人と機械の安全な協働に向けてソフトロボット技術が注目されていますが、柔らかいがゆえに応答速度や発生力に課題があります。本研究ではジメチルエーテル(DME)の燃焼を利用した集積型燃焼人工筋肉システムの開発を通して、ヒトと同程度のスケールの応答速度、発生力、変位を満たすソフトアクチュエータの具現化に挑戦します。提案手法は燃焼で駆動するため出力制御や連続駆動が困難ですが、集積化によって解決を目指します。
※ロボティクスメカトロニクス講演会2022の動画です
バーチャルリアリティ(VR)や遠隔操作などへの応用を目指した,空気噴出を利用した装着型力覚提示装置について研究しています.本装置の利点は使用者が自由に動け,かつ外骨格型力覚提示デバイスのような固定部分での違和感を感じない点です.現在は指を対象とした力覚提示装置を試作し,評価しています.今後は動作教示システムなどへの応用を目指します.
打楽器演奏を題材に,人工筋肉駆動ロボットのための強化学習を用いた制御システムの開発を行っています.軽量で柔軟な特性を持つ人工筋肉の開発が盛んですが,応答の遅さや非線形性が課題となり実用には至っていません.そこで,ヒトが特定の動作に対して反復練習により成功時の感覚を体に覚えこませていることに着目し,制御性の悪さを解決する制御システム開発を目指しています.右の動画では,2関節筋骨格ロボットに対して,定められたタイミングで大きな音で演奏するような学習を行っています.
打楽器演奏者は関節剛性をコントロールして音色を変化させています.そこで,関節剛性の制御により音色を変化できる打楽器演奏ロボットの開発を目的に研究を行っています.従来の制御則での関節剛性の制御は困難であり,シミュレーション環境で学習により獲得した制御測を実機に適用する,Sim-to-Realによる制御を目指しています.まずは打楽器演奏の基本であるシングルストロークにおける音量調節を対象としました.シミュレーション環境で強化学習によって獲得した動作を実際のロボットに適用し,目標の打撃音量に合った打楽器演奏の動作を生成することができることを示しました.(動画は鋭意作成中!)
この研究は,競輪の補助を受けて実施しました.
研削作業は,表面仕上げや素材除去において重要な工程ですが,非定形な作業環境では依然として人間によるディスクグラインダの操作が必要とされています.しかし,このような作業では粉塵や振動による身体的負荷が大きく,健康への悪影響が指摘されています.本研究では,非定形な研削作業の自動化を最終目標とし,作業者の負荷を軽減しながら,自動化に向けたデータの蓄積が可能なシステムの開発に取り組みましす.実際の作業に即した構成の2自由度研削装置を試作し,作業者が離れた場所から操作することで,粉塵や振動の影響を避けつつ,センサデータと操作情報を取得できるシステムを構築しました.さらに,研削中に発生する力の周波数特性が研削状態の識別に有効であるかを評価しました.今後は,作業者の操作意図を維持しながら,最適な研削条件へと自動的に誘導する制御手法の検討を進めていきます.
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従来のウェアラブルアシストシステムは、モータと減速機による高トルクなアクチュエータによって駆動されています。一方、人間の関節は拮抗配置された筋肉により、関節のトルクや角度だけでなく弾性や粘性も巧みに変化させながら駆動されています。そこで、人間の関節と同じ様に弾性や粘性を変化させながら、より人体親和性の高いアシストを行うことができるアシストデバイスの開発を目的に研究を行っています。可変粘弾性を実現するためのアクチュエータとして、空気圧人工筋肉とMR流体ブレーキを採用しています。
空気圧駆動アクチュエータは柔軟・軽量といった利点がありますが,圧縮空気生成のために据え置き型コンプレッサが必要でありモバイル化が難しいといった課題がありました.そのため,様々な方法で空気圧源の携帯化にチャレンジしてきました.チャレンジの歴史は以下の文献をご参照ください.
・歩行エネルギの回生
可変弾性要素を用いた関節剛性と拮抗角度の制御によるアシスト手法を開発しています.人間は可変剛性特性を持つ筋肉によって駆動されており,経験に基づいてたくみに関節剛性を変化させながら運動しています.提案するシステ ムはそのような人間の動作を模倣し,運動のフェー ズに対応するように関節剛性と拮抗角度を変化させ,装着者と協調した運動アシストを行います.これより,シンプルな制御や柔軟で人間に倣うようなアシストが期待できます.
溶接現場では少子高齢化による人手不足が深刻であり,対策が必要です.特に造船業では作業内容が溶接個所によって異なる不定形であったり,狭所での作業が多く,自動化が困難です.一方で,手動溶接の技能習得には時間がかかるという課題があります.そこで,溶接工の効率的な育成のための力覚提示装置を開発しています.試作した装置は,磁気粘性流体ブレーキ(MRブレーキ)を用いており,1 mm以上の精度で溶接経路提示が可能です.
白杖デバイスは空気噴出による力覚提示機能と,近接センサによる障害物検知機能を有しています.白杖デバイスが障害物を検知すると,力覚によって利用者を障害物を避ける方向に誘導します.一般的な白杖や類似研究では力覚を提示するために地面や壁といった外部環境と接触することが必要ですが,本装置は空気噴出を用いるため環境と非接触で力覚による誘導ができます.
高齢者や術後の患者が寝たきりの状態を続けると,血流が停滞して「血栓」や「むくみ」が生じやすくなります.特に,足首からふくらはぎにわたる深部静脈に血栓が生じると,肺に流れて肺梗塞を誘発する恐れがあり,その予防が重要です.そこで足関節に他動運動を行い血流改善する装置,モーションソックスを開発しました.柔軟な構成で装着可能でありながら,ひねり動作を含む多自由度の動作支援が可能です.
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ヒトの動作計測には,主に光学式モーションキャプチャが用いられています.これは高精度な計測が可能である一方で,装置の高コストやセットアップの煩雑さといった課題があります.代替手法として,慣性センサを用いた慣性式や,カメラ映像を用いた画像処理ベースの手法も提案されていますが,これらはドリフトによる精度低下や外乱光の影響を受けやすいといった制約があります.本研究では,これらの課題を解決するために,ワイヤエンコーダを用いた機械式の三次元位置測定装置を開発しました.本装置は,一辺500 mm程度の立方体領域内での計測に対応し,十数ミリメートルの位置精度を実現しました.また,光や磁場などの外乱の影響を受けにくく,屋内外を問わず,さまざまな環境下で安定して動作可能です.