公的研究費の管理・監査

多摩大学では、平成19年10月1日付けで「多摩大学における競争的資金等の公的研究費の管理・監査に関する規程」を作り、

学長が最高管理責任者となるとともに、不正防止計画推進委員会を設置して、公的研究費の適正な運用を図っています。

相談窓口:総務課

【文部科学省リンク】研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて

【文部科学省リンク】研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン

以下大学規程

多摩大学競争的資金等の公的研究費の管理・監査に関する規程

(目的)

第1条 この規程は、文部科学省の「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」及び「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」に基づき、多摩大学(以下「本学」という。)における競争的資金等の公的研究費の管理・運営・監査に関する必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この規程において「競争的資金等の公的研究費」とは、文部科学省及び文部科学省所管の独立行政法人等から配分される競争的研究資金等の公的研究費をいう。

2 前項に掲げる「競争的資金等の公的研究費」以外の競争的資金の場合においても、この規程を準用する。

3 この規程において「不正」とは、故意もしくは重大な過失による競争的資金等の他の用途への使用または競争的資金等の交付の決定の内容やこれに付した条件に違反した使用及びねつ造、改ざん、盗用などの研究活動に関する不正行為をいう。

4 この規程において「構成員」とは、本学に所属する非常勤を含む研究者、事務職員、技術職員及びその他関連する者をいう。

5 この規程において「部局」とは、各学部、研究科、各研究所をいう。

6 この規程において「所属長」とは、学部長、研究科長、所長をいう。

7 この規程において、「配分機関」とは、文部科学省及び文部科学省所管の独立行政法人をいう。

8 この規程において「コンプライアンス教育」とは、不正を事前に防止するために、本学が構成員に対し、自身が扱う競争的資金等の使用ルールやそれに伴う責任、自らのどのような行為が不正に当たるのかなどを理解させるために実施する教育をいう。

(最高管理責任者)

第3条 本学に大学全体を統括し、競争的資金等の公的研究費の運営・管理について最終責任を負う者(以下「最高管理責任者」という。)を定める。

2 最高管理責任者は、学長をもって充て、その職名を公開するものとする。

3 最高管理責任者は、不正防止対策の基本方針を策定・周知するとともに、それらを実施するために必要な措置を講じる。また、統括管理責任者及びコンプライアンス推進責任者が責任を持って競争的資金等の管理・運営が行えるよう、適切にリーダーシップを発揮し進捗管理に努めるものとする。

4 最高管理責任者は、定期的に各責任者から報告を受ける場を設け、意思の浸透を図るとともに、実効性のある対策とするために、必要に応じて基本方針の見直し、必要な予算や人員配置などの措置をリーダーシップの下に行う。

(統括管理責任者)

第4条 本学に最高管理責任者を補佐し、競争的資金等の公的研究費の運営・管理について大学全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者(以下「統括管理責任者」という。)を定める。

2 統括管理責任者は、事務局長をもって充て、その職名を公開するものとする。

3 統括管理責任者は、不正防止対策の組織横断的な体制を統括する責任者であり、基本方針に基づき、機関全体の具体的な対策を策定・実施し、実施状況を確認するとともに、実施状況を最高管理責任者に報告する。

(コンプライアンス推進責任者)

第5条 本学に競争的資金等の公的研究費の運営・管理について実質的な責任と権限を持つ者(以下「コンプライアンス推進責任者」という。)を定める。

2 経営情報学部、経営情報学研究科、各研究所の「コンプライアンス推進責任者」は、「多摩キャンパス事務長」をもって充て、その職名を公開するものとする。

3 グローバルスタディーズ学部の「コンプライアンス推進責任者」は、「湘南キャンパス事務長」をもって充て、その職名を公開するものとする。

4 コンプライアンス推進責任者は、統括管理責任者の指示の下、自己の管理監督又は指導する部局等における対策を実施し、実施状況を確認するとともに、実施状況を統括管理責任者に報告する。

5 不正防止を図るため、部局等内の競争的資金等の運営・管理に関わる全ての構成員に対し、コンプライアンス教育を実施し、受講状況を管理監督する。

6 コンプライアンス推進責任者は、自己の管理監督又は指導する部局において、構成員が適切に競争的資金の管理・執行を行っているか等をモニタリングし、必要に応じて改善を指導する。

