光の偏光や空間構造を利用して、量子状態を制御し、光と半導体中の電子スピンをつなぐ新しい量子技術を研究しています。量子通信・量子情報処理・次世代量子デバイスにつながる研究です。
偏光(スピン角運動量, SAM)に加えて軌道角運動量(OAM)など空間的および幾何学的な構造を持つ光子を用いた高次元量子テレポーテーションの実現を目指します。 従来の偏光のキュービット(2準位系)を超えた多自由度量子状態を扱うことで、より高効率かつ高機能な量子情報転送の実現を目指します。
研究内容
・幾何学構造光の生成と制御
・2光子干渉
・ベル状態測定
・高次元量子状態の転送
空間構造を持つ光も含めた光の量子状態を半導体中の電子スピンへ転写する量子インターフェースの実現を目指します。
光と物質の量子状態をコヒーレントに結びつけることで、量子情報の保存・処理・伝送を統合する基盤技術の確立を目指します。
研究内容
・光スピン相互作用
・光子 → 電子スピンの量子変換
・半導体量子系
空間モードや軌道角運動量を利用した高次元量子鍵配送(QKD)の実現を目指します。
高次元化により情報容量の増大やセキュリティの向上が期待され、次世代の量子通信技術への応用を目指します。
研究内容
・OAMモード生成
・モード識別
・高次元量子通信プロトコル
空間構造をもつ光に現れるトポロジカル構造を利用した単一光子光スキルミオンの実現を目指します。 トポロジーに基づくロバストな光状態の理解と制御を通じて、新しい量子状態の設計原理の確立し、幾何学構造を持つ単一量子光源を開拓します。
研究内容
・トポロジカル光場
・光スキルミオン
・単一光子光源開拓
光子や電子スピンの量子状態空間に現れる幾何学位相(Pancharatanum-Berry位相)の理解と制御を目指します。
量子状態の変化を幾何学的に捉えることで、量子操作の新しい原理の解明とその応用を探究します。
研究内容
・ポアンカレ球
・幾何学位相
・量子幾何学
これらの研究を通じて、量子状態を幾何学的対象として統一的に理解する新しい量子科学の構築を目指しています。これらの研究は、これまでに蓄積してきた量子幾何学および光・スピン系の研究に基づいています。
量子技術は、通信・半導体・情報処理など次世代技術の基盤です。
本研究室では、光とスピンを用いた量子制御を、実験と理論の両面から学ぶことができます。
頼れる先輩とともに、量子力学や光学を基礎から一緒に考えていきます。
深く考えることの面白さを実感しながら、多くのことを学び、最先端の量子研究に取り組むことができます。
量子には、まだ未知の世界がたくさんあります。
わくわくする研究を、一緒にやってみませんか。
森田グループでは、量子状態を幾何学的に捉えるという視点に基づき、光子および電子スピンを対象とした研究をこれまで展開してきました。
1. 空間構造をもつ光子の研究
近年、偏光(スピン角運動量)だけでなく軌道角運動量(OAM)をもつ光が注目されています。こうした光は幾何学構造を持ち、単一光子としても存在でき、量子の本質である重ね合わせやエンタングルメントを示します。森田グループでは、このような幾何学構造をもつ光子を高次光子として捉え、高次ポアンカレ球を用いてその状態を記述・理解し、さらに新しい自由度を加えた量子空間の探索を行っています [1]。
2. 幾何学構造をもつ電子スピンと高次ブロッホ球
光の幾何学構造との類似性に着目し、幾何学構造をもつ電子スピンを提案し、その実現に向けた研究を進めています。これを記述するために、高次ブロッホ球という新しい枠組みを導入し、スピン角運動量と軌道角運動量の両自由度をもつ電子状態を統一的に記述・理解することに成功しています [2,3]。電子スピンの幾何学構造に注目することで、物質系における量子状態の自由度を拡張し、新たな量子空間の構築とその操作原理の解明へとつながります。
3. 光子から電子スピンへの量子状態転写
これまで、半導体量子構造において光を用いて電子スピンを励起・制御する研究を行ってきました。さらに、幾何学構造をもつ高次光子から電子スピンへ量子状態をコヒーレントに転写することにも成功しています [3]。このような高次元自由度をもつ量子状態を物質系への転写と制御に関する理論を整備し [4]、光と電子スピンを統一的に扱う量子インターフェースの基盤を構築してきました。
参考文献 (2023年以降)
1. C. Tago, T. Kakue, and K. Morita*, “Geometric Hybrid Poincaré Sphere with Variable Poles,” (2026). arXiv:2601.09279 [quant-ph]
2. S. Sato, T. Matsumoto, Y. Nakano, J. Ishihara, K. Miyamoto, T. Omatsu, K. Morita, “Higher-order Bloch spheres: A generalized representation of electron spin states with azimuthal phase factor,” (2023). arXiv:2301.08024 [quant-ph]
3. T. Matsumoto, S. Sato, S. Akei, Y. Nakano, S. Iba, J. Ishihara, K. Miyamoto, N. Yokoshi, T. Omatsu, and K. Morita*, “Coherent transfer of higher-order polarization state of photons to spin structure state of electrons in a semiconductor,” Optica Quantum 2, 245 (2024). https://doi.org/10.1364/opticaq.527615
4. K. Terashima, R. Ito, T. Kakue, N. Yokoshi, and K. Morita, “Optical initialization and manipulation of higher-order electron states with spin and orbital angular momentum in a semiconductor quantum disk,” Optics Express 33(3), 4700-4713 (2025). https://doi.org/10.1364/oe.550223
さらに、幾何学に基づく基礎的な研究として、新しい定理の発見とその理論的整理にも取り組んできました。
4. K. Morita*, “Theorems on Two Tetrahedrons Intersecting a Sphere ,” Journal for Geometry and Graphics 22(2) 219-227 (2018).j22h2mori.pdf
5. K. Morita*, “Some Theorems on Kissing Circles and Spheres,” Journal for Geometry and Graphics 15(2) 159-168 (2011). vol15_2.dvi