アカデミアから民間に転職した経験をシェアするために、私の体験をお話しします。
アカデミアから民間に転職した経験をシェアするために、私の体験をお話しします。
私は学生時代、計算機アーキテクチャの研究室に所属しており、スーパーコンピュータ向けのネットワークの実用化に関するルーティングの提案で博士(工学)の学位を取得しました。博士課程修了後はポスドクや助教として約5年間アカデミアに従事していました。
アカデミアを辞めようと思ったきっかけは幾つかあります。まず、「学生時代の研究」と「研究者としての研究」には大きな違いがあることを痛感し、生活や予算獲得のために研究を続けることに次第に嫌気がさしました。また、自分の教育観と、上司や大学の経営層・文部科学省の考え方が合わず、「自律的に学ぶことを学生に伝え、自己成長を促す」という理想が崩れてしまいました。さらに、研究に対するモチベーションが低下し、科研費若手の終了、恩師の定年退職、共同研究をしていた先生の急逝も重なり、アカデミアを辞めるべき時期だと感じました。
2024年3月から転職活動を始め、転職サイト2社にアプローチしました。そのうちの1社に依頼し、精神面でのサポートが充実している担当エージェントの助けを借りながら活動を進めました。10社に応募し、7月には1社(SIer系)から内定をもらい、転職活動を終了しました。面接ではうまくいかないことが多く、面接官から不安に思われたり、こちらが焦って会話が噛み合わなかったりすることがありました。
今後については、博士課程やポスドク時代の経験が企業で活かせるとは全く思っていません。自分が持っているスキルや視点に自信が持てず、アカデミア時代のマインドセットを払拭できないまま、企業環境に馴染めるのか不安があります。しかし、アカデミアと企業の違いを楽しむことが重要だとも感じています(これは転職エージェントの方からアドバイスされた言葉です)。
今後の課題としては、メンタル面や人間関係の問題が一番のネックになると考えています。私自身が打たれ弱い性格で控えめな態度を持つため、高圧的な相手に対処するのが難しいと感じています。また、アンガーマネジメントのスキルにも課題を抱えています。今後トラブルが起きた際には、可能な限り穏便に対応しつつ、すぐに他の人に相談して現実的な解決策を探る必要があると考えています。