文学研究科
日本史学専攻
日本史学専攻
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文学研究科 日本史学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(文学)(総合研究大学院大学)
【専門分野】
考古学
【研究キーワード】
日本考古学、先史時代、縄文時代、縄紋、年代測定、文化財科学、博物館学
【研究内容】
考古学は、埋まっている土器などの文物、家や墓などの遺跡から、過去の社会や暮らしを復元する学問です。文献史学と異なった方法 で、文字記録の残されていない先史時代を復元する学問として成立しました。近年では、新しい時代についても、文献記録と異なる面か ら歴史を復元する分野として、日本で言えば平城京などに代表される古代から、都市遺跡や城郭址などを対象とした中世考古学・近世 考古学、さらには戦争遺跡などを対象とした近現代考古学まで対象が拡がり、物質文化による新たな歴史像を提示しつつあります。
日本考古学は、御雇外国人学者であったモースによる大森貝塚の発掘によって現代に続く学問が構築されたとされ、明治時代以降に 体系化された比較的若い学問ですが、日本の考古学は世界的に見ても発掘数が多く、細かい時間軸となっている土器編年研究など研 究が大きく進展しています。
日本は、狭い国土に多くの人々が暮らしてきたため、遺跡が高い密度で残されています。日本人は、歴史好きと言われますが、過去の 文化財を大事にする意識が高く、遺跡など埋蔵文化財も史跡など文化遺産として残し、各地に遺跡資料館や埋蔵文化財センターがあ ります。また、開発によって遺跡が失われてしまう場合も発掘調査が義務づけられているため、文化財保護行政担当の専門職の公務員 や、発掘を職業とする研究者・調査員が多く、学んだことを職業として生かしていく場が比較的多いことも特徴的です。
まだまだ学問を発展させる要素が多く、これから伸びていく学問分野です。例えば、人文科学の中でも一番自然科学的分析を取り入れ やすい分野です。その一つに、年代測定法の進展があります。最新研究では、日本を含む東アジアで氷河期の最中である 16000 年前 に土器が出現し、その後急激な温暖化・再寒冷化という気候変動が起き、縄文文化へと変化していることが明らかになり、新石器文化の 始まりについて再検討が必要となりました。多様な土器文化が東アジアの中で同時期に各地で生じたのか、どこかの発生地から拡散した のかなど、新たな問題が現れています。
同様に、縄紋時代から弥生時代への変化の年代についても見直しが迫られています。以前は、紀元前 4~5 世紀頃に稲作技術と青銅 器、鉄器が同時に大陸から日本列島へもたらされたと考えられてきましたが、年代測定の結果、紀元前 900 年以前に水田稲作が伝わ った後、紀元前 800 年頃に青銅器が、さらに紀元前 350 年頃に鉄器が伝わったことがわかってきました。弥生時代の定義も含めて大き く再検討することとなってきました。
従来からの発掘調査による新たな事実の発見ともに、自然科学的手法の導入によって、大きく発展しているのが考古学の現在です。遺 跡を発掘し、土器を研究するに当たり、考古学的な遺跡や遺物への細かい観察眼とともに、科学の眼を通すことで、様々な新しい成果 が上がり、新事実が次々と明らかになってきているのです。
参考 URL https://www.sekaiwokaeyo.com/theme/k0505/
【主な論文・著書】
● 『国立歴史民俗博物館研究叢書 8 樹木・木材と年代研究』(共著, 坂本稔 ・横山操編)朝倉書店,2021 年 3 月
● 『考古学と歴史学』中央大学人文科学研究所研究叢書 73(編著)中央大学出版部,2020 年 3 月
● 『土器のはじまり』市民の考古学 16(編著)同成社,2019 年 6 月
● 『縄紋時代の実年代講座』同成社,2019 年 5 月
● 『縄紋時代の実年代ー土器型式編年と炭素 14 年代ー』同成社,2017 年 11 月
【メッセージ】