7 コンプライアンス推進責任者は、コンプライアンス副責任者を各キャンパスの総務課長に任命し、業務を遂行するものとする。

(責務)

第6条 前条までに定める各責任者は各々の責務を果たし、管理監督を行わなければならない。

2 本学に不正が発生した場合には、各責任者は不正防止の体制、組織風土、コンプライアンス教育を見直し、就業規則に基づき懲戒を受けなければならない。

(研究不正防止委員会)

第7条 公的研究費等の不正の防止及び調査並びに処分を担当する「研究不正防止委員会」(以下「委員会」という。)を設置する。「委員会」は、最高管理責任者、統括管理責任者、コンプライアンス推進責任者に加えて副学長、学部長、研究科長で構成される。

2 委員会は、不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の確認及び不正に係る調査及び処分を行う。

(適正な運営・管理の基盤となる環境の整備)

第8条 競争的資金等の公的研究費に係る事務処理手続きについては、総務課の事務職員(以下、「事務職員」という)が行う。

2 事務処理手続きについての実質的な責任と権限は「コンプライアンス推進責任者」が持ち、適切なチェック体制を構築する。

3 事務処理手続きに関する大学内外からの相談を受け付ける相談窓口を設置する。相談窓口は「総務課」とする。

(公的研究費の適正な運用)

第9条 公的研究費の物品購入等の発注・検収・支払業務については、原則として事務職員が行う。ただし、例外的な事項については、発注先選択の公平性、発注金額の適切性の説明責任、弁償責任等の会計上の責任が研究者に帰属することを理解させた上で、研究者の発注を認めることができる。

2 公的研究費の適正な運用についての実質的な責任と権限並びに購入の決裁は「コンプライアンス副責任者」が持ち、予算執行状況の検証、不正取引のチェック及び納品検収等の遂行に努める。

3 研究者がやむを得ず立替払いをした場合には、研究者は事後速やかに、購入物品を総務課へ持参し、事務職員による検品を受けなければならない。

4 物品等において発注した当事者以外の検収が困難である場合、写真をもって代替または事後確認を行うこととする。

5 非常勤雇用者の勤務状況確認等の雇用管理については、原則として事務職員が実施する。また、事務職員は、採用時及び定期的に非常勤雇用者の面談や勤務状況の確認、出勤簿・勤務内容の確認を行う。

6 特殊な役務(データベース・プログラム・デジタルコンテンツ開発・作成、機械の保守・点検)に関する検収については、別に定める方法で検収を行う。

7 金券等の換金性の高い物品については、研究者は目的と宛先を事務職員に報告し、厳格な管理をしなければならない。

8 パソコン等の換金性の物品については、公的研究費で購入したことを明示するほか、物品の所在がわかるように記録する。

9 研究者は、出張計画書(別添2)、出張報告書(別添3)、旅程に関する資料、支出に関する信憑書類、その他現地に関する資料等(現地の写真、訪問先の資料等)を事務職員に提出しなければならない。また、事務職員は用務内容、訪問先、宿泊先、面談者等が確認できる報告書等の提出を求め、重複受給がないかなども含め、用務の目的や受給額の適切性を確認し、必要に応じて照会や出張の事実確認をしなければならない。

10 事務職員は、公的研究費の予算の執行状況を検証し、実態と合ったものになっているか確認しなければならない。また、予算執行が当初計画に比較して著しく遅れている場合は、研究計画の遂行に問題がないか確認し、問題があれば改善策を講じなければならない。

11 事務職員は、発注段階で支出財源の特定を行い、予算執行の状況を遅滞なく把握できるようにする。

12 事務職員は予算執行が年度末に集中するような場合は、執行に何らかの問題がある可能性があることに留意し、事務職員は必要に応じて研究者に対して執行の遅れの理由を確認するとともに必要な場合は改善を求めなければならない。

13 事務職員は書面によるチェックを行う場合、形式的な書類の照合ではなく、ルールや研究内容等との整合性を確認し、必要に応じて照会や現物確認を行わなければならない。

14 支出に関する信憑書類の原本の管理・保管は総務課が行う。

15 事務職員は、正当な理由により、研究費の執行が当初計画より遅れる場合等においては、繰越制度の積極的活用など、ルールそのものが内臓する弾力性を利用した対応を行う。また、公的研究費を年度内に使いきれずに返還しても、その後の採択等に悪影響はないことを周知徹底しなければならない。

