下の図はオペアンプの内部回路の概要である。一般的なオペアンプの内部回路を判りやすくするために簡単化した表現にしてある。 初段の差動入力段の上部のカレント・ミラー出力にあるRp0とCp0は人工的な第1極である。ここでのCp0とこれに直列に接続されたRz0は2段目のベース接地Qa1のコレクター側に発生する極を解消するゼロ点として設定してある。
ベース接地の2段目、3段目のQa1、Qa2はエミッタ接地の増幅用トランジスタのコレクタ側に接続して増幅によるベース・コレクタ間容量の見かけの増加を回避する役目がある。
さて、第2極の周波数を10KHzとして進めるが、2段目の増幅段のQa1のコレクタ側の極は1段目のRz0とCp0で作られたゼロ点で解消されているものとすると、3段目のQa2とエミッタ・フォロワーQf1とQf2、及びQa2のコレクタ側の定電流源(バイポーラ・トランジスタのコレクタ)側の容量が第2極の周波数要素として浮上してくる。尚、バイポーラ・トランジスタ単体のコレクタ・エミッター間の動的直流抵抗はかなり高い値になる。
本稿でもよく引き合いに出すTLE2027(TI社)を例にとると、同仕様データから出力抵抗の直流値は50Ωなので、出力のエミッタ・フォロワが2段なので総hfe=10000くらいとすると、3段目のQa2のコレクタ側の周囲の総合直流抵抗は500KΩ程度と推測される。
第2極の周波数を10KHzと推測したとしても、この抵抗値より、Qa2のコレクタ側に接続された各トランジスタの総容量(コレクタ・ベース間容量、コレクタ・エミッタ間容量)は合計32pFとなり、現実的な値になる。
<記: 村岡如竹>