研究内容

  • バイオマス系燃料の燃焼に関する研究

現在,世界各地で地球温暖化対策の要求から,化石燃料使用量の削減が急務となっています.しかし国土が狭く資源に乏しいわが国では早くから省エネルギー技術が発達していたため,さらなる省エネルギー化は難しい状況にあります.そこで将来のカーボンニュートラル社会の実現も視野に入れた対応策の一つとして,バイオマスの化石燃料代替利用が推進されています.植物系バイオマスを燃焼させた場合でも炭酸ガスは発生しますが,収穫のあとに植林によってもう一度植物を栽培することにより同量の炭酸ガスが固定されるため,成長量に応じたペースで利用する限り大気中の炭酸ガスは増えないことになります.当研究室ではバイオコークス,エタノール,植物油といったバイオマス系燃料の燃焼に関する研究を行っています.

バイオコークスについては,従来のバイオペレットやブリケットと比べて高密度であるうえ,製造時の加熱により化学構造も変化していると考えられるため,燃焼・炭化時の挙動が製造条件により変化することがわかっています.バイオコークスをより広い用途に適用するためには,利用側の要求に沿った燃焼・ガス化・炭化特性を実現する必要があります.そのため,研究室では製造条件とバイオコークス内部の状態や燃焼・ガス化・炭化特性の関係を調べる研究をしています.


  • 噴霧火炎の燃焼特性に関する研究

軽油などの石油系燃料に,微量の界面活性剤と共に水を添加して強攪拌すると,エマルジョン(乳化)燃料と呼ばれる燃料が出来ます.これを噴霧燃焼させる と,石油系燃料単独で燃焼させる場合と比べて,すすや窒素酸化物の排出が低減されることが知られています.しかしそのメカニズムの詳細については明らかで はなく,本格的な利用にはいたっていません.その他,植物油,エタノールといったバイオマスから製造できるカーボンニュートラル燃料の噴霧燃焼特性を,スプレーバーナーやディーゼルエンジンを用いて観察しています.


  • マイクロフレームの火炎構造に関する研究

代表径1mm以下のバーナーに形成される非常に小さな火炎をマイクロフレームと呼んでいます.マイクロフレームは火炎構造や消炎限界等について,通常サイズの火炎とは違った燃焼特性を持つことが知られています.当研究室ではマイクロフレームを対象に,単独火炎および火炎群の燃焼挙動の観察や数値解析を行っています.