16 公的研究費に関する利子は、本学の収入とする。

17 その他、前項までに定める公的研究費の運用は、別に定める「手引き」により運用し、ルールの統一化・体系化・明確化を行い、ホームページへの公開等により構成員への周知を行う。

18 手引きは随時見直しを行い、最高管理責任者の決裁を経て改正を行う。

(固定資産の寄付・返還)

第10条 研究者は、公的研究費で購入した図書(1冊の単価が5万円以上)・機器備品等(1個または1組の単価が10万円以上)の固定資産については、全て本学に現物寄付するものとし、事務職員が固定資産の管理を行う。

2 研究者が他の研究機関に所属することとなる場合、公的研究費で購入した図書・機器備品等については、当該研究者の求めに応じて返還する。

(コンプライアンス教育)

第11条 公的研究費等の運営・管理に関わる全ての構成員に、自らどのような行為が不正に当たるのかをしっかりと理解させるため、所属長は、コンプライアンス教育を実施する。

2 実施に際しては、受講生の受講状況及び理解度について把握する。

3 前項までの内容を遵守する義務があることを理解させ、意識の浸透を図るために、公的研究費の運営・管理に関わる全ての構成員に対し、受講の機会などに別添1に定める誓約書の提出を求める。

4 公的研究費に関するコンプライアンス教育については総務課が担当する。

5 その他、公的研究費の運営・管理に関わる全ての構成員に対する行動規範は「多摩大学研究活動規程」による。

(告発機関)

第12条 大学内外からの公的研究費の不正の疑いの指摘及び本人からの申し出などの相談並びに大学内外からの告発(通報)の窓口を設置する。窓口は「総務課」とし、事務処理を行う。

2 総務課は、大学内外からの相談を受け付けた場合は、受付から30日以内に、相談の内容の合理性を確認し調査の要否を判断するとともに、当該調査の要否を委員会に報告する。また、報道や会計検査院等の外部機関からの指摘による場合も同様とする。

3 総務課は、公的研究費の適正な運用に係る情報を最高管理責任者に適切に伝わる体制を構築する。

4 総務課は、告発者の取扱いに関し、告発者の保護を徹底するとともに、保護の内容をホームページで広く公開する。また誹謗中傷から非告発者を保護する方策を講じなければならない。

(不正)

第13条 不正があった場合、委員会は、不正の有無及び不正の内容、関与した者及びその関与の程度、不正使用の相当額等について調査を行い、認定及び処分を行う。

2 委員会は、不正があった場合、公正かつ透明性の確保の観点から、本学に属さない第三者を委員として含み、調査を行わなければならない。

3 第三者の調査委員は、本学及び告発者、非告発者と直接の利害関係を有しない者でなければならない。

4 委員会は、告発等があった場合、告発等の受付から210日以内に、調査結果、不正発生要因、不正に関与した者が関わるほかの競争的資金における管理・監査体制の状況、再発防止計画を含む最終報告書を配分機関に提出しなければならない。また、期限までに調査が完了しない場合であっても、調査の中間報告を配分機関に提出しなければならなく、調査の過程であっても、不正の事実が一部でも確認された場合には、速やかに不正を認定し、配分機関に報告しなければならない。さらに、配分機関の求めに応じ、調査の終了前であっても、調査の進捗情報報告及び調査の中間報告を当該配分機関に提出しなければならない。

5 委員会は、調査の実施に際し、調査方法、調査対象及び方法等について配分機関に報告、協議しなければならない。

6 委員会は、必要に応じて、被告発者などの調査対象となっている者に対し、調査対象制度の研究費の使用停止を命じなければならない。

7 委員会は、多摩大学就業規則に基づき処分を決定し、学長の承認の下、不正に関与した構成員の懲戒を行う。また、私的流用など、行為の悪質性が高いには、刑事告発や民事訴訟を行うものとする。

8 委員会の調査の結果、不正を認定した場合は、速やかに調査結果を公表しなければならない。不正に関与した者の氏名・所属、不正の内容、大学が公表示までに行った措置の内容、委員会の委員の氏名・所属、調査の方法・手順等が含まれているものとする。ただし、合理的な理由がある場合は、不正に関与した関係者の氏名・所属を非公表とすることができる。

