第61回緑膿菌・グラム陰性菌感染症研究会
会長 新井 博之
東京大学大学院農学生命科学研究科 特任教授
このたび、第61回 緑膿菌・グラム陰性菌感染症研究会を、2027年2月19日(金)、20日(土)の両日、東京大学農学部の弥生講堂にて開催させていただく運びとなりました。本研究会は、基礎研究から臨床現場まで、緑膿菌およびグラム陰性菌感染症に関する幅広い知見を共有し、議論を深めるための重要な場として歴史を重ねてまいりました。前回、記念すべき第60回の節目を終え、今回はまさに次の時代へ向けた「新たな一歩」を踏み出す回となります。振り返れば、本研究会の記念すべき第1回は、東京大学伝染病研究所(現在の医科学研究所)の地で開催されたと聞き及んでおります。それから長い歴史を経て暦がちょうど一周し、この第61回という新たな幕開けのタイミングで、再び東京大学の地において本会を開催できますことは、大変感慨深く、身の引き締まる思いです。
この新たな一歩を力強く踏み出すにあたり、私たちは今一度、原点に立ち返る必要があります。緑膿菌が示す驚異的な環境適応能力や多剤耐性といった「強靭性」の本質を理解し、真の克服へと繋げるためには、細胞内の代謝経路や呼吸酵素の挙動など、精緻を極めた生存メカニズムそのものを深く紐解き、直接メスを入れる必要があると考え、今回のメインテーマを「緑膿菌の生存戦略にメスを入れる―分子機構から紐解く『強靭性』の本質―」に設定いたしました。また、今回は農学部での開催という特色を活かし、医学・医療の枠にとどまらず、人、動物、そして地球環境の健全性を一体として捉える「ワンヘルス」や「グローバルヘルス」という広範な視野も見据えております。人の健康を守る臨床・創薬アプローチはもちろんのこと、地球環境の健康をも見据えた多角的なアプローチによるご講演も企画しております。泥臭くも精緻な生化学的・構造学的解析から病原性の本質に迫る基礎研究と、地球規模の視野を見据えたマクロな視点とが深く交差する、熱気ある議論の場を提供したいと考えております。皆様の多数のご参加と、本質に迫る活発なご討論を心よりお待ち申し上げております。