職場に発言の自由を!
< 動燃から続く不当差別是正訴訟を支援する会 >
人権がなければ技術は危うい
人権がなければ技術は危うい
思想信条の自由、発言の自由は、働く者の職場でも守られなければなりません。
多くの原子力の職場では、批判的な精神が圧迫されたため、多くの事故・不祥事が起きました。 福島第一原発の事故にはそのような背景もあります。
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)から始まり、核燃料サイクル開発機構、日本原子力研究開発機構(原子力機構)へつながった差別:原子力の職場で、安全問題や開発の進め方について批判的な意見を言った者や、そういう人を支援した人たちが、ひどい差別を受けました。 ひどい差別を受けた職員が是正を求めて裁判に訴えました。
本会は、動燃差別訴訟の原告を支援し、原子力の職場でも批判的な意見表明を忌憚なく表明できるようにするため活動しています。
原告6人、左上から今井忠光、川上秋雄、小松﨑賢治、菅原薫、
下左高野真一、椎名定
支援する会からのお知らせ 2025-06-17 :
1.2025年3月25日 東京高等裁判所(控訴審)勝利判決と報告集会
** 差別が行われたことを広く認められました **
時効については、提訴から3年前までとし、水戸地裁と同様の判断
1-1 判決 :
水戸地裁の判決では、初めに時効判断を示し、地裁の判断で、権利消滅していないとする期間についてだけの差別行為の認定でしたが、高裁の判決では、ずっと過去の差別行為についても私たちの主張をすべて認めるものでした。 大きな前進です。 しかし、「原告らは、差別が行われていることを知っていた」として、差別が行われている時々から時効の起算点とする判断でした。
1-2 報告集会:
・口頭弁論後の報告集会では、本争議を説明するビデオを上映、弁護団の解説、原告等の感想、参加者の発言がありました。 詳細は、支援する会ニュース#046をお読みください。
4月6日には、水戸市内でも茨城県内報告集会を行いました。
2.高裁判決後の動き
2-1 高裁判決に対して:
原告らは、高裁の時効の起算点判断に納得せず、最高裁に上告しました。 一方、原子力機構は、「上告しないと決断した」旨の理事長メッセージを職員らに示しました。
2-2 原子力機構に解決を求める要請実施(5月13日)
高裁判決をうけ、原告団と支援する会名で要請書を提出しました。 要請書では、①原告等に謝辞すること、②再発防止策をとること、③判決にかかわらず原告らの被害に応じた賠償を行うこと④原告ら以外のものからの差別の訴えがあった場合は、誠実に対応することの4点を求めています。
原子力機構は、総務課のみの対応で、要請文を受け取り、話を聞くだけでした。
2-3 上告の主張点を確定し、書類を提出
原告、弁護団、支援する会は、民法の消滅時効に関し、①「損害及び加害者を知った時」の高裁解釈は、判例に違反している、②時効に係る、事柄の事実関係の証人申請を高裁が却下して、判決を下したのは審議を尽くしたと言えないの2点で争うことを決めました。 6月4日には、上告受理申立理由書を最高裁へ送付しました。
3. 第11回総会と高裁勝利祝勝会のお知らせ
・ 第11回総会 2025年7月6日(日) 14:00
内容:
・ 報告講演の部
平井 哲史 弁護士 弁護団事務局長
・ 総会の部
支援する会活動報告、次年度活動方針など
・ 高裁勝利祝勝会 総会終了後、同会場で行います。
水戸地裁判決をうけての弁護団声明
動燃から続く不当差別を断罪した水戸地裁判決について
当年3月14日、水戸地方裁判所民事第2部(廣澤諭裁判長、𠮷野内謙志裁判官、溝口千恵裁判官)は、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)の権利義務を承継した国立研究開発法人日本原子力研究開発機構を被告とする損害賠償請求事件(平成27(ワ)第417号、平成29年(ワ)177号)につき、被告に対し、原告ら6名に合計4691万4874円を支払うよう命じる判決を言い渡した。
動燃は、1970年代から、安全性を脇においた原子力開発に対し批判的意見を持つ労働者について、秘密裏に、プライバシーを侵害する思想信条等の傾向調査をし、A・B・Cにランク分けするなどし、原告らを含む一部職員を「非良識派」と判定した。そのうえで動燃は、「非良識派」と分類した労働者に対して、能力を発揮することが困難な役職に配置する、業務分担で差別する、研修に行かせない、新人研修において人間関係の切り離しをはかるような教育をおこない、さらに昇級昇格において同期同学歴の労働者と格差をつけるなど違法な差別的取り扱いをおこなった。
このことを2013年8月発刊の『原子力ムラの陰謀』(今西憲之+週刊朝日編集部著)を読んで知った原告らは、2015(平成27)年7月6日に提訴し、以来、約8年8月、被告の引きのばしとも思われる訴訟態度に対応しながら、たゆまず主張立証を尽くしてきた。原告らは、被告が開示した資料に基づき、大量観察方式により、同期同学歴の労働者との不合理な格差が存在していたことについて主張立証した。また、被告の労務担当者として稼働し、1996年1月に不可解な死を遂げた故西村成生氏のご家族から提供を受けた資料をもとに、被告が原告らに対し差別意図を有していたことも立証した。
本判決は、原告らの主張立証を認め、被告による思想・信条に基づく違法な差別的取り扱いを認定し、断罪したものであり、この点につき、私たちは本判決を高く評価する。
また、本判決は、被告における長年の差別を認定し、損害賠償請求を認容したことによって、原子力事業所における労働者の自由な意見表明を保証し、もって原子力事業の健全化を促す意義も持つものである。
他方、本判決は、原告らの一部が在職中に格差是正の申し入れを行ったこと等を根拠に「どんなに遅くとも平成17年6月22日頃までには、原告らが主張するそれまでに生じた各不法行為の損害及び加害者を認識していた」と推認し、消滅時効を適用して提訴前3年間の損害しか認めず、原告1名の請求を棄却した。しかし、これだけ長期間にわたる差別の事実が明らかになっているにも関わらず、消滅時効を理由に請求の一部を棄却したことは到底承服できるものではない。また、被告自身が組織ぐるみの差別政策を隠してきたもとで、これが暴露されないかぎり不法行為の内容は把握できるはずもないのであり、判決はこの点、事実誤認をしていると言わざるを得ない。原告団・弁護団は、本判決のこうした限界を克服するために、今後も全力を尽くすものである。
2024(令和6)年3月16日
動燃からつづく不当差別是正訴訟原告団・弁護団
^ 動燃差別是正訴訟を紹介するリーフレットはこちら
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(略称:動燃差別是正訴訟を支援する会)
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