ホームで紹介した内容に基づき、本格的に開始することになった『北の杜学』
特別の教育課程としてスタートした令和4年度の取組について紹介します。
※以下の掲載写真の一部はWeb公開上のため加工をしています。
《4~6月》オリエンテーションから調査研究テーマの設定
北の杜学がスタートした4月末から5月にかけては、全校でオリエンテーションを実施後(上記パワーポイント資料参照)、ホームに形成したイメージ図にあるような自分たちのこれからの活動の最終的なゴールの形をイメージさせるため、青森市教育委員会が発行し、例年市内の新入生に配布している社会科の副読本『魅力発見!青森学』をじっくりと精読するところから始めました。
この活動の目的は、自分たちの地域の特色や課題についてこれから考えていくに当たり、まずは青森市全体の特色を多面的・多角的に捉えさせることはもちろん、何よりも各ページの構成(本文や掲載資料、コラム、概要の英訳など)もじっくりと捉えさせることで、自分たちはこの地域についてのどのような特色や課題について、どのような形でまとめていくのかということをイメージさせるもの(見本)としました。
また、オリエンテーションとして重視したのは、単なる事実や特色を羅列するような発表とならないよう、テーマを設定するに当たり、「仮説」をしっかりと立て、そのことに対する「検証」から提案性のある「結論」を発表させることを通して、新たな問いを発見していくような「創造的思考力」の育成につなげることでした。
全校による『青森学』の精読活動後、いよいよ各学年でテーマ設定の段階に入りました。Googlejamboardを活用し、自分たちの地域についての特色や課題を出し合いながらテーマ設定に入った中で問題になったのは、
・小学校での総合的な学習における取組の焼き直し=発展性がない
・その調査、探究の成果が何につながるのか=提案性がない
といったことでした。
以上のことから、改めてテーマを設定するに当たり、地域の魅力や特色を再認識してもらうために、郷土史研究家の村田さんと奥谷さんをお招きし、安藤氏の山城・居館跡を含めた『学区の歴史』についての講話をいただきました。(6月16日)
この講演会を経て、生徒たちは、本格的にテーマの設定に入ることができました。
※↓↓↓Googlejamboardを使った7年生のテーマ設定における話合いの様子
《7~8月》調査研究テーマの決定と調査活動の開始
時間をかけて設定した各学年の班テーマ(下記テーマ一覧表参照)のもと、調査活動が始まりました。その中で、実際に様々な実地調査やインタビューが必要となった際、その窓口として様々な地域の方や関係機関に働き掛けてくださったのが、小学校とともに本校の地域学校協働活動推進員を務める吉田さんでした。
窓口となった吉田さんをはじめ、地域の方々、各関係機関の方々(下記参照)には大変お世話になりました。おかげさまで生徒たちは、夏季休業中から8月末にかけて、それぞれの研究テーマに迫る調査活動を充実したものとすることができました。
<各学年及び各班の調査研究テーマはこちら⬇>
《9~10月》まとめ作業(北中祭に向けたGoogleスライドの作成)と発表活動へ
調査活動を終え、9月からは本格的にまとめ作業に入りました。発表方法は、当初の予定通り、Googleスライドを作成し、10月の北中祭での発表ということで、全校でスライド作成にあたってのオリエンテーション(上記スライド資料参照)を実施しました。
そして、いよいよ北中祭を迎えます。特別の教育課程『北の杜学』の発表は、
・前日:10月15日(土)は体育館で他学年の生徒に向けて
・当日:10月16日(日)は各学年の教室で保護者と地域の方などの来校者に向けて
の形で実施しました。各班とも、単なるスライド資料を読み上げるだけの説明だけではなく、『実演』を交えるなどの工夫を凝らした発表が見られ、生徒同士では、上級生の質の高い内容を見て、今後の参考となったという意見や、保護者地域の方からは、学校でどのような学習活動がなされていたのかがよくわかった、初めて知る地域の特色に驚いた、中学生が地域の課題について考え、これからにつながる具体的な方策を打ち出す姿に頼もしさを感じたなど、大きな成果を得る活動となりました。特に、調査活動にご協力いただいた方々に直接発表を観ていただき、お褒めのお言葉をいただけたことは、生徒にとっても大きな励みとなりました。
《11~12月》最終段階:ブックレット『北の杜学Journal2022』の作成へ
