大学院での学び・研究を活かした進路

大学院での学び・研究を活かすことのできる進路は数多くありますが、ここでは代表的なものについてご紹介しています。

●研究者・大学教員

大学院修了者の進路といえば、まず研究者・大学教員が挙げられます。中央大学大学院でも大学院の創設以来、数多くの研究者や大学教員を世に送り出してきました。研究者を目指している場合、ほとんどの方が博士前期課程(修士課程)を修了した後に博士後期課程へ進学します。

大学院は学部と違い、大学院生という立場であっても、一人の研究者として自身の専門分野を探求し、研究活動を進めていくことになります。大学院には、大学院生の研究活動をサポートする多くの支援制度があり、また、研究成果を発表する場も学内外を問わず、多数用意されています。学会や論文での発表をはじめ、他の大学院生や研究者との交流などといった大学院生時代の経験は、研究者になるうえで欠かせない貴重な経験となります。

また、大学院生としてTA(Teaching Assistant)やRA(Research Assistant)などの業務に就くことができ、授業や研究活動の補助という、研究者や大学教員を目指すにあたって役に立つ経験を積むこともできます。大学院の活動では論文執筆が大きな位置を占めますが、研究者を目指す仲間たちと切磋琢磨し合いながら研究活動に取り組むことのできる時間と環境は、大学院の大きな魅力であり、特徴です。


<大学教員としての就職例> 
※いずれも専任教員。( )内は出身研究科

・九州大学(法学研究科・インタビュー記事はこちら
・山口大学(経済学研究科・
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立命館アジア太平洋大学(経済学研究科・インタビュー記事はこちら
新潟国際情報大学(経済学研究科インタビュー記事はこちら
公立諏訪東京理科大学(文学研究科インタビュー記事はこちら

大阪大学(文学研究科・インタビュー記事はこちら
・工学院大学(文学研究科・
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・作新学院大学(総合政策研究科・
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●士業(税理士・司法書士等)

税理士や司法書士といった士業と呼ばれる職業では、大学院での学びや研究、経験が大いに役立ちます。いずれの職業も専門性が高く、自身の専門分野について深く探求する大学院での研究活動は、働くうえでの強みとなります。また、資格取得や就職に際しても、大学院を修了していることがプラスに働く場面が多くあります。

特に税理士試験では、大学院で「税法」に属する科目等の研究(主に修士論文の執筆)を行った者に対し、税理士試験での「税法」科目を一部免除する制度があります。制度の詳細は国税庁のホームページに掲載されていますが、国税審議会から認定を受けた場合には、税法科目であれば残り2科目にも合格したものとみなされて試験が免除されます。本学大学院では、経済学研究科と商学研究科で免除実績があります。こちらについては、本サイトの「税理士試験「税法」科目免除を希望している方へ」ページもご覧ください。

これから士業を目指す学部生や社会人の方はもちろん、すでに税理士や司法書士として就業している方もご自身のスキルアップや見識を深めるために進学されています。同じの目標を持つ多様な仲間とともに専門分野の知見を深められることも、大学院へ進学して士業を目指す魅力の一つです。


<士業としての就職例>

PWC税理士法人デロイトトーマツ税理士法人、Bbo税理士法人税理士法人フェアコンサルティングEY税理士法人、税理士法人平成会計社、KPMG税理士法人AGS税理士法人、EY新日本有限責任監査法人 ほか

※上記の他に、個人事務所へ就職する方や入学時にすでに勤務していた事務所に継続して就業される方も多くいます。

●公務員

公務員には様々な職種や区分があり、大学院での研究活動(=自身の専門分野を究めること)が活かされる分野が少なくありません。また、就職(採用)にあたり、大学院を修了したことで得られる学位(修士号・博士号)が求められる場合もあります。

たとえば、専門職としての国際公務員(国際連合やその専門機関等の国際機関の事務局に勤める正規職員)になるためには複数の要件がありますが、その一つが修士号以上の学歴を有していることとなっています。要件としては、学位以外にも、深い専門知識や高い語学力、専門領域での実務経験などが挙げられており、大学院における自身の専門分野に関する探究活動は必須のものであるといえます。

日本国内の公務員であっても、国家公務員から地方公務員まで、現代の公務員には複雑化・高度化する社会に向き合い、広い視野を持って働くことが求められています。そのような進路では、大学院での研究や論文執筆を通じて身につけることのできる分析力や判断力、思考力などの能力が大いに役立ちます。大学院修了者のなかには、ジェネラリストとして総合職に就いている人から、自身の専門を生かして専門職に就いている人まで、公務員として活躍している人が多くいます。


<公務員としての就職例>
総務省、文部科学省、防衛省、北海道庁、千葉県庁、昭島市役所、綾瀬市役所、蓮田市役所、新宿区役所、埼玉県教育局、栃木県警察 ほか

●教職(中学校・高等学校教員)