考古学を学ぶには、論文講読などをおこなうゼミ活動も重要ですが、発掘などのフィールドワークも重要です。考古学研究室がおこなう 調査や、各地でおこなわれている遺跡発掘に参加してもらい、出土した遺物の整理作業を経験してもらいます。また、外部の研究者が 集まる研究会や講演会などにも積極的に参加することを薦めています。
【担当科目】
インターンシップ(博物館実務研修)、史料教材研究Ⅱ、日本考古学演習A、日本考古学演習B、日本考古学特殊研究A、日本考古学特殊研究B
【問い合わせ先】
kobayashikenichi22●gmail.com
【リンク】
研究者情報データベース
中央大学考古学ゼミ
文学研究科 日本史学専攻 准教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(史学)(中央大学)
【専門分野】
日本近現代史、アーカイブズ学
【研究キーワード】
公害史、公害資料館、大学史、大学アーカイブズ、公文書館
【研究内容】
私の専門分野は日本近現代史とアーカイブズ学です。日本近現代史については、特に近現代の社会問題の歴史に興味があり、いまは公害の歴史を対象として研究に取り組んでいます。公害と聞くと、「四大公害」など戦後の公害を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、戦前にも日本各地で公害が発生し、多くの被害がもたらされていました。明治維新を経て日本が近代化を遂げていく過程で生じた様々な公害は、いわば近代化の影の部分であり、そこに焦点を当てて研究することは、日本の近代化の実相をより広い視点からとらえることにつながります。同時に、戦後の公害もまた、高度経済成長をはじめとする経済や社会の発展のなかで生じたものです。現在においてもなお、日本では公害に苦しんでいる人々が少なくありません。現在起こっている公害を正確に認識するうえでも、近現代日本の公害の歴史を研究することは重要であると考えています。
ところで、歴史を研究するためには、それに関する史料が不可欠です。歴史研究者は同時代あるいは後世に作成された史料を通して、過去の出来事や人物などについて研究します。近現代についていえば、文書として残された史料のみならず、写真、映像、音声など、様々な形態の史料があります。そうした多様な史料に基づいて歴史研究を進めるわけですが、その一方で、史料自体についての分析や史料の保存・公開のシステムを検討することも必要です。私のもう一つの専門分野であるアーカイブズ学はこうした点を研究する総合的な学問です。私はこれまでの研究に引き付けて、大学や公害に関係する史料、またそうした史料を収蔵するアーカイブズ機関(大学アーカイブズ、公害資料館、公文書館など)を研究テーマにしています。過去から伝えられてきた史料を、いかに適切なかたちで次の世代に残していくか。そのことは、過去の経験や記憶を未来に継承するための方法を考えることでもあります。アーカイブズ学の研究者としてだけでなく、歴史研究者としても取り組むべき課題であると思っています。
【主な論文・著書】
●「戦後における文化財行政の地方的展開―神奈川県を事例として―」『考古資料と歴史史料』(小林謙一編)中央大学出版部、2024年
● 「地域社会と公害資料館」『総合文化研究』第29巻第1号、2023年
● 「公害経験の継承と公害資料―アーカイブズとしての公害資料館―」『公害の経験を未来につなぐ―教育・フォーラム・アーカイブズを通した公害資料館の挑戦―』(清水万由子・林美帆・除本理史編)ナカニシヤ出版、2023年
● 「大学アーカイブズ―歴史・現状・課題―」『歴史学研究』第1013号、2021年。
●「公害資料の収集と解釈における論点」『環境と公害』第50巻第3号、2021年。
【メッセージ】
近年、デジタルアーカイブなどの進展にともない、国内外の史料へのアクセスが格段に向上しています。日本近現代史の研究においても、そうしたツールを活用しながら様々な史料に目を通し、自身の研究テーマについて多角的な視点から考察することが不可欠です。授業では、論文講読や研究発表により各自の研究の精度を高めるとともに、近現代史研究のためのアーカイブズの利活用などについても皆さんと一緒に考えていきます。
