文学研究科
西洋史学専攻
西洋史学専攻
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文学研究科 西洋史学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:一橋大学大学院社会学研究科歴史社会研究専攻・博士(社会学)
【専門分野】
西洋史学、科学史
【研究キーワード】
グリニッジ天文台、標準時、経度、地図、イギリス帝国、ヴィクトリア朝、時間、空間
【研究内容】
・19 世紀イギリス社会における時間に関する制度・認識・技術の変化を、経済・軍事・帝国・交通・情報通信・文明意識などの複 数の文脈で考察しています。とくにグリニッジ標準時の浸透に焦点をあて、正確度の高い時報インフラが国内各地に確立していく 過程を検討しています。
・最近では、イギリス帝国の白人定住植民地やインドにおける時間通知技術の改良と入植者によるヨーロッパ的な時間観念の共 有と伝播、さらにグリニッジ世界標準時の確立にいたる経緯を研究しています。また、時間に関する制度、標準時の導入、時計な どの技術革新の実態、国民統合・帝国主義と時間意識などの主題について、共同的な比較史・関係史の可能性を模索中です。
・科学研究の制度的基盤について、イギリス海軍の科学研究部門の設置とその活動を分析しています。海軍はグリニッジ天文台 や世界各地の海図作成を担う水路測量局をはじめ、天文学、潮汐・地磁気・気象観測、造船技術、航海術研究などの領域横断 的な研究体制を構築し、ヴィクトリア時代に巨大な「科学センター」として機能していました。
・2010 年に出版した単著では、正確度の高い経度測定技法とイギリス帝国の拡張の関係を検討しました。この主題に関連して地 図史学にも関心を持ってきましたが、最近ではイギリス海軍が世界規模で実施した海図の作成・出版・流通を対象とする研究を 行っています。とくに東アジア海域に到来したイギリスの測量船をめぐる日英の対立と協働や海図作成技術・知識の移転を検討中 です。
・研究指導・大学院の授業について
近世から現代までのイギリス史全般と科学技術史のテーマについて、研究指導を担当することができます。大学院では、最近出 版されたイギリス史、西洋史関連の和文・英文の研究文献の輪読や各院生の研究発表を中心とした授業を行っています。
【主な論文・著書】
●「海軍の科学研究体制:時間と空間の科学」大野誠編『近代イギリス科学の社会史』昭和堂、2021年
●「時計時間の移植と管理ーイギリス帝国の植民地天文台と時報技術」竹内真人編著『ブリティッシュ・ワールドー帝国紐帯の諸相』日本経済評論社、2019年
●『経度の発見と大英帝国』三重大学出版会、2010年
● "Constructing the ‘Automatic’ Greenwich Time System: George Biddell Airy and the Telegraphic Distribution of Time, c. 1852–1880." British Journal for the History of Science 53(1) 25 - 46, 2020
● "In Pursuit of Accurate Timekeeping: Liverpool and Victorian Electrical Horology." Annals of Science 71(4) 474 - 496, 2014
【メッセージ】
院進学や授業の履修に関心がある方はメールにてご連絡ください。個別の相談も受け付けています。
【担当科目】
史料教材研究Ⅰ、西洋近代史演習ⅠA、西洋近代史演習ⅠB、西洋近代史演習ⅡA、西洋近代史演習ⅡB、西洋史基礎演習ⅠA、西洋史基礎演習ⅠB、西洋史基礎演習ⅡA、西洋史基礎演習ⅡB、西洋近代史特殊研究A、西洋近代史特殊研究B
【問い合わせ先】
ishibashi●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
個人ウェブサイト
文学研究科 西洋史学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:Ph.D.(シカゴ大学)
【専門分野】
古代オリエント学
【研究キーワード】
シュメール語、アッカド語、神話、行政経済文書、文法
【研究内容】
みなさんが、高校の世界史の教科書を開いたときに最初に目にするのが、古代オリエントを扱う章かと思います。古代メソポタミアの文明が栄えたのは遠い昔ですが、私たちがその文明に負うところは少なくありません。六十進法や太陰太陽暦、そして何よりも文字を用いて記録するという行為の起源がそこにあります。私は、古代オリエントの歴史や文化を、紀元前3千年紀後半から2千年紀前半頃に記された楔形文字文書を用いて研究しています。特に、シュメール語文法、文学テキスト、シュメールの女性史の三つのフィールドに焦点をあてています。
シュメール語文法はまだよくわからない部分が多く、「シュメール語文法学者の数ほどシュメール語文法はある」と言われるほど、様々な解釈が提案されてきました。しかし、それ故に研究テーマとして非常に魅力的だと言えるでしょう。私は、博士論文でシュメール語文法の動詞、その中でも複合動詞と呼ばれる特殊なタイプの動詞を扱いました。まず、それらの動詞を含む文章を文学作品の中から抽出して膨大なカタログを作成しました。そして、それらの文章を分析してそれぞれの動詞の意味を割り出し、さらに、言語横断的な言語学の手法を借りて、文章構文のパターンを明らかにしました。博論提出後、シュメール語文法の関連では、自動詞・他動詞・使役動詞の構文、直接話法と間接話法、関係節、日本語の「〜のだ」に相当するシュメール語構文などの分析を行ってきました。
