経済学研究科
経済学専攻
経済学専攻
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・指導教授として希望できるかどうかについては、こちらのPDFファイルよりご確認ください。
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:東京大学大学院博士後期課程修了 博士(経済学)
【専門分野】
経営学
【研究キーワード】
経営戦略、ものづくり企業の経営、新興国市場、自動車産業
【研究内容】
自分のこれまでのキャリアは、大学教員としてはいささかユニークだと思います。大学は経済学部を卒業し、修士課程では開発経済学、アジア経済を研究しました。その後、民間のシンクタンクでは主に自動車産業、エレクトロニクス産業の経営コンサルティングに携わりました。そしてシンクタンクでの仕事を通じて、経営戦略の基礎知識や分析フレームワークを身につけました。またシンクタンクに在職中、台湾に2年ほど留学もしています。現在、行っている研究はこうした自分の多様な経歴、経験をもとにしています。ですので自分には経営戦略的な研究もあれば、自動車やエレクトロニクスの産業分析的な研究もありますし、台湾を中心としたアジアの地域研究的な研究もあります。つまり、自分の研究分野を一言で表すと、ディシプリンは経営戦略、アプローチは産業分析、エリアは主に新興国となります。詳細は、次のURLをご覧ください。https://researchmap.jp/jun2317
なお、大学院経済学研究科では、経営学を担当しています。
【主な論文・著書】
● 変革期を迎えた自動車産業におけるビジネスモデルの転換 ―トヨタ自動車の事例を通じて― 産業学会研究年報 ( 38 ) 57 - 76 2023年3月
● アジア後発企業のテイクオーバー型キャッチアップ‐鴻海のシャープ買収の事例を通じて アジア研究 68 ( 2 ) 1 - 26 2022年4月
● Study of the Global Market Portfolio of the Big Seven Automakers 経済学論纂 62(1.2.3) 1-23 2021年9月
● アジア新興企業のテイクオーバー型キャッチアップ戦略‐タイ・サミットによるオギハラ買収の事例を通じて‐ 京都大学経済学会・経済論叢 194(2) 37 - 54 2020年4月
● グローバルニッチトップの成長戦略と内外資源の連携に関する研究―事例研究を中心とした効率の良いイノベーションの探索 産業学会研究年報 (35) 65 - 90 2020年3月
● 鴻海集団の経営戦略と液晶パネル事業の変遷 經濟學論纂 中央大学経済学研究会 60(2) 1 - 19 2019年10月
● From product design to product, process and domain design capabilities of local tier 2 suppliers: Lessons from case studies in Japan, Thailand and China International Journal of Automotive Technology and Management 17(4) 385 - 408 2017年
【メッセージ】
経済学や経営学は、人が生きていくことと深く関係する学問です。実際、私たちは生きるために消費をしていますし、その多くは企業の経営活動に支えられています。「学問」というと何か高尚なものを想像してしまうかもしれませんが、経済学や経営学は私たちの生活に密接にかかわる実践的で役に立つ分野です。皆さんが少しでも経済学や経営学に興味、関心を持っているのであれば、思い切って経済学研究科の門をたたいてみてください。
【担当科目】
経営学Ⅰ、経営学Ⅱ、演習Ⅰ(経営学)、演習Ⅱ(経営学)、特殊研究(経営学)
【問い合わせ先】
akabane●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:神戸商科大学大学院博士後期課程単位取得退学 経済学博士(神戸商科大学)
【専門分野】
国際経済学
【研究キーワード】
貿易政策、貿易自由化、貿易と環境
【研究内容】
開発途上国の経済発展には、関税引き下げ等の貿易自由化による貿易の拡大が重要な役割を果たしてきたと言われている。一方、近年は先進国消費者の倫理的価値観を貿易取引に反映させることを目的とした倫理的貿易が注目されている。倫理的貿易は、持続可能な開発目標(SDGs)における「自然環境の保全」、「労働環境の改善と経済発展の両立」、「持続可能な消費と生産の仕組みの確立」などに貢献する1つの手段として重要であると考えられる。
倫理的貿易を促進する手段の一つとして、民間の持続可能性認証制度があげられる。それは、環境に配慮し、労働基準を遵守して生産された製品を認証してラベルを貼付し、倫理的価値情報を先進国消費者に伝える仕組みである。例えば、持続可能性認証の代表的なものとしてフェアトレード認証、森林認証であるForest Steward Council (FSC)、パーム油の認証制度であるRoundtable on Sustainable Palm Oil (RSPO)等が挙げられる。これらの認証制度はプライベートスタンダードとして世界貿易機関(WTO)でも議論されており、多くの経済連携協定でも規定されている。
最近の私の研究の一つは、フェアトレード認証制度の導入が倫理的貿易を拡大させ、途上国の労働環境と経済発展の両立に寄与するのかという問題に経済理論を応用してアプローチすることである。一般的に、民間の持続可能性認証制度の特徴として、認証がなくても先進国への輸出は禁止されていない点があげられる。つまり、認証を取得して認証の基準を満たす財を先進国に輸出するか否かは生産者の決定に任されている。したがって、フェアトレード認証制度と倫理的貿易の関係を分析するには、認証の取得行動に関する詳細な分析と理論的基礎付けに基づく精緻な研究が必要となる。
そこで、開発途上国の労働者と先進国の企業がフェアトレード団体を介した交渉によって、フェアトレード認証を取得するかどうかを決定するようなゲームを導入し、どのような状況でフェアトレード認証の取得が行われ、実際にフェアトレードが起こるのかを分析した。様々な仮定の下での分析ではあるが、フェアトレード認証制度の導入によって、開発途上国における賃金が上昇し、同時に先進国の企業の利潤も高まる可能性があることを示した。今後、より精緻な分析を行うために、途上国の生産者や労働者が直面する制度的、技術的な制約等を考慮して分析を進めたいと考えている。
【主な論文・著書】
● “Optimal Policy for Environmental Goods Trade in Asymmetric Oligopolistic Eco-Industries”, Resource and Energy Economics, 2023, 共著.
●“Fair Trade: Product Differentiation and Warm Glow Effect”, IERCU Discussion Paper No.339 (Institute of Economic Research, Chuo University), 2021, 共著.
●“Environmental Protection in the Presence of Unemployment and Common Resources”, Review of Development Economics, 2016, 共著.
●『貿易自由化の理念と現実』、NTT出版、2015.
【メッセージ】
国際貿易の面で多くの重要な経済問題があります。貿易や投資の自由化の動きがみられるとともに、他方で保護主義的な動きも見られます。経済的な側面だけでなく、環境や労働などの問題も含めてどのような貿易・投資制度にするのが望ましいのかを考察すリサーチマップことは非常に重要です。経済学を用いてこれらの問題にぜひアプローチしてみてください。
【担当科目】
演習Ⅰ(国際貿易)、演習Ⅱ(国際貿易)、演習Ⅲ(国際貿易)、演習Ⅳ(国際貿易)、国際貿易・政策論Ⅰ、国際貿易・政策論Ⅱ、特殊研究(国際貿易)
【問い合わせ先】
k-abe●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(商学)(慶應義塾大学)
【専門分野】
労働経済学、実証経済学
【研究キーワード】
労働市場、労働政策、地域労働市場、地方創生、働き方改革、失業、雇用創出・消失
【研究内容】
私が現在取り組んでいる研究プロジェクトは三つあります。
一つ目は地域労働市場に関する研究です。この研究では政府が行っている地方創生政策が地域労働市場にどのような影響を与えているかについて、地域間の相互依存関係を考慮した経済モデルを分析することで、地域労働市場における雇用創出と消失のメカニズムを明らかにしようと試みています。さらに、地方創生を含む地域雇用政策が労働市場に与えた効果をエビデンスに基づき検証し、地方創生に資する地域雇用政策のあり方についても考察しようと考えています。このプロジェクトの成果として、地方分権と雇用政策について検証した「雇用政策の地方への権限委譲は何をもたらしたのか」(『都市問題』第112巻第10号)で発表しています。さらに、コロナ禍が地域労働市場にどう影響しているかに関する研究も行い、「都会の仕事、田舎の仕事-感染による地域間格差への影響」(『仕事から見た「2020年」-結局、働き方は変わらなかったのか?』(玄田有史・萩原牧子編)、慶應義塾大学出版会)にまとめました。
二つめは労働市場のマッチングに関する研究です。インターネットの普及は社会の各分野に多大なる影響を与えていますが、労働市場へも大きく影響します。特に求人情報提供は、従来の紙媒体からインターネット媒体で行われるのが一般化するに伴い、情報の質・量だけでなく、新たなサービスが生まれています。たとえば、求人情報の閲覧者にお薦めの求人を自動的に提供するなどのサービスです。こうしたサービスが求人と求職者のマッチングにどのような影響を与えているのでしょうか。このプロジェクトでは求人情報提供における新たなサービスが労働市場のミスマッチ軽減に役立っているのかどうか、マッチングの効率化に影響しているのかを検証しようと試みています。
三つめは労働分配率に関する研究です。労働分配率の長期的な低下は先進各国で観察されています。その要因としては、技術進歩やグローバル化などが上げられていますが、低下のメカニズムについてコンセンサスが得られているわけではありません。これまで私はコーポレート・ガバナンスの変化や保険機能としての内部留保が分配率低下の背景ではないかという観点から研究を行ってきましたが、さらに研究を進めて最近の労働分配率低下の背景を探っていきたいと考えています。
【主な論文・著書】
● 「都会の仕事、田舎の仕事-感染による地域間格差への影響」、『仕事から見た「2020年」-結局、働き方は変わらなかったのか?』(玄田有史・萩原牧子編)、慶應義塾大学出版会、2022年3月
● 「雇用政策の地方への権限委譲は何をもたらしたのか」、『都市問題』、第112巻第10号、後藤・安田記念東京都市研究所、2021年10月
● 「賃金と失業率の都道府県格差」、『経済学論纂』、第61巻第5・6合併号、中央大学、2021年3月
● 「少子化対策の何が問題で何が必要かーこれから望まれることー」、『公衆衛生』、第82・巻10号、医学書院、2018年10月
● 「21世紀型の労働政策ー 20世紀型からの大胆な転換を ー」『計画行政』、第40巻4号、日本計画行政学会、2017年11月
● 「労働分配率の低下と企業財務」(Jess DIAMONDとの共著)、『経済分析』、第195号、内閣府社会総合研究所、2017年1月
【メッセージ】
私自身は労働市場の様々な課題についてデータを用いて実証研究を行っています。上記の研究内容の紹介でも書きましたが、現在は三つのプロジェクトに取り組んでいます。これらのプロジェクトに興味のある方、是非一緒に研究に取り組みましょう。
【担当科目】
演習Ⅰ(労働市場分析)、演習Ⅱ(労働市場分析)、演習Ⅲ(労働市場分析)、演習Ⅳ(労働市場分析)、特殊研究(労働経済論)、労働市場分析Ⅰ、労働市場分析Ⅱ
【問い合わせ先】
maabe●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(情報工学) 広島市立大学大学院 情報科学研究科 情報科学専攻 博士後期修了
【専門分野】
通信・ネットワーク工学
【研究キーワード】
ウエアラブルデバイス、生体信号処理、AI応用、脳科学
【研究内容】
最近の研究テーマ:ウエアラブル脳波センサを利用した森林浴の効果測定、生成系AIを利用したソフトウエア学習支援・ナラティブの生成、農業支援・打音検査へのAI応用など
【主な論文・著書】
以下のリンクを参照してください。
https://c-research.chuo-u.ac.jp/html/100002921_ja.html
【メッセージ】
40年以上前ですが、学生の頃にAIの研究をしていました。最近、また、AIが流行ってきているので少しうれしく思っています。勉強したことは、いつか役に立つと思いますので、学生のみなさんには、大学院でも積極的に勉強していただきたいと思います。
【担当科目】
演習Ⅰ(情報通信技術論)、演習Ⅱ(情報通信技術論)、情報通信技術論Ⅰ、情報通信技術論Ⅱ
【問い合わせ先】
atc.00s●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:九州大学大学院経済学府博士後期課程単位修得退学 博士(経済学)(九州大学)
【専門分野】
経済統計学
【研究キーワード】
公的統計ミクロデータ、ミクロデータ分析、匿名化、行政記録情報、パーソナルデータ
【研究内容】
経済統計論では、主に公的統計を対象として、経済統計データの特性を踏まえた上で、経済統計の作成と利用に関する方法論的な課題を追究します。公的統計を中心とした統計データの作成方法の理解や経済統計データの分析技法の習得は、様々な社会経済の分野での実証研究において求められます。その意味では、経済統計に対する考え方を身につけることは、実証的な社会経済研究において重要な役割を果たしていると言うことができます。
近年、民間の個人情報や行政記録情報に対する社会的な関心が高まっているだけでなく、オープンデータという形での公開が進められてきており、そのための法制度も整備されてきました。これらの動きに伴って、経済統計論の関心領域も、公的統計の作成と利用だけでなく、民間が保有する購買履歴や移動履歴等の個人情報の利用、税務情報や医療・健康情報などの行政記録情報の活用、さらには行政機関によるオープンデータの公開可能性といった方向に展開しつつあります。これについては、データの利活用とプライバシーの保護の両面を勘案しながらも、それが、民間の個人情報や行政記録情報を用いた公的統計の作成、学術研究のための行政記録情報の可能性についての議論につながることから、経済統計論の新たな展開として注視すべきだと言えます。
こういったデータの利活用をめぐる社会経済的状況を踏まえ、主として公的統計のミクロデータの作成と利用の両方について研究を進めてきました。特に公的統計ミクロデータの作成に関しては、ミクロデータの匿名化措置の適用可能性について、統計法制度的措置と技術的手法の有効性の両面から研究を行いました。ミクロデータに対する匿名化技法についての実証研究は、公的統計を対象にした実用的な匿名化ミクロデータの作成だけでなく、民間の個人情報や行政記録情報に基づく匿名加工情報の作成に関する議論にも寄与しうると考えています。また、海外におけるミクロデータの匿名化措置の現状をもとに、わが国の公的統計ミクロデータにおける匿名化について法制度的な整備の可能性を議論してきました。それは、民間の個人情報や行政記録情報を含む大規模データに対する匿名加工のあり方を検討する上では意義があると考えます。さらに、近年わが国でも注目され始めている合成データ(synthetic data)に関して、公的統計における作成可能性の研究も行っていることから、安全でかつ有用な合成データの作成方法についての議論に貢献できればと考えています。こうしたミクロデータをめぐる現代的な課題も取り上げながら、社会経済における統計の作成・利用のあり方を一層追究していきたいと思っています。
【主な論文・著書】
●伊藤伸介・寺田雅之・加藤駿典「公的統計に対する差分プライバシーの適用と有効性の評価に関する検討―国勢調査を例に―」『統計研究彙報』第81号,2024年3月,pp.69-88.
●伊藤伸介・出島敬久「世帯類型の違いが消費構造に与える影響の計量分析~公的統計ミクロデータを用いて~」『経済分析』第205号,2022年11月,pp.29-52.
●伊藤伸介「デンマークとオランダにおける医療健康データの二次利用について」『日本統計学会誌』,第50巻第1号,2020年9月, pp.109-138.
●Ito, S. and T. Dejima “The Relationship between Household Assets and Choice to Work: Evidence from Japanese Official Microdata”, Imaizumi, T., A. Okada, S. Miyamoto, F. Sakaori, Y. Yamamoto and M. Vichi (eds), Advanced Studies in Classification and Data Science, Springer, September 2020, pp. 445-458.
●Ito, S., T. Miura, H. Akatsuka and M. Terada “Differential Privacy and Its Applicability for Official Statistics in Japan – A Comparative Study Using Small Area Data from the Japanese Population Census”, Domingo-Ferrer, J. and K. Muralidhar(eds.) Privacy in Statistical Databases: UNESCO Chair in Data Privacy, International Conference, PSD 2020, Tarragona, Spain, September 23–25, 2020, Proceedings (Lecture Notes in Computer Science), Springer, July 2020, pp.337-352.
●Ito, S., T. Yoshitake, R. Kikuchi and F. Akutsu “Comparative Study of the Effectiveness of Perturbative Methods for Creating Official Microdata in Japan”, Domingo-Ferrer, J. and F. Montes(eds.) Privacy in Statistical Databases: UNESCO Chair in Data Privacy, International Conference, PSD 2018, Valencia, Spain, September 26–28, 2018, Proceedings (Lecture Notes in Computer Science), Springer, July 2018, pp. 200-214.
【担当科目】
リサーチ・リテラシー、演習Ⅰ(経済統計論)、演習Ⅱ(経済統計論)、演習Ⅲ(経済統計論)、演習Ⅳ(経済統計論)、経済統計論Ⅰ、経済統計論Ⅱ、統計学の基礎、統計学の実践、特殊研究(統計学)
【問い合わせ先】
ssitoh●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
個人ウェブサイト
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経済学)(九州大学)
【専門分野】
社会政策、人事労務管理、労使関係論
【研究キーワード】
人事・賃金制度、日本的雇用慣行、労使コミュニケーション
【研究内容】
近年の主な研究内容は、「人事・賃金制度の変遷を中心とした日本企業における雇用・労働問題」です。日本企業において、社会経済状況の変化に応じて、「雇う側の人」と「雇われる側の人」との間でワークルール(すなわち人事・賃金制度)をつくりあげていくのかについて、聞き取り調査をしています。
【主な論文・著書】
●賃金決定の個別化の進行に対する労働組合の対応(連合総合生活開発研究所編、成果主義賃金決定の個別化-賃金制度改革と集団的労使関係-、2021年)
●日本における女性労働者の働き方に関する試論(経営論集、 明治大学経営学研究所、第66号第2号、2019年)
●「非公式折衝」レベルからみたC社労使間の合意形成のあり方に関する一考察(経営学論纂、中央大学、第59巻第5・6合併号、2019年)
●日本企業に成果主義賃金が与えた影響に関する一考察(社会政策、7 (2)、2015年)
●現場力の再構築へ―発言と効率の視点から― (共著、日本経済評論社、2014年)
【担当科目】
演習Ⅰ(社会政策論)、演習Ⅱ(社会政策論)、演習Ⅲ(社会政策論)、演習Ⅳ(社会政策論)、社会政策論Ⅰ、社会政策論Ⅱ、特殊研究(社会政策)
【問い合わせ先】
tonimaru001z●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得退学 博士(商学)(慶應義塾大学)
【専門分野】
交通経済学、公益事業論
【研究キーワード】
政策評価、交通社会資本、費用負担問題、物流の2024年問題
【研究内容】
交通事業、物流事業および公益事業は、私たちが生活を営むうえで必要不可欠で身近なサービスであるため、その課題を分析し解決策を提案することは社会的にも有意義なことです。現在私が取り組んでいる研究内容は以下の通りです。いずれもミクロ経済学を分析道具として、フィールドワークやインタビュー調査も交えて、定量的に分析しています。
①交通社会資本整備の費用負担問題
・交通社会資本における望ましい課税・料金体系および課税・料金水準を経済学的に検討しています。
②規制政策の評価
・タクシー市場での規制の効果を分析しています。
③交通社会資本整備における費用便益分析の改善点の検討
・諸外国の事例をもとに、費用便益分析の現状および課題について、ミクロ経済学の観点から分析しています。
④地域公共交通の維持対策の評価
・地域公共交通の維持対策について、インタビュー調査を実施することで現状把握と課題の抽出を実施しています。
⑤物流の幹線輸送問題(物流の2024年問題)
・物流の幹線輸送問題について、インタビュー調査を実施することで現状把握と課題の抽出を実施しています。
【主な論文・著書】
●『トラック輸送イノベーションが解決する物流危機』(分担執筆、兵藤哲朗・根本敏則編)成山堂書店、2024年3月
●『「みなと」のインフラ学 : PORT 2030の実現に向けた処方箋』(分担執筆、山縣宣彦・加藤一誠編)成山堂書店、2020年8月
●『総合研究 日本のタクシー産業:現状と変革に向けての分析』(共編著、太田和博・青木亮・後藤孝夫編)慶應義塾大学出版会、2017年7月
●『自由化時代のネットワーク産業と社会資本』(分担執筆、塩見英治監修)八千代出版、2017年6月
●『道路課金と交通マネジメント―維持更新時代の戦略的イノベーション』(分担執筆、根本敏則・今西芳一編著)成山堂書店、2017年5月
【メッセージ】
交通事業、物流事業ならびに公益事業は、ミクロ経済学の知見に照らし合わせてみると、市場の失敗要因を多く抱えている事業といえます。そのため、市場活動のみならず政府の活動にも目配せが必要な分野であり、研究興味がつきない分野でもあります。交通事業、物流事業ならびに公益事業に研究興味のある方は、ぜひ一緒に研究しましょう。
【担当科目】
演習Ⅰ(交通政策論)、演習Ⅱ(交通政策論)、演習Ⅲ(交通政策論)、演習Ⅳ(交通政策論)、交通政策論Ⅰ、交通政策論Ⅱ、特殊研究(交通経済学)
【問い合わせ先】
こちらのフォームからお問い合わせください。
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(国際経営学) ( 青山学院大学 )
【専門分野】
経営組織、国際経営
【研究キーワード】
組織文化、異文化経営、戦略的人的資源管理
【研究内容】
私は、文化をキーワードにして、経営学の研究をしてきました。例えば、組織文化です。国、社会のなかに文化があるように、企業などの組織のなかにも、文化、つまり組織文化があります。しかし、その定義は複数です。組織文化が産業のなかでも、企業の違いを明確にします。しかし、グローバル化をした社会、経済では、組織文化だけでなく、国や社会の文化にも注目をして、それが企業、管理者に及ぼす影響を無視できません。私は、国の文化が組織文化に及ぼす影響、さらに多国籍企業が進出をした国のなかで、現地の文化に適応するように、その組織文化を変容、適応しようとしているのかに関心があり、調査をしています。
【主な論文・著書】
●The connections between national and organizational cultures: Evidence from the UK, the US, Saudi Arabia, and Japan., Journal of Global Management, ( 3 ) 67 - 86 2024年3月.
●Ontology of multinational corporations’ organizational culture, Journal of Global Management, ( 2 ) 75 - 92 2023年3月.
●Organizational culture and organizational survival: The role organizational culture plays in developing organizational resilience. Journal of Strategic Management Studies 14(1) 17-30 2022年9月.
●Effect of Culture on High Performance Work Practices and Positive Work Climate: Evidence from Firms in Vietnam,日本経営学会誌 (47) 17-30 2021年9月20日.
●Transforming Japanese Workplaces, Palgrave-Macmillan 2012年10月.
【担当科目】
演習Ⅰ(国際経営戦略論)、演習Ⅱ(国際経営戦略論)、国際経営戦略論Ⅰ、国際経営戦略論Ⅱ
【問い合わせ先】
saki●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:北海道大学大学院経済学研究科博士後期課程修了 博士(経済学)
【専門分野】
環境経済学
【研究キーワード】
循環経済、廃棄物・リサイクル、環境サービス、貿易と環境
【研究内容】
AIを利用した国外の廃プラスチック政策分析、IoTを活用した資源循環システムの構築、ドローンやスマホアプリを利用した新しい計測手法の開発、日本の環境ビジネスの海外展開支援、環境サービスの非関税障壁の低減効果などについて各種の競争的研究費だけでなく、大手自動車メーカー、エンジニアリング会社、非鉄金属、リサイクル業、スタートアップ企業、環境省、経済産業省、JICA、UNEP、APEC、OECDなどと産学官で連携して研究しております。
【主な論文・著書】
●「衣類の国際資源循環による脱炭素の可能性」、『環境経済・政策研究』 17(2)、2024, pp.111-116(共著)
●“Toward the Creation of the Asian xEV Battery Recycling Zone”, Res Dev Material Sci 16(5) 2022 (共著)
●“Controlling an Invisible Flow of Product Reuse: The Current State of International Reuse of Used Household Appliances in Thailand and Japan”, in Michikazu Kojima and Shozo Sakata eds. International Trade of Secondhand Goods; Flow of Secondhand Goods, Actors and Environmental Impact, Springer Nature, 2021, pp.173-194.
●The effects on Thailand of China’s import restrictions on waste: measures and challenges related to the international recycling of waste plastic and e-waste. J Mater Cycles Waste Manag 23, 2021, pp.77–83.
●「スリランカにおける自動車リユース市場の現状と課題」、『国際教養学研究』第5号、2021, pp.85-106 (共著)
●「中国輸入禁止後の国際資源循環―課題と展望―」、『環境経済・政策研究』、14(1)、2021, pp.1-12(共著)
●CCET guideline series on intermediate municipal solid waste treatment technologies Waste-to-Energy Incineration, 2020, United Nations Environment Programme (共著)
●“Food waste in Bangkok: Current situation, trends and key challenges”, Resources, Conservation and Recycling, Volume 157, 2020, 104779(共著).