【担当科目】
アーカイブズ学研究A、アーカイブズ学研究B、アーカイブズ法制論、インターンシップ(アーキビスト実務研修)、史料教材研究Ⅱ、日本近代史演習ⅠA、日本近代史演習ⅠB
【問い合わせ先】
yoshihito●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
文学研究科 日本史学専攻 准教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(史学)(明治大学)
【専門分野】
日本古代史
【研究キーワード】
宮廷儀礼 都城 王宮 政務 官僚制 雅楽 故実
【研究内容】
私の専門分野は、日本古代史です。これまでの研究内容は、①日本古代の王宮と宮廷儀礼に関する研究、②日本古代の政治制度に関する研究、③古代・中世の史料に関する研究の大きく3つに分けられます。
①日本古代の王宮と宮廷儀礼に関する研究
古代には、大和盆地を中心に多くの王宮が営まれました。王宮は天皇(大王)を中心とする古代権力の中枢部であり、王宮の内部構造やそこで行われた政務・儀礼は、古代王権の権力構造を反映したものと考えられています。発掘調査によって明らかにされつつある王宮の遺構と、『日本書紀』『続日本紀』などの文献史料を合わせて考察することで、古代の日常的な政務形態より具体的に明らかにするとともに、従来の政治史とは異なる視点から古代王権の在り方を研究したいと思っています。
②日本古代の政治制度に関する研究
古代の政治史については厚い研究史が存在しますが、古代の官人の勤務の実態や天皇の執務形態といった問題については、実は不明な点が多く残されています。そこで、古代の官人の朝参・朝政といった政務の具体像を分析し、官僚制の実態に迫るとともに、長年議論されてきた天皇聴政の問題などについて取り組んでいます。また、宮廷を多方面から支える官司の制度について、奏楽機関としての雅楽寮の動向に着目し、奏楽制度から見た平安貴族の職務の実態などについても考察を進めています。
③古代・中世の史料に関する研究
精緻な歴史研究のためには、論拠となる史料の価値の検討が必要不可欠です。私はこれまで、京都御所東山御文庫収蔵の六国史や法制史料、あるいは京都市陽明文庫の儀式書・故実書などの写本の調査に参加し、歴代の天皇家・公家が守り伝えてきた史料と接し、それらの価値を伝え、古代史研究に活かす方法を模索してきました。また、重要な宮廷行事の一つである除目に着目し、除目関係の儀式書の探求も進めています。公家の家に伝えられた作法(故実)にのっとり、複雑な儀式を正確に遂行することが彼らにとっての「政治」であり、朝廷のアイデンティティでもありました。そうして作り上げた古代の儀式体系は古代の天皇と貴族による政治体系のある種の到達点であり、そこに古代の朝廷の本質を垣間見ることができるのではないかと考えています。
上記の研究内容は密接に関係するものであり、これらの研究視角から、古代という時代を多角的に見ていきたいと思います。
古代史は、高校までの教科書でもさほどページや時間を割かれることはなく、どこか私たちとは「遠い世界の話」と思われがちな分野です。しかしながら、「日本」がいつから「日本」となり、どのような政治権力が誕生し、いかなる変遷を経て後世に受け継がれたか(あるいは何が受け継がれなかったのか)を知ることは、今後の日本社会の在り方を探る上でも、有効な課題であろうと考えています。
【主な論文・著書】
● 「除目と魚―ある除目故実から―」(『日本歴史』905、2023年)
● 「太政官政務儀礼の形成と展開」(『歴史学研究』1015、2021年)
● 「解説 無外題春除目」(明治大学除目書刊行委員会編『明治大学図書館所蔵 三条西家本 除目書』八木書店、2021年)
● 「宮廷儀礼と幢幡―儀仗制との関わりから―」(『条里制・古代都市研究』34、2019年)