古代オリエントの神話や伝説の解釈・分析・比較もとても興味深いテーマです。英雄ビルガメス(シュメール語)/ギルガメシュ(アッカド語)の物語にしても、女神イナンナ(シュメール語)/イシュタル(アッカド語)の物語にしても、シュメール語文学とアッカド語文学は、文化的・歴史的経緯から、複雑に絡まりあっていて、どちらか一方で足りる事はなく、必然的に両者を扱うことになります。そして、これらオリエントの文学に、イナンナ/イシュタル女神のギリシア版とも言えるアプロディテを加えると、視界が一気に広がります。つまり、極めて面白いオリエントとオクシデントの東西文化交流という研究領域が待ち受けているわけです。
行政経済文書は、王宮や神殿など、公の財の出納管理を目的とした日々の記録です(もちろん、月毎、年毎、あるいは数年分をまとめた記録もあります)。紀元前3千年紀末のウル第三王朝時代だけでおよそ12万点のシュメール語行政経済文書が現存すると見積もられていますが、私の研究対象は、それよりも200年ほど早い、ラガシュ第一王朝時代の文書約1800点です。それらの文書は、代々の王妃が所有管理する「妃の家」と呼ばれる組織の出納記録で、当時の、特に王妃をはじめとする女性たちの仕事や地位や役割に関連するラガシュ社会の仕組みを読み解く鍵になっています。
古代の文書を読みながら私が何をしているのかというと、結局のところ、一体人間は何なのか、どのようにして今に至っているのか、というようなことを考えているのだと思います。
【主な論文・著書】
● "Royal Nurses and Midwives in Presargonic Lagaš Texts," in L. Feliu, F. Karahashi, and G. Rubio, eds., The First Ninety Years: A Sumerian Celebration in Honor of Miguel Civil. SANER 12. Boston and Berlin: De Gruyter, 2017, pp. 157–171.
● "Female Servants of Royal Household (ar3-tu munus) in the Presargonic Lagash Corpus," in A. Garcia-Ventura, ed., What’s in a Name?: Terminology Related to the Work Force and Job Categories in the Ancient Near East. Alter Orient und Altes TestamentT 440. Münster: Ugarit Verlag, 2018, pp. 133–146.
● "Myths and Iconography of Goddess Inana/Ishtar: Intertextual Allusion, in "Sentido de un empeño": Homenatge a Gregorio del Olmo Lete," Lluís Feliu, Adelina Millet, Jordi Vidal, eds., Barcino. Monographica orientalia 16. Barcelona: Edicions Universitat de Barcelona, 2021, pp. 249-261.
● Women and Religion in the Ancient Near East and Asia. SANER 30. Boston and Berlin: De Gruyter, 2023(Nicole Brischとの共編).
● 「シュメール初期王朝時代ラガシュ(ギルス)出土のエ・ミ文書における供物奉献の祭儀」妹尾達彦編著『アフロ・ユーラシア大陸の都市と社会』中央大学人文科学研究所研究叢書74, 中央大学出版部, 2020年,511-542頁.
【担当科目】
史料教材研究Ⅰ、西洋古代史演習ⅠA、西洋古代史演習ⅠB、西洋古代史演習ⅡA、西洋古代史演習ⅡB、西洋古代史特殊研究A、西洋古代史特殊研究B
【問い合わせ先】
fumik●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
Chuo Online
文学研究科 西洋史学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(史学)(上智大学)
【専門分野】
西洋中世史
【研究キーワード】
教会史
【研究内容】
11,12世紀のフランスの教会の史料を中心に読みながら、教会と社会や文化の関係を研究しています。政治のレベルでは、ヨーロッパの王はなぜ教会で聖職者から戴冠されるのか。経済のレベルでは、貧しく生きるはずの教会がなぜ豊かになって広大な領地を持ったのか。文化のレベルではなぜ偶像を禁止したキリスト教で造形芸術が盛んになって、そこで聖歌が楽器を伴って発達し西洋音楽の礎になったのか。民衆信心のレベルでは、疫病や災害の流行時にどのように教会は人々の心身をいやしたのか。いろいろな問いをたたています。それらの問いに答えることで現代のヨーロッパの社会や文化を理解するうえで、基本的な理解を与えてくれると思います。
