千葉大学大学院薬学研究院
遺伝子資源応用研究室
Laboratory of Molecular Biology and Biotechnology
Laboratory of Molecular Biology and Biotechnology
生薬「辛夷」として利用されるコブシ
For sustainable utilization of plant resources for future
人類は有史以前より植物を様々な形で利用してきました。私たちは現在でも衣・食・住はもとより薬として植物を利用しています。植物は光合成により大気中の二酸化炭素を同化して膨大な量の有機化合物を生産します。その種類はたいへんに多く様々な化学的特性と様々なはたらきをもちます。
医薬品資源としての植物の重要性は化学多様性にあります。私たちは植物の物質生産のしくみを分子レベルで解明し、その化学多様性の分子基盤を明らかにする研究を行っています。将来的には研究から得られた知見を合理的で持続可能な植物資源利用に応用することを目指しています。
Complicated biology can be understood from genome, transcriptome, proteome and metabolome
私たちは、植物がどのように多様な化合物を生産するのか、そのしくみと複雑性に興味があります。植物をはじめ生物はゲノムに書き込まれた遺伝情報に基づいて生きているので、その複雑なしくみもゲノム情報を手がかりに調べることができます。ゲノムに加えて、情報発現プロセスの各階層(トランスクリプトーム、プロテオームおよびメタボローム)を統合解析すると植物における物質生産のしくみの全容を把握することが可能です。
当研究室の前身は、1949年に設立された新制大学千葉大学薬学部 生薬学教室です。1954年から萩庭丈壽教授、1982年から村越勇教授が研究室を主宰しました。1994年に薬学部附属薬用資源教育研究センターに遺伝子資源応用研究室が創設され、旧生薬学研究室の研究スペース、教育、研究がほぼそのまま継承されました。翌1995年に齊藤和季先生が教授に就任し、薬用植物の分子生物学、オミクス科学研究を開始します。2021年に山崎真巳が教授に就任し現在の体制となりました。最近では珍しくなりましたが、長く続く研究の流れを継承する研究室の一つです。
このように当研究室は、薬学の中では化学系に分類される生薬学から出発していますが、現在では、生薬の素材である植物を生物として研究し、物質生産者としての植物の生命現象の分子基盤を研究しています。
3年博士課程 2名 学部6年 2名
修士課程 2名 学部5年 3名
研究生 1名 学部4年 6名
12/1/2025
『ケーラー薬用植物掛図』が千葉大学学術リソースコレクション(c-arc)から公開されました。
https://alc.chiba-u.jp/c-arc/koehler/?page=1
11/28/2025
河西俊介さんが第61回植物科学シンポジウムでのポスター発表に対して松尾仁賞を受賞しました。おめでとうございます。
7/16/2025
ラボに伝わる「ケーラー薬用植物掛図」151点のデジタルデータ化が完了しました。原版は1890年にドイツで出版された図鑑、なんと薬学部が創設された135年前に創刊された図鑑からの植物画です。今後図書館にリポジトリ登録して公開する予定です。乞うご期待!
7/11/2025
小関雄太さんの研究業績発表会が終了しました。お疲れさまでした。
7/5/2025
第33 回千葉⼤学⼤学院薬学研究院 薬友会⽣涯教育セミナー・宮⽊⾼明記念講演会 ―⽣命現象と分⼦― 終了しました。
生涯教育セミナーでは研究室出身の3名、浦野泰⾂さん(同志社大)、藤川雄太さん(東薬大)、中⾕泰貴さん(ツムラ)にご講演頂きました。宮木高明記念講演では荘司長三先生(名大)にご講演頂きました。ありがとうございました。
7/4/2025
研究室OBで現チュラロンコン大学理学部のアット博士が来訪しました。
5/15/2025
菅原貴子博士の論文がPlant Biotechnologyに掲載されました。カギカズラ(生薬釣藤鈎の基原)の組織培養と成分の多変量解析に関する成果です。
https://doi.org/10.5511/plantbiotechnology.25.0218a
5/1/2025
山崎教授が月刊みんぱく5月号特集『薬草』に「薬になる毒をつくる植物の生存戦略」と「教えて!推し薬草」を寄稿しました。
https://www.minpaku.ac.jp/post-goods/60768
4/1/2025
ベトナムからの留学生タイさんがラボメンバーに加わりました。
3/20/2025
Megha Rai博士らの論文がJ. Natural Medicinesに掲載されました。トリカブト(生薬附子・烏頭の基原)のマルチオミクス解析です。
https://doi.org/10.1007/s11418-025-01881-y
2/18/2025
小関さんらの論文がTetrahedron Lettersに掲載されました。釣藤鈎に含まれるコリノキシン型立体異性体の構造解析の成果です。
https://doi.org/10.1016/j.tetlet.2025.155510
2/8/2025
園芸学研究院 島田貴士博士との共同研究の成果がJ. Experimental Botanyに掲載されました。脂質ー炭水化物間の代謝分配に関する成果です。杉山博士が代謝物分析を担当しました。
https://doi.org/10.1093/jxb/eraf048
1/26/2025
Megha Rai博士らの論文がMolecular Scienceに掲載されました。ホオノキ(生薬厚朴の基原)のマルチオミクス解析の成果です。
10/12/2024
杉山助教が日本薬学会生薬天然物部会の令和6年度奨励研究を受賞しました。
10/12/2024
山崎教授がJSTさきがけ『植物分子の機能と制御』領域主催公開シンポジウム第2回「植物の不思議な生き方」で講演しました。
https://www.jst.go.jp/kisoken/presto/event/pmol_2024_sympo.pdf
10/3/2024
D2小関雄太さんが9/15-16に開催された日本生薬学会第70回年会(大阪)において優秀ポスター賞を受賞しました。
演題「結晶スポンジ抽出法を用いたTLC確認試験候補化合物の迅速同定法」
8/22/2024
D2小関雄太さんの論文がJ. Nat. Med.に掲載されました。カギカズラ(釣藤鈎の基原)からマイクロドロップ法により得た単結晶をX線解析して立体構造を決定した成果です。
https://doi.org/10.1007/s11418-024-01836-9
4/2024
前特任助教のMegha博士とAmit Rai博士が米国イリノイ大学に栄転されました。
2/2024
学術変革領域(B)「天然物生物学:植物二次代謝産物が有する生物学的意義の体系化」が採択されました。杉山助教が計画研究代表として参画しています。
12/20/2023
タイのマヒドン大学からSomnuk Bunsupa先生が来訪しました。3カ月間の予定で滞在されます。
10/12/2023
杉山助教が千葉大学先進学術賞を受賞しました。
9/12/2023
山崎教授が日本植物バイオテクノロジー学会学術賞を受賞しました。
9/9/2023
吉本講師、木佐貫さん、山崎教授、齊藤名誉教授らの論文が、令和5年度日本生薬学会論文賞を受賞しました。
受賞論文リンク
5/16/2023
齊藤和季名誉教授がベルギー王国からレオポルド勲章シュバリエを受章されました。
1/31/2023
山崎教授がNHKヒューマニエンスに出演しました。
11/09/2022
杉山助教が第64回天然有機化合物討論会 奨励賞を受賞しました。
9/17/2022
D3の王吉晨さんの研究成果が論文発表されました。
Wang J., Suzuki H., Nakashima N., Kitajima M., Takayama H., Saito K., Yamazaki M., Yoshimoto N: Identification of a regiospecific S-oxygenase for the production of marasmin in traditional medicinal plant Tulbaghia violacea. Plant Biotechnol. 39, 281-289 (2022).
論文リンク
7/8/2022
中国南京農業大学から汪涛先生が来訪。1年間の予定で滞在されました。
7/1/2022
杉山龍介さんが研究室メンバー博士研究員として加わりました。2023年1月より助教に着任。
6/30/2022
学術変革領域(A)「予知生合成科学」が採択されました。計画研究に山崎が参加しています。
6/13/2022
吉本講師、OGの木佐貫さん、山崎教授、齊藤名誉教授らの研究成果が論文発表されました。
Yoshimoto N., Asano T., Kisanuki A., Kanno C., Asanuma M., Yamazaki M., Fujii I., Saito K: The ability of callus tissues induced from three Allium plants to accumulate health-beneficial natural products, S-alk(en)ylcysteine sulfoxides. J. Nat. Med., 76, 803-810 (2022).
論文リンク
10/17/2021
当研究室の元特任助教・現山梨大学の佐藤玄さんが日本薬学会生薬天然物部会奨励賞を受賞されました。第23回天然薬物の開発と応用シンポジウム(札幌)にて授賞式と受賞講演が行われました。
10/12/2021
理研CSRSー千葉大学植物分子科学研究センター植物科学ジョイントセミナーが開催されました。
9/17/2021
染色体学会ベストプレゼンテーション賞受賞:菊池真司、福士瑠奈、Rai Amit、平川英樹、齊藤和季、山崎真巳「チャボイナモリにおける染色体の同定とゲノムアセンブリの検証」が染色体学会の口頭発表の部でベストプレゼンテーション賞を受賞しました。
3/1/2021
山崎が教授に昇任しました。