● 『日本古代の王宮構造と政務・儀礼』(塙書房、2015年)
【メッセージ】
歴史学は、過去の人間の営みを知ることで、人間は何をなし得る存在かということを追求する学問であると考えています。千年前の過去が現代社会の役に立つのか?と言われれば返答に窮しますが、まずは史料の奥に隠された古代人の泣き笑いを読み取ることを、皆さんと一緒に楽しみたいと思います。
【担当科目】
史料教材研究Ⅱ、日本古代史演習ⅠA、日本古代史演習ⅠB
【問い合わせ先】
こちらのフォームよりお問い合わせください。
【リンク】
研究者情報データベース
文学研究科 日本史学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)、東北大学
【専門分野】
日本史
【研究キーワード】
中世史、政治史、東北地域史、古文書、古記録、中世古系図
【研究内容】
日本中世史について、政治史を中心に、複眼的な視点をもって研究を進めている。具体的には、公家政権(院政など)と武家政権(幕府など)の双方の立場から政治動向を追う、あるいは中央の視座と地方の視座を融合させて多角的に政治史を追究するなど、異なる切り口から明らかになる歴史像を総合的にとらえる研究視角を重視している。こうした視点は史料読解においても重要で、客観的な史実を解明するためには、特定の立場に偏らない解釈が求められる。そのために史料の基礎研究にも力を注いでおり、古文書や古記録のほか中世古系図にも目を向け、史実解明の下地を整える研究を行っている。
歴史的視点から社会や地域の理解を深めることは、私たちにとってアイデンティティの確認につながる。また、複眼的に歴史を見る視座は、異なる角度から物事を見る目を育み、何かに偏らないものの見方・考え方を養うことができる。同じ社会に生きる私たちがお互いに理解し支え合うために、歴史学は大きな役割を果たし得るものと考えている。
近年の研究は、古文書や古記録などを対象とした史料研究を中心に進めている。基礎的な史料研究の幅を広げ、その成果を積み重ね、史実を解明するための根拠となる史料をより充実させるのが目的である。さらには、勝者から語られがちな政治史、あるいは中央から描かれがちな歴史像を相対化し、多角的な知見を提示していくことを目指している。
【主な論文・著書】
●「『台記』保延二年記写本の比較研究―写本系統および史料的性格をめぐって─」(『人文研紀要』第109号、2024年9月)
●「『台記』保延二年記写本に関する一考察─烏丸本・狩野本・広幡本・日野本の写本系統─」(『人文研紀要』第106号、2023年9月)
●「『台記』保延二年記の写本系統に関する一考察」(『人文研紀要』第103号、2022年9月)
●「中条家文書所収「三浦和田氏具書案」の基礎的考察」(『歴史』第128輯、2017年4月)
●『中世の王朝社会と院政』(単著、吉川弘文館、2000年2月)
【メッセージ】
学問的手法から得られた思考力は、物事を客観的かつ論理的に処理する能力を伸ばします。そして、社会の転換期を迎えている今こそ、過去から学ぶ歴史学の果たす役割が高まっていると考えています。
【担当科目】
史料教材研究Ⅱ、日本古代史演習ⅡA、日本古代史特殊研究A、日本政治史演習ⅠA、日本政治史演習ⅠB、日本政治史特殊研究ⅠA、日本政治史特殊研究ⅠB
【問い合わせ先】
こちらのフォームよりお問い合わせください。
【リンク】
研究者情報データベース
文学研究科 日本史学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(史学)(中央大学)
【専門分野】
日本中世史(開発、環境史、武家由緒論)
【研究キーワード】
水資源、自然災害、山野の生業、荘園、村落、武士団、武田家、富士山
【研究内容】
現在、地球規模で気候の温暖化が進むとともに、地震・噴火・風水害等の自然災害が相次いで発生し、私たちの日常生活をはじめ、政治・経済・文化等に大きな影響を及ぼしています。現在の科学技術をもってしても、予測や制御が困難な自然災害に、私たちはどのように対応すべきか。この問いかけを踏まえた新たな社会のビジョンが求められています。