中学校・高等学校の教員として、大学院を修了して専修免許状を取得した人が多く活躍しています。学部卒業の際には、中学校教諭・高等学校教諭の一種免許状を取得することができますが、近年、特に私立学校では、多くの中学校・高等学校において専修免許状を持った人を求める傾向にあります。それに伴って、本学大学院にも多くの教員志望者が進学してきています。特に文学研究科、次いで法学研究科において、大学院修了後の進路として教員を志望する者や教職課程の履修を希望する者が多くいます。

大学院では、教職免許上の取得に必要とされる教職課程教科の履修と単位の修得と、大学院の教科に関する所定の単位を修得したうえで修士の学位を得た場合に、中学校教諭・高等学校教諭の専修免許状を取得することができます。学部で一種免許状を取得している場合は、教職課程を改めて履修する必要はなく、教科に関する科目である「大学が独自に設定する科目」の単位を修得することで、専修免許状へ書き換えることが可能です。

専修免許状を取得できる教科は研究科・専攻ごとに異なります。詳細については、大学院ガイドブックの教職免許ページ(41ページ)をご覧ください。

大学院修了後の就職状況も良好で、例年多くの教員志望者が修了後に教職に就いています。


<中学校・高等学校教員としての就職例>

【公立】
東京都教育委員会、神奈川県教育委員会、千葉県教育委員会、埼玉県教育委員会、岩手県教育委員会、福島県教育委員会、宮城県教育委員会、長野県教育委員会、栃木県教育委員会、茨城県教育委員会、福岡県教育委員会、愛知県教育委員会 ほか
【私立】
中央大学高等学校、中央大学附属中学校・高等学校、旭川明成高校、茨城キリスト教学園中学校高等学校、大宮開成中学・高等学校、大成高等学校、開智学園、木更津総合高校、錦城高等学校、クラーク記念国際高校、樹徳高校、西武台新座中学校・西武台高等学校、獨協埼玉中学高等学校、浜松日体中学・高等学校、藤村女子中学・高等学校 ほか

<修了生の声>
・私立中学・高等学校/英語科(文学研究科・インタビュー記事はこちら

専門職(学芸員・心理職等

学芸員や心理職等の専門職も大学院での学び・研究が求められる進路の一つで、どちらも専門的な知識や技術が必要となる職業です。学部でも対象となる分野について学ぶことはできますが、専門職として働いていくうえでは、大学院での研究活動を通じて得られるより体系的な知識や専門スキル、実習による現場での経験などが欠かせない要素となります。

学芸員は、博物館や美術館などにおいて資料の収集や保管、展示、調査研究などを行う専門職です。必要な科目の単位取得や実習への参加など、要件を満たせば学部卒業時に学芸員の資格を取得できますが、実際に学芸員として就職するためには、上記に挙げたようなより体系的かつ専門的な知識や技能が求められます。学芸員は資格取得者が多いため、学部卒では就職への道のりが厳しく、大学院を修了していることが就職に近づくための道でもあります。また、研究職としての面が強いため、自身の専門分野を探求して成果をまとめるという大学院での経験は非常に役立つものであるといえます。

心理職としては、公認心理士や臨床心理士、各種カウンセラーなど様々な職業がありますが、代表的なものとしては、公認心理士と臨床心理士が挙げられます。どちらの資格試験でも、指定された科目を開設する大学院において該当科目を履修し、修了することで受験資格を満たすことができます。そのため、これらの資格の取得を目指す場合は、要件を満たす大学院(中央大学も該当します)を修了する必要があり、また公認心理士においては、学部で一般心理学や医学等の科目を含む「大学における必要な科目」を履修していることも受験資格を満たすために必要な要件となります。


<専門職として就職例>

【学芸員】
・多摩美術大学美術館(文学研究科・
インタビュー記事はこちら
【心理職】
・準備中。

●民間企業

大学院で得たスキルや経験は、特にこれからの社会では民間企業への就職する際にも大きな意味を持ちます。グローバル化や情報化が急速に進み、複雑で高度な社会となった現代においては、これまで以上に多様な経験や国際的視野を持ち、高度で専門的な職業能力を有した人(高度職業専門人)が求められています。

大学院では、自身の専門分野を深める研究活動や論文執筆を通じて、分析力や思考力、課題解決能力といった高度職業専門人として活躍するために欠かせない多様なスキルを身につけることができます。また、大学院は学部と違って自ら考え、新しいものを創り出していく場であり、実際に現在や将来の社会で必要となる学識を学び、自身で切り開いていく力を養うことができます。

民間企業への就職としての進路は多様であり、業界・業種ともに様々ですが、どの分野においても、大学院で得られる幅広い視野や体系的かつ専門的な知識やスキルを活かすことができます。そして、大学院修了者には、学部卒を超える知識や能力を備えた人として、社会経済の各分野において指導的な役割を果たすことが期待されています。


★民間企業への就職例については、こちらをご覧ください。