創立40周年を迎える今年度、3年目を迎える特別の教育課程「北の杜学」。
昨年度は、自分たちの取組を発信するだけでなく、活動から得られた売上金を外部団体に寄付するなど、より発展的な活動を行い、具体的な行動を起こすことで『地域へ貢献』する取組が見られました。また、最後に振り返りを丁寧に行い、PDCAサイクルに基づく活動となったことも大きな成果の一つでした。
今年度は、昨年度までの取組の成果と課題を受け、次の2点を掲げ活動をスタートしました。
・一人一人の課題意識を大切にし、「地域貢献」をより実感できるような学習活動の展開
・縦割り活動の発展による「異年齢集団における協働的な学びの充実」
※今年度も、北中祭での発表活動及びブックレット制作は継続します。
北の杜学の目標を見据えて
北の杜学が目指す具体的なゴールや取り組む活動についてのオリエンテーションを行うとともに、昨年度までの活動を振り返りました。その上で、今年度の課題を設定し、どのような活動を進めていくかを考えるために、「レディネスアンケート」を実施しました。
先輩の学びを活かし、自分たちの挑戦へ
7年生は、「テーマ希望アンケートを実施しました。昨年度の学習内容をまとめた電子ブックレットを読むことで、先輩たちの取組を知り、自分たちの地域の問題は何か、地域(誰か)のために何ができるか、どのような活動に挑戦したいのかなどについて考えを深めることができました。
今回のアンケートを基に、7〜9年生の縦割りチームが決定され、1年間活動していくことになります。
調査研究グループの編成とテーマ決定〈5〜6月〉
主体性を大切にしたテーマ決定からグループごとの活動計画作成へ
一人一人の主体性を尊重し、まずは個人で「自分がやりたいこと」を考えました。その後、考えを持ち寄り、グループごとにテーマを決定しました。さらに、9年生を中心に、各グループの今後の活動計画を立てました。活動計画の作成には、*リーンキャンバスの手法を用い、アイデアを可視化しやすくしました。
*リーンキャンバス:ビジネスモデルやプロジェクトの計画を整理するためのフレームワークです。9つの項目に分けて情報を整理し、アイデアを可視化しながら具体的な計画を立てることができます。
《今年度の各グループの研究テーマ及び活動目標一覧》
調査活動〈5〜10月〉
植樹祭参加〈5月〉
「眺望山とその周辺の調査」をテーマにしたグループが、眺望山で行われた植樹祭に参加しました。
一般の参加者とともに植樹を行い、眺望山に自生する植物や生物を自分の目で観察することができました。大自然に触れる中で、眺望山やその周辺地域、植物や生物をより大切にしたいという意欲が高まり、貴重な経験となりました。
清水町会長さんによる地域講話〈7月〉
「ねぶた(主に地域ねぶた)の歴史&ねぶたに関わる活動の記録」と「地域の文化財を守ろう〜神社の視点から〜」をテーマにしたグループが、清水町会長の高森さんによる地域講話を受けました。
地域ねぶたや神社等の文化財を守っていくために、私たち中学生には何ができるのかを深く考え、今後の活動の方向性を確認することができました。
海岸での海洋ごみ拾い〈7月〉
『海洋ごみの再利用+物品販売』をテーマにしたグループが、学区内の海岸でごみ拾いを行いました。活動時間は約2時間でしたが、実際に探してみると、昨年度に比べてごみの量が減っていることに気付きました。自分たちの取り組みの成果が少しずつ表れているように感じ、メンバーも大きな喜びを感じていました。今後は、ごみの中でも特にシーグラスの再利用方法を考え、商品化に向けた取り組みを進めていきます。
清水天満宮手伝い〈7月〉
「地域の文化財を守ろう〜神社の視点から〜」をテーマにしたグループが、本校に最も近い清水天満宮を訪れ、清水町会長の高森さんとともに、保管されているのぼり旗などの物品を整頓し、清掃を行いました。
また、宵宮の実施など地域の活性化に向けたアイデアについても高森さんと意見を交わしました。その中で、実現に向けてはさまざまな課題を解決する必要があることを改めて認識しました。
