各登壇者がキーワードを通していま最も気になるテーマを発議する3つのセッションを設けます。人類学者にとって多面的であるフィールドとの往還、生活世界の記述法をめぐる試みなど、人類学的営為を通じて切り拓こうとする諸実践の核心と可能性について、鼎談形式で議論を深めます。
日時:2020年3月20日(金・祝日)13:00~17:00
会場:早稲田大学・西早稲田キャンパス(通称:理工キャンパス)
52号館101教室 https://www.waseda.jp/fsci/access/
※祝日のため、西門、明治門、西早稲田駅直結門は閉門しております。正門からお入りください。
★プログラム★
13:00―13:10 趣旨説明 植村清加(東京国際大学)
13:10―13:30 発議①「単独性」小田亮(首都大学東京)
13:30―14:00 登壇者3名による鼎談
14:05―14:25 発議②「創造性」松田素二(京都大学)
14:25―14:55 登壇者3名による鼎談
休憩
15:10―15:30 発議③「分解」猪瀬浩平(明治学院大学)
15:30―16:00 登壇者3名による鼎談
16:00―16:30 フロアからの参加・全体討論
16:30-17:00 小田亮 「これからの人類学に向けて」
事前の参加予約は不要です。どなたでも自由にご参加いただけます。
企画
植村清加(東京国際大学)
内藤順子(早稲田大学)
加藤秀雄(成城大学民俗学研究所)
お問い合わせ:植村清加sauemura[at]tiu.ac.jp (@を[@]に置き換えています)
要旨
「女性」の視点に立ったとき、初めて見えてくる不具合がある。フェミニズムの問題意識は、国際開発政策に影響を与え、1970年代より発展途上国/第三世界の女性を対象とする開発プロジェクトの実施に結びついてきた。とりわけ農村部では、女性の耕作の支援がされてきた。しかし、西欧の学術界と権威的な開発援助機関を中心に展開されてきた諸議論は、支援対象となる女性たちの地位と役割、その歴史的変容について誤認を産んできた。そして、「国際社会」の関心のもと、女性たちに多重の役割を課して女性の農業を推進することで、大きな経済変容に見舞われてきた今日のグローバルサウスの「労働の女性化」に想定外に加担してきた。
現在も声高に叫ばれている、女性の耕作への支援の必要性を説く開発言説は、彼女たちの暮らしの何を見えなくさせてきたのか。土地を求め、夫への不満を述べる女性たちの声――開発研究や援助レポートで引用され、現場でも頻繁に聞こえてくる――をどのように分析すべきなのか。本発表では、著書『サバンナのジェンダー――西アフリカ農村経済の民族誌』(明石書店、2019年)をもとに、ポストコロニアル論と開発の交差点で女性の虚像が新たに産みだされた経緯や経済の自由化の分析を加えながら、女性の労働をテーマに直近の現代の農業の歴史を検討する。これをとおして、今後、女性の農業の支援をますます重視している開発政策がはらむ問題について考えたい。
会場: 東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム1(アクセスページご参照)
14:00 - 15:00 講演
15:10 - 15:30 コメント
15:30 - 17:00 質疑応答・ディスカッション
研究会後、同階 オープンスペースにて懇親会 18:00頃まで。
懇親会参加費 2,000円(学生)、3,000円(一般)
司会進行 関谷雄一(東京大学)
共催:東京大学グローバル地域研究機構 持続的開発研究センター
要旨
平成の時代が終わり、東日本大震災の発生からは8年以上が経過した。その間も各地では大規模自然災害で相次ぎ、少しずつ関心が分散していくにつれ、「3.11」とその復興を総括する議論も増えてくるだろう。そうしたマインドの変化が訪れるにあたり、改めて問うてみたい。人類学を通じて被災者とともにあろうとした私たちは、言葉を尽くして、何を擁護し、何を援護しようとしてきたのか。言論で、物理的に自然災害から人々の命を守ることはできない。物質的に人々の暮らしを充足させることもできない。現実に国家や市場が被災地の復興を強力に推進するとき、それに食い下がってでも譲れない一線は、どこに引かれていたのか。『復興と尊厳』(2018 東京大学出版会)は、そうした問いへの一つの応答である。本報告では、著者の民族誌的事例を検討しつつ、今後の震災復興や人類学の公共性について議論を進めていきたい。
会場: 東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム1(アクセスページご参照)
14:00 - 15:00 講演
15:10 - 15:30 コメント
15:30 - 17:00 質疑応答・ディスカッション
研究会後、同階 オープンスペースにて懇親会 18:00頃まで。
懇親会参加費 2,000円(学生)、3,000円(一般)
司会進行 関谷雄一(東京大学)
共催:東京大学グローバル地域研究機構 持続的開発研究センター