9 前項に定める事項については、学内でも広く周知しなければならない。

10 不正な取引に関与した取引業者があった場合、本学と3ヶ月以上9ヶ月以内の一定期間、取引訂正の処分を行う。また、特に悪質な不正行為と認められるときは、9ヶ月を超えることができる。また、一定の取引実績がある場合、誓約書等の提出を求める。

11 取引業者が過去の不正取引について、本学に自己申告した場合には、情状を考慮し、取引停止期間の減免を行うことができる。

(内部監査体制)

第14条 公的研究費の不正を防止して適正な管理を遂行するために、最高管理責任者の直轄的な組織として内部監査部門を設置する。内部監査部門は「総務課」とする。

2 内部監査は年複数回実施し、大学全体のモニタリングが有効に機能する体制となっているか否かを確認・検証するために、会計書類の監査、購入物品の現物監査、謝金の使途確認等、発注・検収・支払業務についての確認作業及び監査手順を示したマニュアルの作成並びにルール違反防止のためのシステムや業務の有効性、効率性の検査、内部監査体制の検証を行う。

3 内部監査部門は、不正防止計画と実態を検証し、不正が発生するリスクに対して、重点的にサンプルを抽出し、抜き打ちなどを含めたリスクアプローチ監査を実施する。

4 内部監査部門は、監事及び会計監査人との連携を強化し、内部監査及びリスクアプローチ監査を実施する。

5 内部監査部門は、監査報告の取りまとめ結果について、コンプライアンス教育の一環として、学内で周知をはかり、類似事例の再発防止を徹底する。

6 監事及び会計監査人は機関内の不正発生要因や監査の重点項目について情報や意見の交換を行い、効率的・効果的かつ多角的な監査を実施することができる。

7 監事は、業務監査の観点から、不正防止に関する内部統制の整備・運用状況や、モニタリング、内部監査の手法について実効性の面から検証し、最高管理者に意見を述べることができる。

8 内部監査部門は、他の部局や他の部署と連携し、監査の効果を発揮できるようにする。

9 内部監査部門は、内部監査の実施に当たっては、把握された不正発生要因に応じて、監査計画を随時見直し効率化・適正化を図る。

(防止計画推進部署)

第15条 本学全体の観点から不正防止計画の策定・推進を担当し、大学全体の具体的な対策を策定・実施し、実施状況を確認する部署を設置する。

2 不正防止計画の推進の担当は「総務課」が行い、最高管理責任者の承認を得ることとする。

3 不正防止計画の着実な実施は、最高管理責任者の責任であり、実際に不正が発生した場合には、最高管理責任者は速やかに防止計画の見直し及び体制の再構築を検討しなければならない。

4 大学全体で不正が生じにくいように、所属長は防止計画推進部署と連携・協力し、関係者への周知・理解を図らなければならない。

(公的研究費の運営・管理の見直し)

第16条 最高管理責任者は、内部監査の実施結果を踏まえて、適時、運営・管理の見直しを行い、必要に応じて統括管理責任者及びコンプライアンス推進責任者に運営・管理の改善を指示するものとする。

2 コンプライアンス推進責任者は総務課の日常の相談を通じて蓄積された事例を整理・分析し、構成員間で共有する仕組みを整備するとともに、必要に応じてモニタリングの結果などとともに最高管理責任者に報告し、基本方針・内部規程の見直しやコンプライアンス教育の内容にフィードバックしなければならない。

(情報公開)

第17条 「行動規範」、「管理・運営体制」、「手引き」、「不正防止計画」、「相談窓口」、「通報窓口」、「処分」、「機関における諸手続」等については、本規程とあわせてホームページ等で積極的に公表し、周知を図ることとする。

2 告発者の取扱いについては、告発者の保護を徹底するとともに、保護の内容を告発者に周知しなければならない。

(配分機関)

第18条 本学は配分機関からの公的研究費に関する調査があった場合、当該事案に係る資料の提出または閲覧並びに現地調査に応じなければならない。

(間接経費)

第19条 公的研究費に係る間接経費は本学に帰属する。取扱いについては別に定める。

(改廃)

第20条 この規程の改廃は、委員会の議を経て、学長の決裁を得なければならない。

附則

この規程は、平成19年10月1日から施行する。

附則

この規程は、平成27年3月1日から施行する。