【主な論文・著書】
●『「聖性」から読み解く西欧中世 聖人・聖遺物・聖域』創元社、2024年
【担当科目】
史料教材研究Ⅰ、西洋中世史演習ⅠA、西洋中世史演習ⅠB、西洋中世史演習ⅡA、西洋中世史演習ⅡB、西洋中世史特殊研究A、西洋中世史特殊研究B
【問い合わせ先】
sugizaki●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
文学研究科 西洋史学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(史学)(中央大学)
【専門分野】
ドイツ近世史、広義の軍事史
【研究キーワード】
ドイツ、軍事史、戦争、啓蒙、革命と改革
【研究内容】
18世紀のプロイセンを中心に、「広義の軍事史」の観点からドイツ近世史を研究しています。広義の軍事史とは、軍隊や戦争とい った事象を国家や社会との関連から問う研究で、例えば、戦闘員の家族の社会的状況であるとか、ある時代の戦争や平和のイメ ージなどを考察します。それを通じて研究対象の時代の特徴を明らかにしていきます。
【主な論文・著書】
●『ヨーロッパの傭兵』、山川出版社、2003年
●『広義の軍事史と近世ドイツ─集権的アリストクラシー・近代転換期』、彩流社、2014年
●「近世プロイセンの軍事条章」『法と文化の制度史』1号、2022年
●「近世プロイセン軍における諸侯連隊」松本悠子・三浦麻美編『歴史の中の個と共同体』中央大学出版部、2022年
●「連隊簿からみた近世プロイセン軍隊社会」『中央大学文学部紀要』(史学)(上)62号、2017年、(下)64号、2019年
【メッセージ】
大学院の授業では、論文作成のために必要な知識を深め、技術を磨くことに重心を置きます。具体的には、文献を正確に読むための語学力、読解力を養うとともに、資料の収集と分析、報告、論評といった学術の基礎訓練に励みます。
【担当科目】
史料教材研究Ⅰ、西洋近世史演習ⅠA、西洋近世史演習ⅠB、西洋近世史演習ⅡA、西洋近世史演習ⅡB、西洋近世史特殊研究A、西洋近世史特殊研究B
【問い合わせ先】
こちらのフォームよりお問い合わせください。
【リンク】
研究者情報データベース
文学研究科 西洋史学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(文学)(京都大学)
【専門分野】
西洋現代史
【研究キーワード】
南アフリカ史
【研究内容】
南アフリカは19世紀初頭以来、長くイギリス領だった。この時期のイギリス帝国は、ヨーロッパ系が多数派を占めるカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど白人定住植民地/自治領と、非ヨーロッパ系が多数派のインドなど従属植民地に分けられることが多い。その中で、アフリカ人が7、8割ながら白人も1、2割の人口を有する南アフリカは、両者の中間として特殊な地位を占めてきた。
『異郷のイギリス―南アフリカのブリティッシュ・アイデンティティ―』では、こうした南アフリカにおけるイギリスの意味を探った。具体的には、第1部で19~20世紀初頭、南アフリカという異郷に赴いたイギリス人がどのような世界を建設しようとしたのかを検討した。次いで、第2部では1920年代以降にも視野を拡大し、イギリス系南アフリカ人がどのような自他認識に至ったのか、軌跡をたどった。また第3部では、カラード(今日の南アフリカではケープタウン周辺の先住民、解放奴隷、「混血」の人々)を素材に「親英」の内実も探った。
しかしながら『異郷のイギリス』では、人口の7、8割を占めるアフリカ人の問題を十分に扱えなかった。その隙間を埋めるのが『ネルソン・マンデラ―分断を超える現実主義者(リアリスト)―』である。同書では、「イギリスやその文化がわれわれに及ぼした影響」を称賛して見せるマンデラの姿を描くことで、前著に通じる問題を扱った。だが他方で、マンデラと共産主義や非暴力主義などとの関係を論じることによって、新たなテーマにも踏み出した 。
以上2冊の単著と並行して、2017年にはキース・ブレッケンリッジ著『生体認証国家―グローバルな監視政治と南アフリカの近現代―』(岩波書店)を翻訳した。同書は、19世紀半ばの「指紋法の父」フランシス・ゴルトンのナミビア旅行から20世紀末の反テロリズム・ATMまで、南アフリカがグローバルな監視政治に与えた影響を幅広く検討している。さらに翻訳を契機として、移民管理や警察における指紋の利用も研究課題となっている 。
【主な論文・著書】
● 『ネルソン・マンデラ―分断を超える現実主義者(リアリスト)―』、岩波書店、2021年
● 『異郷のイギリス―南アフリカのブリティッシュ・アイデンティティ―』、丸善出版、2018年
【メッセージ】
南アフリカに限らず、広く西洋現代史全般に関心のある学生を歓迎します。
【担当科目】
史料教材研究Ⅰ、西洋現代史演習A、西洋現代史演習B、西洋現代史特殊研究A、西洋現代史特殊研究B、西洋史基礎演習ⅠA、西洋史基礎演習ⅠB、西洋史基礎演習ⅡA、西洋史基礎演習ⅡB
【問い合わせ先】
hrchtkyk●hotmail.com
【リンク】
研究者情報データベース