Research

植物の環境適応と多様性形成に関する研究

  植物が地球上の様々な環境に適応し,多様化したことは,多様な生態系が作られた理由の1つです。植物が生育地の環境に最適な生理機能を獲得することは,多様な植物を生み出す適応進化の鍵となる仕組みです。植物の適応進化において,どのような生理機能が変化し,それらの変化がどのような分子機構によって制御されるかを明らかにすることで,多様な植物が創出される仕組みを理解することを目指しています

光受容体に着目した適応進化機構に関する研究

  植物の光受容体は植物が周囲の環境に適応して生きるための生理現象を担う中枢としての役割を果たします。光受容体性質変化することは,植物が新たな環境に生育するために最適な生理機能を生み,新たな種を創出する基盤となる可能性があります。植物の光受容体であるフィトクロムに着目し,フィトクロムに見られる自然変異が生理機能をどのように変化させるかを明らかにすることを目指し,分子進化学・生理学・遺伝学的な研究に取り組んでいます。

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周北極ー高山植物を例にした植物の適応進化に関する研究

  日本列島の標高の高い山に生育する高山植物は,北半球の寒帯に非常に広大な分布を持つ植物です。こうした類稀な広い分布を持つ植物は,地域ごとに直面する様々な環境に適応して生きるための仕組みを持つはずです。こうした地域適応が遺伝的変異によるものなのか,どういった遺伝子の変異が適応進化に関わるのか,また多くの種に共通した仕組みはあるのかを明らかにすることを目指し,国外におけるフィールドワークや系統地理学・集団遺伝/ゲノム学的な研究に取り組んでいます。

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環境変動に伴う植物の分布変遷に関する研究

  気候変動をはじめとする地球環境の変化は,生物の分布ひいては生態系の空間的な広がりを大きく変化させます。現在の生態系は約260万年前から始まる第四紀に繰返した寒冷な気候と温暖な気候の周期的な変動の中で,それぞれの種の分布が変遷する中で作られた歴史を持っています。こうした気候変動に伴う生物群集の過去の動態を明らかにすることは,将来の気候変動が生物群集に与える影響を予測するための基礎となります。遺伝子に残された進化の歴史を紐解くことで,過去の気候変動に伴う生物群集の動態を復元する研究に取り組んでいます。

東北アジアの高山植物群集における系統地理学

  第四紀の氷河時代に大陸氷床に覆われることのな買った東アジアでは,気候の寒冷化や温暖化に伴い南北へと複雑に移動分散を遂げた生物によって群集が作られてきました。過去の気候変動に伴い,高山植物群集がどのような変遷を遂げたかを明らかにすることを目指し,系統地理学の研究に取り組んでいます。

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