廃棄アマモを活用した肥料づくり〈7〜8月〉
「廃棄アマモ活用」をテーマにしたグループは、日々丹精を込めて肥料づくりに取り組んでいます。
夏季休業中は自分たちで水やり当番を決め、実施状況をスプレッドシートで共有しました。誰かが忘れて水やりが途切れることのないよう、お互いに協力しながら管理を行いました。
清水町会ねぶた運行参加〈8月〉
今年は、例年のルートに加え、北小学校のグラウンドも一周しました。小学生も参加し、「ラッセーラー」の掛け声で盛り上げてくれました。
また、沿道では多くの地域の方々が温かい言葉をかけてくださり、地域のつながりを実感しました。伝統文化を受け継いでいくことの大切さを改めて強く感じる機会となりました。
むつ湾感謝祭参加〈10月〉
「海洋ごみの再利用+物品販売について」と「廃棄アマモ活用〜肥料の行く末〜」をテーマにしたグループが、むつ湾感謝祭に参加しました。
これまでの学習内容をまとめたスライドに加え、自分たちで回収した海洋ごみやシーグラスを活用して作った写真立てやアクセサリーなどの手作り品を展示しました。さらに、来場者に直接説明する機会もあり、学びの成果を広く発信することができました。多くの方が活動に関心を寄せ、励ましの言葉をいただいたことで、今後の取組に対する意欲も一層高まりました。
北中祭での発表・物品販売〈10月〉
今年度は、発表だけでなく、文化祭前日祭において、各グループが活動の中で制作した商品の販売やサービスの提供も行いました。以下に、販売やサービスを提供したグループを紹介します。右の写真は、その活動の様子です。詳細については、『北の杜学 Journal Vol.3 2024』をご覧ください。
・「お米を消費しよう!〜お米のアレンジレシピを知ってもらおう!」
・「〜海洋ごみの再利用+物品販売について〜」
・「地域の文化財を守ろう〜神社の視点から〜」
・「地域の野良猫の現状を調べよう」
・「育てた野菜や木をDIYをして作ったものを無人販売で売ろう」
発表は、今年度も体育館にて、昨年度に引き続き屋台方式で各グループごとに行いました。
昨年度の反省を踏まえ、発表の声がより聞こえやすくなるように、4グループの各発表者が背中合わせに配置され、保護者や地域の方々が周囲から囲んで見るスタイルを採用しました。これにより、音響面にも配慮することができました。
また、昨年度と同様に付箋を用いたPMI方式を実施し、生徒同士の相互評価に加え、保護者や地域の方々にも観点別に評価を記入していただきました。
すべての発表終了後、Google Formsを用いて自己評価を実施しました。以下は、その結果の要約です。全体的に高評価となっています。
生徒たちの自己評価から、以下の点が明らかになりました。
•外部からのアドバイスの重要性:自分たちでは気付けない視点や助言を得られることが有益であると感じています。
•評価と改善点の認識:良かった点が多く挙げられた一方で、改善点も指摘されており、これらを今後の活動に活かしたいと考えています。
•自己の反省と今後の意欲:自身の活動に少し後悔があるものの、それを踏まえて今後の「北の杜学」の活動で改善していきたいという意欲を持っています。
•多様な意見の活用:さまざまな意見や感想を知ることで、今後の活動に活かせると感じています。
生徒たちは自己評価を通じて成長し、次の活動に前向きに取り組もうとしています。また、主体的に活動を計画し、地域や環境への関心を深めている様子がうかがえます。
活動のまとめ〜ブックレット作成〈10月下旬〜12月〉
ブックレット作成
グループごとにデータを共有しながら、共同編集を進めました。
すべてのグループの作業が完了すると、1冊のブックレットとしてまとめられます。
ブックレットの完成と活動の振り返り(評価)(令和7年1月〜2月)
振り返り活動として、昨年度と同様に、以下の3つの取り組みを行いました。
