光ファイバセンサの最大の特徴は、材料内部に埋め込むことが出来ることです(下左図)。まさに生体における”神経”のように、構造物が産まれてから壊れるまでのライフサイクルにわたり、材料内部の力学状態を可視化することが出来ます。この技術を用いることで、例えば損傷を自動的に検知するなどの材料の知能化に取り組んでいます。また、生体神経ネットワークの進化過程にも類似するセンサ機能の分業化と階層性を導入したシステムの構築にも取り組み(下右図)、損傷を検知と同時に修復する自己治癒構造へと展開してきています。
複合材構造の製造過程には依然として未解明な変形現象が多くあり、試行錯誤に基づく高コストな製造が行われています。独自の光ファイバ計測技術を用いることで、これまで捉えられなかった製造中の変形挙動を計測し、それを製造シミュレーションで再現する取り組みを進めています。複合材製造技術を発展させるための製造科学を確立することを目指しています(下図)。
これまでの複合材構造では、直進繊維を用いた設計が行われてきましたが、複合材料が本来有する力学特性を十分に引き出せていません。生物が進化の過程で獲得してきた材料微視形態や構造システムからも着想を得ながら、革新的な繊維構造(例えば、交差構造(下図)、屈曲構造、ループ構造など)を考案し、次世代複合材料のための新しいデザインを探求しています。