この一方、今日の日本列島の社会では、地方の過疎化が進む一方、都市部でも対人関係が希薄化し、人々の「孤立」が社会問題となっています。このため、家族・親族や仕事、地域の間で育まれてきたネットワークや、人々のアイデンティティのあり方について、改めて振り返る必要があるのではないでしょうか。
こうした問題意識を踏まえて、自然環境と人々との関わりという視点、並びに人と人との関わりという視点から、現代に受け継がれている社会制度や文化等の原型が生まれたと考えられている日本中世史の研究に取り組んでいます。
このうち、自然環境と人々との関わりの歴史については、15・16世紀における山野の開発や資源の利用にともなう自然環境の変化が、荘園や村落の結び付きや土地利用に及した影響を研究するとともに、水害や地震・噴火等の自然災害の記録・伝承が受け伝えられてきた過程を通して、自然災害に対する地域社会の認識のあり方を探っています。この結果、自然条件の影響を受けやすかった中世の開発では、時には既存の開発に対する犠牲の発生を許容しつつ、新たな開発が展開する場合もあったこと、また、資源の保全や災害からの復興に際しては、村落を中心とした地域社会が、主体的に当事者間の調整を行っていたことなどが明らかとなりました。
続いて、人と人との関わりの歴史については、12世紀以降における中世武士団のネットワーク、並びに系図等に表わされた武家の由緒の成立過程を対象に研究しています。特に、甲斐国(山梨県)を拠点としつつ日本列島の各地に拡大を遂げた、武田家を始めとする「甲斐源氏」と呼ばれる武士団が、12世紀末のいわゆる「源平合戦」と呼ばれる治承・寿永の内乱期に、京都での活動を通して形成されたネットワークや源頼朝・義仲との連携を踏まえて、現在の東海地方周辺に進出し、事務能力に優れた京都出身の下級貴族を取り込んだ、「政権」を樹立したこと、そして、13世紀末の鎌倉幕府において御家人の家格や地位が確立し、固定化していく過程で「甲斐源氏」という呼称が成立し、一族の同族意識が再認識されたことなどが明らかとなりました。
以上のような研究成果の蓄積を通して、自然環境の保全やアイデンティティの模索など、現代社会が抱える諸課題に歴史文化の観点から向き合い、未来に向けた新たなビジョンや価値観を生み出すきっかけとなっていくことを、研究活動の目標としています。
【主な論文・著書】
●『中近世の資源と災害』、吉川弘文館、2023年。
●『武田一族の中世』、吉川弘文館、2023年。
●『シリーズ・中世関東武士の研究32甲斐源氏一族』、戎光祥出版、2021年。
●『甲斐源氏 武士団のネットワークと由緒』、戎光祥出版、2015年。
●『中世後期の開発・環境と地域社会』、高志書院、2012年。
【メッセージ】
一つ一つの史料を実証的に読み込み、納得するまで考察を深めていく研究者の基本とともに、問題意識を持ち研究に取り組む姿勢を大切にして授業を行いたいと思います。特に、地域の歴史文化の観点から現代社会の様々な課題に向き合い、研究の成果を社会に還元する、地域と結び付いた歴史学研究をめざす大学院生を歓迎します。一緒に学び、究めていきましょう。
【担当科目】
史料教材研究Ⅱ、日本中世史演習ⅠA、日本中世史演習ⅠB、日本中世史特殊研究A、日本中世史特殊研究B
【問い合わせ先】
knishi●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
文学研究科 日本史学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(史学)(中央大学)
【専門分野】
日本近代史、アーカイブズ学
【研究キーワード】
明治維新、記憶、記録、天皇、旧藩、公文書管理
【研究内容】
現在とくに関心がある研究テーマは以下の3点です。
