棗の有用成分ベツリン酸に皮膚細胞の老化を抑制する効果

(2023/5/16プレスリリース)

現代社会では、健康寿命の延伸や美容への関心が高まる中、アンチエイジング研究がますます重要性を増しています。また、福井県ではナツメが特産品として栽培されており、今回の研究で注目されたベツリン酸は、ナツメに多く含まれることが知られています。これまでにも、ベツリン酸には、抗炎症や抗がんなどのさまざまな生理活性が報告されています。このような背景を受け、福井県立大学生物資源学部の伊藤崇志らの研究チームは、ベツリン酸が皮膚細胞の細胞老化にどのような効果があるのかを調べることにしました。

研究チームは、培養された正常なヒト皮膚繊維芽細胞にベツリン酸を処理し、その影響を調べました。その結果、ベツリン酸が細胞の増殖を促進し、老化現象を減少させることが明らかになりました。また、ベツリン酸は、タイプ1インターフェロン(IFN)シグナル伝達経路を抑制することで、細胞の老化を緩和することが判明しました。

この研究成果をもとに、ベツリン酸を含む新たなスキンケア製品やサプリメントの開発が期待されます。さらに、全身的なアンチエイジング効果や健康増進効果の追求も今後の課題として挙げられます。地元のナツメを活用した商品開発や、福井県をアンチエイジング研究の拠点として位置づけることで、観光資源や地域の活性化につながることが期待されます。

この度の研究成果に関する詳細は、国際的な食品化学の専門学術誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に掲載されました。 

https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.jafc.2c08563