近縁種の間で交雑が起きると、どちらの親種ともかけ離れた極端な形質を持った雑種個体が生まれることがあります。これを「超越分離(transgressive segregation)」と呼びます。体の大きさや環境耐性が極端になる場合もありますが、オスの体色や模様、鳴き声とそれらに対するメスの好みといった交配に関わる形質が極端になる場合もあります。もし親種となる近縁種の間で継続的に交雑が起きていたら(そのような場所を交雑帯[hybrid zone]と呼びます)、極端な交配形質を持つ個体が継続して生まれることになります。さらに、極端形質を持つ雑種個体どうしの間でのみ交配が起こるようになると、雑種個体のグループは親種とは交配しないので、新しい種として確立することになります。つまり、交雑帯で継続的に交配形質の超越分離が起きると、いずれは雑種種分化が起きることになります。この推測が確からしいことを進化シミュレーションによって確認することができました。この成果は香川さん(国立遺伝研)とSeehausenさん(スイスEAWAG)との共同研究で、Evolution誌に掲載される予定です。オープンアクセスになっています。
https://doi.org/10.1093/evolut/qpad072
2023.06.13