講演概要

講演概要

10:20 – 11:40

題目:画像認識分野における深層学習 ~ CNN, RNNからマルチタスク学習まで ~

講師:中部大学 工学部 准教授 山下 隆義 先生

概要:画像認識分野において,深層学習は瞬く間に広がり,物体認識や物体検出,セマンティックセグメンテーションなど様々なタスクに用いられている.また,これらのタスクにおいて,従来手法を大きく上回る高い精度を達成している.基本的なアイデアは1990年代に提案されたCNNやRNNおよびその学習手法である誤差逆伝播法に由来するが,ResNetのように超深層なネットワーク構造やその学習効率化手法に関連する新たなアイデアが高精度化の一躍を担っている.本講演では,CNNやRNNの基礎から高精度化につながる手法および,その応用事例,また,深層学習の1つの特徴であるマルチタスクへの対応について紹介する.

講師略歴:2002年奈良先端科学技術大学院大学博士前期課程修了,2002年オムロン株式会社入社, 2014年 中部大学講師,2017年 中部大学准教授.人の理解に向けた動画像処理,パターン認識・機械学習の研究に従事.2009年画像センシングシンポジウム高木賞,2013年電子情報通信学会情報・システムソサイエティ論文賞,2013年電子情報通信学会PRMU研究会研究奨励賞,2016年画像センシングシンポジウム最優秀学術論文賞,各受賞.

13:30 – 14:50

題目:エヌビディアが加速するAIプラットフォーム

講師:NVIDIA ソリューションアーキテクト 村上 真奈 様

概要:ディープラーニングは近年急速な進化と遂げており,ウェブサービス,自動車,医療,製造業など様々な分野で実用化が進んでいる.エヌビディアはAIリーディングカンパニーとして,AI研究の為の強力なプラットフォームを提供し,ディープラーニングの進化に貢献している.本講演では,はじめに様々な事業領域のディープラーニング応用事例について紹介を行い,後半ではAIにフォーカスした最新世代のGPUアーキテクチャである「Turing」の紹介および,エヌビディアが提供している最新AI開発ソリューションについて概説する.

講師略歴:2007 年に早稲田大学教育学部理学科数学専修を卒業後,株式会社システム計画研究所に入社.写真シール機や放送機器への画像処理の組み込み開発に携わる.その後,サムスン日本研究所にてテレビ用の画像処理の研究開発を担当.2015 年に NVIDIA に入社.現在,CUDA エンジニアとして NVIDIA の汎用計算プラットフォーム CUDA の技術や取り組みについて周知する活動やトレーニングおよびカスタマー サポートを担当.ディープラーニング関連のソリューション アーキテクトも兼任している.

15:00 – 16:20

題目:AIのAIによるAIのためのセキュリティ:セキュリティ×AIの現状と期待

講師:神戸大学 数理・データサイエンスセンター 教授 小澤 誠一 先生

概要:深層学習や機械学習,自然言語処理などを使ったAI技術の進展は目覚ましく,画像認識や音声認識の特定の問題では,すでに人間の能力を上回っているとされます.しかし,サイバー空間の安心安全を担保するセキュリティ分野での機械学習の活用には,まだ課題も多く,AIの強みと限界を知り,現実の問題に向き合いながらに正しく使うことが重要です.「万能でないAI」をセキュリティにどう活かせばよいのか,またAI自体がサイバー攻撃の対象となる得るため,AIをどう護るのかも重要な課題です.一方で,セキュリティとAIを組み合わせることで,これまでにない新しいサービスへの期待も広がりつつあります.本講演では,このようなセキュリティ分野におけるAIへの期待と現状について,一緒に考えていければと思います.

講師略歴:神戸大学数理・データサイエンスセンター教授,工学研究科電気電子工学専攻(兼任).1965年生まれ.神戸大学大学院工学研究科修士課程修了後,1993年に博士(工学)取得,大阪教育大学助手,神戸大学大学院工学研究科准教授を経て,2011年より同大学院教授.アリゾナ州立大学とオークランド工科大学客員研究員を歴任,現在,機械学習,パターン認識とその応用研究に従事し,International Neural Network Society 副会長(広報),Asia Pacific Neural Network Society 副会長(財務),日本神経回路学会 特任理事,システム制御情報学会 編集理事,IEEE Transaction on CyberneticsなどのAssociate Editor,国際会議INNS Conference on Big Data and Deep LearningのGeneral Chairなどとして,国内外の学会運営に幅広く従事している.

16:30 – 17:50

題目:機械学習によるディーゼルエンジン吸排気系の実時間MPC設計

講師:株式会社 豊田中央研究所 森安 竜大 様

概要:ディーゼルエンジン吸排気系には複数の操作量と目標が存在し,かつ多くの制約を同時に満足させる必要がある.本研究では上記システムへ非線形モデル予測制御(MPC)を適用し,それを低演算負荷で実現するための機械学習に基づく実装法を検討した.MPCにおいて各時刻で解く最適制御問題の解は,同時刻での状態や外乱等に依存するため,事前にそれらの変数と解の関係を機械学習で近似しておけば,同問題をオンラインで求解することは不要となる.本手法を適用して構築した制御器により,目標値への良好な追従および高速な制御演算が可能なことをシミュレーションと実機実験で実証した.

講師略歴:2013年大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了.同年(株)豊田中央研究所入社.パワートレーン制御への機械学習手法の応用に関する研究に従事. 計測自動制御学会,自動車技術会,日本機械学会会員.