北海道の気象

自然が豊かな北海道では,未解明な大気現象(気象)がたくさん残されています。我々の研究室では北海道の気象や気候およびそれに関わる様々な自然現象や社会との関わりを研究することが可能です。


【大雨と海水温の関係、温暖化による変化】

大雨は低気圧、台風、梅雨、などなどさまざま擾乱によって起こる。「どのタイプの大雨が海水温に敏感か?」、「どのタイプの大雨が温暖化によって増えるのか?」という疑問に答えるため、我々はこれらの擾乱のタイプ毎に詳細な分析を行った。

【北海道周辺における低気圧活動の数十年規模の変化傾向】冬季東アジアを対象に、低気圧追跡アルゴリズムを用いて長期間の再解析データから低気圧を抽出。大陸からの寒気の吹き出しに伴って、北海道西岸沖に発生する小さい低気圧の数が、近年にかけて減少傾向であることが分かった。

ユーラシア大陸東端の山脈が北海道西岸に発生するメソスケール低気圧の形成に影響する】高緯度地域では冬季になるとPolar mesocyclones (PMC)と呼ばれるメソスケールの低気圧が発生することがあります。しかし、その発生要因はまだ十分に理解されていません・・・・

【釧路における霧の減少と総観規模場の変化】近年、釧路の霧日数が減少しており、特に頻度の多い夏に有意な減少がみられる。霧日数極少年は、7,8月ともに太平洋高気圧からの南風が弱いことが分かった。7月はオホーツク海高気圧が強い年に、霧が少ない傾向がある。

【複数GCMのダウンスケールによる北海道の冬の気候予測】いずれの結果も、石狩平野や十勝平野など根雪期間が短期化する低地で、周囲に比べて顕著な気温上昇が現れた。北海道内陸部で冬季降水量の増加、日本海上で降水量の減少が確認できる。

【札幌の都市化が気温の長期変化に及ぼす影響の評価 】北海道では、都市化によって年平均気温が1℃上昇(モデル)。都市化による気温上昇(約1℃)は過去100年間の気温上昇(約2℃)の約半分→温暖化予測において局地的な土地利用変化の効果が重要。

【オホーツク海の海氷分布と北海道の降水】オホーツク海の海氷の存在によって平均的に北海道西岸沖で下層風の収束が強まる。下層収束の強化に対して西岸沖で降水量が有意に増加する。また海氷域では減少する。下層収束は、海水域~北海道の低温気塊からの気流と季節風の収束である。

【温暖化と都市化で北海道の電力需要はどうなる?】電力需要の気温感応度をもとに、電力需要予報モデルを構築。長期的には夏の需要が増加し、冬の需要が減少すると予想されるため、それに応じた長期のエネルギービジョンが求められる。