①明治維新とよばれる歴史上の出来事がどのように社会に記憶されてきた/されているのかを研究しています。「歴史」は、自然に存在するものではなく、今を生きている人びとが過去を振り返ることで誕生する物語です。明治維新は、戦前から今に至るまで近代日本の出発点としてたびたび回顧されてきましたが、その語り方は語り手が生きる時代や人・組織によって異なります。無名だった坂本龍馬が人気者になったり、天皇の敵として死んだ近藤勇や土方歳三が英雄になったりします。そのような物語は偶然生まれる訳ではなく、「時代の子」として産み落とされたものです。敗戦後、明治維新は戦争に向かってしまった近代の始まりとして批判的に検証されますが、高度経済成長期に日本が豊かになるとポジティブに捉えられて明治維新を題材とした小説・ドラマなどが人気を博します。「歴史」は、唯一無二のものではなく、時とともに姿を変える今を映す鏡なのです。こうした考えのもと、明治維新像の分析を通じて、それを語る社会のあり方を考えています。
②近世の藩や大名が地域社会の近代化に及ぼした影響を検討しています。1871 年 7 月の廃藩置県で制度としての藩は消滅しますが、その後も旧大名家やその旧家臣団は旧領地と深い関係を保ち続けます。旧大名らは地域社会における教育・文化・産業などに莫大な資産を投下し、親睦会などを通じて旧藩士や旧領民との結びつきを維持・強化していきます。政治・行政機構としての藩は失われても、その結合までは解消されなかったのです。こうした旧藩を基盤とした社会的な結びつきは、地域社会の近代化を考える上で欠くことができない要素であることが、各地の事例研究から明らかにされつつあります。また、今日でも旧藩時代をアイデンティティとし、近世とのつながりを意識した地域づくり、観光振興策を打ち出している自治体も少なくありません。こうした研究分野は、いまだ事例研究の段階にとどまっているため、第一線で活躍している研究者とともに総合的な分析と理論の構築を試 みています。
③歴史学と深い関係にあるアーカイブズ学にも関心があります。特に、近年話題となっている公文書管理の問題や、地域に伝わってきた歴史資料を地域社会の持続にどう役立てられるのかを考えています。関心のある方は、以下のページを御覧下さい。
Chuo Online https://yab.yomiuri.co.jp/adv/chuo/research/20180510.html
大学院新着ニュース https://www.chuo-u.ac.jp/academics/graduateschool/news/2021/01/52663/
【主な論文・著書】
●『公文書管理法時代の自治体と文書管理』(編著、勉誠出版、2022年)
●『歴史資源としての城・城下町』(編著、岩田書院、2021年)
●「地域における明治維新の記憶と記録」(『日本史研究』679、2019年)
●『天皇陵と近代―地域の中の大友皇子伝説―』(平凡社、2018年)
●『戊辰内乱期の社会―佐幕と勤王のあいだ―』(思文閣出版、2015年)
●『国葬の成立―明治国家と「功臣」の死―』(勉誠出版、2015年)
【メッセージ】
千葉市の埋め立て地という歴史がない町で育った私が歴史学、特に日本の近代を研究してみようと思ったきっかけの一つは、太平洋戦争を兵士として経験した祖父の語りでした。歴史学は、人間の営みを検証する学問であるため、テーマは身近なところに潜んでいると思います。今私たちが抱えている課題を検討するために、過去と向き合ってみましょう。
【担当科目】
インターンシップ(アーキビスト実務研修)、日本近代史演習ⅡA、日本近代史演習ⅡB、史料管理学研究、史料教材研究Ⅱ、アーカイブズ法制論、インターンシップ(アーキビスト実務研修)、日本近代史特殊研究A、日本近代史特殊研究B、史料学特殊研究
【問い合わせ先】
j-miyama●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
中央大学大学院新着ニュース
文学研究科 日本史学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(歴史学)(名古屋大学)
【専門分野】
日本近世史
【研究キーワード】