北中祭での成功を経て、11月からはいよいよ最終段階、自分たちの取組をまとめ、形あるものに残して発信する活動に入りました。具体的には、大きく2つとして、『スライド発表したものを動画に編集する』と、年度当初計画していた『ブックレットにまとめる』ことでアーカイブ化し、Web公開することで広く発信する活動です。そして取り組ませるに当たっては、次の2つのWebアプリをそれぞれ活用することとし、オリエンテーションを実施しました。
・『スライド発表したものを動画に編集する』=『Canva』を使用しての動画編集
・『ブックレットにまとめる』=『Book Creator』を使用しての原稿作成
『Canva』は、無料デザインアプリで、PowerpointやGoogleスライドで作成した資料や画像の取り込み、アフレコ音声、BGMを入れながら動画を作成することができます。生徒たちは、9月に本校で行われた『どこでもアトリエプロジェクト』の発表活動でも使用していたため、今回の北の杜学で発表したスライド資料を基に自分たちで動画を制作することができました。
『Book Creator』については、Googleドキュメント等で作成した原稿をまとめ、冊子やPDF化して公開するのではなく、Web上に1冊のブックレット(電子書籍)の形で誰もがいつでも閲覧できるものとして残したい(広く様々な人に向けて公開することを目的に英訳文も掲載)、また1つのページに上記のスライド資料の動画も取り込める、また班員で共同編集することができる、などの理由から取り入れることとしました。そして、各班で型となる原稿ページ(下記参照)を作成し、最終的に『北の杜学ジャーナル』(下記参照)というブックレットにまとめる作業に現在取り組んでいます。(完成後は、このホームページにもリンクさせる予定です。)
※『Canva』及び『Book creator』については、下記URLからそれぞれのページを参照してください。
ブックレット『北の杜学Journal2022』表紙デザイン
ブックレット『北の杜学Journal2022』生徒の原稿の基本レイアウト枠※生徒が実際に作成したものではありません。
《令和5年3月》最終段階:ブックレット『北の杜学Journal2022』の完成
<R5.3.29最新情報> 『令和4年度あおもりICT活用コンテスト』において『最優秀賞』をいただいた(R5.1.10)、本校の特別の教育課程『北の杜学』における各グループの活動内容をCanvaとBookCreatorを活用してまとめたブックレット=『北の杜学Journal2022』が完成しました。
こちらからどうぞ、ご覧ください。(掲載したQRコードまたは下記URLより)
https://read.bookcreator.com/VS3qQTwFPzcojG7ECC9Wqhu0epQ2/xlwZY3ZcSAO7Bcr-Sahi
なお、ブックレットの最後にご意見・ご感想をいただくGoogleformsを記載しておりますので、アンケートにご協力ください。
令和4年度の取組を振り返って(生徒アンケート等の結果より)
ブックレットが完成する前の3月上旬に、令和4年度の取組について生徒アンケートを実施しました。
回答結果は、以下のとおりです。
全体的に生徒たちは、主体的に活動に取り組むことができ、地域の良さについて改めて実感することができたと思われます。中でも、多くの生徒が「地域の人と直接関わる」ことで「地域のこれから」を考えていきたいという意欲をもつことができたと回答していることから、「北の杜学」としての活動はもちろん、地域の未来を担う一人の住民としての今後の発展性が十分に見込まれる結果でした。
しかし、活動の方法面では、生徒たちがテーマとして挙げた内容に見合う資料や人材の確保、作業面で一部の生徒への負担がかかってしまった(一生懸命に取り組んでいた生徒ほど「難しかった」「大変だった」と回答している)ことが課題として明らかになりました。
今後は、ブックレットという形として広く多くの人に発信したことから得られる成果と課題も考慮し、次年度=令和5年度の取組へつなげていきます。
また、令和4年度における保護者や地域など、学校関係者評価については、学校評価における質問項目の
・「保護者・地域住民との連携について:地域の教育力を積極的に活用するとともに、保護者や地域住民と協働しながら特色のある教育活動の改善・充実に努めている」
・「広報・情報提供:学校ホームページや学校だより等を通して、家庭や地域へ学校の取組の様子について広く周知・理解に努めている」
対し、どちらも4=十分達成されている、3=おおむね達成されているの肯定的回答が98.6%でした。
次年度は、生徒アンケート及び学校関係者評価については、より具体的な項目を設定し、特別の教育課程「北の杜学」の展開を通した教育活動の成果と課題について検証していきたいと思います。