反「開発」の史的再検討

目標と概要

2018年Sセメスター開講「歴史の中の開発と文化」の続編的な内容。しかし今度はやや角度を変え、「開発」の歴史に抵抗してきた人々の生き方や思想に迫る。そうした反「開発」論的な議論や実践は今も様々な文脈で続けられており、開発の脱構築や見直し、そしてオルタナティブな開発・歴史の在り方を見出すことを可能にする地平へと人々を導いている。様々な反「開発」論を取り上げながら、体系的な理解を試みる。

授業日程 (ほぼ決定)

9/27 1. イントロダクション 授業計画の設定

※ 以下、取り扱う予定の項目(変更の可能性あり)。

10/4 2. 国家・権力システムに抗する社会の歴史 游 乃蕙

ピエール・クラストル著、渡辺公三訳1987『国家に抗する社会:政治人類学研究』東京:書肆風の薔薇

大江志乃夫ほか編1993『岩波講座近代日本と植民地6:抵抗と屈従』東京:岩波書店(若林正丈「台湾議会設置請願運動」pp.3-27を中心に)

10/11 3. 植民地抵抗運動、独立運動及び市民運動 里井 明

森宣雄 2016『沖縄戦後民衆史 ガマから辺野古まで』岩波現代全書, pp.193-222.

松島泰勝 2012『琉球独立への経済学: 内発的発展と自己決定権による独立 』法律文化社,pp.66-77.

10/18 4. 先住民及びマイノリティーの自由・正義 北野 彩

マーサ・ヌスバウム(2012[2006])『正義のフロンティアー障碍者・外国人・動物という境界を越えて』東京:法政大学出版局

10/25 5. 植民地主義と開発 山本友亮

石田勇治・武内進一『ジェノサイドと現代世界』第1章&第4章

栗本英世「紛争解決と和解への潜在力の諸相」アフリカ潜在力第2巻

11/1 6. 思想・文学における開発主義への抵抗 関谷雄一

サヴァネ・サル『ヤナマール-セネガルの民衆が立ち上がるとき』

11/15 7. 休講

11/29 8. 歴史の中の「思考不可能性」と対話-台湾原住民をめぐり 関谷雄一

呉密察・黄英哲・垂水千恵編 『記憶する台湾』

12/6 9. 黒人文学の中にみる抵抗・反開発 近藤望寧

フランツ・ファノン 『黒い皮膚・白い仮面』 1.黒人と言語と5.黒人の生体験

12/13 10. 移民と反「開発」 滝玲名

田中研之輔 『ルポ不法移民―アメリカ国境を越えた男たち』

★ お願い ― テキストコピーはまだできておりません(12/12午前時点)。

岩波新書で値段は820円(税込み価格)。もしお気が向かれたらご購入をお勧めします。

12/20 11. オリエンタリズム 山本友亮

E・サイード『オリエンタリズム(下)』「第3章 今日のオリエンタリズム」を中心に。

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12/27 12. 反「開発」とサバルタン 小菅生草太

パルタ・チャタジー著 『統治される人びとのデモクラシー』世界思想社(2015)、第3章を中心に。

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1/10 13. 反「開発」をめぐる事例研究(台湾を舞台に)游乃蕙

文献クラウドフォルダ(リンクをコピペして、ダウンロード先に移ってください。授業でお伝えする「PW」が必要です。関谷宛お問い合わせください。)

講座用テキスト

https://davw.ecc.u-tokyo.ac.jp/public/ynB4AAwJ04JAG6wBhPNm3iMV4E-btBrT7iQKFyZKlM8E