2024年10月3日に当学会 多様性・包摂推進委員会企画としてオンラインセミナー「教育とステレオタイプ/バイアス」を開催しました。
本セミナーでは、東京大学多様性包摂共創センターDEI共創推進戦略室准教授の中野円佳氏を講師に迎え、「教育とステレオタイプ/バイアス」をテーマに講演をいただき、その後、中野氏に加え、多様性・包摂推進委員会委員の斎藤明日美氏、同委員長の高野雅典氏が参加しパネルディスカッションを行いました。
中野氏はジェンダーにおけるステレオタイプやバイアスについて紹介し、その影響と多様性が必要とされる背景について解説しました。まず、周囲の大人たちが持つバイアスの影響で、幼少期から社会的にステレオタイプが形成される様子などを紹介しました。
また、ステレオタイプやバイアスの影響として、性差が出ると言われると実際に影響が出てしまう「ステレオタイプ脅威」や、統計的差別による思い込みで、女性の雇用や成長機会が損なわれるなどし、結果的にスキルに悪影響がでるという悪循環の問題を指摘しました。
日本の現状は、意思決定層の多くをマジョリティが占めています。これに対し、モノづくりや社会の設計に携わる場面で多様性がないことで、マイノリティが不利益を被る可能性を指摘しました。多様性を確保し異なる視点が入ることで、新しいアイデアや異なる意見を出しやすくなると強調しました。また、多様性を実現するための「クリティカル・マス」の重要性や、様々な軸での多様な属性を持つ人々が活躍できる環境づくりなどについて言及しました。
パネルディスカッションでは、斎藤氏は、自身の経験を踏まえ、理工系における女性が少ない現状や、その背景にある問題点について言及しました。また、多様なバックグラウンドを持つ人々が集まるコミュニティの重要性を強調し、理工系の中でもジェンダーの多様性を上げていく取り組みを紹介しました。
参加者からは、女性が少ない研究領域ではジェンダーバランスをとろうとすると一部の女性に業務が偏る課題や都市と地方の格差の課題などが提起され、議論しました。