家・同族、村落、地主・豪農、地域社会、幕府領支配、水害、飢饉、災害
【研究内容】
私は日本近世史(江戸時代)の研究をしています。主には村落や地域社会を対象に、残された史料を調査して分析しています。日本の近世は識字率が上がり、残される史料の量が飛躍的に増大したため、今でもかつての村や町の旧家に多くの古文書が残されています。その内のごく一部は公的な機関(文書館や博物館等)に収蔵されたり、活字化して出版されたりもしていますが、手付かずのまま旧家の土蔵の奥で眠っているものも多数あります。それらを調査して掘り起こすのがこの研究の一番の醍醐味です。
日本近世の村落史・地域史の研究と一口に言っても、その分析方法は研究者によって様々で、私の場合は、特定地域(フィールド)を多面的に描くことに特にこだわっています。それは村や地域に生きる人にとっては政治だけでなく経済や文化その他のこともみな重要な関心事であって、それらは本来切り離して扱うことはできないもの、堅く結びついているものだと考えるからです。特定の村や地域に色々な角度から光を当てて多面的に実像を浮かび上がらせたいと思っています。
このような考えから信濃国の幕府領を主なフィールドとして、これまで①家・同族・組等、村落内部の社会関係のあり方が村政のあり方に与えた影響に関する研究、②代官が管轄する広域の村々の支配の仕組みと、それを支える様々な担い手たちのあり方に関する研究、③幕府内部の幕閣-勘定所-代官といった支配機構のあり方が幕府領支配に与えた影響に関する研究を進め、本を出しました(『近世幕領地域社会の研究』)。その後は、北信濃の地主山田庄左衛門家(②の担い手の一人であり、明治期までに長野県で最大規模の地主に成長する)やその周辺村々の史料調査を進め、④地主小作関係が展開する中で村が果たした小作人擁護の役割や、⑤地域内を流れる千曲川が度々起こした水害に人びとがどのように向き合ったか、具体的には村・地主・代官所役人・幕府等諸主体の利害関係や動き等を踏まえた、近世から近代にかけての治水のあり方に関する研究等を進めています。
特に⑤の水害の研究に際しては、地元の中野市教育委員会と共同で史料調査を進めました。そのきっかけは中野市が東日本大震災を機に地域の災害に関する歴史資料を収集・検討する作業を開始したことにあります。私や大学院のゼミ生たちもこの作業に加わりました。その後、2019年の台風により中野市対岸の長野市で千曲川の堤防が決壊し大きな被害が出たことで、千曲川水害の歴史に関する社会的関心が高まっている状況です。
このように特定地域に密着することで基礎構造を多面的に描き出しながら近世社会像を組み立てるとともに、現在その地域に生きる人びとの問題関心にもこたえていける研究を目指しています。
【主な論文・著書】
●「検地帳・年貢割付状にみる千曲川沿い新田の開発と水害」、『中央大学文学部紀要・史学』69号、2024年3月
●「近世の百姓の欠落ときょうだい」、『きょうだいの日本史』吉川弘文館、2024年9月
●「幕末千曲川の治水と地域社会」、『中央大学文学部紀要・史学』65号、2020年3月
●「東信濃幕府領の天保飢饉」、『中央大学文学部紀要・史学』64号、2019年3月
●『地域史研究の今日的課題』(共著、人文科学研究所編)中央大学出版部、2018年3月
【メッセージ】
日本近世史の大学院ゼミには、村落史・地域史だけでなく、様々な分野の研究を進める院生に集まってほしいです。いろいろなテーマの研究をそれぞれ持ち寄ることで、ゼミ全体で日本の近世はどういう時代かについて考えていくことができればうれしいです。ゼミでは、他大学の近世史ゼミと合同で研究会を催したり、夏・春休み等に史料調査合宿をしたりなど通常の授業以外の企画もあります。楽しみながら学んでいきましょう。
【担当科目】
史料学特殊研究、史料管理学研究、史料教材研究Ⅱ、日本近世史演習ⅠA、日本近世史演習ⅠB、日本近世史特殊研究A、日本近世史特殊研究B
【問い合わせ先】
ykei●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース