商学研究科
会計学系
会計学系
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商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:慶応義塾大学大学院商学研究科博士課程満期退学
【専門分野】
財務会計
【研究キーワード】
利益、経済的利益、会計利益、業績報告
【研究内容】
会計学という学問は、法学、経済学、言語学のざまざま学問の成果を取り入れて発展してきました。会計学の中心概念である利 益も、その例外ではなく、経済学的利益という経済学者が考え出した利益の影響を強く受けています。経済学的利益にはどのよう なものがあるか、またそれがどのような影響を会計学の利益に与えているのかを研究しています。
【主な論文・著書】
●「CCE の加法性-情報基準としての加法性概念」『会計』第 151 巻第 2 号
●「経済的冨と利益から会計規制へ-Michael Bromwich の所説を中心に」『商学論纂』第 42 巻第 4 号
●『財務会計論の重点詳解第4版』中央経済社.2020
【メッセージ】
社会科学は社会を見るメガネです。会計学をはじめとして様々な商学研究科の学問をしっかり身につけ、それらの学問というメガネで社会を見ることができるようになってほしいと思います。
【担当科目】
演習Ⅰ(財務会計論)、演習Ⅱ(財務会計論)、会計学原理Ⅰ
【問い合わせ先】
Asakura●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(法学)(一橋大学)
【専門分野】
租税法、国際課税
【研究キーワード】
受益者、租税条約、空中権、相続税、贈与税
【研究内容】
国際課税や租税法の問題について研究しています。租税条約における受益者要件の適用範囲や機能などを解明することを目的として考察しています。国際相続の問題にも関心があります。また、空中権取引をめぐる課税理論の基礎的枠組みを示すことを目的として米国などの事例を参照して研究を進めています。
演習では、租税法の概念や制度を体系的に理解してもらえるように研究指導を行っています。租税法は、様々な経済活動と密接に関連している法分野ですので、講義では判例研究などを通じて租税法の解釈や適用の問題について多角的な視点から考察したいと思います。
【主な論文・著書】
●『資産の交換・買換えの課税理論』中央経済社、2017
●「租税条約における所得の人的帰属と受益者要件-イタリア最高裁日本年金基金事件判決 It Corte di Cassazione , 30.Sept. 2019,Decision No.24287)を検討して-」共著『公法・会計の制度と理論』中央経済社、pp3-26、2022年3月.
●「夫婦間・親子間の財産移転と贈与税-中立性の観点から-」『夫婦・親子と租税法』日税研論集81巻・第3章pp.103-146、2022年3月.
●「租税条約上の受益者条項の意義とその適用範囲(LOB条項との関連を含めて)-Prevost Car社事件判決とスイスのSwiss Swap事件判決を検討して-」国際取引法学会誌第6号pp.63-87、2021年3月.
●「移転価格税制における所得相応性基準と費用分担契約(Cost-Sharing Agreements)の適用について:Altera事件判決におけるストックオプションの費用分担の問題を中心に」税研34(1) pp.23-29、2018年5月.
【メッセージ】
皆さんと一緒に学べることを楽しみにしています。
【担当科目】
演習Ⅰ(税法)、演習Ⅱ(税法)、国際税務論Ⅰ、消費税法、消費税法Ⅰ、税法判例研究Ⅱ、総合特講(消費税法Ⅰ)、特殊研究Ⅰ(税法)、特殊研究Ⅱ(税法)、特殊研究Ⅲ(税法)
【問い合わせ先】
こちらのフォームよりお問い合わせください。
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研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経済学)(京都大学)
【専門分野】
管理会計、会計教育
【研究キーワード】
管理会計、会計教育、責任会計 、アクティブラーニング、体験学習
【研究内容】
会計・経営・教育分野を中心に、様々な研究・教育活動を行っています。詳しくは「主な論文・著書」などをご覧ください。
【主な論文・著書】
●Sugahara, S., Kano, K., & Ushio, S. (2022). Effect of high school students’ perception of accounting on their acceptance of using cloud accounting. Accounting Education, 1-20.
●潮清孝, & 加納慶太. (2022). クラウド会計を用いた教育実践: 事例にもとづく論点探求. 会計教育研究, 10(1), 10_54-10_64.(日本会計教育学会賞)
●Ushio, Sumitaka, and Nobuhisa Yamamoto. "The application of deep learning to predict corporate growth." International Journal of Economics and Accounting 10.2 (2021): 248-263.
●Sugahara, Satoshi, Nabyla Daidj, and Sumitaka Ushio. Value Creation in Management Accounting and Strategic Management: An Integrated Approach. John Wiley & Sons, 2017.
●Ushio, Sumitaka, and Yasuyuki Kazusa. "The development of accounting calculations as chronological network effects: Growth rings of accounting calculations." Journal of Accounting & Organizational Change (2013).
●『アメーバ経営の管理会計システム』中央経済社, 2013.(日本原価計算研究学会賞)
【担当科目】
演習Ⅰ(管理会計)、演習Ⅱ(管理会計)、管理会計論Ⅰ
【問い合わせ先】
こちらのフォームよりお問い合わせください。
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(商学)(一橋大学)
【専門分野】
財務会計論、税務会計論
【研究キーワード】
税負担削減行動、コーポレート・ガバナンス、会計認識論
【研究内容】
私の研究内容は、税金と企業行動の関係性ということが出来ます。税金に関する研究といえば、税法や各種通達などの解釈や規定の分析が中心となると思います。こうした研究領域と隣接する、租税制度や租税そのものが企業行動に与える影響に私自身は関心があります。特に、税負担を削減ないし回避しようとする企業経営者のインセンティブや経営者の行動理由を明らかにすることをテーマとした研究を、主に行っています。
こうした研究を進めるきっかけとなったのは、日米企業間での税負担に大きな格差があることへの疑問でした。調査を進めていく中で、日米での租税制度の相違が根底にありつつも、重要なのは会計制度や会計基準の相違、そして個々の企業におけるコーポレート・ガバナンスの違いにあると考えるようになりました。現在は、この知見を基礎に実証的に研究を進めております。実証的に研究を進めることで、実社会における租税の意義や役割を改めて問い直したいと考えております。
【主な論文・著書】
●“Tax Avoidance by Overconfident Managers and Restraint by Corporate Governance :Evidence from Japan”『商学論纂』第65巻第3・4号(2023)。
●「会計保守主義と人的資源投資の効率性に及ぼす影響~会計研究の課題と方法~」『経理研究』第62号(2022)。
●「監査報酬と租税負担削減行動の関連性~監査リスクとの関係を中心に~」『Disclosure & IR』15巻、11月号(2020)
●“Corporate Governance Issues regarding Transfer Pricing Taxation: Evidence in Japan”. Asian Business Research, Vol.2(3): 58-74(2017)
●『租税負担削減行動の経済的要因ー租税負担削減行動インセンティブの実証分析ー』同文舘出版、2015年3月
【メッセージ】
大学院では学部で学ぶ以上の努力と貢献が求められます。でもその成果は学部で得られる以上のものであることは保証します。
【担当科目】
演習Ⅰ(実証会計)、演習Ⅱ(実証会計)、実証会計研究Ⅰ、実証会計研究Ⅱ、特殊研究Ⅰ(実証会計)、特殊研究Ⅱ(実証会計)、特殊研究Ⅲ(実証会計)
【問い合わせ先】
Hiroshi-onuma.213●g.chuo-u.ac.jp
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研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:商学修士(中央大学)
【専門分野】
会計情報システム論
【研究キーワード】
会計情報システム、管理会計、データ構造
【研究内容】
会計は経済主体の経済活動を貨幣単位で測定し、記録する手段です。企業会計の記録手段として知られる複式簿記の誕生は16世紀に遡ると言われますが、複式簿記の仕組みは1960年代にはコンピュータ処理に組み込まれ、1980年代には世界の多くの企業に定着しました。コンピュータを活用した企業会計を「コンピュータ会計」と呼称するのが一般的ですが、それにより会計処理が迅速性と正確性を増すばかりでなく、企業活動にかかわる様々な詳細な会計情報を産出するという効果がもたらされ、会計は経済活動の測定・記録手段という役割を超えて、企業活動や経営管理に有用な会計情報の提供手段にまでその役割を拡げました。コンピュータ会計の定着は、モノ・サービス、カネの変動の記録機能に加え、それらに関する電子データの蓄積と情報を提供する機能をもって、企業活動の要素となるヒト、モノ、カネ、情報の有効活用を常に問題とする経営管理に不可欠となり、「会計情報システム」という学問領域が形成されました。
会計情報システムは常に情報技術(IT)の進歩に伴って、その実態も変化しています。コンピュータ会計の萌芽期は主に財務諸表の自動産出を目的としていましたが、とくにデータベース・システムとネットワーク・システムの進歩によって、産出できる情報も多元化するとともに、企業におけるその活用方法も合理化され、財務諸表作成目的ではなく、管理会計目的を包摂し、管理会計そのものにも影響を与えてきました。例えば、製造業における製造間接費の処理に適用される活動基準原価計算、アメーバー経営に特徴的な疑似的プロフィットセンターの業績管理、包括的なマネジメント・コントロールの変容など、1980年代以降に開発された管理会計手法や思想は、会計情報システムの恩恵を受けているといっても過言ではないでしょう。また、予算管理や業績評価に関する情報についても、日常的な詳細なデータの部門横断的活用を可能にしました。今日の会計情報システムは、企業における統合的な情報システムと一体となって、日常的な経営活動に携わる社員への心理や行動への影響システムにも、企業全体の文化(組織文化)の変化をもたらしうる要因にもなりうると考えられています。この点に重要な研究課題があるでしょう。
また、今日の会計情報システム研究は、とくにIoT(Internet on Thing)の積極的導入による日常の購買・製造・販売におけるデータ収集方法の変化によって、アプローチそれ自体を再考する必要があると考えています。社員の行動1つがリアルタイムに情報を変化させる時代です。それらの豊富なデータをどのようにして有用な会計情報に変換するのかを探求することは、今後ますます、企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)のコア領域として、看過できない研究課題となるでしょう。
【主な論文・著書】
●『コンピュータ会計基礎[改訂版]』(共著)創成社、2021年3月
●「IoTを導入した中小製造業における会計情報システム構築の視座-武州工業株式会社の事例に基づいて-」、『原価計算研究』Vol.43/No.2、2019年10月
●「会計情報システムの技術的機能性と財務業績との関係-組織におけるマネジメント・コントロールの視点から-」、『企業研究』16、2010年3月
【メッセージ】
会計学研究の幅は広いのですが、大きくは「会計情報を作る側の研究」と「会計情報を活用する側の研究」に分けられるでしょう。私が思うには、会計を研究する以上は、前者に関する知識が前提となるということです。簿記の基本について議論できる、原価計算の基本について議論できることが大学院では重要だと考えます。
【担当科目】
会計情報システム論Ⅰ、演習Ⅰ(会計情報システム研究)、演習Ⅱ(会計情報システム研究)、特殊研究Ⅰ(会計情報システム論)、特殊研究Ⅱ(会計情報システム論)、特殊研究Ⅲ(会計情報システム論)
【問い合わせ先】
kawq●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 准教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(商学)(一橋大学)
【専門分野】
会計学、財務会計
【研究キーワード】
近視眼的行動、会計基準の経済的帰結、国際財務報告基準、利益マネジメント
【研究内容】
私の研究のメインテーマは会計制度や情報開示(ディスクロージャー)の経済的影響についてです。会計報告は投資家、企業、政府、債権者などさまざまなステークホルダーの意思決定に影響を与えることが知られています。会計制度やディスクロージャー制度は、会計報告の主たる利用者の投資家に有用な情報を提供できるように日々進化しています。一方で、会計報告やディスクロージャーは投資家のみならず他のステークホルダーに影響を与えます。私は会計報告がどのような経済的影響を与えるかを明らかにし、会計報告の制度設計に役立つ研究活動を行っています。
最近、特に関心を持って取り組んでいる研究テーマは経営者の近視眼的行動についてです。近視眼的行動とは長期的な投資活動による利益を犠牲にし,短期的な利益を追及する行動を指します。近年、経営者の近視眼的行動について世界的に関心が寄せられています。また、四半期開示が近視眼的行動を促すという懸念が示されるなど、会計報告と近視眼的行動の関連性にも注目されています。日本は長期志向の国であると一般的に認識されており、近視眼的行動とは無縁のように思われがちです。しかし、1990年後半以降、長期的投資に関する指標は悪化しています。長期志向の傾向が強いと言われている日本で、経営者の近視眼的行動は起きているのか、起きているのであればどのような要因が影響しているのかは重要な研究テーマであると考えています。そこで、近年では日本企業を対象に資本市場のプレッシャーや情報開示と経営者の近視眼的行動の関連性についての研究を進めています。近視眼的行動の要因を特定することで、これを抑制する方法を提案することが可能となるでしょう。近年の研究成果で発表した内容は、四半期開示と経営者の近視眼的行動についてです。四半期開示は年に4回の決算報告を行い、投資家にタイムリーな情報を提供することを目的として多くの国で導入されている開示制度です。私は四半期開示の近視眼的行動への影響について共同研究を実施しました。研究の結果、四半期開示が企業の近視眼的行動を促進していることが明らかとなりました。こうした研究は開示制度の設計を検討する上で重要な証拠になると考えられます。今後も会計報告を中心とした制度設計に役立つ研究を進めていきたいと考えています。
【主な論文・著書】
●“The effect of voluntary international financial reporting standards adoption on information asymmetry in the stock market: Evidence from Japan,” Research in International Business and Finance, Vol. 69, 102250, April 2024.
●“Does mandatory quarterly reporting induce managerial myopic behavior? Evidence from Japan,” Finance Research Letters, Vol. 56, 104142, September 2023.
●“Operating Leases and Credit Assessments: The Role of Main Banks in Japan,” Journal of International Accounting Research, Vol. 21, No.2, pp.101-123, June 2022.
●“The Value and Credit Relevance of IFRS versus JGAAP Accounting Information,” Hitotsubashi Journal of Commerce and Management, Vol. 53, No.1. pp.31-48, February 2020.
●『リース会計制度の経済分析』中央経済社、2018年。
【メッセージ】
会計学は一見難しくとっつきにくい内容に思えますが、企業と密接に関わる重要な分野です。研究の裾野も幅広く、様々な視点から研究することができます。また、実務との関わりも強く、新しい課題や論点が次々に出てくるので、知的好奇心が掻き立てられる面白い分野になっています。楽しみながら研究を進めていきましょう。
【担当科目】
演習Ⅰ(実証会計)、演習Ⅱ(実証会計)、会計学原理Ⅱ、基礎セミナー(会計学)
【問い合わせ先】
ykoga262●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:中央大学大学院商学研究科博士後期課程満期退学・商学修士(中央大学)
【専門分野】
会計情報システム論
【研究キーワード】
会計情報システム、コンピュータ会計、管理会計
【研究内容】
会計情報システムは,近年では,企業の国際化,グループ経営,国際会計基準の任意適用,クラウドコンピューティングの進展など企業をとりまく環境変化への対応が求められています。このような環境変化が,会計情報システムにどのような影響を及ぼしているのか,特にわが国の企業における会計情報システムの現状を明らかにすることが現在の研究テーマとなります。
会計情報システムは情報技術の進展の影響を大きく受けますが,すべての企業が直ちに高度な会計情報システムを構築するわけではありません。企業の情報システム構築は,企業の経営戦略や行動様式といった組織特性に応じて,情報システムとの選択的・適合的な組み合わせによっておこなわれるという指摘があります。そのような視点から,企業は独自の組織特性に応じた情報技術を選択し独自の会計情報システムを構築すると考え,会計情報システムの構成,組織特性,会計情報の処理方法,会計情報の内容といった視点から会計情報システム構築に影響を及ぼす諸要因を解明することが研究課題です。
さらに,先進的な情報技術による会計情報システムが,事業運営の効率化や財務業績の向上に貢献しうることを期待されている傾向があります。そのような会計情報システムによる成果は,欧米の研究では情報システムと組織特性との適切な組み合わせによって達成されることが明らかになっています。ただし,わが国企業の情報システム環境は,海外とは異なることが従来から指摘されており,わが国の企業における会計情報システム構築の成功要因を解明することは大きな意味があると考えています。
【主な論文・著書】
●『コンピュータ会計基礎(改訂版)』創成社,2021 年(共著)。
●「IoTを導入した中小製造業における会計情報システム構築の視座-武州工業株式会社の事例に基づいて-」『原価計算研究』
43(2),10-20頁,2019年10月(共著)。
●「財管一致とは何か-会計情報システムの視点から-」『専修商学論集』106,117-134頁,2018年1月。
●「取引処理システムと商品売買取引の処理方法との関係」『専修商学論集』104,69-85頁,2017年1月。
●「素材型企業A社の国際化戦略と会計情報システム」『商学論纂』55(4),91-114頁,2014年3月。
【メッセージ】
限られた時間を有効に利用するためには将来に向けた目標設定とその達成度を高めることが重要です。充実した研究生活を送ることができるようにサポートしますので,ともに充実した時間を過ごしましょう。
【担当科目】
演習Ⅰ(会計情報システム論)、演習Ⅱ(会計情報システム論)、会計情報システム論Ⅱ
【問い合わせ先】
ysakurai330●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:慶應義塾大学大学院商学研究科経営学・会計学専攻博士後期課程単位取得満期退学
【専門分野】
管理会計
【研究キーワード】
マネジメント・コントロール・システム、予算管理、目標管理
【研究内容】
私の専門分野は管理会計です。会計は大きく2つに分けられます。まず、株主や銀行など、企業「外部」の関係者に役立つ情報を提供する「財務」会計です。一方、「管理」会計とは、社長から一般社員まで、企業「内部」の関係者に役立つ情報を提供するための会計です。
私は管理会計の中でも、「マネジメント・コントロール」という概念に焦点を当てて研究しています。マネジメント・コントロールの定義はさまざまなものがありますが、私は「数値情報を中心とした情報を提供することにより、多様な従業員の行動を全社共通の目標の達成に導くために行われる組織活動」ととらえらています。日本企業においてマネジメント・コントロールのために用いられる代表的なツールは、予算管理と目標管理です。
企業はさまざまなマネジメント・コントロール実践を選択することができます。例えば、予算管理において、予算編成に従業員をどの程度参加させるのか、予算の達成度と従業員の報酬をどの程度リンクさせるのか、といったことです。これらのマネジメント・コントロール実践のうち、「1+1=3」となるもの(「補完的」と呼びます)や「1+1=0.5」となってしまうもの(「代替的」と呼びます)があります。代替的または補完的となるマネジメント・コントロール実践の組み合わせは、マネジメント・コントロールの「システム」といわれます。
私の主たる研究目的は、日本企業の予算管理と目標管理というツールにおいて、どのようなマネジメント・コントロール実践の組み合わせが「システム」(補完的または代替的)となっているのかを明らかにすることです。研究方法は多数の企業を対象とした質問票調査や少数の企業を対象としたインタビュー調査です。この研究により、企業が実際にどのようなマネジメント・コントロール実践を選択するのかという意思決定をより良いものにできるよう、貢献していきたいと考えています。
【主な論文・著書】
●「非製造業における探索と深化,両利きの経営が日本的管理会計行動に与える影響:製造業との比較分析」(吉田栄介・福島一矩との共著)『経理研究』第62号、2022年。
●『日本的管理会計の変容』(吉田栄介編著)中央経済社、2022年。
●『花王の経理パーソンになる』(吉田栄介・ 花王株式会社会計財務部門編著)中央経済社、2020年。
【担当科目】
演習Ⅰ(管理会計)、演習Ⅱ(管理会計)、管理会計論Ⅰ、基礎セミナー(会計学)
【問い合わせ先】
senoo81●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 准教授
最終学歴・学位・取得大学:ファイナンス修士(専門職)(中央大学)
【専門分野】
財務会計論
【研究キーワード】
金融商品、負債の測定、負債と純資産の分類
【研究内容】
財務会計の中でも研究スタンスとして、企業活動を財務諸表の構成要素である資産・負債・純資産・収益・費用へどのように分類し、どのような金額で測定することで実態を表せるのかを追究しています。企業活動の実態とは言っても、視点を変えることで異なる実態が見えてくることがあり、一意に分類や測定金額を決定できるわけではありません。また、財務諸表を作成するための基礎にある複式簿記や財務諸表の構成要素の連携も便利な一方で、複雑な企業活動を表すには制約となってしまうこともあります。私が特に研究している金融商品の負債と純資産の会計では、負債をどのように測定して財務諸表に記載するか、負債と純資産をどのように分類するか、といった課題があります。
負債の測定について、現在は債務額や償却原価によることが多いですが、時価による測定も一定の合理性を持つことがあります。将来の支払額が固定されている金銭債務の時価は、主に市場金利の変化と企業の信用力の変化により変動します。このうち、市場金利の変化を反映した時価は他の債務との相対的な負担の違いを表すものとして、企業の財政状態の評価に役立ちます。また、このときの時価の変動は企業の資金調達の巧拙を表すものとして、損益に含めるべきという見解もあります。それに対し、企業の信用力の変化を反映した時価は信用リスクが高いほど低くなるため、その企業の債務による負担を表すものとはなりません。このときの時価の変動も仮に損益としてしまうと、信用リスクの悪化というネガティブな変化を収益としてポジティブな形で表現してしまうという問題が生じます。そして、信用力を反映させることで財務諸表の純資産や利益が企業価値(株主価値)に近づくことになりますが、財務諸表で企業価値を表すべきか、それとも財務諸表等の情報を利用して投資家が自己の責任で企業価値を評価すべきか、という財務報告の本質的な課題の1つにも通じるものとなります。
負債と純資産の分類については、株価連動報酬等が問題となります。株価連動報酬の代表的なものとしてストック・オプション(新株予約権)があり、現在の我が国の会計基準では新株予約権が失効した場合に収益として計上されます。しかし、負債と純資産を分類は、ある取引等を損益に含めるべきか、それとも直接純資産へ含めるべきか、ということと密接な関係があります。資産または負債の増減が生じた時に損益が生じるものとするならば、純資産である新株予約権が失効しても資産や負債に変動が生じないため、収益ではなく純資産内の組み替えとして処理すべきといえます。また、現金で支給する株価連動報酬について、株主やストック・オプション所有者と会社の利益を共有していると考えるならば純資産とすべきであり、現金で支給することを重視すれば負債とすべきとなります。負債と純資産の分類は、複雑な金融商品が開発されることで複雑化しており、海外も含めた基準設定主体による数十年の議論でも様々な案が検討されています。
【主な論文・著書】
●「財政状態の開示と金融負債の公正価値測定」会計・監査ジャーナル、2010/02
●「金融負債の公正価値測定に関する一考察」会計プログレス、2011/09
●「簿記の成績に影響を与える要因の分析―各教科の得意度・出席状況・性別等と成績に関する調査―」日本簿記学会年報、2015/07
●『財務報告における公正価値測定』(第11章、第21章分担執筆)中央経済社、2014/08
【メッセージ】
制度会計(会計基準等)を中心とした研究をしており、研究者志望の方だけではなく会計専門職といった実務家を志望している方も歓迎します。
【担当科目】
演習Ⅰ(財務会計論)、演習Ⅱ(財務会計論)、制度会計論Ⅰ
【問い合わせ先】
nakahide2011●gmail.com
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:慶應義塾大学大学院 後期博士課程 経営学・会計学専攻 単位取得退学 修士(商学)慶應義塾大学
【専門分野】
会計学(管理会計)
【研究キーワード】
管理会計、マネジメント・コントロール、コストマネジメント
【研究内容】
私は,管理会計に関する研究をしています。現在の主な研究関心は,組織成長と管理会計,なかでもマネジメント・コントロールの間にはどのような関係があるのかです。組織成長と管理会計の間には,組織成長が管理会計に及ぼすという関係と,管理会計が組織成長に影響を及ぼすという関係の2つがあります。前者は,組織が生まれてから,成長や停滞を繰り返しながら存続していく,あるいはその過程で衰退をしていくというさまざまな成長(ライフサイクル)過程において,管理会計がどのように使い分けられているのか,という議論です。後者は,どのように管理会計を活用すれば,現状を回していくという短期的な業績目標の達成に結びつけたり,次なる成長の糧となるイノベーションを生み出したりできるのか,という議論です。
この2つの議論のうち,前者の組織成長が管理会計にどのような影響を及ぼすのかについては,組織のライフサイクルとの関わりを議論することによって,成長段階に応じて管理会計の利用が変化することが明らかになってきました。他方で,後者の管理会計をどのように活用すればよいのか,という点については,まだわかっていないことも多く残されています。パフォーマンスの向上に向けてさまざまな管理会計の仕組みや方法が提示されてきました。しかし,同じような管理会計の仕組みや方法を利用したとしても,必ずしもパフォーマンスが向上するとは限りません。それはなぜか。この疑問に取り組まない限り,どのように管理会計を利用すれば組織のパフォーマンスを向上させることができるのかがわからないわけですが,まだはっきりとした答えが出ていません。
この疑問について,私は,管理会計をうまく使いこなすための組織能力(管理会計能力)がひとつの答えになると考えています。日本企業を対象とした調査をもとにした分析の結果,管理会計の利用経験からの学びを通じた創意工夫や,他社の優れた事例などを取り入れていくような組織能力が備わっているような組織では,そうでない組織と比べてより高いパフォーマンスを実現できる可能性があることがわかりました。この管理会計能力という考え方を用いることで,管理会計がどのように組織成長に結びついていくのかを明らかにできるのではないかと考えています。
この研究以外に取り組んできた,もしくは取り組んでいる研究としては,日本企業における管理会計実態の把握とその分析を通じた日本的管理会計の探求,リサーチ・プラクティス・ギャップ(特に,学術的な議論は盛んであるものの,実務の場にそれがほとんど反映されていないというギャップ)の原因究明と解消方法の探索,目標設定が非倫理的な行動に及ぼす影響の検討,といったテーマがあります。
【主な論文・著書】
●“Does budget target setting lead managers to engage in unethical behavior for the organization?” The British Accounting Review, in press.
●「予算の柔軟性が予算達成動機とパフォーマンスに及ぼす影響」『原価計算研究』第46巻第2号,2022年7月
●『日本的管理会計の深層』(共著,吉田栄介編著)中央経済社,2017年6月
●「管理会計によるイノベーションの促進:管理会計能力に基づく考察」『管理会計学』第25巻第1号,2017年3月
●「管理会計能力が管理会計と組織業績の関係に及ぼす影響:吸収能力と経験学習能力に基づく考察」『会計プログレス』第17号,2016年9月
【メッセージ】
研究という行為には苦労が多くあります。しかし,今までわからなかったことに新しい発見ができるという楽しさもあります。ぜひ,おもしろい(=興味深い)研究,誰かの役に立つ研究をしてみましょう。
【担当科目】
業績管理会計Ⅰ、演習Ⅰ(原価計算論)、演習Ⅱ(原価計算論)、特殊研究Ⅰ(管理会計論)、特殊研究Ⅱ(管理会計論)、特殊研究Ⅲ(管理会計論)
【問い合わせ先】
k-fuku●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:早稲田大学法学部
【専門分野】
租税法、税務執行
【研究キーワード】
所得税法、法人税法、相続税法、国税通則法、納税環境整備
【研究内容】
所得税法や法人税法に代表される租税法を研究対象としています。
租税法は一般にはなじみの薄い領域ですが、個人の日常生活から巨大多国籍企業の活動に至るまで、あらゆる局面で税が関わってきますから、租税法が取り扱う論点は極めて多様です。婚姻形態の多様化に税はどう向き合うべきかという問題を論じることもあれば、経済活動がグローバル化する中でいかに国家の課税権の喪失を食い止めるかという問題を論じることもあります。
問題へのアプローチの手法も多様です。企業等にとって税は利潤を引き下げるコストの一部ですから、あらゆる手段を駆使して税負担を最小化しようと試みます。しかし、納税者がルール(租税法の規定)で許される範囲内だと考える試みでも、課税当局からはルールを曲解したもので範囲外だと判定され、争訟となることも少なくありません。ルールの文言や趣旨に照らすと、節税と脱税の境界線はどこに引かれるべきかが問題となります。解釈論といわれるアプローチです。
税の必須条件は公平であることですが、公平性を維持するためには、ルールのメンテナンスも必要です。例えば、書店で雑誌を購入する時代に定められたルールを、インターネットから電子書籍をダウンロードする時代にそのまま適用すれば、負担に歪みが生じてしまいます。デジタル経済下でルールをどう変えていくべきかが問題となります。立法論・政策論といわれるアプローチです。
実務の立場でいえば、ルールを円滑に適用していくために、いかにして解釈をめぐる争訟の発生を未然に防ぐか、いかにして納税者の自発的なコンプライアンスを高めるかといった視点からのアプローチも必要です。税務執行論とでもいいましょうか。
研究対象は税法に限られません。租税法のベースには、租税法律主義等を定める憲法、課税対象である経済活動を規律する民商法、企業会計を扱う会計学などがあります。租税法を学ぶことは、これらの学問領域を学ぶことでもあります。
このように租税法は無限の広がりを持つ学問ですが、当面は、行税実務経験を踏まえ、富裕層等による過度な節税行為への対処のあり方などを中心に据えて、解釈論・立法論・税務執行論の各アプローチを組み合わせながら、研究を展開していきたいと考えています。
【主な論文・著書】
●『国税通則法(税務調査手続関係)通達逐条解説』(編著)、大蔵財務協会、2013年
●「改正国税通則法施行後の調査手続等」『租税研究』762号,2013年
【メッセージ】
会計専門職や国税専門官等として実務界での活躍を目指す方はもちろん、企業経営に税務戦略を活かしたいと考えて税務に関心を抱いた方など、多様な方々と租税制度や税務執行のあり方について一緒に学び、研究できることを楽しみにしています。
【担当科目】
演習Ⅰ(税法)、演習Ⅱ(税法)、所得税法、所得税法Ⅰ、所得税法Ⅱ、総合特講(所得税法Ⅰ)
【問い合わせ先】
jyamakami206●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経営学)・東北大学
【専門分野】
財務会計
【研究キーワード】
実証会計理論、利益マネジメント
【研究内容】
企業の経営者は自社の経営状況を「財務諸表」という表にまとめ,定期的に外部の関係者に向けて報告しています。その表には企業の経営状況を示す様々な会計数値が表示されていて,企業経営の良否を判断する材料となるため,財務諸表は経営者の通知表(成績表)と呼ばれることがあります。ただし,学生が学校でもらう通知表の点数とは異なり,財務諸表の会計数値はルールに違反しない範囲で一定程度調整することが可能です。
会計数値の中でも「利益」は経営者にとって最も重要です。なぜなら,利益は投資家による企業価値評価や経営者に対する業績評価などに利用されており,利益数値の多寡が経営者に経済的な影響を与えるからです。一般に,会計利益が高ければ株価上昇や経営者報酬増額等の経営者にとって有利な結果に,逆に会計利益が低ければ株価下落,経営者報酬減額,経営者解任などの不利な結果になりがちです。ただし,会計利益が高すぎる場合も,他企業の新規参入,政府の規制強化,労働者の賃上げ要求,納税額の増加といった不利な結果を招く恐れがあります。このように利益数値によって経済的帰結が変化するため,経営者は利益を調整するインセンティブを持つことになります。
経営者が会計基準の規定の範囲内で利益を調整する行動は利益マネジメント (earnings management) と呼ばれます。これまで,多くの研究によって,利益マネジメントが企業実務に蔓延していることが明らかにされています。利益マネジメントは会計基準の規定の範囲内で行われる行動なので不正会計ではありませんが,会計数値を歪め,利害関係者の意思決定を誤導する恐れがあるため注意が必要です。私は,この利益マネジメントを主な研究対象としてます。具体的には,経営者はどのような方法で利益を調整しているのか,どのような動機で利益を調整するのか,利益を調整した後にはどのような結末が待っているのか,ということを会計数値や株価などのデータを使って分析しています。
会計数値は投資家,債権者,国や地方公共団体など企業外部の様々な利害関係者に利用されています。会計数値を調整する経営者行動に対する理解は,こうした利害関係者の意思決定に役立つと考えられます。また,経営者がどのような方法や動機で会計数値を調整するかを知ることができれば,会計数値を調整する経営者行動を抑制するような制度の設計を検討する際に役立つことが期待されます。
【主な論文・著書】
●『日本企業の利益マネジメント-実体的裁量行動の実証分析-』中央経済社,2021年(単著)。
●Accounting conservatism and income smoothing after the Japanese Sarbanes–Oxley Act. Asian Journal of Business and Accounting 17 (1): 1-41,2024年(共著)。
●Does mandatory quarterly reporting induce managerial myopic behavior? Evidence from Japan. Finance Research Letters 56: 104142,2023年(共著)。
●Earnings management to achieve industry-average profitability in Japan. Asia-Pacific Journal of Accounting and Economics 29 (2): 402-431,2022年(単著)。
●A cross-country study on the relationship between financial development and earnings management. Journal of International Financial Management and Accounting 29 (2): 166-194,2018年(共著)。
●Discontinuities in earnings and earnings change distributions after J-SOX implementation: Empirical evidence from Japan. Journal of Accounting and Public Policy 36 (1): 82-98,2017年(共著)。
●Accrual-based and real earnings management: An international comparison for investor protection. Journal of Contemporary Accounting and Economics 11 (3): 183-198,2015年(共著)。
【メッセージ】
企業の不正会計や利益操作に興味がある学生,実際の財務データを用いた実証分析に興味がある学生を歓迎します。一緒に面白い研究をしましょう。
【担当科目】
演習Ⅰ(実証会計)、演習Ⅱ(実証会計)、財務会計論Ⅱ
【問い合わせ先】
tyamaguchi990●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経済学)(名古屋市立大学)
【専門分野】
会計学、経営分析論
【研究キーワード】
経営分析、企業行動、コーポレート・ガバナンス
【研究内容】
Chuo Onlineに研究成果の一部をまとめた記事が紹介されています。
こちらからご覧ください。
【主な論文・著書】
●“Does budget target setting lead managers to engage in unethical behavior for the organization?” British Accounting Review, 56(4).
●“Impact of parent companies and multiple large shareholders on audit fees in stakeholder-oriented corporate governance.” Sustainability, 14 (9), 2022.
●“Conflicts between parent company and non-controlling shareholders in stakeholder-oriented corporate governance: Evidence from Japan.” Journal of Business Economics and Management, 23 (2), 2022.
●“Influence of geographic distribution on real activities manipulation within consolidated companies: Evidence from Japan.” Research in International Business and Finance, 54, 2020.
●“The real effect of mandatory disclosure in Japanese firms.” Pacific-Basin Finance Journal, 60, 2020.
【メッセージ】
最近は主に、日本企業の慣習、制度、経済環境、歴史、社会心理など、コンテキストを考慮した企業行動の分析を行っています。私もまだまだ未熟な研究者ですが、一緒に勉強してよい研究をしましょう。
【担当科目】
演習Ⅰ(財務分析)、演習Ⅱ(財務分析)、財務分析論Ⅰ、特殊研究Ⅰ(財務分析)、特殊研究Ⅱ(財務分析)、特殊研究Ⅲ(財務分析)
【問い合わせ先】
yamada●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
個人ウェブサイト
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(商学)(一橋大学)
【専門分野】
会計学
【研究キーワード】
公会計、政府会計、複式簿記、帳簿組織、収益認識
【研究内容】
会社以外の組織であっても、その活動を貨幣額により記録・集計・編集し、何らかの報告書を作成する会計を行っています。私の研究対象である政府・自治体における会計を、特に「公会計(政府会計)」と呼んでいます。
組織の目的、資金調達の方法、組織の寿命、活動に対する利害関係者のニーズといったものが、「公会計」と「企業会計」の違いを生み出していると考えられます。今日、地方自治体を対象とするわが国の「地方公会計」においても、「貸借対照表」、「行政コスト計算書」、「純資産変動計算書」、「資金収支計算書」という「財務4表」を作成・公表する実務が普及してきています。これらの諸表が企業会計のそれらと同じものなのか、それをどのように作成するのかなど、さまざまな論点があります。たとえば、「貸借対照表」に計上される「資産」をひとつとっても、企業会計であれば、それは企業活動を通じて、収益やキャッシュ・インフローを生み出す能力を持ったものが計上されます。しかし、公会計では、そもそも収益やキャッシュ・インフローを生み出すことは目的とされず、行政活動に継続的に利用可能かどうかが重要になってきます。つまり、資産の定義がそもそも異なる可能性があり、それを貸借対照表上に、どのような金額で計上するのかも異なってくることが予想されます。
また、どのような企業であっても、それぞれのビジネスモデルを通じて、利益の獲得をめざしていると考えられ、ある会計期間の成果(業績)がどうであったのかは、「損益計算書」をみれば、どれくらいの利益がどのような活動から生じたのかがわかるはずです。しかし、政府の行政活動の成果(業績)とはどのようなものでしょうか。はたして、それは会計学が対象とする貨幣額で測定可能なものでしょうか。公会計では、ひとまず、行政活動を行うのにどれくらいの金額(コスト)がかかったのかを「行政コスト計算書」で明らかにしています。
われわれ住民(納税者)が税金として納付した資金が、どのような公共サービスのために使用され、住民の生活にどのような影響を与えるのか、会計学の視点から、研究しています。
【主な論文・著書】
● 『エッセンス簿記会計 第21版』(分担執筆)森山書店、2025年4月。
● 『勘定科目・仕訳事典 第3版』(新田忠誓編集代表、横山和夫・尾畑裕・岩﨑健久・吉田智也編)中央経済社、2024年8月。
● 「公会計における会計アプローチと複式簿記」安藤英義・新田忠誓編著『森田哲彌学説の研究‐一橋会計学の展開‐』(第11章所収)中央経済社、2020年6月。
● 「複式簿記の拡張可能性-多式簿記の検討-」『経理研究』第63号、2024年12月。
● 「商品有高帳と会計基準」『會計』第204巻第1号、2023年7月。
● 「収益認識における変動対価と帳簿記録」『簿記研究』第6巻第1号、2023年6月。
【メッセージ】
「大学院にきて、何を研究するのか、なぜ研究するのか」という初心を忘れずに継続的に研究するように心がけていきましょう。会計学の対象と課題については、論者・学説によりさまざまな考え方があります。自分に合ったものが見つかるように日頃からセンスを磨きましょう。
【担当科目】
演習Ⅰ(財務会計論)、演習Ⅱ(財務会計論)、財務会計論Ⅰ、特殊研究Ⅰ(財務会計論・簿記論)、特殊研究Ⅱ(財務会計論・簿記論)、特殊研究Ⅲ(財務会計論・簿記論)
【問い合わせ先】
こちらのフォームよりお問い合わせください。
【リンク】
研究者情報データベース
商学研究科 商学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:商学修士(中央大学)
【専門分野】
管理会計論
【研究キーワード】
会計と組織心理・組織行動,アメーバ経営システム,ミニ・プロフィットセンター
【研究内容】
私の研究テーマは,組織で働く人たちに任せている行動を経営者にとって望ましい方向に導いていくために,主としてお金に関する情報またはその情報の提供の仕方が,どのように役に立っているのか(役立てるべきなのか)を明らかにすることです。「導いていくこと」が大事であり,その理由は指示や命令によって特定の行動を強いてしまうと,組織で働く人のモチベーションが低下してしまうからです。導かれていることに気づかずに,自然に導かれているような状況を実現するためには,管理会計の影響システムとしての側面を適切に活用していくことが大事です。
日本における代表的な管理会計システムとしてアメーバ経営システムがありますが,このシステムは管理会計の影響システムとしての側面を実に上手に活用しており,導入されている企業の中には,組織で働く人々が生き生きとしている様を報告している企業もあります。他方で,アメーバ経営システムがうまく運用できない企業もなくはありません。上手く活用できる企業と上手く活用できない企業。何が両者を分けているのでしょうか?最近の私の研究関心はそこにあります。近年,どうやら組織で働く人たちが自律的に働くことができていない企業では,いくら精緻な管理会計システムを導入してもあまり上手く活用できていないことが分かってきていますが,その点についてこれからも研究していきたいと思っています。
国際的な調査によれば,日本企業では生き生きと働きがいをもって働くことができている人の割合が,他の先進国のそれと比較して,かなり低いことが分かっています。管理会計システムを適切に運用することで,またそれが効果的に機能する組織環境を明らかにすることで,組織で働く人たちの心理を少しでも改善することにつなげることができればと思っています。
【主な論文・著書】
●渡辺岳夫(2021)「スポーツ・スポンサーシップの効果に関する実証的研究:Jリーグクラブのスポンサー企業の組織成員に対する効果に注目し」『企業研究』第40号,pp.1-20.
●渡辺岳夫(2019)「アメーバ経営システムの運用の継続企業と中止企業の比較:組織成員に対する心理的な影響メカニズムの多母集団同時分析」『管理会計学』第27巻第1号,pp.35-55.
●渡辺岳夫(2017)「会計情報と集約的効力感:アメーバ経営システムの効果に関する実証的研究」『原価計算研究』第41巻第1号,pp.13-25.
●渡辺岳夫(2014)「アメーバ経営システムの影響機能と経営理念」『会計』第186巻第4号,pp.16-30,2014年.
●「影響システムとしての管理会計研究の新地平:ポジティブ心理学との融合を目指して」『原価計算研究』第37巻第1号,pp.1-15,2013年.
【メッセージ】
30年前,私は中央大学大学院商学研究科に入学しました。一つひとつの授業の履修者が少なくて,授業準備が大変でした。しかし,図書館にこもり,ひたすらインプットし,考えるという行為を繰り返すことができた日々は,今から考えるととても幸せな時間でした。皆さんにも,充実した知的な時間を過ごしてほしいです。
【担当科目】
演習Ⅰ(原価計算論)、演習Ⅱ(原価計算論)、原価計算論Ⅰ、原価計算論Ⅱ、特殊研究Ⅰ(原価計算論)、特殊研究Ⅱ(原価計算論)、特殊研究Ⅲ(原価計算論)
【問い合わせ先】
wtakeo●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース