Equipments

研究室で研究のために使っている装置・器具類です。その他にも化学科共通の大型装置として、NMR、各種質量分析装置があります。

ガラス製高真空ライン、アルゴンガスライン(各実験台に設置)

高真空ライン、アルゴンガスラインについて

これらの設備は、酸素や水が存在すると分解してしまうような物質を真空中(減圧中)あるいはアルゴンガス(希ガス)中で取り扱う、さらに化学反応を行う実験において使います。高真空ガラスラインは、全て特注品です。高真空ポンプが繋がっていて、常にフラスコ内のガスを排気することができます。またアルゴンガスラインは銅管でアルゴンガスの充填されたボンベに繋がっていて、常に供給されるようになっています。下のグローブボックスと併せて、これだけ厳密な条件下での化学実験を行える設備を持つ大学の研究室は九州にも数えるほどしかありません。

真空ポンプは実験台の中に設置されており、実験台の上のスイッチで起動します。


グローブボックス1号機


グローブボックス2号機

ガス循環型グローブボックス (独)MBraun 社 製 Uni-Lab

ガス循環型グローブボックスについて

グローブボックスは、文字通りグローブがついている箱ですが、明るくなっている箱の内部は、通常ほぼ100%の窒素ガスで満たされています。箱の中ではグローブから手を入れて、様々な実験操作ができます。すなわち、酸素、水、二酸化炭素のない環境で実験を行うための小さな実験室といったところでしょうか。上の高真空ライン、アルゴンガスラインと併用して用いることで、普通の空気中だったらできないような化学反応、操作も簡単に行うことができます。ちなみに、左右に突き出している円筒は、宇宙船のエアーロックと同じで、外と中で物を出し入れするときに使います。横のパネルは酸素濃度、水分濃度、内圧などをモニターできるタッチパネルです。

自動合成装置

東京理科器械(株)製

自動合成装置について

この装置は、別々に加熱をしながら撹拌を行うことができる実験装置です。一つ一つの加熱装置とかくはん装置を別々に用意しなくて済むため、スペースを取りません。

ロータリーエバポレータ 東京理科器械(株)製

ロータリーエバポレータについて

有機化学の研究室ならどこにでもある、減圧で溶媒を沸騰させて取り除く(留去する)装置です。突沸をふせぐために、接続したフラスコ自体を回転させるため、「ロータリー」という名前が付いています。簡便で使いやすいため、有機反応の処理において非常に良く用いられます。ただし、問題は2つあり、1つは減圧して沸騰した溶媒の蒸気がポンプを通って空気中に拡散する可能性があること、2つ目は溶媒が無くなったのちに常圧に戻す際、空気が入るため、酸化されやすい物質は酸化を受けやすいことです。前者の問題は、ポンプの後ろに溶媒トラップを入れることである程度抑えられます。後者の問題を解決する方法はなく、上の真空ラインを使う必要があります。

赤外線吸収スペクトル測定装置(FT-IR)

(米)Perkin Elmer 社 製 Spectrum Two

with Universal Diamond ATR

赤外線吸収スペクトル測定装置(FT-IR)について

通常分子中の各パーツはそれぞれに固有の振動をしています。分子に赤外線(Infra-red: IR)の領域の周波数の光を当てていくと、分子の各パーツの固有振動と同じ周波数の赤外線のみが吸収され、分子の構造に応じた吸収スペクトルが得られます。このスペクトルを解析して、経験的に知られている各パーツの固有振動と照らし合わせることで、分子の構造を推測することができます。この装置は、KBr等に分散させることなく、試料のスペクトルを直接測定できるダイアモンドATRシステムを装備しています。

紫外可視分光光度計

(米)Perkin Elmer 社 製 Lambda35

紫外可視分光光度計について

この装置は、物質の色の吸収とその強さを測定するものです。例えば、金属錯体は美しい青色や紫色のものがありますが、これらは可視光(それらの色の補色)に吸収を持っていることになります。その吸収がどの波長にどの程度あるのか、調べることで、その物質の特徴を知ることができます。もちろん、紫外光も分析できます。

蛍光分光光度計

日立製作所(株)製 F-7000

蛍光分光光度計について

蛍光分光光度計は、蛍光を発する物質の蛍光波長とその強さを測定します。研究室では、りん光発光する化合物の開発を行っていますので、上の紫外可視分光光度計と同じく、無くてはならない装置です。

発光量子収率測定装置

大塚電子(株)製 QE-2000

発光量子収率測定装置について

上の蛍光分光光度計で、蛍光発光が観察された物質は、この装置で、その量子収率を測定します。量子収率とは、一つの光子(フォトン)が物質に当たった時に、それが発光をもたらす確率のことです。光のエネルギーは、発光以外には、熱振動のエネルギーや、化学変化のエネルギーに変換されてしまうと、光らなくなっていきます。

有機微量元素分析装置

(株)ジェイ・サイエンス 製 マイクロコーダーJM11

元素分析装置について

この装置は、純物質に含まれる炭素と水素、窒素の重量比率を燃焼により測定します。昔ながらの単純な原理ですが、未だに合成実験にはなくてはならない装置の一つです。その理由は、物質の純度を証明する手段が他にないためです。異性体を含むのではない限り、他の物質が混入していれば、その比率は変わってしまい、理論値から外れて純度を証明できません。純度が証明できないと、新しい物質の合成を証明したことになりません。論文としても投稿できなくなってしまいます。

この装置は化学科の共通機器として購入しました。

分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)

(株)日本分光

サイズ排除クロマトグラフィーについて

サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、分子量の大きな物質(高分子)をカラムクロマトグラフィーを通して分子の大きによって篩い分け、相対的に試料の平均分子量を測定するための装置です。サイズの小さな分子ほど、カラムの中で引っかかり、出てきませんので、大きな分子から先に流出してきます。あらかじめ分子量のわかっているポリスチレンの試料の流出した時間と、測定試料の流出した時間から、コンピュータの解析により自動的に高分子の分子量を求めることができます

高速液体クロマトグラフィー (株)島津製作所 製

高速液体クロマトグラフィーについて

この装置は、上のSECとよく似ていますが、高分子化合物ではなく、有機物質を分離するための装置です。有機溶媒の極性を使って分離し、混合物中の物質の割合を明らかにしたりすることができます。