(1) 自分と他者と世の中について考えるためには,他者との関わりを通してはじめて認識できる。グループにいる他者との協働で,現実の世界をテーマに学ぶこの教科・科目を通して以下の3つを探究してほしい。
①“What am I? ”(私は何者か?)
②“How do I relate to others?”(他者とどう関わっていくのか?)
③“What will I contribute to the world?”(自分は,世の中に何を貢献したいか?)
(2) 協働することそのものは,人類の強みであるからである。決して生き物として強いわけでない人間の祖先がここまでの存在となった理由は,コミュニケーションをとって,共通の目的のために協働してきたことである。Society5.0とよばれる社会変革の中では,よりこの協働性が人間のもつ強みとなると予想され,重要な資質・能力だと考えられる。
(3) 背景が異なる多様な人々との協働は,思考の幅の広がりが大きくなり,同質の人々では生み出せなかった創造性を発揮することになるからである。「多様性は創造性の源泉」とよく言われている。
共に新たなものを生み出すことで,SGH時代から続けてきた「協創力」様々な思考や表現力,コミュニケーション能力を高めていく。
上の図は,宮崎大宮高校がこの5年間プロジェクトや研究活動に取り組んできた実績に基づき,作成した認知プロセスである。プロジェクト・研究・教科学習において複雑な課題を解決する過程を,世界の以下の知見をもとに作成した。
-東大発のイノベーションの学校i.schoolのイノベーションワークショップの標準モデル
-スタンフォード大学にあるd.schoolのデザイン思考のプロセス
-米国のThe Nueva Schoolのデザインプロセス
-Millenium Schoolで行われているSocial Emotional Learning
「グローバル協創」 で扱う内容は,現実世界で実際に起こっていることを対象に行う。現実世界は複雑で解も無数に存在するため,試行錯誤する。この試行錯誤が,この教科での最大の学びである。
このような主体的でおこるのが「はい回る活動」「グループ活動疲れ」である。「価値ある試行錯誤」をするために,全員がこのプロセスを理解し,「次は,何をすればよいか?」と先を見通したり,逆に「行き詰まったらどうするか?」といいか,「次からどうすれば良いか」という作戦を考える時の共通言語として,左のプロセスを学び,使えるようにしてほしい。