた715名は「壁のない教室」、さらに「全床カーペット敷き」という新しい構造のオープンスペースのゆとりある近代的校舎で、夢と希望に満ちた新たな学習・体験に取り組み始めました。
1994(平成6)年11月、全国小学校生活科教育研究会が仙台で開催され、当校において、この施設の特性を十分に生かした「生活科」の授業が公開されました。開校以来、職員・児童・保護者が一丸となり、「新しい時代」の「新しい教育」の実践に取り組んできた当校の研究実践に、多くの方々より高い評価を受けることができました。
2000(平成12)年に開校10周年、2010(平成22)年には開校20周年を迎え、地域をあげて様々な記念行事を行いました。また、2002(平成14)年には防犯モデル地区の指定を受け、以来、地域の発展とともに地域安全に向けて対応を重ねています。今年度も更なる飛躍をめざし、新たなステップを踏み出しています。
本校学区は、仙台市役所から南方約5㎞に位置し、東部の南北に縦走する国道4号線、北部の東北自動車道に連結する国道286号線に囲まれた区域です。さらには、中央に東西に貫く長町折立線と、仙台市営地下鉄南北線長町南駅があり、交通の便にも恵まれた区域といえます。
学区内には太白区役所、仙台南郵便局、仙台南警察署などの主庁舎が存在し、近年、商店、マンションの新築が進み、急速に街並みが変容しており、人口も急増しています。
また、学区のほぼ中心部にある富沢遺跡は、仙台市教育委員会により、1982(昭和57)年より発掘が始められましたが、約2万3千年前の旧石器時代に相当する樹木、石器、火をたいた跡とみられる炭化材の集中する個所などが発見されました。ほかにも、植物の種子、葉などをはじめ、弥生時代より中・近世に至る10数時期にわたる水田の跡が確認されるなど科学的にも貴重な遺跡です。1996(平成8)年11月、これらの貴重な遺跡を当時のままに保存する「富沢遺跡保存館(地底の森ミュージアム)」が開館し、太古の人間の営みの跡を直接見て学習することができるようになりました。当学区はこのような太古の歴史の息吹の中に、近代化への急速な変容を示している学区といえます。
仙台市太白区は、古代遺跡の宝庫であり、学術的にも貴重な遺跡ぞろいです。
長町南小学校学区の富沢遺跡からは、23,000年前の鹿の糞や大量の樹木、石器、昆虫、たき火跡が出土しました。旧石器時代の様子を再現する人、動物、植物の三大要素が揃っているのは世界でも例がないと言われています。
大型の鹿がゆっくり歩く林の中で、旧石器人がたき火を囲みながら生活している様子を想像し、「温故知新」を念頭に考察しました。
校章の図柄は、23,000年の太古、この地域に棲息していた「オオツノジカ」と「南」を組み合わせ、全体として悠々の時の流れと人の世の温かさを表現し、子供たちに夢と希望を与えるものとしました。
スクールカラーは、たき火から連想した「黄だいだい」としました。
校旗の配色は、紫紺の下地に、校章を金糸、銀糸で刺しゅうし、心の豊かさと気品の高さを表現しています。
(平成2年3月)
デザイン : 小 崎 隆 雄
(母体校 元長町小学校校長)
校木 ハンノキ(榛の木)
富沢遺跡発掘の際、種子の一つとして見つかったものに「ハンノキ」があります。旧石器時代、しかも氷河期の最後の寒い時代、アカエゾマツ、グイマツなど針葉樹の多い中で、広葉樹であるハンノキが成育していたことを考えると、ハンノキの生きる力の強さが感じられます。
富沢遺跡を学区内に持つ長町南小学校はハンノキを校木と制定し、強くたくましく生きる児童の育成を目指します。
ハンノキは、カバノキ科の落葉高木で林野にみられます。葉は、長楕円形で雌雄同株、早春に紫茶色の花が咲き、果実は染料、材は器具用、建材用に使用されます。