① 完成したブックレットの相互鑑賞 → Google Formsを用いた相互評価
② グループ単位での活動の振り返り(*リーンキャンバス使用)
*リーンキャンバス:ビジネスモデルを可視化するためのツール
③ 個人での振り返り(自己評価用紙の記入)
また、今年度版のブックレット『北の杜学ジャーナル Vol.3 2024』の表紙が完成し、最終的な校閲を経て、公開が間近となりました。
環境団体交流会参加〈2月〉
「海洋ごみの再利用+物品販売について」をテーマにしたグループの代表生徒1名が、環境団体交流会に参加しました。
自分たちで回収した海洋ごみを活用して作った手作り商品の売上金総額¥4,490を『特定非営利活動法人 青森環境パートナーシップセンター』さんに全額寄付した際、交流会で活動内容を発表してほしいと依頼され、参加することになりました。発表では、これまでの学習内容をまとめたスライドを用いて、一般の参加者の前で発表を行いました。発表後には、ご意見をいただいたり、今後の活動継続に向けた激励の言葉をかけていただきました。
学校外の多くの方々に直接自分たちの取り組みを発信できたことで、より広い視野を持ち、社会に貢献していく可能性を実感しました。これにより、来年度の活動継続に対する意欲もより一層高まりました。
〜今年度の学校評価より〜
特別の教育課程「北の杜学」を通じて、伝統文化を大切にし、地域課題に対して積極的に関わることを促す取組についての評価です。
【考察】
• 教師の評価がわずかに向上 しており、活動の意義や効果がより認識されていると考えられます。
• 家庭と生徒の評価は前年と同様であり、一定の認識が維持されていることが分かります。
• 生徒の評価を向上させるためには、主体的な関与を促し、活動の魅力や意義をより深く伝える工夫が求められます。
今後も、生徒が地域の伝統文化を大切にし、地域の課題に関心を持ちながら、主体的に学び、実践できる環境づくりを進めてまいります。そのために、地域との連携を一層深め、活動の幅を広げるとともに、生徒一人一人が達成感を得られるような学習機会を提供していきます。また、活動の意義や成果をより広く発信できる機会を設け、地域住民や関係機関との対話を重ねながら、地域社会とのつながりをより強固なものにしていきます。
さらに、これまでの取り組みを振り返りながら、継続的な学びが生まれる仕組みを構築し、生徒が主体的にプロジェクトを企画・実践できるよう、支援の充実を図ってまいります。フィードバックをいただくことで、自分たちの活動に誇りや自己有用感を持ち、さらなる発展を目指すことができるよう努めます。また、地域での活動を通じて社会とのつながりを実感し、地域貢献しているという実感を持ちながら活動を発展させていくことで、持続可能な未来の創造に貢献できる力を育むことを目指します。来年度は、生徒一人一人の課題意識をより大切にした活動を展開していく予定です。生徒が学びと実践を通じて成長できる環境を整え、さらなる発展を目指してまいります。
ブックレットの完成とご協力いただいた方々へのお知らせ〈令和7年3月〉
本校に勤務するALTの協力を得て、英文チェックを行い、ついに『北の杜学 Journal Vol.3 2024』が完成しました🎊
ご協力いただいた関係機関や市内の各中学校、近隣の地域施設などに、日本語版・英語版のポスターを広く配付し、掲示させていただく予定です。
ぜひ以下のリンクからご覧いただき、最終ページよりフォームにてアンケートにご協力いただければ幸いです。
https://read.bookcreator.com/7yCdbquNAXbuhY7N3fgkI4vB3ZI3/mPjTCKYIR1OX2_HF2FN-Yw
なお、今回のポスターでは、昨年度までのブックレットとこのホームページも併せて紹介しています。今後、より多くの方に読んでいただき、ご意見やご感想をお寄せいただければ幸いです。