【メッセージ】
カーボン・ニュートラル、SDGs、ESG、サーキュラー・エコノミーと環境政策や環境問題に関するニュースが毎日配信される現在、理論においても実証においても環境経済学の重要性は増しております。主にアジアの廃棄物問題を対象に研究してきましたが、近年はそれ以外の環境問題についても幅広く、文理融合し産学官連携の共同研究を実施しており、修士論文のテーマ次第では研究プロジェクトに参加する機会もあるかもしれません。環境経済学をベースに学際的な研究に熱意を持つ学生を歓迎します。
【担当科目】
演習Ⅰ(環境経済学)、演習Ⅱ(環境経済学)、演習Ⅲ(環境経済学)、演習Ⅳ(環境経済学)、環境経済学Ⅰ、環境経済学Ⅱ、特殊研究(環境経済学)
【問い合わせ先】
so-s●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
+C 特設サイト
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経済学)(中央大学)
【専門分野】
経済理論(マルクス経済学)
【研究キーワード】
独占資本主義、現代資本主義、サービス経済化、利潤率、資本の生産性、労働生産性
【研究内容】
マルクス経済学の立場から、現代資本主義をどのように捉えればよいのかということを研究をしています。とくに1970年代以降の長期停滞とその下で進む利潤率の回復・上昇という現象に、現代資本主義の矛盾が現れていると考え、理論的・実証的に研究しています。普通、常識的には、経済全体が停滞しているならば、企業の売上高も伸び悩み、利益も停滞するはずだと考えます。ところが、現代の資本主義は、長期停滞であるからこそ利潤率が上昇する、もっと言えば、利潤率が上昇するからこそ長期停滞が続くといった、矛盾した状況を呈しています。当然、この長期停滞に伴って、人々の雇用や賃金、消費などは伸び悩み、多くの人たちが困難を抱えることになります。これは、新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大の以前から、既に長期に亘って広がっていた現代資本主義の矛盾です。この矛盾は、今では、景気がそれほど拡大しないのに物価だけは上昇するという、スタグフレーションとなって現れています。
そして、ここには、資本(企業)が投資を抑制することで利潤率を上昇させられるという、独占資本主義ならではの特徴が基礎にあると見ています。もし、競争の激しい資本主義であれば、企業は、互いに投資を拡張させ、生産性を上昇させて競争に打ち勝つことを選択します。ところが、一定程度の市場支配力を持つ独占的・寡占的な企業は、むやみに投資をするよりは、それを抑制して「投資効率」(資本生産性)の上昇を通じて利潤率を追求します。ところが、この投資抑制こそがマクロ経済の長期停滞をもたらしてしまいます。このように、現代の諸産業で、特に巨大な企業が独占資本としてどのような行動をしているのか、そしてそれがマクロ経済にどのような影響を及ぼしているのかということに、接近したいと考えています。
他面で、現代の独占資本主義は、産業構造としてはサービス経済化の一層の進展という特徴を持っていることが分かります。一部の独占的なサービス企業や情報企業は、一方で技術的には巨大な投資を必要とするものの、他方で独占資本の論理としてはそれを抑制しようとする傾向があります。また、サービス経済化の進展に伴って、社会の総労働者に占める生産的労働者の割合が低下し、これが社会的な富の実体である経済的な価値を生む力を、むしろ低下させていきます。こうして、独占資本主義の下でサービス経済化が進展することは、経済をさらに長期に停滞させ、しかも独占の力によって価格だけは上昇させることになるのではないかと、考えています。
以上のことから、①マルクス経済学における主要分析ツールの1つである利潤率の実証、②同じくマルクス経済学の伝統的な概念である独占資本主義、③そしてサービス経済化という現代経済の特徴と生産的労働・不生産的労働の概念的区別という、主に3つの分析視角を踏まえて、私自身の現代資本主義論を展開したいと考えて、研究を進めています。
【主な論文・著書】
●“Japan’s Secular Stagnation, Marx’s Law of the Tendency of the Rate of Profit to Fall, and the Theory of Monopoly
Capitalism”, Historical Materialism, Vol. 30, No. 2 (June 2022)
●「5Gをめぐる米中技術覇権競争と独占資本の投資行動」『中央大学経済研究所年報』第53号、2021年10月。
●『資本主義を改革する経済政策』(共著、支えあう社会研究会編)かもがわ出版、2021年1月。
● “Japan’s ‘Lost’ Two Decades : A Marxist Analysis of Prolonged Capitalist Stagnation,”in World in Crisis : Marxist Perspectives on Crash & Crisis, ed. by Carchedi, Guglielmo and Michael Roberts, Haymarket Books, 2018.
● “Marxist Economics: On Freeman’s New Approach to Calculating the Rate of Profit,” Journal of Australian Political Economy, No. 75(Winter 2015).
【メッセージ】
大学院で学ぶ皆さんは、学生というよりも研究者です。容易に研究テーマが決まらなかったり、途中でさまざまな問題にぶつかったりすることもあると思います。私も全く同じです。ただ、最も大事なことは、「自分は何を言いたいのか」ということを、常に意識し続けて研究を進めることです。たとえ指導教授からの助言であったとしても、「他人」の意見で決めることではありません。皆さんが、自分の意見や主張を明確に持って研究を進めていけるよう、私はあくまでも皆さんのサポートに徹していきたいと、考えています。
【担当科目】
演習Ⅰ(現代資本蓄積論)、演習Ⅱ(現代資本蓄積論)、演習Ⅲ(現代資本蓄積論)、演習Ⅳ(現代資本蓄積論)、現代資本蓄積論Ⅰ、特殊研究(理論経済学)
【問い合わせ先】
takusato.87p●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得、博士(経済学)(中央大学)
【専門分野】
財政学、租税論、地方財政論
【研究キーワード】
不動産税制、租税政策の実証分析、消費課税、ニュージーランドの租税政策
【研究内容】
大学教員になってからの研究の出発点は、初めての就職先が不動産学部であったことから不動産税制の研究でした。わが国では、不動産の取得、保有、譲渡の各段階で多様な課税が行われています。取得段階では、消費税(地方消費税含む)や不動産流通税(登録免許税、印紙税、不動産取得税)、相続税、贈与税が、保有段階では固定資産税および都市計画税が、譲渡段階では所得税および住民税などが課されます。このような課税の現状および問題点、諸外国の税制との比較、不動産税制の将来の方向性などが問題意識としてあり、研究成果として1999年に『不動産税制の国際比較分析』(清文社)を刊行しました。その後も不動産税制の研究を継続し、分析対象を持ち家に限定して、実質資本コストの推計による課税の中立性(金融資産と不動産、新築住宅と中古住宅)の検討、租税思想史の観点からの資本所得税と資産保有課税の検討などの新たな視点を加え、2009年には博士学位論文(論文博士)をベースとして『住宅税制論〜持ち家に対する税の研究〜』(中央大学出版部)を公刊しました。
2000年に中央大学へ異動してからは、不動産税制の研究に加え金融税制の研究を開始し、その一環として租税体系と経済成長の実証分析に取り組みました。2008年のリーマンショック以降、世界経済は低成長が継続し、その中で経済成長を促進する租税体系のあり方に関する関心が高まり、さまざまな研究成果が公表されました。しかしながら、それらはもっぱらOECD諸国を対象としたパネルデータ分析であり、わが国においても同様の結果が得られるのか検討が必要であります。そこで、まず経済研究所のディスカッションペーパーとして、2014年に租税体系と経済成長に関する実証分析の先行研究を整理しました(“Tax structure and Economic Growth-A Survey of Empirical Analysis”)。さらに、わが国を対象として、全国レベルでの分析(「租税体系と経済成長〜Vector Error Collectionモデルによる分析」『金融税制と租税体系』日本証券経済研究所)を同じく2014年に、経済研究所のリサーチペーパーとして東京都のケースについての分析(“Local Tax Structures and Regional Economic Growth-Times Series Analysis of the Tokyo Metropolitan Area-”)を2016年に執筆しました。
2011年度に在外研究から帰国後は、ニュージーランドの租税政策の研究にも取り組んでいます。特に注目しているのが同国のGST(財・サービス税)です。GSTは単一税率で課税ベースが広く、付加価値税導入国の中でも最も効率的な税制として世界中から注目されています。GSTを中心に、ニュージーランドの租税政策に関するまとまった研究を単著として公刊するのが当面の目標です。
【主な論文・著書】
●『住宅税制論−持ち家に対する税の研究−』(単著)中央大学出版部, 2009年3月
●「ニュージーランドのGST−導入の背景−」IERCU Discussion Paper, No.338, 2021年1月
●「ニュージーランドのGST−導入時における制度設計の議論−」IERCU Discussion Paper, No.349, 2021年6月
●「ニュージーランドのGST−現代的課題−」IERCU Discussion Paper, No.383, 2023年5月
●“Corporate Taxation and Regional Economic Development in Japan: A Panel Analysis of Prefectural-Lebel Data”, in Industrial Lovation and Vitalization of Regional Economy, Spinger, 2023, Chap.2.
【メッセージ】
指導学生には、研究者志望の院生に加え、税理士試験の税法免除を目的とする院生がいるのが特徴です。税法免除を目指す院生には他大学出身者も多く、院修了後は外資系税理士法人のほか税理士事務所に就職しています。税理士志望の院生には、修論作成を通して経済分析のためのスキルに加え仮説論証型思考を学修し、将来的には実務にとどまらず租税教育のリーダーとして活躍して欲しいと思います。
【担当科目】
演習Ⅰ(租税論)、演習Ⅱ(租税論)、演習Ⅲ(租税論)、演習Ⅳ(租税論)、租税論Ⅰ、租税論Ⅱ、特殊研究(財政学)
【問い合わせ先】
mshinohara001j●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:東京大学経済学研究科第二種博士課程単位取得退学 経済学博士(東京大学)
【専門分野】
西洋経済史
【研究キーワード】
ドイツ、移民、国家、宗教、マルクス、ヘーゲル、弁証法
【研究内容】
資本主義的生産様式は貨幣が富の中心となる経済システムです。貨幣が富であることは我々にとって常識ですが、貨幣は流通と分業の体制があって初めて富として機能するものであり、またマルクスは貨幣の商品に対する支配力を「物神性」として分析し、貨幣の支配力を反省規定として解明しました。資本主義的生産様式の本質はこの抽象的な富の歴史的・哲学的分析なしには把握することができません。前近代には土地・家畜・奴隷などが富の中心となった時代もありましたが、貨幣は商品の流通を前提として成立する富であり、それ自体としての使用価値は問題にならない富です。
このような貨幣を富の中心とする近代的資本主義が成立するためには、何より労働や生産手段が商品として売買の対象となる必要があり、市民革命による人間の政治的解放はそのための重要な転換点でした。貨幣の持続的な存立条件が整う過程で、階級関係もそこから派生的に形成されてくることになりますが、経済史研究においては、しばしば生産の部面が強調されすぎて、近代資本主義に特有な階級関係の貨幣との関係が見失われがちです。
マルクスの研究視角は一般に弁証法的唯物論とよばれるものですが、マルクスはこれをヘーゲルから学びました。ヘーゲルが問題としたのは私的所有制度の普及による人類の堕落であり、彼はその根底にデカルト以来の西洋の反省文化、啓蒙主義とロマン主義の対立を見い出し、両者の分裂状況を克服するために『精神現象学』や『論理学』において弁証法を完成させます。
ヘーゲルは当時有力であったカントの哲学におけるアンチノミーの解決方法に疑問を持ち、アンチノミーが悟性の限界を示すものであり、絶対者の探究のために理性の活動が不可欠であることを洞察し、またカントが既に先験的統覚の形で理性の能力や絶対精神の存在を示唆していたと考え、理性による弁証法を経験的世界から絶対者までをつなぐ手段として鍛え上げることになります。
マルクスは、ヘーゲルの弁証法による社会の分裂状況の克服、私的所有制度の問題の克服を、ヘーゲルの意識内におけるかりそめの非現実的な解決と考え、現実世界における歴史の論理としての弁証法、対象世界における弁証法を探求し、私的所有制度の克服を人間の社会化や疎外された対象世界の再獲得の問題として探求していくことになります。
マルクスやヘーゲルの取り組んだ問題は、現代においてもいまだ解決されたとは言えない問題であり、マルクスやヘーゲルの研究によって、経済史研究を深めることができます。
【主な論文・著書】
●Shibata, Hideki. 2024. Language and Idealism : Community as the Foundation of Language (『経済学諭簒』(中央大学)第64巻第5&6号)
●Shibata, Hideki. 2020. Fundamental Knowledge for Understanding Marx’s Dialectic (『経済学諭簒』(中央大学)第61巻第1号)
●Shibata, Hideki. 2021. Fundamental Knowledge for Understanding Marx’s Dialectic Part 2(『経済学諭簒』(中央大学)第61巻第3・4合併号)
【担当科目】
ヨーロッパ経済史Ⅰ、ヨーロッパ経済史Ⅱ、演習Ⅰ(ヨーロッパ経済史)、演習Ⅱ(ヨーロッパ経済史)、演習Ⅲ(ヨーロッパ経済史)、演習Ⅳ(ヨーロッパ経済史)、特殊研究(西洋経済史)
【問い合わせ先】
schmidt●tamacc.chuo-u.ac.jp
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経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得退学
【専門分野】
制度の哲学的基礎,ゲーム理論,経済学の方法,実験経済学
【研究キーワード】
ゲームの均衡としての制度観,外在主義,経済実験
【研究内容】
経済学は伝統的に市場メカニズムの解明に焦点をあててきましたが,ゲーム理論の浸透とともに,さまざまな制度の解明と理解にも対象領域を広げるようになっています。また,かつては無意味と思われてきた実験が経済学でも行われるようになったり,その発想から,データを用いて因果推論を行ったり,実際の人間行動の理解を試みたりするなど,経済学は大きく変化しています。
わたしの関心は,すべてゲーム理論を用いた制度の理解から出発するものです。(1)制度の維持や変化を理解する際にゲーム理論をどのように用いるべきなのかという「制度の哲学的基礎」(2)制度を理解する試みから影響を受けたゲーム理論の基礎の研究(3)ゲーム理論をコアとしながら地平を広げつつある経済学の現状をどのように理解したらいいのか。(4)ゲームの実験において理論的予測と異なる行動が観察された場合に,どのように説明すべきなのか。(5) これらの知見を経済政策にどのように生かせるのか,ということです。
【主な論文・著書】
●Kawagoe, T., H. Takizawa and T. Yamamori (2023), “Asymmetric Volunteer's Dilemma Game: Theory and Experiment”, Games and Economic Behavior, Vol. 142, pp. 955-977.
●「ルイス『コンヴェンション』を制度論から読み直す─前半部の議論を中心として」,IERCUディスカッション・ペーパーNo. 329,中央大学経済研究所.(2020)
●Kawagoe, T. and H. Takizawa (2019), Diversity of Experimental Methods in Economics, Springer.
●『現代経済学:ゲーム理論・行動経済学・制度論』,中公新書.(2018)
●Kawagoe, T., T. Matsubae and H. Takizawa (2018),”The Skipping-down Strategy and Stability in School Choice Problems with Affirmative Action: Theory and Experiment,” Games and Economic Behavior, Vol. 109, pp.212-239.
●瀧澤弘和・小澤太郎・塚原康博・中川雅之・前田章・山下一仁(2016),『経済政策論:日本と世界が直面する諸課題』,慶應義塾大学出版会.
【担当科目】
リサーチ・リテラシー、リサーチ・ワークショップⅠ、演習Ⅰ(経済政策)、演習Ⅱ(経済政策)、演習Ⅲ(経済政策)、演習Ⅳ(経済政策)、経済政策Ⅰ、経済政策Ⅱ、特殊研究(経済政策)
【問い合わせ先】
hirokazu.takizawa●gmail.com
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経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程中退
【専門分野】
会計学
【研究キーワード】
財務会計、制度会計
【研究内容】
私の研究テーマは「企業会計の経済学的考察」と「企業会計の力学的考察」です。
1つ目の「企業会計の経済学的考察」ですが、なかでも、ゲーム理論の考え方を企業会計に適用できないかと模索してきました。ゲーム理論に基づく会計研究は、それほど多くはないものの存在し、そこでは、高度な数学を駆使して精緻なモデルを構築することに主眼がおかれています。しかし、私が採用してきた研究スタイルは、そのような研究とは異なります。「利益操作はなぜ行われるのか」「会計規制の強化はどのような結果をもたらすのか」「会計基準のコンバージェンスの程度はいかにして決定されるのか」など、企業会計に関わる具体的な問題を、「複数の経済主体がお互いに相手の行動を読みあうと、どのような結果になるのか」というゲーム理論の基本的なアイデアを用いて検討することが、私の関心事です。単純なモデルであっても、ゲーム理論のアイデアを用いると、一般的な会計の見方とは異なる見方が可能になることを示したいという思いが、研究のベースにあります。
2つ目の「企業会計の力学的考察」ですが、これは企業会計に関わる事象について、力学の考え方を用いて考察するというものです。力学とは、ニュートンの運動3法則(「慣性の法則」「運動の法則」「作用・反作用の法則」)にもとづいて物体の動きを考察する、物理学の一分野です。「企業会計」は経済社会における営みであるのに対し、「力学」は自然科学に属するものであり、両者は全く異なるように思われることでしょう。しかし、力学の考え方を会計事象に適用することにはメリットがあると、私は考えます。第1のメリットは、力学にもとづく考察では、「経済主体にどのような力が作用し」、その結果として「会計事象がどのように変化するのか」という点を把握しやすくなるということです。第2のメリットは、「会計基準」「会計制度」「企業の会計行動」などは、時間の経過により変化しうるものであり、それを明確に把握できるということです。時間的な変化は、言葉による説明だけでは曖昧になりがちですが、ある状況を「位置」として把握し、「位置」の変化を追跡することで、議論がはっきりとします。
最近は、2つ目のテーマである「企業会計の力学的考察」の方に、研究活動のウエイトを置いています。
【主な論文・著書】
●『ゲーム理論で考える企業会計~会計操作・会計規制・会計制度』、中央経済社、2011年。
●「国際会計についての力学的イメージ~「剛体の力学」にもとづく考察」『経済学論纂』第61巻第5・6合併号、2021年。
●「会計基準の時間に伴う変化~「振動論」にもとづく予備的考察」『経済学論纂』第62巻第4・5・6合併号、2022年。
●「解析力学にもとづく税務会計の考察~ハミルトン形式の採用」『経済学論纂』第65巻第2号、2024年。
【メッセージ】
大学院での研究指導にあたっては、私個人の関心を学生に押しつけるのではなく、会計に関するテーマであれば、柔軟に対応したいと思います。
【担当科目】
演習Ⅰ(企業会計論)、演習Ⅱ(企業会計論)、演習Ⅲ(企業会計論)、演習Ⅳ(企業会計論)、企業会計論Ⅰ、企業会計論Ⅱ、特殊研究(企業会計論)
【問い合わせ先】
tamura●tamacc.chuo-u.ac.jp
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経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経済学)(大阪大学)
【専門分野】
金融論、ファイナンス
【研究キーワード】
アセット・プライシング、インベストメント、コーポレートファイナンス、行動ファイナンス、ファイナンシャル・リスクマネジメント
【研究内容】
私のこれまでの主な研究について簡単に紹介すると―金融市場リスクに関する研究(QFE(2022)他)、クレジットリスクに関する研究(JIMF(2005)他)、コーポレートファイナンスとアカウンティングの複合領域に関する研究(AFE(2006)他)、マクロ経済とアセット・プライシングに関する研究(AFE(2007)他)、株式ポートフォリオのリターンプレミアムに関する研究(QF(2012)他)、Fama-Frenchファクターに関する研究(QF(2012)他)、種々の資産変動の国際的なスピルオーバーに関する研究(EM(2018)、AE(2018)、IRFA(2020)、Fuel(2020)他)―等々です。
今後もこれらの研究を本学で継続・発展させられることを心より切に願っております。
【主な論文・著書】
●Correlation and spillover effects between the US and international banking sectors: New evidence and implications for risk management, International Review of Financial Analysis, 70, 101392, 2020.
●New evidence on dynamic interactions between biofuel crops, crude oil, and US and European equities—A quinquevariate approach, Fuel, 277, 117765, 2020.
●New DCC analyses of return transmission, volatility spillovers, and optimal hedging among oil futures and oil equities in oil-producing countries, Applied Energy, 229, 1202-1217, 2018.
●Return transmission and asymmetric volatility spillovers between oil futures and oil equities: New DCC-MEGARCH analyses, Economic Modelling, 74, 167-185, 2018.
●The credit-spread puzzle, Journal of International Money and Finance, 24, 1073-1089. 2005.
【メッセージ】
研究のためにモニターや英文論文を長く見ているとブルーになる方は私のところは向いていないと思います。もちろん大学院生としての十分な学力や学習・研究における主体性が重要ですが、教員と誠実にコミュニケーションがとれない方、少し自分勝手になってしまう方も難しいと思います。私のところは研究に必要な習得事項も非常に多く、研究の過程上もとても大変ですが、本当に最後まで忍耐強く頑張れる方は挑戦してみてください。
【担当科目】
演習Ⅰ(金融論)、演習Ⅱ(金融論)、演習Ⅲ(金融論)、演習Ⅳ(金融論)、金融論Ⅰ、金融論Ⅱ、特殊研究(金融論)
【問い合わせ先】
こちらのフォームよりお問い合わせください。
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研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経済学)(筑波大学)
【専門分野】
中国経済論
【研究キーワード】
中国金融、家計経済・貯蓄行動・債務行動
【研究内容】
中国の金融および家計経済に関する研究に取り組んでいます。具体的には、西南財経大学中国家計調査研究センターが提供するミクロデータ(CHFS)を活用し、家計の貯蓄や債務行動を分析しています。これらの研究を通じて、金融および家計経済の視点から、中国経済の持続可能な成長に貢献することを目指しています。
近年は、これらの研究を基盤に、「慶應義塾家計パネル調査」をも活用し、少子高齢化の視点を加えた日中の家計経済の比較研究にも取り組んでいます。この比較を通じて、両国の家計金融行動の共通点と相違点を明らかにすることを目指しています。
さらに、日本経済の経験を踏まえた政策提言を中国経済に向けて発信するとともに、中国経済の動向、特にデジタル金融の進展が日本経済に与える示唆を解明し、有益な研究成果を広く共有していきたいと考えています。
【主な論文・著書】
●“Does Debt Affect Divorce? Evidence from China.” Journal of Family and Economic Issues, Volume 45, pages 836–851, 29 April 2024(with Guo and Zhang).
●“Bequest motives and the Chinese household saving puzzle.” Journal of Chinese Economic and Business Studies, 20:4,355-376,2022(with Zhang and Yang).
●Growth Mechanisms and Sustainable Development of the Chinese Economy: Comparison with Japanese Experiences, Palgrave Macmillan,2022(Coeditor).
●『家計・企業の金融行動から見た中国経済 ―「高貯蓄率」と「過剰債務」のメカニズムの解明―』有斐閣、2021年 (単著)
●「金融リテラシーと中国の家計の借入行動-CHFSデータを用いた実証研究-」『アジア経済』Vol62第4号, pp.3-24、2021年(共著).
●「遺産動機対中国老年家庭儲蓄率的影響」『人口与経済』Vol.245/No.2, pp.57-70、2021年(共著).
●「中国における家計の資産選択行動ー山西省の事例を中心にー」『アジア経済』Vol59第1号, pp.47-59、2018年.
【担当科目】
演習Ⅰ(東南アジア経済論)、演習Ⅱ(東南アジア経済論)、演習Ⅲ(東南アジア経済論)、演習Ⅳ(東南アジア経済論)、東南アジア経済論Ⅰ、東南アジア経済論Ⅱ、特殊研究(国際経済論)
【問い合わせ先】
tang●tamacc.chuo-u.ac.jp
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研究者情報データベース
唐成ゼミ
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:経済学博士(愛知大学)
【専門分野】
経済理論
【研究キーワード】
現代資本主義分析、経済システム、人間の基本的人権、グローバリゼーション、経済格差、地域経済
【研究内容】
大学院で担当している「経済システム論」は、人間の基本的人権を最大限に保障する経済システムを探究するという研究課題の成果を、授業に反映させるための科目設定となっていますので、研究内容を一言で言えば、人間の基本的人権に関わる経済学および経済諸問題に関する研究となります。カール・マルクスの経済学草稿研究をベースとして、現代資本主義における諸問題を、人間の基本的人権や労働のあり方に注目して検討することが主要な研究課題となっています。マルクスの経済学草稿研究では、価値理論や資本蓄積論、疎外論が中心課題となっていますが、それらの諸理論をベースにして、現代資本主義分析を試みています。具体的には、現代資本主義が新自由主義政策の影響を受けたグローバリゼーションに特徴づけられていることから、現代資本主義における経済格差の問題を、資本主義の構造的な要因と政策的な要因に注目して論究し、新自由主義政策とその広がりとしてのグローバリゼーションと経済格差との関連を検討しつつ、人権と労働のあり方を念頭に置いて、その解決方法を導き出す、ということを最近の研究テーマとしています。また、現代資本主義分析の一環として、グローバリゼーションの地域経済への影響という問題も、研究対象となっています。それは、現代資本主義における地域経済の活性化、地域経済の再生をはかるうえで、地域における人権保障および労働のあり方が問われるものと考え、それらの要素の充実化を念頭に置いた地域経済の活性化のあり方を探究するという研究内容として示されます。
【主な論文・著書】
●「<社会的力>としての商品(価値)・貨幣・資本の概念とその適用」『経済学論纂』(中央大学経済学研究会第61巻第2号)
2020年9月
●「現代資本主義における貧困化問題」『経済』(新日本出版社No.284)2019年5月
●「『資本論』第1巻を読む[第5篇]絶対的および相対的剰余価値の生産」『経済』(新日本出版社No.260)2017年5月
●「グローバル資本主義における地域通貨の役割と展望」『東アジア経済経営学会誌』( 第9号)2016年11月
●『なるほどマル経 時の流れを読む経済学』桜井書店2020年4月
【担当科目】
演習Ⅰ(経済システム論)、演習Ⅱ(経済システム論)、演習Ⅲ(経済システム論)、演習Ⅳ(経済システム論)、経済システム論Ⅰ、経済システム論Ⅱ、特殊研究(理論経済学)
【問い合わせ先】
torii●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(商学)(慶應義塾大学)、Master of Arts in Statistics(Yale University)
【専門分野】
公共経済学
【研究キーワード】
規制・競争政策、情報通信市場、交通市場、応用計量経済学
【研究内容】
情報通信市場と道路交通市場の規制・競争政策について研究しています。情報通信市場には、YouTubeをはじめとする世界的なプラットフォーマーが活躍する市場、携帯電話さーびすのように一国に数社しかない企業間の競争市場、ゲームやその他コンテンツ市場のように唯一無二の創作物でありながら互いに競争している市場など、様々な市場があります。道路交通市場については、ライドシェアのような新しい市場、DX(デジタルトランスフォーメーション)による既存の交通市場の変化、自動運転導入による社会変化といった将来の道路交通市場、また、交通安全政策などを研究の対象です。
私は主に消費者(サービス利用者)の行動に関心があり、これらの市場でのルール変更により利用者がどのように行動を変化させるか、その場合にどのようなルール変更が望ましいかをデータにより検証するアプローチで研究をしています。
経済学では、市場取引を対象として、消費者や企業がどのように行動するはずであるかを人々の行動原理に基づいてモデル化します。消費者や企業は、政府等で定めた規制等のルールの下に行動します。そのため、ルールが変われば人々の行動も変化します。現行ルールが変更になった場合に、市場での人々の行動データを収集して、その変化を統計的に検証します。ときには、仮想的なルール変更をした場合に、人々がどのような行動変化をすることが予想されるかを実験や仮想的なアンケート調査でデータ収集し、より良いルール変更を提言することもあります。
現在具体的に実施している研究は、無料のメッセンジャー市場の競争状況の評価、Uberなどのライドシェアサービスで発信される口コミ評価プラットフォームの登場によって既存の旅客市場の規制を緩和できるか、様々な分野でのオンライン化の進展で交通サービスと通信サービスがどのような使われ方に変化していくか、などについて研究を進めています。情報通信分野や道路交通分野では、日々新しいサービスが登場します。こうした新しいサービスを対象に研究する際には、まだ、政府等で公式な統計データが収集公表されていないことも多いです。そのため、研究対象の仮説検証にはアンケート調査データを用いることも多いです。昨今ではwebベースのアンケート調査が比較的安価に実施できます。既存の公表データと併せ、オリジナルデータにより人々の行動変化を観察しています。
上に挙げた現在進行中の研究以外にも、ゲーム市場での課金行動の研究、動画配信市場進展によるテレビの視聴行動の変化の研究、通信サービスや交通サービスのユニバーサルサービスの研究、交通規則変更と違反運転行動変化の研究、など、情報通信市場や道路交通市場を中心とした規制・競争政策全般を研究対象としています。
【主な論文・著書】
●"Delineating zero-price markets with network effects: An analysis of free messenger services."(Akihiro Nakamura,
Takanori Ida)Journal of Competition Law & Economics, https://doi.org/10.1093/joclec/nhac014 Published:12/ 2022
●「速度意識の地域間差異についての考察」『国際交通安全学会誌』45(3),pp.206-215、(共著:眞中今日子, 中村彰宏, 森本章倫)2021年2月
●「消費者評価情報の競争があればライドシェアサービスは従来型タクシーサービスを代替しうるか?:消費者評価情報による競争と規制緩和」『交通学研究』63,pp.23-30、2020年3月
●「スマートフォンゲームのオンラインマルチプレイは課金を促すか?」『情報通信学会誌』37(1),pp.25-36、2019年7月
● OTT産業をめぐる政策分析』(共著:実積寿也・春日教則・中村彰宏・宍倉学・高口鉄平)勁草書房、2018年1月
●『通信事業者選択の経済分析ースイッチングコストからのアプローチー』勁草書房、2016年6月
【メッセージ】
これまで多くの大学院生とも共同研究を実施しています。教員が、大学院生の自由な発想から学ぶことも多いですし、共同研究を通じて大学院生が実践的な研究力を磨くこともできます。一緒に、経済学の分析アプローチを学びましょう。
【担当科目】
演習Ⅰ(公共経済学)、演習Ⅱ(公共経済学)、演習Ⅲ(公共経済学)、演習Ⅳ(公共経済学)、公共経済学Ⅰ、公共経済学Ⅱ、特殊研究(公共経済学)
【問い合わせ先】
akihiro.00x●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(工学)・東京大学
【専門分野】
戦略経営、知能情報、認知科学
【研究キーワード】
創造活動支援、技術経営、技能伝承、アートと経営、知識マネジメント、イノベーションマネジメント
【研究内容】
企業の事業活動には業種・職種によって異なり、経営とひと括りにいっても、商品戦略なのか、経営資源の再配分なのか一様ではありません。しかしながら、どんな場面であっても課題はつきものであり、解決の糸口を探らなければなりません。中村潤研究室では、医療、工場、港湾、開発、物流、販売、展示会など、さまざまな現場に宿る課題の実態を探り、仮説をたて、非構造化データを含めて解析し、解決に向けた示唆を探ることで、役に立つ研究を心がけています。
【主な論文・著書】
●(2014). 「ルーチン活動のダイナミズムー戦略形成におけるケイパビリティの再認識―」戦略経営ジャーナル, 3(1), 47-73.
●(2018). 「Dynamic Capability and Technology Evolution In the IoT Environment」 Journal of Strategic Management, 10(1), 53-63.
●(2020). Platform Strategy under Psychological Resistance to Open Source —Toward Software Innovation among SMEs. Journal of Strategic Management, 12(1), 27-40.
●(2022). Anticipation During a Cyclic Manufacturing Process: Toward Visual Search Modeling of Human Factors, The Review of Socionetwork Strategies, 16, 599-614.
●(2024). Characteristics of the Reciprocal Movement of Radiographers’ Gaze Based on a Comparison of Entry-Level and Experienced Radiographers. Journal of Electrical Electronics Engineering. 3(5), 1-4.
【メッセージ】
研究に大事なことは、モチベーション、データ、そして時間です。学生自身が興味関心をもち、それが研究のテーマとして見出すことができれば、山あり谷ありの活動であっても持続していける源泉ではないかと思います。
【担当科目】
演習Ⅰ(経営学)、演習Ⅱ(経営学)、演習Ⅲ(経営学)、演習Ⅳ(経営学)、経営学Ⅰ、経営学Ⅱ、特殊研究(経営学)
【問い合わせ先】
jyulis.77f●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:Ph.D. (University of Glasgow, 2006)
【専門分野】
経済立地論、都市計画、空間政策、地域経済、社会厚生
【研究キーワード】
Agglomeration economies, wellbeing, social welfare, sustainable region
【研究内容】
現代社会では、私たちは市場のメカニズムに大きく依存しています。市場のメカニズムで全てが完結できるのであれば、素晴らしいことであり、生活・生産活動に付随する問題が生じたとしても、すぐに解決していくことが可能です。しかしながら実社会においては、そうした機能が万全に作用しない状況も多々見受けられます。その理由として、市場のメカニズムが万全に機能するための要件が整わないことがあったりするからです。そこで、私たちの研究室では、市場の機能を補完するものとして、集積経済に焦点を当てた分析を行なっています。集積経済とは、あるエリアに相互に力を寄せ合って増幅させていくような状態が作り出されることを言います。そういった力を作り上げているのは、そのエリアで生活・生産活動をしている家計や企業です。大都市には、多くの人や経済で賑わい、都市化経済という集積経済が享受できます。また、大都市に限らず、いわゆる企業城下町のような特定の産業で成り立っているエリアでは、地域特化の経済という形で集積経済が発生しています。近年になり、大都市に限らず、さらには特定の産業で成り立っていないエリアでも、集積経済が生み出される可能性が議論されています。私たちは、現時点では、ウェルビーングや生活の質(QOL)の視点から、この新たな集積経済について考察しています。そうした地域の力がひとたび有機的に相互作用し、好循環が生まれるしくみになれば、地域の高度化や社会全体の厚生を高めていく都市・地域の持続可能な成長へと議論が発展していきます。こうした点について、地域によって前提条件や周辺環境が異なる地域特性を鑑み、立地モデルを設計し、検証しています。また、近隣の自治体や地域運営に携わる関連組織と一緒に、共同研究などの形で様々なしくみを考案し、実装していく取組を交えた事例検証も進めています。今後は、競争力を持つ都市・地域になるために、企業や家計にとって魅力的となる都市・地域の要因について明らかにしたり、近接した他地域と連携して、資源のより効率的な配分を実現させる広域的な空間連携政策などについても、検証を行なっていきます。
【主な論文・著書】
●Nakamura D (2023) Firms’ human resource management for local economy and wellbeing. In Ishikawa T, Nakamura D (eds) in Industrial Location and Vitalization of Regional Economy. Springer.
●Nakamura D (2023) Analysis of the spatial allocation of resources for a sustainable rural economy: A wide-areal coordination approach. Annals of Regional Science. 71: 799–813.
●Nakamura D (2023) A cooperative regional economic system for sustainable resilience policy. Applied Spatial Analysis and Policy. 16: 1001–1011.
●Nakamura, D (2022) An investigation of hierarchical central place systems and optimal spatial structures for improving regional welfare. In: Higano Y, Kiminami L, Ishibashi K (eds) New Frontiers of Policy Evaluation in Regional Science. Springer.
●Nakamura D (2019) Reorganisation of the spatial economic system in a population decreasing region. In Ye X, Liu X (eds) Cities as Spatial and Social Networks. Springer.
【メッセージ】
私たちの研究室では、経済立地論を基盤とし、経済主体である企業や家計がどのような立地意思決定を行なったり、最適立地点を定めていくのかを学びます。さらに、社会的に望ましい立地のあり方についても、実際の都市計画や地域政策とともに検証を重ねていきます。将来、立地に関する仕事を志す皆さん、そして既に関連する仕事に従事されさらなる知見を高めていきたい社会人の皆さんのお越しをお待ちしています。
【担当科目】
演習Ⅰ(経済立地論)、演習Ⅱ(経済立地論)、演習Ⅲ(経済立地論)、演習Ⅳ(経済立地論)、経済立地論Ⅰ、経済立地論Ⅱ、特殊研究(経済立地論)
【問い合わせ先】
dnakamura.745●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(政治学)(中央大学)
【専門分野】
社会思想史、政治思想史、ジェンダー論
【研究キーワード】
経済的自由・生存権・格差・世代間関係・ジェンダー平等
【研究内容】
あなたは『人間不平等起原論Discours sur l’origine et les fondements de l’inégalité parmi les hommes』(直訳すれば『人間の間の不平等の起源と原因に関する論』)(1755年)という著作を知っていますか。それはディジョン(フランス・ブルゴーニュの歴史ある町)のアカデミーが1753年に公募した「人々の間における不平等の起原はなんであるか、そしてそれは自然法によって容認されるか」というテーマの懸賞論文に応募するためにジャン=ジャック・ルソー(Jean-Jacques Rousseau,1712-1778)によって書かれました。アカデミーはルソーの論文を選ばず、結果は落選でしたが、この著作は現在まで260年以上も世界中の人々に読み継がれています。
ルソーが活躍した18世紀後半のフランスは、アンシアン・レジーム(旧体制)下にありました。人口の約9割を占める農民は、国王・教会・封建領主・大地主などから負わされた年貢や借金などに苦しんでいました。そうしたなかで構想されたルソーの根底的な歴史批判は、人類が単に自然に帰ることではなく、人間がいかに「自然から学び」、自然と乖離した戦争状態から脱却して、自然と矛盾しない新しい社会や国家をどのようにして創り出してゆくのかという挑戦の戸口に、まさに立っているのだと大胆に訴えるものでした。
私はこれまでルソーの社会思想・政治思想を研究してきました。最近の研究の1つに『経済研究所年報』第53号(Ⅰ)掲載の論文「ルソー的視座から見た自由(経済的自由)と平等(生存権)のせめぎ合い―なぜル・シャプリエ法は1世紀近くも失効しなかったのか―」があります。その内容を少しご紹介しましょう。
フランス革命の勃発する前後、都市の労働者や中小農民は、市場にパンが出回らずパンの価格も高騰し大変苦しい状態に陥っていました。確かに小麦の不作もありましたが、それ以上に、穀物商人、富農、マニュファクチュア経営者といった富裕者が、穀物の買占めや投機を行っていたことが原因でした。論文では、レヴェイヨン事件、ヴェルサイユ行進、エタンプ事件という3つの民衆の直接行動に注目して、それらがどのような事件だったか、事件の背景に何があったのか、事件に対する為政者・中央権力の対応はどうだったのかを論じ、革命期の社会の矛盾・分断は何によってもたらされたのかを分析しています。私は、コルポラシオン(同業組合)を禁止して経済的自由を促進する91年6月制定のル・シャプリエ法に着目します。「赤い司祭」と呼ばれたパリの活動家ジャック・ルーは、1793年に採択された萌芽的な生存権規定を含む93年憲法をなぜ断罪したのか、1791年憲法は失効したにもかかわらず、91年憲法体制を支えたル・シャプリエ法はなぜ1世紀近くも存続したのかを分析しています。
現代の私たちの最大の社会課題は「格差社会からの脱却」にあると思います。ルソーにも生産力視点はありました。経済の発展と格差を是正し一人ひとりの人間らしい生活・生存を確保することはどうしたら両立可能かご一緒に考えてゆきましょう。
【主な論文・著書】
●『ルソーの政治経済学―その現代的可能性』(鳴子博子著) 晃洋書房、2023年4月。
●「フランス革命期における女性の『能動化と排除』―ヴェルサイユ行進から革命共和女性協会まで―」『女性空間』第40号、2023年2月。
●「ルソー的視座から見た自由(経済的自由)と平等(生存権)のせめぎ合い―なぜル・シャプリエ法は1世紀近くも失効しなかったのか―」『中央大学経済研究所年報』第53号(Ⅰ)、2021年10月。
●「ルソー的視座から見た時間・空間のジェンダー「フランス革命」論―戦争状態を終わらせるものは何か―」『ジェンダー・暴力・権力―水平関係から水平・垂直関係へ』(鳴子博子編著)晃洋書房、2020年。
●「ルソーの『ポーランド統治論』から見たヨーロッパ政治秩序―ポーランドとフランスの拒否権を対比して―」『地球社会の複合的諸問題への応答の試み』(新原道信・宮野勝・鳴子博子編著)中央大学出版部、2020年。
【メッセージ】
シラバスを参照してください。 内容に関心のある方の問い合わせを歓迎します。
【担当科目】
演習Ⅰ(社会思想史)、演習Ⅱ(社会思想史)、演習Ⅲ(社会思想史)、演習Ⅳ(社会思想史)、社会思想史Ⅰ、社会思想史Ⅱ、特殊研究(社会思想史)
【問い合わせ先】
hnaruko001x●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経済学)(中央大学)
【専門分野】
社会経済学、社会哲学、社会思想史
【研究キーワード】
ケインズ主義、民主社会主義、イギリス労働党の社会・経済政策思想、福祉国家思想史、修正自由主義思想史
【研究内容】
私は、J.M.ケインズの政治・経済思想を中心に研究を行なってきました。イギリス自由党の支持者であったケインズは、その「投資の社会化論」によって投資の国家管理を唱えはしましたが、イギリス労働党が主張するような産業国有化論には批判的な態度を保ち続けました。他方、1930年代後半から40年代にかけて労働党は党綱領第4条に掲げてきた産業国有化論とケインズ主義的な経済政策論とを接合させていきました。私は、ケインズ自身の政治・経済思想との関連で、この労働党におけるケインズの経済理論や経済政策論の受容過程およびケインズ主義的社会民主主義の形成過程をE.F.M.ダービンやC.A.R.クロスランドといった労働党の経済学者・政策立案者たちの政治・経済思想を研究することによって明確化しようとしてきました。
周知のように、ケインズは非自発的失業の払拭のための国家介入を提唱しました。しかし、ケインズによる自由市場経済システムへの国家介入の論理は、労働党の経済学者たちによってより平等主義的なものへとつくり変えられていったということができます。ダービンは産業国有化による経済的平等化の推進を主張するとともに、その平等化が達成されるまでの期間に発生するであろう非自発的失業の救済策としてケインズ主義を受容しました。つまり、ダービンは自由市場経済システムの弊害を矯正するための手段としてのケインズ主義をイギリス社会における漸進的かつ民主的な方法を通じた平等化のための補助手段と捉えたのでした。この点において、ダービンはケインズ主義と社会民主主義(民主社会主義)とを接合させた代表的な人物の一人ということができます。
第二次世界大戦後、ケインズ主義的社会民主主義は主流の政治・経済思想として受け入れられていきました。この時期、クロスランドはイギリスにおける産業国有化のさらなる拡大を批判して、国家は社会保障制度の拡充に専念すべきであると主張しました。クロスランドは、第二次大戦後のイギリス資本主義の変容を根拠として、かつてダービンが主張したような産業国有化の拡大を批判し、ケインズ主義的福祉国家体制における国民の福祉の拡大と平等化の推進を主張したのでした。
1970年代半ば以降、ケインズ主義的福祉国家体制、それを支えるケインズ主義的社会民主主義はインフレーションの昂進や財政赤字の肥大化等が露呈するに及んでその威信を失い、いわゆる新自由主義や第三の道といった政治・経済思想に取って代わられていきました。しかし、今日、その新自由主義や第三の道にも多くの弊害や欠陥があることが指摘されています。ケインズ主義的社会民主主義や福祉国家体制の歴史的意義や欠陥等を検討することによって、今後のより良い社会・経済政策立案のための一助となればと考えています。
【主な論文・著書】
●“Equalisation and civic duty in Keynesian social democracy”, International Journal of Social Economics, Vol. 43, Iss. 9, pp. 931-942, 2016.
●「C.A.R.クロスランドにおける「社会的平等」について」『経済学論纂』第52巻第3号、 2012年3月。
●「産業国有化に対するC.A.R.クロスランドの見解について―「経済的効率」と「選挙戦略」に基づく批判―」『経済学論纂』第51巻第5・6合併号、2011年3月。
●「C.A.R.クロスランドの資本主義体制に関する分析─ケインズ主義的社会民主主義の前提─」『功利主義と政策思想の展開』所収、中央大学出版部、2011年。
●「E.F.M.ダービンの産業国有化論について―イギリス労働党におけるケインズ主義的社会主義の形成―」『中央大学経済研究所年報』第41号、2010年。
【メッセージ】
経済理論や政策論を真に理解するには、まずもってそれらをつくり上げた人物の社会ヴィジョンや政治・経済観を十分に知らねばなりません。ケインズは、思想史研究を「人類解放のための予備的作業」と位置づけましたが、偉大な人物たちの社会ヴィジョンや政治・経済観を分析対象とする社会思想史は、まさに経済学研究のための「予備的作業」であると思います。この授業を通じて、熱意ある大学院生に社会思想史を学んで欲しいと思っています。
【担当科目】
演習Ⅰ(社会思想史)、演習Ⅱ(社会思想史)、演習Ⅲ(社会思想史)、演習Ⅳ(社会思想史)、社会思想史Ⅰ、社会思想史Ⅱ、特殊研究(社会思想史)
【問い合わせ先】
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研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:Ph.D. in Economics(オーストラリア国立大学)
【専門分野】
開発経済学
【研究キーワード】
1. 格差と貧困、2. 経済開発、経済発展、3. 社会開発(教育、保健・衛生等)、4. 中小企業、5. 工業化と産業政策、6. 開発途上国(発展途上国)
【研究内容】
途上国の開発に関連して、以下のような分野を研究対象にしています。
(1)格差と貧困:格差・貧困の原因と解決策、経済成長・格差・貧困の関係、マイクロファイナンスと貧困削減
(2)産業開発:産業政策、農業・農村開発、工業開発、中小企業振興、貿易と海外直接投資、開発とビジネス(BOPビジネス、ソーシャル・ビジネス、インクルーシブ・ビジネス)
(3)社会開発:教育、保健・衛生・医療、ジェンダー問題
(4)環境と開発:環境・資源・エネルギー
(5)アジアの開発経験:アジア途上国の開発経験、アジアの開発経験とアフリカ
(6)国際協力:日本の国際協力政策、MDGs/SDGs、フェアトレード
上記の中でも、格差と貧困、中小企業振興、工業化と産業政策、社会開発等のテーマに力を入れて取り組んできました。
このところ、アジア途上諸国における所得格差と貧困について研究しています。インドネシア、フィリピン、インド等の家計データを用いて、地域間、地域内の空間的な所得格差を測定し、その格差の生まれる要因について定量的な分析を行なっています。これまでの分析によれば、教育水準の違い(学歴/就学年数)が1つの国の中で空間的な所得格差を生む要因になっている可能性が高いという結果を得ています。教育に加えて、世帯の就業セクターの違い(農業vs非農業)、カースト制度の伝統が残るインドでは、社会階層の違い(指定カースト/指定部族等後進階層(差別されている階層)vs非差別階層)も影響を与えている可能性のあることが見えてきました。
格差の是正や貧困の削減にもつながり、雇用創出、所得向上、産業基盤の強化に寄与しうる中小企業の発展に関連した研究も実施しました。日本の歴史的経験を踏まえながら、インドネシアの経済発展という文脈の中で、金属加工・機械分野の中小企業とサブコントラクティングの関係について議論しています。インドネシアでの現地調査にもとづき、定量的および定性的な分析を行なった結果、大企業との下請け関係は、中小企業の能力と生産効率を改善し、中小企業が経済発展に貢献することを可能にする制度的メカニズムであろうことを示しました。
中小企業の問題も含め、インドネシアの工業化についても研究してきました。産業全体を視野に入れながらも、製造業に焦点を当てて、同国における工業化の進展、到達点、工業化を持続させるために必要な課題を明らかにするために、産業・貿易構造の面から定量的な分析を試みています。産業連関表を用いて、スカイライン・チャートの作成、産業連関効果の測定、産業の成長要因分解を行ない、産業・貿易構造の変化を描写し、その要因を探りました。最近は、博士課程の留学生とともに、中国の空間的な所得や教育の格差についても研究しています。
【主な論文・著書】
●"Roles of Education in Expenditure Inequality between Urban and Rural Areas: Indonesia, the Philippines, and India," in Ishikawa, T. and D. Nakamura (eds.), Singapore: Springer, 2023.
●“Spatial Dimensions of Expenditure Inequality in India: With Attention to the Roles of Education and Social Classes,” in Ishikawa, T. (ed.), Locational Analysis of Firms’ Activities from a Strategic Perspective, Singapore: Springer, 2018.
●「経済発展再考のための枠組み-新構造主義経済学」、『貧困なき世界:途上国初の世銀チーフ・エコノミスト』(Lin, J.L., The Quest for Prosperity: How Developing Economies can Take off)東洋経済新報社、2016年.
●“Education and Expenditure Inequality in the Philippines: Decomposition Analyses,” The Proceedings of the 5th IRSA (Indonesian Regional Science Association) International Institute held in Bali, Indonesia, 2015.
●“Features of Industrial and Economic Structure as Factors for Firms' Location Selections: An Analysis of ASEAN Countries,” in Ishikawa, T. (ed.), Firms’ Location Selections and Regional Policy in the Global Economy, New York: Springer, 2015.
●“Expenditure Inequality in Indonesia, 2008–2010: A Spatial Decomposition Analysis and the Role of Education,” Asian Economic Journal, Vol. 28, No. 4, pp. 389–411, 2014.
【メッセージ】
途上国の持続的な開発の促進、格差の是正、貧困の削減に少しでも寄与する研究をしたいと思っています。同様の気持ちをもつ大学院生の皆さん、一緒に研究しましょう。
【担当科目】
演習Ⅰ(経済発展論)、演習Ⅱ(経済発展論)、演習Ⅲ(経済発展論)、演習Ⅳ(経済発展論)、経済発展論Ⅰ、経済発展論Ⅱ、特殊研究(開発経済学)
【問い合わせ先】
mhayashi●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学部林ゼミHP
林ゼミHP
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:横浜国立大学国際社会科学研究科・博士(経済学)
【専門分野】
マクロ経済学、経済成長、景気循環
【研究キーワード】
イノベーション、知的財産権保護、金融政策
【研究内容】
経済成長と景気循環を引き起こす根本的な要因(fundamental causes) について分析しています。根本的な立場として、さまざまな要因が、互いに複雑に絡み合って、経済成長―生産・消費活動の水準が時間とともに高まっていく現象―を支えていると考えています。またそれらの要因が、場合によっては、景気循環―経済成長の過程で、活動水準が上がったり下がったり現象―の要因になる可能性にも注目しています。分析手法は「動学的一般均衡モデル」による動学分析を主軸に、私の研究は必然的に多種多様な要因に注目してきましたが、3つに大別できます。その詳細の一部を、以下に紹介します。
1つは金融政策の長期的効果に関する研究です。企業異質性 (Chu et al. 2017)、金融政策の国際波及 (Chu et al. 2019)、所得格差 (Chu et al. 2019) といったトピックと金融政策の関係を分析しています。第2に、博士論文の時からのテーマで、知的財産権(IPR)保護のマクロ効果にも関心を持ち続けています (Furukawa 2007, Chu et al. 2005, RED)。第3として, イノベーションのサイクルがなぜ、どのようにして発生するのか、に関して分析できる新しい理論モデルを構築してきました。国際的な技術サイクルを説明したFurukawa (2015) をはじめ, 産業革命が繰り返し発生するメカニズムを解き明かしたYano and Furukawa (2023) などがあります。
今後の発展として、今までのテーマを引き継ぎながら、新しい分野にも挑戦しています。例えば、Furukawa et al. (2020, 2023) は、人々の新規性に対する文化的選好(かみ砕いていえば、”新しいモノ好きな気質”)がイノベーションや研究開発活動に与える影響について、理論だけでなく、実証分析をしています。またYano and Furukawa (2020) では, 人工知能の発展が所得格差に与える影響に焦点を当てています。まだ構想中の段階ですが、直近では、NFT (non-fungible tokens、非代替性トークン)市場の分析などに関心を持っています。
【主な論文・著書】
●Love of Novelty: A Source of Innovation-Based Growth... or Underdevelopment Traps? (with Tat-kei Lai and Kenji Sato), Macroeconomic Dynamics, forthcoming.
●Two-Dimensional Constrained Chaos and Industrial Revolution Cycles (with Makoto Yano), Proceedings of the National Academy of Sciences 120 (5), e2117497120, January 2023.
●Dynamic Effects of Patent Policy on Innovation and Inequality in a Schumpeterian Economy (Angus C. Chu, Sushanta Mallick, Pietro Peretto, and Xilin Wang), Economic Theory 71, 1429–1465, 2021.
●Innovation and Inequality in a Monetary Schumpeterian Model with Heterogeneous Households and Firms (with Angus C. Chu, Guido Cozzi, Haichao Fan, and Chih-Hsing Liao), Review of Economic Dynamics 34, 141–164, October 2019.
●Inflation and Innovation in a Schumpeterian Economy with North-South Technology Transfer (with Angus C. Chu, Guido Cozzi, and Chih-Hsing Liao), Journal of Money, Credit, and Banking 51, 683–720, March 2019.
●Inflation and Economic Growth in a Schumpeterian Model with Endogenous Entry of Heterogeneous Firms (with Angus C. Chu, Guido Cozzi, and Chih-Hsing Liao), European Economic Review 98, 392–409, September 2017.
【メッセージ】
最先端の研究のエッセンスを掴んでほしいと思っています。
【担当科目】
マクロ動学Ⅰ、マクロ動学Ⅱ、演習Ⅰ(マクロ動学)、演習Ⅱ(マクロ動学)、演習Ⅲ(マクロ動学)、演習Ⅳ(マクロ動学)、特殊研究(経済成長論)
【問い合わせ先】
Yfurukawa660●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
個人サイト
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経済学)、慶應義塾大学
【専門分野】
消費者理論、一般均衡理論およびその関連分野
【研究キーワード】
積分可能性理論、顕示選好理論、均衡動学、微分方程式
【研究内容】
積分可能性理論を用いて現代的な効用関数の推定問題に応用するための研究を行っております。この理論は1980年代に一度継承者がいなくなってほぼ絶滅した分野ですが、私はこの理論分野が現代でこそ輝けるものになり得ると考えております。
効用関数は消費者の好みを表現するものですが、これは人の心の中に隠れているため、観測が困難です。1950年代には、経済学者はこれを観測不可能と考え、効用関数が観測できなくとも問題なく議論できることをテーマにして様々な研究成果を導出してきました。しかし、1970年代になると、その方法論に限界があることがだんだんとわかってきたのです。ちょうどその頃にコンピュータが発達してきたため、人々は実データから効用関数を計算するという手法を探し求めるようになりました。その時代からよく用いられているのはカリブレーションと呼ばれる手法ですが、これは最初から効用関数が特定の形をしていることを仮定して、その上でその形の中で最もデータに合うものを探すものです。一方で積分可能性理論は、どんな購買行動に対してもそれに最もフィットした効用関数の逆算を可能とします。つまり、効用関数が特定の形をしているという仮定は、この理論の前には不要になります。これが経済理論の応用可能性を大幅に引き上げてくれるというのが私の考えです。
また、これに関連して、顕示選好理論と積分可能性理論の関係についても探っており、意思決定理論への応用も考えております。それから、積分可能性理論は微分方程式論と非常に近い分野なので、その近接分野における応用にも興味があります。具体的には、均衡の安定性に関する模索過程および非模索過程の理論、マクロ経済動学におけるオイラー方程式およびハミルトン=ヤコビ=ベルマン方程式の理論などです。これらはいずれも、最先端の経済分析に使われる重要な問題です。
【主な論文・著書】
●Recoverability revisited. J Math Econ 90 (2020), 31-41.
●Consumer Optimization and a First-Order PDE with a Non-Smooth System. Oper. Res. Forum 2 (2021), 2:66.
●Equivalence between Nikliborc's theorem and Frobenius' theorem. Pur. Appl. Func. Anal. 6 (2021) 719-741.
●An axiom for concavifiable preferences in view of Alt’s theory. J Math Econ 98 (2022), 102583.
●On the basis of Hamilton-Jacobi-Bellman equation for economic dynamics. Physica D 446 (2023) 133684.
【メッセージ】
研究で手を出せる範囲は勉強の量に比例して広がります。
研究のために、我々はまず勉強するべきです。
勉強しましょう。
【担当科目】
ミクロ経済学Ⅰ、ミクロ経済学Ⅱ、ミクロ動学Ⅰ、ミクロ動学Ⅱ、演習Ⅰ(ミクロ経済学)、演習Ⅱ(ミクロ経済学)、演習Ⅲ(ミクロ経済学)、演習Ⅳ(ミクロ経済学)、特殊研究(理論経済学)
【問い合わせ先】
Hosoya●tamacc.chuo-u.ac.jp
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:中央大学大学院経済学研究科経済学専攻 経済学博士(中央大学)
【専門分野】
イギリス経済学説史
【研究キーワード】
リカードウ、マルサス、イギリス古典派経済学、穀物法、国債
【研究内容】
19世紀前半のイギリス古典派経済学を研究しています。特に、アダム・スミスの後の代表的なイギリス古典派経済学者であるデイヴィッド・リカードウ(1772~1823年)とトマス・ロバート・マルサス(1766~1834年)の貿易政策論、租税論、国債論が専門です。今後はリカードウとマルサスを中心としながら、イギリス古典派経済学の理論と政策の関係を穀物法と国債累積の点から総合的に解明するつもりです。
当時、穀物法や先の戦争中に累積した国債がイギリス経済に関する重要問題でした。これらの問題に対して、リカードウは穀物法廃止(自由貿易)と資本課税による国債償還を唱え、マルサスは穀物法維持(保護貿易)と急激な国債償還への懸念を表明しました。両者の政策的立場の違いは、2人の経済理論の違いに根差しています。同じ時代に生きて、同じ経済問題を分析したにもかかわらず、なぜリカードウとマルサスは異なる経済理論を構築し、異なる政策的立場をとったのか。
こうした問題を彼らの経済学の方法、アダム・スミスのような先行者たちから彼らが受けた影響、経済活動を行う人間に関する彼らのつかみ方、政策を審議・決定する立法府をはじめとする当時の政治システムに対する彼らの見方のようなさまざまな観点から分析し、経済学者ごとに理論や政策的主張が異なる理由と意味を研究しています。
歴史にあまり関心がない人にとっては、いまから200年も昔の、しかも日本とは違う国であるイギリスの経済学を研究することが何の役に立つのか、と思われるかもしれません。しかし現在でも、雇用、財政、金融、貿易、社会保障などの諸問題に対して、さまざまな経済学者がさまざまな政策を主張しているのではないでしょうか。その異なる政策は、異なる理論によって基礎づけられています。そしてその異なる理論は、人間、市場、貨幣、政府(政治)などに対する異なる見方・考え方から形成されています。
もちろん、雇用、財政、金融、貿易、社会保障などの諸問題において、各分野で現在スタンダードとされている理論や政策的主張はあるでしょう。しかし、現在主流の理論や政策的主張は絶対に正しいのでしょうか。スタンダードや主流ではない理論や政策的主張の中にも、現在の諸問題を考えるうえで見落としてはならない観点や要素が含まれていないでしょうか。現在のスタンダードまたは主流の理論や政策的主張にせよ、それ以外の理論や政策的主張にせよ、それらの原型となる見方・考え方は、現在までの約250年に及ぶ経済学の歴史の中に大抵は見出すことができます。
こうして経済学説史は、必ずしも現在の諸問題に対して直接的な形で解決策を与えるものではありませんが、現在の諸問題を分析する際に用いられる理論とそこから導き出される政策を批判的に相対化し、いっそう妥当な分析・解決策に近づく手段の1つになるでしょう。
【主な論文・著書】
●「R.ジョーンズとT.C.バンフィールドーー穀物自由貿易をめぐって――」『経済学論纂』第65巻第2号、2024年9月
●「一国の租税支払い能力に関する穀物法廃止の影響―1814~15年のマルサス説の検討―」、『経済研究所年報』第51号、2019年9月
●「エドワード・ウェストの穀物法論―リカードウとの異なる諸側面―」、『マルサス学会年報』第28号、2019年3月
●‘Foreign trade, profits, and growth: A comparative study of Ricardo and Malthus’, Ricardo and International Trade, eds. by S. Senga, M. Fujimoto, and T. Tabuchi, London and New York: Routledge, 2017
●木村雄一・瀬尾崇・益永淳『学ぶほどおもしろい経済学史』晃洋書房、2022年4月
【メッセージ】
経済学説史は、ミクロ経済学、マクロ経済学、マルクス経済学などの経済理論を相対化し、現状を分析する際の理論の諸前提を問うことによって、理論と現実を複眼的にみることを可能にします。大学院で経済学説史そのものを専攻する人に限らず、現実を理論的に分析することに関心がある人にも、経済学説史を学ぶことは役に立つでしょう。
【担当科目】
演習Ⅰ(経済学説史)、演習Ⅱ(経済学説史)、演習Ⅲ(経済学説史)、演習Ⅳ(経済学説史)、経済学史概論、経済学説史Ⅰ、経済学説史Ⅱ
【問い合わせ先】
lyn.458●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
松浦 司/MATSUURA Tsukasa (人口経済学)
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:京都大学大学院経済学研究科博士課程 博士(経済学)
【専門分野】
人口経済学、労働経済学
【研究キーワード】
少子高齢化、格差と貧困、幸福度、労使関係論
【研究内容】
私の研究テーマは人口経済学と労働経済学から成り立っています。私の人口経済学のテーマは、主に日本の少子高齢化に関する実証分析です。少子高齢化に関しては、3つの観点から分析しています。1つめは、日本の地域間移動と出生率の関係に注目しています。近年では若年女性の地域からの転出傾向が強くなり、出生率の地域間格差が顕著になっています。若年女性の人口移動と出生率の関係を若年層の人口性比に注目した計量分析を行っています。また、1.57ショック以降の日本の少子化対策や地域創生政策の変遷に関しても着目して分析しています。2つめは、コロナパンデミック以降の出生率の変化について、他の西欧諸国との違いに着目して、その違いがどのように説明できるかを検証しています。3つめは、出産意欲、生活満足度、幸福度といった主観的変数を用いたアプローチです。子ども数が親の幸福度や生活満足度に与える影響の男女差に注目して、なぜ男女差が生じるのかに関して考察しています。出産意欲に関しては、日本と台湾の有配偶女性に注目し、出産意欲の決定要因の国の違いについても検証しています。さらに、子どもが親の主観的厚生に与える長期的な影響を検証するために、単身高齢者の主観的厚生の男女差を検証したうえで、日本と中国の差についても検証しています。
労働経済学に関しては、主に労働組合や従業員組織の意義に関する実証分析であり、いわゆる労使関係を主な研究対象としております。労働組合や従業員組織に関しては、1つめは組合の賃金水準や賃金格差に対する影響を分析しております。組合が賃金を上昇させたり、賃金格差を縮小させる効果はどのような条件の下で確認できたりするのかということを、年代やガバナンス要因に着目して検証しています。2つめは、ハーシュマンの”Exit-Voice”の枠組みを用いて、労働組合や従業員組織が仕事満足度や就業継続意欲を高めて、離職率を下げることができるのかについて検証しました。また、職場環境やガバナンス要因との相互関係についても検証を行っています。
また、教育を通じた格差の再生産などの研究も行っており、橘木俊詔先生と『学歴格差の経済学』という本を出版したりもしています。
【主な論文・著書】
●Living Arrangements and Subjective Well‑being of the Elderly in China and Japan, “Journal of Happiness Studies” 22(3), 2022
●Employee association in Japanese family and non-family SMEs, “International Journal of Manpower” 44(7), 2023
●Labor Union Effects on Wage Dispersion: Evidence from Panel Data of Japanese Listed Companies, “Journal of Asian Economics” 2024
【メッセージ】
私の主な研究対象は少子高齢化、人口移動、地域政策、格差、貧困、労使関係、幸福度といった分野であり、研究手法としてはミクロデータやセミマクロデータを用いた実証分析を用いています。最近では日本だけでなく、中国、台湾、韓国といった東アジアのミクロデータや、WVS(世界価値観調査)を用いた国際比較も行っています。近年では、中国人との共同研究や、中国社会科学院とのプロジェクトなどで、中国に関する研究も増えてきています。
【担当科目】
演習Ⅰ(人口政策論)、演習Ⅱ(人口政策論)、演習Ⅲ(人口政策論)、演習Ⅳ(人口政策論)、人口政策論Ⅰ、人口政策論Ⅱ
【問い合わせ先】
tmatsuura001c●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:中央大学大学院経済学研究科博士後期課程修了 博士(会計学)(中央大学)
【専門分野】
会計学、環境会計論
【研究キーワード】
環境会計、森林会計、林業会計、地域の会計(メソ会計)、マクロ会計
【研究内容】
SDGsやパリ協定、Society5.0等、地球および地域の持続可能性(サステナビリティ)に注目が集まっています。企業や政府等を対象にした世界経済フォーラムのアンケート調査(Global Risk Report 2024)では、今後10年間に深刻化するリスクとして、上位5項目のうち4項目を環境領域が占めています。機関投資家が環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の観点から投資(ESG投資)を行うようになったり、水資源や森林生態系等を考慮した資源の採取(持続可能な調達・責任ある調達)が行われるようになったり、企業を取り巻く環境は変化しています。
このような状況において、個別の組織を会計主体とするミクロ会計の領域で、また、一国全体の経済を対象とするマクロ会計の領域で、「環境会計」という新しい取り組みが始まっています。ミクロ会計の領域では、数多くの企業が、企業の社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)や共有価値の創造(CSV: Creating Shared Value)に取り組み、その結果をサステナビリティ情報として開示するようになっています。サステナビリティ開示にあたっては、IFRS(International Financial Reporting Standards)S1・S2、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)およびTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)等,国際的な基準の整備が進んでいます。また、資源の採取から廃棄・リサイクルに至る製品ライフサイクル全体でのサステナビリティの向上を図るツールとして、数多くの企業が、製品ライフサイクルアセスメント(LCA: Life Cycle Assessment)、エコバランスおよびマテリアルフローコスト会計等を実施し、経営改善に利用するようになっています。
マクロ会計の領域では、初めての国際基準として、SEEA2012-CF(System of Environment-Economic Accounting 2012- Central Framework)が設定されました。水資源会計や木材資源会計として、日本を始め世界各国で、SEEA2012-CFに基づく試算が始まっています。また、森林のように地域性が高い自然資源の管理と、そのような資源に基づく産業クラスターの「価値」を高めるためには、ミクロとマクロの中間にあるシステムとして、特定の地域という、ある一定の空間的広がりを会計単位とする地域の会計(メソ会計)が提案されています。
私が取り組む環境会計は、非常に新しい領域ですが、社会的な期待の高まりがあり、企業や政府等の現場主導で急速に開発が進んでいます。ミクロ、マクロおよびメソという幅広い観点から、地球および地域のサステナビリティを、会計学として研究しませんか?
【主な論文・著書】
●丸山佳久・大塚生美・堀靖人「ESG投資に向けた森林価格の計算可能性」『経理研究』(63)pp.94-106, 中央大学経理研究所、2024年。
●丸山佳久「森林および木材産業クラスターを対象としたストック・フロー会計の考察」『横浜経営研究』43(1)pp.307-327, 横浜経営学会、2022年。
●丸山佳久「地域の会計を連結環としたミクロ会計とマクロ会計の統合」『中央大学経済研究所年報』(53)pp.1-22, 中央大学経済研究所、2022年。
●丸山佳久「北海道から考える森林と地域の会計」『會計』199(1)pp.84-97、森山書店、2021年。
●樋口邦史・田中徹・丸山佳久『SDGsの主流化と実践による地域創生 まち・ひと・しごとを学びあう』水曜社、2019年。
【メッセージ】
環境会計は、非常に新しい領域ですが、社会的な期待の高まりがあり、企業や政府等の現場主導で急速に開発が進んでいます。ミクロ、マクロおよびメソという幅広い観点から、地球および地域のサステナビリティを、会計学として研究しませんか?
【担当科目】
演習Ⅰ(環境会計論)、演習Ⅱ(環境会計論)、演習Ⅲ(環境会計論)、演習Ⅳ(環境会計論)、環境会計論Ⅰ、環境会計論Ⅱ、特殊研究(社会会計論)
【問い合わせ先】
maru●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経済学)(中央大学)
【専門分野】
社会政策、社会保障論
【研究キーワード】
社会保障、フランス、家族手当、住宅手当
【研究内容】
資本制社会における社会保障の歴史的展開を探究しています。とりわけ、社会政策学的視点から、家族手当(児童手当)を始めとする社会手当の生成・展開に関する研究に取り組んでいます。
【主な論文・著書】
●『フランス家族手当の史的研究 ―企業内福利から社会保障へ―』御茶の水書房、2017年
【メッセージ】
政策・制度展開の歴史的必然性を重視しつつ、社会保障論の研究指導を行っています。
【担当科目】
演習Ⅰ(社会保障論)、演習Ⅱ(社会保障論)、演習Ⅲ(社会保障論)、演習Ⅳ(社会保障論)、社会保障論Ⅰ、社会保障論Ⅱ、特殊研究(社会保障論)
【問い合わせ先】
miyamoto.chuo●gmail.com
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:東京大学大学院経済学研究科・博士(経済学)・東京大学
【専門分野】
マクロ経済学
【研究キーワード】
マクロ経済学,ケインズ経済学
【研究内容】
私は、巨視的(マクロ的)見地から、ケインズ経済学の根本原理たる有効需要の原理に基づいて、景気循環及び経済成長に関する理論的及び数理的研究を行ってきましたが、近年においては、微視的(ミクロ的)見地から、価格硬直性及び賃金硬直性の生ずる機構を解明し、有効需要の原理に理論的基礎を提供するような理論的研究をも行っています。
【主な論文・著書】
●“Keynesian systems with rigidity and flexibility of prices and inflation-deflation expectations,” Structural Change and Economic Dynamics 30 (Sep. 2014), 68-85.
●“Time elements and oscillatory fluctuations in the Keynesian macroeconomic system,” Studies in Nonlinear Dynamics and Econometrics 21 (2) (Apr. 2017), 1-22.
●“Inflation-deflation expectations and economic stability in a Kaleckian system,” Journal of Economic Dynamics and Control 92 (Jul. 2018), 183-201 (with Toichiro Asada).
●“The unique limit cycle in post Keynesian theory,” Chaos, Solitons and Fractals 154 (Jan. 2022), 111597.
●“Product life cycles, product innovation and firm growth,” Annals of Operations Research 337 (Jun. 2024), 873-890.
【メッセージ】
大学院博士前期(修士)課程及び博士後期課程において行う研究は、研究者(将来研究者となろうとしなくとも、将来就こうとする職業)の礎となるものです。大学院においては、全力をあげて、その礎を定めるようにしてください。
【担当科目】
マクロ経済学Ⅰ、マクロ経済学Ⅱ、マクロ動学Ⅰ、マクロ動学Ⅱ、演習Ⅰ(マクロ動学)、演習Ⅱ(マクロ動学)、演習Ⅲ(マクロ動学)、演習Ⅳ(マクロ動学)
【問い合わせ先】
hmura●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(経済学)(九州大学)
【専門分野】
経済地理学、産業経済論
【研究キーワード】
立地、モバイル、空港、半導体、産業クラスター、医療機器産業
【研究内容】
空間という観点から産業の発展および地域構造の再編を解明することを研究の主眼に置いています。経済学では空間という広がりを捨象するケースが多いのですが、現実世界は多様な空間の広がり(海、川、沼、山、谷、平原、地下や空)があり、空間の広がりが現実の生活や生産活動における「空間障壁」として作用しています。それらの「空間障壁」をいかに低減していくのか(「空間克服」と呼んでいます。英語ではtaming of space)が、イノベーションの中核(蒸気機関車、新幹線、リニアモーターカー、二輪車、バイク、自動車、トラック、航空機、タンカー、フェリー、コンテナ船、スマートフォンやipad、モバイルパソコン等のモバイル通信機器等)であり、「空間障壁」をいかに低減した国土や地域をデザインしていくのかが、国土計画、地域創生のキーコンセプトとなります。
古くなりますが、関心のある人は、山﨑朗・玉田洋編著『IT革命とモバイルの経済学』東洋経済新報社、2000年、山﨑朗『日本の国土計画と地域開発』東洋経済新報社、1998年を読んでみてください。
これまでの研究成果をいかしつつ、社会的には経済産業省の産業クラスター計画や文部科学省の都市エリア産官学連携事業および知的クラスター事業の立案・評価業務や、国土交通省の国土計画関連の審議会・委員会委員および国際戦略コンテナ港湾の審査や戦略策定、関西国際空港の経営アドバイス、国際ハブ空港研究会の座長などの社会的活動も積極的に行っています。産業クラスターについては有斐閣から2冊、中央経済社から1冊(編著、共著)を出版しています。
また、著作についても日本経済新聞のやさしい経済学や経済教室、その他の媒体の雑誌の評論、および啓蒙的な著作の出版もしています。
科学研究費については、化学産業による医療機器、医薬品産業への参入の経緯を立地という空間的観点から読み解く研究を行ってきましたが、コロナ問題もあり、現在は研究が中断している状況ですが、コロナが落ち着きましたら、再度研究を再開する予定にしています。研究内容の詳細はresearchmapで確認してください。
【主な論文・著書】
●「危機の国土計画と国土計画の危機」『地域開発』第643号、2022年11月
●「日本の温泉都市における温泉クラスター形成の可能性」『日本都市学会年報』第55号、2022年5月
●「融解・統合・マイクロ化時代の国土計画」『開発こうほう』2020年10月1日号
●「潜在能力の開発へ自立促せ 地方創生の視点」『日本経済新聞』(経済教室)2020年10月23日朝刊
●「地方創生と航空ネットワーク」『経済学論纂(中央大学)』2020年1月30日
【メッセージ】
多様な産業についての研究や地域の研究に関心のある人は遠慮なくご相談ください。
【担当科目】
演習Ⅰ(地域政策論)、演習Ⅱ(地域政策論)、演習Ⅲ(地域政策論)、演習Ⅳ(地域政策論)、地域政策論Ⅰ、地域政策論Ⅱ、特殊研究(経済地理学)
【問い合わせ先】
yama●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
経済学研究科 経済学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:中央大学経済学研究科博士課程単位取得満期退学、経済学修士(中央大学)
【専門分野】
人口論、人口統計学、経済統計学
【研究キーワード】
少子化、高齢化、人口減少、マーケティング、地域政策
【研究内容】
人口統計学やそれを応用した研究をしています。人口統計学は、人口の量や構造の変化を分析するものです。日本でいえばこれまで増加し続けてきた総人口が近年減少に転じ、今後(おそらく皆さんが生きている間)も減少し続けていく状況や、高齢化や単独世帯の増加のようにその人口の年齢構造や世帯構成の変化を分析します。さらに、このように人口が変化する要因である出生や結婚、死亡、移動について、つまりこれも日本の例でいえば少子化(このままでは総人口が減少するほどの出生率の低下)や、平均寿命の伸び(死亡率の低下)、地方の過疎化や都市圏への人口集中なども分析します。また人口統計学の研究を深めれば、これらの要因を組み合わせて将来の人口を推計することもできるようになります。
さらに人口統計学による分析結果を応用して、人口減少、少子化、高齢化、過疎化などが現在そして将来にわたって社会や経済に及ぼす影響など、人口とのさまざまな関係性を研究することが応用人口学です。人口は人間の集団ですから、人間が関わる社会や経済のすべてに影響があります。例えば経済でいえば、人口が高齢化すれば労働力も高齢化しますし労働生産性も変わるでしょう。あるいは総人口が減少したら、消費も全体的に縮小したり、若年人口を主な消費対象としている市場でも縮小したりするでしょうが、一方で高齢者向けの市場は拡大します。さらに詳細に年齢別や世代別で消費行動を分析すればマーケティングにも応用できますし、同じように年齢別で地域住民のニーズをとらえれば、必要で効率的な行政サービスを策定する地域政策にも応用できます。
私自身の具体的な事例を挙げるとすれば、例えば日本最大手の広告代理店である電通において、人口予測を応用したマーケティングの基調講演をしました。また、八王子市の多摩ニュータウンまちづくり方針の策定に係る懇談会の委員をして、学生さんたちや地域住民の方々と地域行政サービスに関するワークショップをしました。大学院の学生さん達とは、東日本大震災後、仮設住宅に居住する被災高齢者の方々を訪問して、商業施設や医療施設のアクセスビリティの問題を調査し、その調査結果に地理情報システムの分析手法を応用して地域政策提言をしたこともあります。
なお、公衆衛生や疫学、医療統計学、数理生物学などの理系分野を除けば、私のように、文系の大学院において人口統計学に特化して教育しているケースはほとんどありません。実際、私も総務省統計研究研修所において人口分析を講義したり、いくつかの地域自治体の人口推計を指導したりするなど、このような人口統計学の分析技術は、社会科学はもちろん、さまざまな分野の研究者だけではなく、たとえば国や地方の公務員あるいはマーケティングなどビジネス関係者にとっても有用かつ必要な知識ですので、学修することを強くお薦めします。
【主な論文・著書】
●『人口統計学の理論と推計への応用』オーム社、2015年。
●『Excelで学ぶ人口統計学』オーム社、2006年(日本人口学会普及奨励賞、中央大学学術研究奨励賞)。
●「経済システムの変容」『ポスト人口転換期の日本』(佐藤龍三郎・金子隆一編)原書房、2016年。
●「避けられない日本の人口減少と高齢化」『2025年の日本』(駒村康平編)勁草書房、2016年。
●『自然災害と人口』(井上孝・和田光平編)原書房、2021年。
●『セクシュアリティの人口学』(小島宏・和田光平編)原書房、2022年(日本人口学会普及奨励賞)。
【メッセージ】
高い山の裾野は広いと言います。自分の専門分野だけではなく、幅広く関心をもち、自分から積極的に学んでいこうという姿勢も大事です。また、学生でいられる贅沢な時間は驚くほど速く過ぎてしまいます。例えば修士の2年間であれば、2年後の目標、そのためには1年後の目標、そして今月の、今日の目標というように毎朝起きたら今日するべきことと計画の進捗を意識して、充実した研究生活にしてください。
【担当科目】
演習Ⅰ(人口政策論)、演習Ⅱ(人口政策論)、演習Ⅲ(人口政策論)、演習Ⅳ(人口政策論)、人口政策論Ⅰ、人口政策論Ⅱ
【問い合わせ先】
wada.00a●g.chuo-u.ac.jp