メソスケール気象学

世界各地のメソスケール気象を系統的に理解する 

各地の気象を理解し、他地域と比較することで,各地域の気象や気候を決定づける要因を明らかにする 。

【北海道周辺における低気圧活動の数十年規模の変化傾向】冬季東アジアを対象に、低気圧追跡アルゴリズムを用いて長期間の再解析データから低気圧を抽出。大陸からの寒気の吹き出しに伴って、北海道西岸沖に発生する小さい低気圧の数が、近年にかけて減少傾向であることが分かった。

【大雨と海水温の関係、温暖化による変化】

大雨は低気圧、台風、梅雨、などなどさまざま擾乱によって起こる。「どのタイプの大雨が海水温に敏感か?」、「どのタイプの大雨が温暖化によって増えるのか?」という疑問に答えるため、我々はこれらの擾乱のタイプ毎に詳細な分析を行った。

北極温暖化の遠隔影響により梅雨の降水が増加】2020年(令和2年)は6月下旬にシベリアで記録的な熱波が観測され、その後の7月上旬には中国の長江流域や西日本で記録的な大雨が起こった。距離の離れたこれら2地域で発生した極端気象の関連について、データ解析やシミュレーションから糸口を探った。

ユーラシア大陸東端の山脈が北海道西岸に発生するメソスケール低気圧の形成に影響する】高緯度地域では冬季になるとPolar mesocyclones (PMC)と呼ばれるメソスケールの低気圧が発生することがあります。しかし、その発生要因はまだ十分に理解されていません・・・・

【土壌水分や地温が雷雨発生の予兆に!?】ゲリラ豪雨をもたらすようなメソ対流系の発生確率が、地表面温度や土壌水分と関係していることが、人工衛星データから抽出した10万個以上の積乱雲の解析によって明らかに...

【台風による大雨は将来強くなるのか?】地球温暖化によって台風接近時の降水量は増加するのだろうか? シミュレーションによって再現された1000個を超える台風の中から、将来の強い降水の空間分布が…

【メソ対流系発生数の減少傾向】世界的な多雨地帯である南アジアで、組織化された対流システムの発生数が減少傾向にあることが衛星観測から分かった。中でも、大雨の要因となる陸上性の南進する…


【熱帯低気圧の確率的予測手法の開発】北西太平洋に特化した台風の確率的予測手法を開発。環境場の違いによる台風の発生場所や発生数をおおむね再現できる。台風の季節予報や古気候、温暖化研究への応用の可能性。


【世界で最も降水量が多い地域の降水メカニズム】メガラヤ丘陵は世界最多雨地域。降水量は10-20日の周期性(季節内振動)を呈しており、活発期には日周期性が明瞭になる。日没後に加速する下層ジェットが関係する...


【日本海の海面水温変化に対応した降水量の増減】近年の冬の海面水温上昇と降水量変化の関係を明らかにした。日本海北部の顕著な暖水化によって東北で降水量が増加した。日本海中部では収束帯に沿った対流が弱まり、北陸地方の降水量を減少させた。


内陸の乾燥地へどこから水蒸気がやってくるのか?モンゴルでは熱帯起源水の割合は10%以下、中国内モンゴルでは熱帯起源水は30%。梅雨前線を境にして、中高緯度の大陸起源水蒸気と熱帯起源の水蒸気が分かれる。北海道は、大陸起源水蒸気が卓越しているので夏も爽やか。

【黄河流域の灌漑は雲活動を活発化する】人工衛星データの統計解析によって、灌漑区の周囲で雲の発生傾向が異なることが判明。灌漑区(オアシス)と砂漠の熱的コントラストによって、湖陸風が発生していることが原因。


【都市は降水を強める?】12年分の降水レーダーデータのうち、総観規模の降水が周囲になく、奥秩父に強い降水エコーが発生した71日を解析。山岳で降水が発生して2.5~3.5時間後に都市に降水域が到達。都市域では周囲に比べて有意に降水頻度が高く、都市が降水システムを強化する可能性を示唆。

【GPSを用いた鉛直積算水蒸気量の推定】2000年7,8月の水蒸気量の日変化。海風+谷風によって、午後に山岳へ水蒸気が運ばれて、積乱雲が発達する。



【オホーツク海の海氷分布と北海道の降水】オホーツク海の海氷の存在によって平均的に北海道西岸沖で下層風の収束が強まる。下層収束の強化に対して西岸沖で降水量が有意に増加する。また海氷域では減少する。下層収束は、海水域~北海道の低温気塊からの気流と季節風の収束である。